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いぬかみっな使い魔-03


いぬかみっな使い魔 第3話(実質第2話)

 草原に、啓太の断末魔にも似た絶叫が響いた。

「いっっっでえぇぇぇぇ~~~!!!! 将来が不安になるほどいでえええ!!!」

 啓太はアレ対処に立ってぴょんぴょん跳ね、ようとしてすっころんだ。
ずり下がったズボンに足を取られたのだ。あわててズボンとパンツを
たくしあげてフルチン状態を直しながら立ち上がった。
あらためてぴょんぴょんとびはねながら絶句した。周囲の状況に、である。
 啓太は、今の一般的若者程度には常識的な知識があった。霊能者として
厳しい修行を積み、ようこの縮地や赤道斎の転移アイテムになじんでもいた。
よって、この瞬間にはすでに、多くの事を察していた。

 「ゼロのルイズがサモンサーヴァントに成功した?」
 「露出狂を呼んだのか!」「よっぽどたまってたんだな。」
「違うわよ~~~!!!!!!」
 「即座にお相手してくれる好色呼んだ訳か!」「なるほどな!」
 「あの性格と成功率ゼロじゃあ誰も相手しないだろうし納得だ!」
「何よその侮辱は~~~!!!! 死にたいの!? 死にたいの!?」
 「んなすごまれてもゼロのルイズじゃな。」「ぜんぜん怖くねえ」
 「何十回もサモンサーヴァント失敗した挙句露出狂なんて前代未聞だな!」
「何よ、マント着てるメイジなら充分成功よ! 魔力持ってるでしょ!」
 「巨大な犬も呼んだしな!」「けどあれってどう考えてもすでに使い魔だろ?」
 「振りチン男の召還て成功に入るのか?」「さすがゼロのルイズ!」
 「皆、これからは彼女の希望に答えてゼロと言うのはやめよう。」
 「エロのルイズってか?」「ぎゃははは! お似合いだ!」
「なんですって~~~!!!! ここここ、殺す! 殺す!」
 「だから怖くねえって。」
「ううう! いやぁぁぁ!! せ、先生、コルベール先生!?」
「はい、なんですか、ミス・ヴァリエール。」

 痛みを和らげるためにぴょんぴょん飛び跳ねながら、啓太は冷静に周囲を
“偵察”していた。目を油断無く周囲に配り、聞き耳を立てる。
少し離れた所に倒れているともはねは、見たところ大怪我は無い。
草原。現代にはありえない澄んだ青空と霊気に満ちた甘い風。
ビルの一つ、送電線の一つも見えない景色とクラシカルな城。
タクトを持ちマントを着たピンクブロンドの少女。
その後方に立つ多数の似たような装いの少年少女。
様々な色の目と髪、西洋的な顔立ち。クラシカルな西洋風の制服。
彼らの肩や隣にたたずむ無数の動物や妖怪達。
なにより、彼らの話すあまりにも符号のあいすぎる会話。

 「マント着てるって事は貴族だよな?」
 「使い魔から見て結構強そうだな。」「着ている服、いい物っぽいぜ。」
 「形は変だけど織りはすごく細かいな。」「あれだけ光沢がいいとかなり高い。」
 「それ以前にマントだよ!」「あんな見事な白銀のマント、ありえないぜ!」
 「てことはよっぽどいい家か金持ち。」「もしくはその両方。」
「先生、サモンサーヴァントは成功しましたけど、どうすればいいんでしょう!?」
「ふむ、巨大な犬とメイジ、ですか。複数というのは前例を知りませんね。」

 ここはおそらくは、西洋の魔法使い育成用に作られた異界だ。
猛省蘭土のように結界で守られ、通常の世間から隔絶された異界。
あるいは、より隔絶した全く別の世界の可能性もある。
少なくとも日本ではない。こんな修行場は日本に存在しない。
おそらくはそこに、神や悪魔のように召喚されたのだ。

 だとすれば。

「悪魔が召喚者にいい感情持たずにはめようとする気持ちわかっちまったよ。
嘘をつきまくり、自分をえらそうに見せようと大言壮語する理由もな。」
啓太は、深々とため息をついた。

「ふむ、貴族を使い魔にするわけにも行きませんでしょう。
となると必然的にあちらの大犬と、ということになるのでしょうが。
他人の使い魔と契約なんて出来るのですかね? これは面白い実験だ。」
「面白がらないでください! コルベール先生、もしかしたら
飼いならしている幻獣に乗って移動していただけかもしれません、
とにかく交渉させてみてください!」
「ふむ、もっともですね。」

 この間。啓太は痛みが何とか収まってきたこともあり、荷物を素早く回収し、
ともはねの無事を確かめ、しばらく話をせず、犬形態で従うように言い含めていた。
敵を知り己を知らば百戦危うからず。相手の知らないカードは多いほどいい。
無論その最中も周囲の雑談に聞き耳を立て、情報収集を忘れない。

 「貴族呼ぶとはな。」「家の格によっちゃ大問題だ。」
 「なあ、これって、失敗よりまずいんじゃないか?」
 「外国の貴族だったら外交問題にならねえか?」「戦争もありかも。」
 「やべえ、ゼロのルイズ最悪の失敗だ!」「さ、さすがだな。」
「うるさいわね、少し黙っていてよ!」

 そういって、距離をおいていた啓太とともはねに向かって、
二人の魔法使い風の人物が歩み寄ってくる。
啓太は、ともはねに低くつぶやいていた。

「修行達成の褒美で買って貰った女神転生シリーズ。あれで悪魔学に
興味を持っていろいろ勉強して助かったな。使い魔として呼び出されたなんて。
唯々諾々と従ったら奴隷同然にされちまう。油断は絶対に出来ないぞ。
お前も当分油断するなよ。下手を打てば、一生ここでこき使われることになる。」
「はい、啓太様。」
ともはねも、低く返事をした。

 啓太は、マントの内側で密かにかえるの消しゴムを4つほど指に挟んだ。
そして、二人を初めとして、ほとんどのものが手に杖を持っているのを見て、
ふと思いついた。衛星携帯電話を取り出し、アンテナを伸ばしてマントから出す。
歩み寄ってきた二人がぴたりと止まり、あわてる。

「あ、申し訳ありません。警戒しなくて結構です、害意はありません。」
そういって杖をしまい、傍らの少女にも同じようにさせる。
啓太はわずかに警戒を解いた。一瞬で杖を引き抜けるだろうが、敵意は感じない。
「私はトリスティン魔法学院で教鞭を取っているジャン・コルベール 。
そしてこちらは。」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。」

 啓太は、その場にいる全ての人間を正面射界に置き、
目を離さずにともはねと話していた。後方や側面を衝かれない位置取りをする。
指揮官としての才能をこそ最も求められる啓太にとって、基本的な動き。
ちらと、衛星携帯電話の画面を見る。

      圏外

 赤道斎のアイテムで世界中を移動することを想定して購入したのに。
それが圏外。ここが異界であることは、確信に変わった。
となれば、補給もバックアップも期待できない完全孤立無援。
弱みは、見せられない。携帯をしまう。意図的に名前の意味を抜いて名乗る。
「ケータ・カワヒラだ。まず、説明してもらおう。何のために俺達を拉致した?
 返答によってはただで済ますわけには行かないぜ。」

 一斉に外野が騒がしくなる中、コルベールと名乗った教師が慌てる。
「そ、それを今から説明させていただきます。ご存知のように春の召喚の・・・」
啓太は、いくつか質問をはさんで必要な情報を引き出した。
同時に、会話を慎重に選んでペースをつかみ、嘘をつかずに誤解を与えていく。
魔法の中には嘘を見抜もの、言霊として厄介な制約が付くこともあるからだ。

「ほう、お前が俺を拉致し、奴隷にしようとしていると。
一つ聞くがここじゃあ奴隷制度は法的に認められてるのか?」
と、彼らを犯罪者だと自覚させて罪悪感をあおり。
「日本も知らない? どんな田舎だ? 人口?1億2千万ほどだが。」
と、さりげなく故国を強国だと教え。
「帰すことも出来ない? とんだ欠陥呪文だな。いや、ここの技術が低いのか?」
と、故郷の技術をすごそうに思わせ。
「あんた貴族?」とピンクブロンドのルイズという少女が問えば
「横柄な小娘だな。見てわからないのか?」と質問返しで貴族だと誤解させ、
どのレベルの爵位なのか探ろうとするのに対しては
「爵位はまだ継いでいない。おれは結婚前だし未成年だ。」と嘘をつかず誤解を与え、
(貴族娘と結婚できれば継ぐ事になるので嘘ではない)あるいは
「爵位制度は国ごとに違うだろうから」と、煙に巻き。
領地は田畑すらある広大な山(犬神)や森(猫又と狸)の面積をぼかして答え。
(神社=裏山に鳥居あり。初代は僧侶。犬神の祭祀をしてきた?
ともとれる一族なので寺社地を保有していると考えられる)

 すでに、ルイズは涙目である。コルベールも蒼白だ。



 かくして、場所は学長室に移った。
すでに一教師の手に負える事態ではないのである。
いるのは、学長のオールドオスマン、教師のコルベール、召喚主のルイズ、
啓太、犬神のともはね、ムジナのマロちんである。
コルベールからあらましを聞いたオールドオスマンは、啓太を上から下まで
何度も見た後、おもむろに質問する。

「ケータ・カワヒラ、殿と!? 国はニッポン!?」「きゅ~」
「そうだ。どうしてくれるんだ? 俺は急いで帰らなければならない。」
オールドオスマンは、あらためて啓太の頭の上から足の先まで見回す。
「う~~む、う~~む、帰る方法は、残念ながらないんじゃよ。」
「ほう、最初から努力を放棄すると?」「うるる!」
「い、いや、無論探す、探してみるつもりじゃ! しかしのう・・・
むしろお前さんに聞きたいのじゃが。自力やら国からの迎えやらで、
帰る方法に心当たりは無いのかね? むしろそちらに期待したいんじゃが。」

 啓太は、ふと考えた。

「ない、事も無いな。大妖孤と赤道斎が「なんと!!!!」出てくれば…?」
突然、オールドオスマンが大音声を上げた。
「どうしたんだい?」
「い、いや、なんでもないんじゃ、こちらでまったく無い魔法技術を
おまえさんの国で持っているらしいと聞いて、驚いたんじゃ。」
「…? まあ、いい。あの場にはようこや時子もいた。
白山名君との契約も切れていない。手がかりは、いくらでもある。
時空操作が得意な知り合いが二人もいるし大概何とかしてくれるだろう。
まず間違いなく迎えに来てくれるだろうさ。問題は時間だ。」

期末試験が近い上に受験生である。この時期に休むなど冗談ではない。

「あの二人、白山名君も含めて3人か。その3人でも、
相当の時間がかかると思う。星辰がそろわないのに異世界に
強引に入り込んだりしたら両方の世界に多大な被害が出る。
こういうときは普通、両方の世界が最高に近づき、流れが重なる星辰を選んで
繋ぐんだ。こっちの星辰がどうなってるかわからんが、
数年は待つ覚悟がいるだろうな。下手をすれば何十年もかかるかもしれない。」

ハルケギニアにはまったく無い概念の魔法技術についてのレクチャーに、
その場はしんと静まり返っている。
足元にうずくまるともはねと、その頭に載るムジナが不安そうに啓太を見ている。

「召喚という技術は、掟に則り自分の世界に“呼ぶ事を許可”して
“拒否反応を抑え”て“招く”という行為だ。因果律はあまり歪まない。
だが、召喚なしでとなれば、強引に穴を開け、繋ぐんだからな。
それくらい待たなくちゃならない。
だから、送還の魔法が無いか確かめたんだ。俺たちはこの世界の異物だ。
異物は排除しようとする世界の防護機能がある。それを利用し、
もっとも収まりのいい世界に送り返す事で両世界の因果律の安定を図る。
送還の魔法はそういうもんなんだ。これなら、星辰はあまり関係ない。」

 世界に強すぎる影響を及ぼす“神”が、めったに現世で力を振るわず
厳密な条件を設け、その範囲内でのみ力を振るう理由はここにある。
条件を厳しくすることにより、因果律のゆがみを最低限に抑えるのだ。

 契約した一族の誕生日のみ出現する死神。
 年1回だけ鐘を鳴らした召喚者の猫語での願いをかなえるだけの猫神。
 ゆがめる因果律に相当する努力を要求する3神達。

いずれも代償を必要とする形なのは、因果律安定の手段なのだ。
啓太が、最強クラスの死神“暴力の海”を恐れなかった理由はこれだ。
奴はケイの誕生日の前日に力を振るった。啓太が振るわせた。
それは重大な契約違反であり、その分力を大きく減じることになったのだ。

「俺が一番恐れるのは、大妖孤が強引に世界同士を繋げることだ。
本来離れているべきものを強引にくっつけ、穴を開け、世界を傷つけ。
余波で世界間に大穴が開いてしまうかもしれない。その穴から
異質な世界の物同士が行きかったりしたら。下手を打つと両方の世界が滅びる。」

そこまでいかなくても、娘婿がさらわれたと大妖孤がこの世界で
暴れたりしたら山脈だろうが大都市だろうが簡単に壊れてしまう。

「何しろあの人でたらめだからな。死人生き返らせるわ7万人を一瞬で
何十キロも移動させたり。山を一撃で吹っ飛ばしたり。なんだってやりかねねえ。」
 コルベールとルイズが驚愕し、オスマンは真剣な表情で聞き入っている。

「さて、話は戻るが。俺達を何年も拉致したままにする事の保障を、
どうしてくれるんだ? どう責任とってくれるんだ?」
オールドオスマンが、慌てて答えた。
「一生徒の不始末なのじゃから。ことを大げさにしないでくれると
大変ありがたいのじゃが。むろん出来る限りの便宜を図るし補償もさせる。
ミス・ヴァリエールもきちんと処罰するじゃて。」

 補償も“させる”。“する”ではなく“させる”。
自分で払わないということか。
きちんと処罰“する”。罰を“受ける”ではなく“する”。
自分は罰を与えるだけで罰を受ける気は無いということか。
 それは。とても。啓太を納得させうるものではなかった。


 無 責 任 な 政 治 家 や 官 僚 の 顔がよぎる。


「わかっていないようだな。トカゲの尻尾切りを見逃すほど馬鹿じゃな無い。」
啓太は、厳しい目を二人の教師に向けた。

「雇い主は使用人の教育と行動、ひいては失態について責任を負うだろう?
指揮官は部下の教育と行動、命令によって生じた事態に対して責任を負うだろう?
ならば。
授業において、教師の監督と命令によって生じた事態は教師が責任を負う。
教師の教育と授業要綱には学長が責任を負う必要があるはずだ。
小娘一人に責任を押し付けて、自分は知らんふりとは、それでも教育者か?」

オールドオスマンとコルベールは恥じ入ってうつむいた。
一方、ルイズは思わぬところからの援護に目を丸くしている。
啓太は、落ちこぼれとして荒れていた中学時代を思い出していた。
そして、不良仲間との交流。その頃テレビで見た番組。
啓太は、大演説をぶち始めた。

「そもそもだ。人には個性がある。得手不得手がある。
色盲や難聴、失明、手足の欠損といったわかりやすいものは対処しやすい。
だが、中には算数がどうしても覚えられない子、字を覚えられない子、
記憶力がやたらと低い子といったわかりにくく対処しにくい子もいる。
比率は40人にひとりいるかいないかくらい、といわれているな。
そういう子には、いくら努力しろといっても無駄だ。
必要なのは常人とは異なる個性に合った教育だ。
 ハイジは文字を絵に例えて教える方法ではアルファベットを覚えられず、
単に形そのままの図形として教え込むことで驚くほど簡単に字を覚えた。
 算数の成績が徹底的に悪いある子は数字そのものを脳が受け付けない構造だった。
その子は2+3という計算を、スイカ2個の絵と3個の絵を足す、
という形で問題を解けるようになり、数式を解けるようになった後に
アラビア数字を理解できるようになった。
どっちもその後普通に勉強が出来るようになっている。
こういった教育を受けられなかった子供は、努力に対して徒労感を募らせ、
努力しても無駄だと思うようになり、性格をゆがめ、ドロップアウトしていく。
なぜ、他にも指導方法があると考えなかったんだ?
なぜ、指導方法を模索しなかったんだ? それは欠点じゃない、個性なんだ!
個性を伸ばす方法なんて千差万別だ。それをせず、ただ普通に教育して
普通に実技をやらせ、失敗しました、それは彼女の責任です。
私達は関係ありません。そんな事は俺は認めない。断じて認めないぞ。」

コルベールとオールドオスマンは、驚愕の目で啓太を見ていた。
「君は、教育者なのかね!? すばらしい見識じゃ!」
「うむ、そういった考え方は初耳ですな。目からうろこが落ちましたぞ。」
「普通の学生だよ。これくらいNHK見てればわかるようになるさ。」
「えぬえいちけー??」
「ああ、TVのってわかんないか。魔法の鏡みたいなものでな、
常にニュースや芝居、講義なんかを国中で見聞きできるようにしたアイテムだ。
遠話の鏡なんかと違って、一方的に送るだけだが、かわりに1箇所から無数の鏡に
送れる。見れるものは時間によって変わるが、いくつかの中から選択できる。」

 コルベールが興奮して詳しく聞こうとするが、それらをまったく聞いていない
少女がいた。ルイズである。啓太に取りすがって聞く。

「本当? 私でも、魔法をちゃんと使えるようになるの?」
「ああ。君の個性にあった勉強法を探し、個性に合った勉強をすれば。
かく言う俺も落ちこぼれだった。けど、16の時に克服したよ。」
「あなたも!?」
「君もかね!?」
「なんと!」

それは。
ゼロのルイズと呼ばれ続け、激しい劣等感にさいなまれ続けたルイズにとって、
逃すことまかりならぬ希望の光だった。


さて、オールドオスマンに交渉した啓太は、いくつかの条件を提示し
快諾をもらった。帰るまで学校に置いてもらい衣食住とちょっとした小遣いを
出してもらう。帰るまで暇なので勉強を教えてもらう。図書館の利用。
帰る為の方法探し。異教徒、異国人でも普通に動ける各種書類手続き申請。
その他、故郷と違うことによる不便さを解消するための“ちょっとした”助力。

ともはねが足元で騒ぎだしたのでこっそり話を聞くと、このさいだから
学校に行きたいというので、話すことをは制限しつつも
化けることを許可してそちらも頼んだ。
先住魔法!? と驚く彼らに、魔法を使える使い魔は例が無いのか、と聞くと、
ややあって韻龍なる使い魔の例があったはずだ、となり解決した。
啓太は、オールドオスマンにお金と学院という組織としての賠償を要求したのだ。
そして、コルベールには、ルイズの能力開発・分析を徹底して行うこと。
ルイズにはその指導にとにかく食らい付いて能力開花させることを罰とした。
二人とも、嬉々として同意した。二人とも新しい地平が見えていたのである。

 残る問題は一つである。

「で、使い魔がいないと進級できない、と。」
「そうなんです、どちらか片方でいいので私にください!」
「そうはいってもなあ。」
啓太は、頭をかいた。
「ともはねはだめだ。俺と契約しているし解除はできない。(道義的な理由で)
となると、マロちんか。しかしなあ、許可出すとかって問題じゃないぞ。」
そういって、啓太はともはねの襟に手をやった。
フードからムジナが出てきて啓太の手に移る。
目線を合わせる高さに持ってくると、啓太はムジナと交渉し始めた。
「と、いうわけで、どうしても使い魔になってもらいたいんだと。」
「きょろきゅきゅ!」
「気が進まないって。」
啓太も、なんとなくだがムジナの言う事がわかるようになってきている。
「そ、そこをなんとか!」
「私からもお願いしますじゃ。」
「教育者として、お頼みします。」
頼むのは、あくまで啓太である。啓太の所有物として扱っているようだ。
それに軽く眉をしかめ、再度交渉する。ムジナがふいっと横を向いた。
「嫌だって。」
「ケータ殿、その幻獣は契約しているわけでもないのに言葉がわかるんですか?」
「ああ、かなり知能が高いぜ。マイペースだけど。それに使える奴だぜ。」
「ほう!」
「すばしっこいし、接着の能力(中略)や魔力の強い人間の感知なんかが出来る。」
「ほうほう、実に興味深いですなあ。」
「コルベール君、今はそちらよりも。」
「お、おお、そうでしたな。」
啓太は、ため息を一つついて言った。
「あのな。俺にじゃなくてこいつに直接交渉したらどうだ? 
本人の意思を無視して頭ごなしに奴隷になれなんて言って、承諾すると思うか?」
「「「え?」」」
「ナチュラルに気づいていないみたいだがな、俺はムジナのマロちんに
対等の存在として交渉している。敬意を持って、な。
貴族だからと他人を支配して当然、命令して当然という傲慢な考えじゃあ、
衝突を起こし敵を作り続けるだけだぜ? 交渉はまず相手と対等な立場に
立つことから始まるんだ。睥睨していれば友達にはなれない。
そら、ルイズ。使い魔になってくれと頼みな。腰を低くしてな。翻訳してやる。」

 後がないルイズは、なんでこんなかわいい動物に公爵令嬢の私が、
と思いながらも、必死に頭を下げた。その結果。

ムジナ「やれるモンならやって見やがれ(意訳)」

ということになってしまった。
後は学長室でムジナが逃げ回り、ルイズがコントラクトサーヴァント
の呪文を唱えながら追っかけまわすというどたばたである。

「ぜえはあ、ぜえはあ、い、五つの力を司るペンタゴきゃあああ!!」
「がんばるのですミス・ヴァリエール!」「きょきょろきゅ~~!」
「がんばるんじゃ!」
「まて~~~!」「きゅきゅきゅ!」
「そこじゃ!」どんがらがらがっしゃん!
「うわああ、あんなに本を引っ付けて。」「お、おもい~~~!」
「啓太様、手伝わなくていいんですか?」「我の使い魔となせ!」
「これは試練だ。実力でやってもらうしかないだろう。」
「そっか、そうですよね。」「きょろきょろきゅ~~~」
「そうでなきゃマロちんも納得しないだろうからな。」
啓太は、交渉が一通りうまく行ったので、充分リラックスしていた。

それゆえに。

「きゃああ~~~!!!!」
「あぶない!」
ムジナの接着能力で重りをつけられたルイズが転ぶのを、
とっさに助けてしまった。そのまま勢い余って、

  「ぶちゅ」

「え”」「あ”」「う”」「い”!?」
受け止めたルイズと啓太の唇が不幸にも重なって。
コントラクトサーヴァント臨界状態のまま重なって。

「い、いででででで!!!」

猫耳メイドやストリーキング、股間だけ露出、この歳でオムツプレイ、
20人の半裸マッチョ相手に舐められたりなでたりといったプレイ。
とにかくいろいろな変態行為を経験してきた啓太は。

この日、使い魔になった。



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