あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZERO A EVIL-01


魔法が存在し、それを使える貴族と使えない平民という二種類の人間が住む世界ハルケギニア。
そこに貴族でありながら魔法が使えない少女がいた。
少女の母親は「烈風カリン」と呼ばれた凄腕のメイジであり、二人の姉も優秀である。
なのに少女だけが魔法を使えない。
優秀な家族の中で自分だけが劣っているという事実は、幼い少女の心を傷つけていった。
また、少女が名門公爵家の三女という事も災いした。
地位が高ければ高いほど、人の妬みや中傷を受けやすい。
魔法が使えない少女の存在は格好の的だった。
他の貴族だけならまだしも、魔法が使えない平民にさえ少女は陰口を叩かれていた。
それでも、公爵家の領内にいたころはまだ良かった。
少女には、いつも優しくしてくれたすぐ上の姉がいたし、遊び相手を勤めた姫様の存在もあった。
そしてなにより、少女の心の支えとなったのは許婚でもあった憧れの子爵様。
子爵様に無様な姿は見せられないと少女は努力していたし、魔法が使えなくても常に前向きに進んでいく事ができた。
だが、少女がトリステイン魔法学院の生徒になり、学院の女子寮で暮らすようになってしまえば、もう少女の心を守ってくれる者はいない。
学院での少女は魔法が使えないという理由で馬鹿にされ続け、親しい友人もできなかった。
教師達の多くも魔法が使えない少女を見捨てた。
それでも少女は、何か一つでも魔法が使えるようにと授業も人一倍熱心に受け、夜に一人で魔法の練習も行っていた。
誰よりも努力していた少女だったが、結果はいつも同じ。
失敗して爆発するのみであった。
少女の魔法は失敗すると爆発する。このことが他の生徒達との溝を深めていく。
授業では失敗魔法で教室を滅茶苦茶にし、夜には爆発を起こし睡眠を妨害する。
少女の努力は何一つ報われる事はなく、少女への誹謗中傷となって返ってきた。
そして少女に二つ名が付けられる。
少女が魔法を使えない事を如実に現し、侮辱する呪いの言葉。
『ゼロのルイズ』と。
このころからある感情がルイズの心の中で大きくなっていく。
人間ならば誰もが持っている感情だが、大きくする事によって争いを生むもの。
その感情の名を『憎しみ』という。

そしてルイズは使い魔召喚儀式の日を迎える。
召喚された使い魔はメイジにとって生涯のパートナーになるものであり、そのメイジに相応しいものが召喚される。
ジャイアントモール、カエル、ヘビ、フクロウ、バグベアー、スキュア……
様々な使い魔が召喚される中、最後にルイズの順番がやってきた。
が、やはりうまくいかずに失敗し、爆発を起こすばかりであった。
他の生徒達から、いつものようにルイズをからかい、馬鹿にする言葉が発せられる。
「あと何回爆発起こせば気が済むんだよ!」
「ルイズの呼び掛けに応えてくれる生き物なんていないってことなんじゃない?」
「とっととあきらめて実家に帰ればいいのに…」
侮辱の言葉を受け、ルイズの心が生徒達への憎しみで溢れていく。
そして、あの言葉が発せられる。ルイズにとって呪詛にも近いあの言葉が。

「やっぱり無理なんだよ!ゼロのルイズには!」

憎かった。
自分の苦労を何も知らず馬鹿にし続ける生徒達と自分を見捨てた教師達が。

(みんな嫌い、嫌い、嫌い、大ッ嫌い!)

口から憎しみの言葉が溢れそうになるのを誤魔化すように、ルイズはやけくそ気味に杖を振る。
そして一際大きな爆発が起こった後にそれは現れた。

それは大きな騎士の石像だった。
まだ完成してないのか足の部分は岩の塊のままである。
立派な鎧と兜を身に付けているが、顔の部分は兜に覆われておりよく見えない。
動く気配はなく、どうやら未完成のようだ。

生徒達は最初こそ、ルイズがゴーレムを召喚したと思いしばらく静観していた。
だが、未完成な唯の石像だとわかると口々にルイズを馬鹿にし始めた。
「なんだ、動きもしない作りかけのゴーレムじゃん」
「外見だけが立派なところはゼロのルイズにぴったりだな」
「あはは、言えてる~」
いつものように生徒達に馬鹿にされるルイズだが、そんな事はまったく気にならなかった。
気になるのは自分が召喚したこの石像である。
確かに未完成だが、完成している部分は見事な騎士の像を形作っている。
もしこの石像が完成しているゴーレムであったなら、自分を襲う様々な困難から守ってくれる存在になったであろう。
このまま何も召喚できなければ、ますます馬鹿にされて惨めな思いをするところだったので、すでに自分を救ってくれたとも思える。

「皆さんお静かに!」
使い魔召喚儀式の監督をしていた教師のコルベールが騒いでいた生徒達を注意する。
「ではミス・ヴァリエール。続いてコントラクト・サーヴァントを」
ルイズが召喚のやり直しを要求してくると思っていたコルベールだったが、意外にもルイズは文句一つ言わずに落ち着いている。
ゴーレムですらない唯の石像など、使い魔にするには問題があるように思える。
が、本人が納得しているのならばとルイズに契約を促すことにした。
石像の兜はたいぶ高い位置にあるため、コルベールはレビテーションでルイズを兜のあたりに浮かせる。
ルイズはぽっかりと開いている兜の隙間を覗き込んでみるが、そこに有るべき顔はなく、ただ真暗な空間が広がっているのみであった。
仕方がないので兜に口付けすることにし、コントラクト・サーヴァントの呪文を唱えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして、兜の口に近い部分に口付けする。

「え!?」
口付けした瞬間、石像の兜の隙間から二つの目が怪しく光を放つ。
そして、ルイズの脳裏に様々な者達の姿が映し出された。

鋭い牙と長い尻尾を持ち獰猛な目をした翼の無いドラゴン。
頭に2本の角を生やした恐ろしい表情の顔だけの悪魔。
鍛えられた肉体を持つ上半身裸で坊主頭の長身の男。
大きな筒状の杖のような物を持つ大男。
紫の髪を逆立てた武道家風の男。
ヘビを首の部分に巻き付け服を着た巨大な醜いカエル。
背中に6枚の羽を持ち鳥の顔と手足をしているゴーレム。

そして、全てに裏切られ絶望したかのような暗い瞳を持つ金髪の青年。

突然の出来事にルイズは戸惑うが、それらは一瞬で消えてしまった。
再び石像の兜を覗き込んでみるが、やはり暗闇しか見えない。
「何?今の……くうっ!」
困惑していたルイズだが、急に体が熱を持ったかと思うと、左手の甲に焼けるような激痛が走った。
様子がおかしいルイズを心配したコルベールが慌ててルイズを地面に降ろす。

「ミス・ヴァリエール!大丈夫ですか!」
コルベールは急いでルイズに駆け寄る。
最初は苦悶の表情を浮かべていたルイズだが、徐々に落ち着いてきたようだ。
ルイズは恐る恐る激痛が走った左手を見てみると、甲の部分にルーン文字が浮かび上がっているのに気付いた。
「ななな、何で?」
「これは一体?」
普通は使い魔に刻まれるはずのルーンが、何故か召喚者であるルイズに刻まれている。
こんな事は前代未聞であり、コルベールもどう対応すればよいのかわからない。
とりあえずルイズに刻まれたルーンを見てみるが、普通のルーン文字と違いあまり見た事がない。
調べてみる必要があると思い、持っていた紙に書き記した。
続いて石像の方を調べてみたが、動く様子もなく何も変化はないようだった。

異変に気付いたのか、遠巻きに眺めていた生徒達が騒ぎ始めた。
「何かあったのかな?」
「ルイズのことだから、きっとコントラクト・サーヴァントに失敗したんだよ」
「拒否でもされたんじゃないの、作りかけのゴーレムに…ぷっくくくっ」
ルイズにルーンが刻まれているなど知りもしない生徒達は、ルイズがまた魔法に失敗したと思っているようだ。
中には笑っている者もいる。

「お静かに!皆さんは早く教室に戻りなさい!」
コルベールは騒ぎ始めた生徒達に指示を出す。
一刻も早く学院長にこの事を報告しなければならない。
「ミス・ヴァリエール、私は先に学院長に報告しに行きます。後で学院長室に呼びますので、しばらく待っていてください」
そう言うとコルベールはフライの魔法で学院に戻っていった。
生徒達もルイズを残してフライで学院に戻るようだ。
「じゃーな!がんばって歩いて帰ってこいよルイズ」
「フライもレビテーションも使えないなんてかわいそ~…くくくっ」
「その使い魔、ゼロのあなたにお似合いよ」

去り際にルイズを馬鹿にして帰って行く生徒達。
突然の事態に混乱していたルイズだが、馬鹿にされた事で悔しさに唇を噛み、両手を強く握り締める。
心に浮かぶのはあの感情。
憎しみであった。

その時、ルイズの左手のルーンが僅かに光を放っていることに気付いた者は誰もいなかった。


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