使い魔大作戦! ハルケギニアレポート 2
早朝
横島は洗濯板で下着と格闘していた
横島は洗濯板で下着と格闘していた
「ぐすん、腰が痛い・・・・」
洗濯機を使わない手洗いの洗濯は、アシュタロス事件のおりに逆天号で今のような下僕的生活を余儀なくされていた頃を思い出させた。
横島の朝は早い。
といっても自発的に早く起きたのではなく、昨夜のルイズの魔法による爆発で
半ば気絶するようにベランダで眠っていたところを、先に起きていたルイズによってたたき起こされたのである。
何かと思い飛び起きると、脱ぎ散らかされた衣服や下着等を目の前にずいと突き出され
開口一言
といっても自発的に早く起きたのではなく、昨夜のルイズの魔法による爆発で
半ば気絶するようにベランダで眠っていたところを、先に起きていたルイズによってたたき起こされたのである。
何かと思い飛び起きると、脱ぎ散らかされた衣服や下着等を目の前にずいと突き出され
開口一言
「これ洗濯しといて。もたもたしてるとエサを食べ損ねるわよ」
さすがの横島も昨日の件で懲りたのか反抗はせず、ぶつぶつ文句は言いつつも素直に従うのだった。
そして今に至るというわけである。
そして今に至るというわけである。
「あの女ぁ、下手に出てたらつけ上がりやがって・・・
自分の下着ぐらい自分で洗えつーの・・・」
自分の下着ぐらい自分で洗えつーの・・・」
さて、生きる煩悩といっても過言ではない横島がなぜ女性の下着を前にしても
こうも冷静でいられるのか。
朝の一件で横島をたたき起こしたときのルイズは、寝起きということもあって
かなりきわどい格好をしていた。
こうも冷静でいられるのか。
朝の一件で横島をたたき起こしたときのルイズは、寝起きということもあって
かなりきわどい格好をしていた。
しかし、しかしながらである。
よくよく観察すれば凹凸の全くない身体。
背の小ささも含めてその容姿は完全に横島のストライクゾーン外であった
彼にロリコンの気はなく、好みはやはり自分と同い年か年上のねーちゃんである。
さらにボンキュッボンであれば言うことなしであるということを付け加えておこう
つまりは、どう見ても自分より2、3歳年下のルイズにはまったく欲情しないのだ。
よくよく観察すれば凹凸の全くない身体。
背の小ささも含めてその容姿は完全に横島のストライクゾーン外であった
彼にロリコンの気はなく、好みはやはり自分と同い年か年上のねーちゃんである。
さらにボンキュッボンであれば言うことなしであるということを付け加えておこう
つまりは、どう見ても自分より2、3歳年下のルイズにはまったく欲情しないのだ。
「しかしまいったなぁ、帰る方法がないときてるんだもんな・・・
そんでもってこっちの方も・・・」
そんでもってこっちの方も・・・」
うなだれながらつぶやき、左手の甲を見る。そこには見たこともない幾何学模様が描かれていた。
使い魔である証、ルーンと呼ばれる紋章である。
ルイズから説明されたこの世界のことで、一番頭に引っかかったのがこれである。
どうやら気絶している間につけられたらしいこの印の影響かはさだかではないが、
霊力が抑制されているような感覚に陥る。
使い魔である証、ルーンと呼ばれる紋章である。
ルイズから説明されたこの世界のことで、一番頭に引っかかったのがこれである。
どうやら気絶している間につけられたらしいこの印の影響かはさだかではないが、
霊力が抑制されているような感覚に陥る。
自分が別の世界から来たということを証明するために、ルイズにサイキックソーサでも見せてやろうかと思ったのだが、思うように霊力が発揮しないのだ。
ならば文珠を!とポケットからこの世界にくる前に生成した文珠を取り出そうとしたところ、13個あったはずの文珠はきれいさっぱりなくなっていた。
ちなみに最後の手段とルイズに給料袋に入ってた札を見せたところ、鼻で笑われた。
ならば文珠を!とポケットからこの世界にくる前に生成した文珠を取り出そうとしたところ、13個あったはずの文珠はきれいさっぱりなくなっていた。
ちなみに最後の手段とルイズに給料袋に入ってた札を見せたところ、鼻で笑われた。
「はぁ~これからどーなっちまうんだろ、俺・・・」
「あぁ!お洗濯なら私がしておきますので――!」
「あぁ!お洗濯なら私がしておきますので――!」
そろそろ洗濯も終わろうかというときに、後ろから女性の声がかかる
脊髄反射のごとく振り返る横島。そこに立っていたのは洗濯物を抱えて立つ
服の上からでもそのふくよかな体つきが見て取れる、黒髪のメイドであった。
脊髄反射のごとく振り返る横島。そこに立っていたのは洗濯物を抱えて立つ
服の上からでもそのふくよかな体つきが見て取れる、黒髪のメイドであった。
刹那――
「やぁ、僕は横島忠夫って言うんだ。異世界から来た天才GSさ。差し支えなければ携帯番号とメアドを・・・」
音速のごとくそのメイドをナンパする横島。
つい、いつもの癖でこっちの世界にはない携帯電話の番号とメールアドレスを聞いてしまうのもまた彼らしいというかなんというか。
つい、いつもの癖でこっちの世界にはない携帯電話の番号とメールアドレスを聞いてしまうのもまた彼らしいというかなんというか。
(はぅ!?しまった!この世界には携帯電話はなかったんだっけ)
昨日、泣きながら美神の携帯に電話をかけ、案の定圏外だったことを思い出す
ついでにその姿に奇異の視線を向けるルイズのことも
ついでにその姿に奇異の視線を向けるルイズのことも
「あ、いや、ハハハ、今の携帯は~のくだりは忘れてっ――」
あわてて言いつくろうとメイドの女の子の方へ目をやると
そこには顔をうつむかせ耳まで真っ赤にして固まる少女の姿があった。
そこには顔をうつむかせ耳まで真っ赤にして固まる少女の姿があった。
「へぇー シエスタちゃんはここで住み込みのメイドさんやってんだ。えらいねぇー」
「いえ、えらいだなんてそんな・・・平民はみんなそうですよ」
「いえ、えらいだなんてそんな・・・平民はみんなそうですよ」
先ほどの空気はどこ吹く風。二人は洗濯物を干しながら世間話に花を咲かせていた。
どうやらこのシエスタという少女、横島の経験から言って気安く声をかけていいタイプの女の子ではなかったようで、自分はルイズの使い魔だと説明し、なんとかその場を切り抜けたのであった。
シエスタは控えめであるが時折見せる笑顔がかわいらしく、おキヌちゃんや小鳩ちゃんを思い出させ、横島はこちらにきてはじめて心が落ち着くのを感じていた。
どうやらこのシエスタという少女、横島の経験から言って気安く声をかけていいタイプの女の子ではなかったようで、自分はルイズの使い魔だと説明し、なんとかその場を切り抜けたのであった。
シエスタは控えめであるが時折見せる笑顔がかわいらしく、おキヌちゃんや小鳩ちゃんを思い出させ、横島はこちらにきてはじめて心が落ち着くのを感じていた。
「そういえば、ヨコシマさん。ミス・ヴァリエールはよろしいんですか?」
「え?あぁ。いーんだよあんなかわい気のないガキなんか」
「だめですよ。貴族の方をそんな風に言っちゃ」
「でもさー、聞いてよ~ いきなりたたき起こして、洗濯しろだの、飯抜きにするだ・・・」
「? どうしたんですか?」
「え?あぁ。いーんだよあんなかわい気のないガキなんか」
「だめですよ。貴族の方をそんな風に言っちゃ」
「でもさー、聞いてよ~ いきなりたたき起こして、洗濯しろだの、飯抜きにするだ・・・」
「? どうしたんですか?」
「あ゛―!?忘れてたー!飯抜きにされる!」
談笑に気をとられ、今朝のルイズの言葉をすっかり忘れていた
「ほへ?めし?朝御飯でしたら(ry」
「というわけでごめん!また機会があったら!」
「あ、あの!」
「というわけでごめん!また機会があったら!」
「あ、あの!」
言うやいなや猛ダッシュでその場を去っていく横島。
よほど空腹だったのだろうか
よほど空腹だったのだろうか
「ふふ、変わってるけど、おもしろい人・・・」
そんな光景にあっけにとられながらも、シエスタはクスリと微笑むのだった。
「このっ・・・駄犬!どこほっつき歩いてたのよ!洗濯もろくに出来ないの?!」
「すんまへん!すんまへん!」
「すんまへん!すんまへん!」
部屋に戻ると、すでにルイズは朝食を済ませたあとだったらしく、授業の用意をしていた。
そういえばここ学校だったんだ、と今更ながら思い出す。
しかし、洗濯物を抱え部屋に大急ぎで帰ってきた自分の顔を見るや、目は釣りあがり
青筋が何本も浮き出るルイズを見、そんなことは思考のかなたへ吹き飛んだのだった。
そういえばここ学校だったんだ、と今更ながら思い出す。
しかし、洗濯物を抱え部屋に大急ぎで帰ってきた自分の顔を見るや、目は釣りあがり
青筋が何本も浮き出るルイズを見、そんなことは思考のかなたへ吹き飛んだのだった。
「・・・・まぁ、こっちに来てまだ日も浅いし、今回ばかりはおおめに見てげる。次はないからね!」
必死に土下座する横島の思いが伝わったのか、ルイズは意外にもあっさりその怒りを静めた。
あぁ、美神さんより話せるかも、と横島が思いかけたそのとき
あぁ、美神さんより話せるかも、と横島が思いかけたそのとき
「ただし昼食は抜きだからね」
無慈悲かつ簡潔に判決が下った。ここ最近ろくな食事にありつけていない横島にとって
死刑に等しい判決が。
死刑に等しい判決が。
「あ、あぁ・・・そんな殺生なぁ・・・」
がっくりとうなだれる横島を見、ルイズがにやりと笑う。
そう、これは躾なのだ。どちらがご主人様でどちらが下僕なのかということをこの駄犬にはっきり判らせるための。
そう、これは躾なのだ。どちらがご主人様でどちらが下僕なのかということをこの駄犬にはっきり判らせるための。
「ま、私だって鬼じゃないわ。どうしてもって言うんなら・・・」
ルイズはおもむろに朝食の際にとっておいたパン一切れをぽいっと投げる
「・・・・・・」
横島は一瞬迷った。さすがにこのような屈辱、人間として黙っていてもいいのか、と
食欲かプライドかそれを天秤にかけるのならば・・・
食欲かプライドかそれを天秤にかけるのならば・・・
「どうなのよ。いるの?いらないの?いらないなら・・・」
ルイズが言い終わるのを待つまでもなく、床に落ちたパンにかぶりつく横島
親が見たら泣く姿だ
その光景を見て満足げに微笑むルイズ。
親が見たら泣く姿だ
その光景を見て満足げに微笑むルイズ。
「食べ終わったら床、掃除しといてね」
「はいはい、よろこんでー」
横島は泣いた。