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虚無の誇り-01

誰よりも気高く
誰よりも勇ましく
そして誰よりも深い愛を持った男がいた

その男は友を守る為に戦い
己の帰りを待つ者の為に抗い
己の誇りと夢を抱きしめ…散っていった






いつの間にか雨は止んでいた。
視界一杯に広がるどこまでも澄んだ青い空。

悔いがないと言えば嘘になる。
エアリスは1人で寂しくないだろうか。
シスネが余計な事言ったからオフクロ舞い上がってるんだろうな。
クラウドと馬鹿騒ぎしながら酒を飲み交わしたかったな。

だがしかしもう涙は流さない。
ツォンなら自分の代わりにエアリスを守り抜いてくれる。
シスネも上手い事オフクロ達の面倒をみてくれるさ。
クラウドにだって夢と誇り、己の全てを託したのだ。

きっと大丈夫だ。
心配する事など何もない。
そうだ。
もう大丈夫なんだ。

ザックスは瞳を閉じた。



と、白い羽が降ってくる。
ゆっくりと瞳を開く。


薄れゆく意識の中ザックスの瞳は確かに彼の姿を映した。

「………なぁ……その翼…俺にもくれよ…」

彼は右手を差し出した。
ザックスはそれに応える。
「なぁアンジー…ッ!」
はずだった。
突如として彼の姿は銀色に輝く鏡へと変わる。
彼の手を掴もうと伸ばした右腕は鏡へと吸い込まれる。

歯車は動き出す
英雄の物語は…まだ終わらない


何やら周りが騒がしい。
うっるさいなぁ。寝てるんだから静かにしろっての。
痛たッ!誰だよ俺の足蹴っ飛ばしたの。あ?
痛…い?
待テヨ……俺あん時…確か…ッ!!!!


「キャッッ!」

ガバッと起き上がり目を開ける。
俺の顔の前にエ…ア……リスッ!?

「エアリスッ!?何で俺ッ!?つかここどこ!?何だよこのガキ共っ!って痛たたたたちょっタンマ!」
「エアリスって誰だよーテファ姉ちゃんに近づくなぁ!!」
「やーかかれー!」

気づいたら見たこともない子供達に囲まれ蹴られるわフライパンで殴られるわ。んでもって目の前にエアリス。
ワケわかんねーっての。

「やめなさいあんた達ッ!そんなに元気があるなら外で遊んでいらっしゃい!」

エアリスの隣にいた妙齢の美女が怒鳴った。
心底不服そうに、だが仕方ないといった感じで子供達が部屋からでていく。
あまりの迫力にザックスは唖然としている。

「あ、あのごめんなさいッ!マチルダ姉さんに魔法を教わっていてそ、その使い魔を召喚する事になって…そのそうしたらあなたがその…」
「ちょっと待って。使い魔って何?つか何で俺がエアリスのとこにいんの!?」
「エアリス?誰かと勘違いしてるんじゃないのかいあんた」

ハッとする。
整った顔立ちやおっとりとした雰囲気はエアリスと見紛う程だが、そのなんつーか胸?胸っぽい何か?の大きさと耳の長さが異なっている。
確かに別人だ。

「…あーごめん。人違いだったみたい…」
「…ふーん。あんたテファの耳を見ても驚かないんだねえ。…一体何者なんだい?」

ハルケギニアの常識ではエルフは恐怖の対象として忌み嫌われている。
その象徴たる長い耳を見てもザックスは動じてはいない。
エルフを恐れない人間などよっぽどのバカかエルフと交流を持つと言われるガリアの無能王ぐらいのモノだろう。

ティファニアはマチルダの言葉を聞き慌てて帽子を被った。

「ん?耳がそんなにおかしいか?ちょっと長いけどそんなにおかしいとこはないと思うけど…」

ティファニアとマチルダは唖然とした。
この青年は何を言ってるんだ。
エルフだぞ?
エルフを見てもとぼけているなんて精神異常者か何かか?
それとも使い魔召喚が作用してエルフに対する恐怖が消えたのか?

マチルダがそこまで考えたところで突然小屋の外から子供達の悲鳴が聞こえた。

マチルダとティファニアが反応するより先にザックスは駆け出す。


男達は飢えていた。
アルビオンの王党派に残ったはいいものの誰がどうみても勝ち目はない。
ならばと僅かばかりの金だけ手に取り軍から離反し山賊と化したのだ。


飲まず食わずの放浪の果て流れついたのがこの村、ウエストウッドだった。


ザックスは小屋の外へと駆け出した。
眼前には子供達を襲う暴漢の姿。
とザックスの姿を認めた暴漢の1人が口を開く。

「よう兄ちゃん。俺らは腹が減ってんだ。こいつらが痛い思いする前に飯と酒、ついでにこの村にあるだけの金を用意してもら…ッ!」

ザックスは跳んだ。
太陽を背にし常人のそれを遥かに上回る高さとスピードで。
と同時にザックスの手には氷の剣が握られていた。
着地と同時に子供を捕らえていた暴漢の体が凍りつく。

『魔法剣ブリザガ』攻撃魔法の上位にある『ブリザガ』の威力を剣の形に圧縮した代物である。
斬りつけられた者は一刀の下に凍りつく絶対零度の剣である。

「いらっしゃいませぇお客人。んじゃあさようならってか?」

暴漢達は今は落ちぶれているものの元は王党派のメイジ達であった。
故に魔法の扱いに拙い訳ではない。

がしかしソルジャークラス1stでありS細胞を取り込んだザックスの敵ではなかった。

1人、また1人と凍りつき動けなくなる。
ザックスの剣捌きは荒々しくも無駄がなく暴漢達を無力化していく。
その流れるような剣舞はさながら神の左手『ガンダールブ』と見紛う程であった。

マチルダは息を呑んだ。
『土くれのフーケ』として幾度も死線をくぐり抜けてきた。
が、あの様な身のこなしや剣捌きは見た事がない。
そしてあの氷の剣。
詠唱を悟られないのが腕のあるメイジの基本なのだが彼は杖すら持っていない。
トライアングルの腕を持つ彼女だからこそ彼の魔法の異質さに気づいたのだ。

「まさか先住魔法ッ!?」
無理もない。
ハルケギニアにおいて魔法とは杖や詠唱なしでは発動できるモノではないのだから。


「ふぅ。大丈夫だったか坊主」
剣を納め少年の頭を撫でる。


子供達の目は輝いていた。
暴漢に襲われるや否や颯爽と現れあっという間に切り捨ててしまったこの青年にティファニアに読み聞かせてもらった『イーヴァルディの勇者』の姿を見たのだ。

「お兄ちゃんかっこいー!」
「ねーねーお兄ちゃんってイーヴァルディの勇者様なんでしょー!?」

「ん?あぁーそうそう。かっこよかっただろ?兄ちゃんはなんたってえ「子供達に近寄るんじゃないよッ!!」

唐突にマチルダは叫び子供達とザックスの間に割って入った。

「その身のこなしといい先住魔法といいあんた吸血鬼だね?」

吸血鬼という言葉を聞きティファニアは青ざめ慌てて子供達を小屋に押し込む。

「えっ?あっ…ちょっ」
「テファッ!あんたの魔法でこいつの記憶を封じておくれ!それまで私が時間を稼ぐから!」
そう言うなり彼女は先ほどルーンを唱えていた魔法を杖を降って発動させた。


ザックスの目の前に人の形をした30メートルはあろうかという巨大な土の塊が現れる。


突然の事態に面食らいザックスは何も出来ないでいるとティファニアの魔法が完成した。

ザックスはありもしない『吸血鬼』としての記憶を奪われた。



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