あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

silent hill~Nihility~

あいまいな夢の中で見るのはあの町。
ここよりもっと文明が進んでいて、広大な湖と自然がある綺麗な田舎町。


     s  i  l  e  n  t   h  i  l  l   N i h i l i t y   


「ん、んぅ~……。」

夢の中ではいつも何処かの墓地の管理小屋に置いてあるベッドの上で目覚める。
私はベッドから起きあがり、開けて外へ出た。まず目の前の視界に入ったのは辺りを覆う濃霧。
そうだ、今日は少し嫌なことがあった。
学院教師のミセス・シュヴルーズが私に練金をしろと言ってきた。私はいつも失敗してしまうのに。

今日一日の気分で外の様子は変わる。
何故かは知らないが気にしなくていいのだ、これは夢だからその日その日を楽しめばいい。
そんな事を思い出しつついらいらしながらも私は下へと降りる階段を渡っていった。
周りには無数のお墓、その中にミセス・シュヴルーズの名があったけど気にしないことにした。

気が付けば町の中に入っている、ブルドンネ街よりも栄えているけど人っ子一人いない街。
あまりここへは近づきたくないけど、湖へ行くにはここを通るしかないので我慢をして歩く。

春の使い魔召喚儀式で、私はこの「夢の街」を手に入れた。
それに気づいたのは当然夢の中で、召喚した直後には失敗したと勘違いし絶望と悲しみでいっぱいだった。
その心を、濃霧から垣間見える湖の景色に心うたれ、いつしか私はこの夢に浸り続けていた。
儀式が失敗して再び一年となり。新入生達とは相成れず、休日の時は昼間まで寝るようになってしまったとしても。

勿論一度はこの事を教師や生徒達に話した。しかし何処か精神病患者を見るような眼差しで見られるだけだった。
所詮は夢。誰もそれを理解してはくれない。


私は気晴らしに煉瓦とは全く違う固い材質でできた道路を靴の踵でコツコツ鳴らしながら歌を歌って歩く。
この歌は優しいちいねえさまに教えて貰った。自然と元気が出てくる歌らしい。
いよいよテンションがあがってくるという時、足突然が宙に浮きそのまま頭を地面に打ち付けてしまった。

「イタっ!……なによぉ~…?」
夢の中ならここで起きるか痛みを感じないのに、頭にジンジンとくる痛み。
私は頭をさすりながら起きあがり、足下の赤い染みを見て目を見張った。
これは………血痕!?どうしてこんなものが……


ずりっ………ずりっ………


ふと右の方から音が聞こえてきた。
人の体を引きずる音にも聞こえるし。すり足で歩いているようにも聞こえる。
「人…?こんなところに…?」
私は足音の方が気になり、音の方へと歩を進める。
最初は歩いていたのだがいつの間にか私は出来る限りの力で走っていた。



血痕は途切れることなく、一本の細い赤色の道を延々と作っていく。
彼女は足下の血痕を見ながら走っている。まるで導かれるかのように。
まっすぐと続いていた血痕は緩い右カーブを描いて右方にある文字が読めない店の中へと続いている。
ルイズは足音を立てないよう慎重に一歩一歩歩き、店のドアを開けた。


その瞬間、頭の中を騒音が揺さぶる。
ベルの音にも聞こえるし、何かのうめき声にも聞こえてしまう。
思わずルイズはその場に座り込み、両手で耳を防いで辺りを見回す。カウンターの方に目をやると赤い小箱が置かれている。
ルイズはそれを急いで取ると右耳を防いでいた手を外して確認した。やはりこの箱から騒音が出ていたようだ。
箱の表面には四角や丸の形をしたボタンがはめ込まれている。

「もう、うるさいのよこれ!」
ルイズは音を止めようとボタンをでたらめに押しまくるが一向に音が止まない。
 なによこれ!どうやったら止まるのよっ!!
思わずルイズは片手で箱を頭上に掲げ、地面に叩きつけようとしたが微かに騒音以外の

不快な音を耳にしてしまった。
何かを引きちぎる音、そう、よく裏通りの酒場にある分厚いベーコンを噛みちぎる音に似ている。
頭上に赤い箱を掲げたまま横に目をやり
「ひっ!!」
思わず声を出してしまった。


横では騒音に目もくれず怪物が人を食っていた。

ルイズは夢の中なのに馬鹿げすぎていると思った、しかし同時に夢なのにおかしいと思った。
その怪物は異様に現実感があった。まるでほんとうに存在するかのような。

あり得ない形の頭、太くて長い腕。元は純白だったが血や何かの染みですっかり汚れたシャツ。
それは一心不乱に頭を振り回し餌である男の頭を噛みちぎろうとしている。
しかし怪物は人の悲鳴に反応したのか頭をルイズの方に「ぎょろり」と向く。
「なんで…なんでよ!今までの夢にはこんな奴いなかったのに!」
声に出して彼女は叫んだ。異様なまでに現実感のある化け物に。

口のような線しか見あたらない顔。目は何処にあるか分からない。
怪物は鈍い動きでゆっくりと立ち上がり腕を地面に擦らせながらもルイズの方へと歩いてくる。
彼女はすぐに杖を取り出し戦おうと思ったが腰に差していた杖はない。
(そんなっ!今までの夢ではちゃんと差してたのに!)
なんだこれは?一体どうなってる?何故は今日はこんなにも初めての事が多い!

ふと目の前が暗くなり、頭上を見上げると接近していた化け物が右腕をゆっくりと天井へ掲げ、振り下ろした。
振り下ろされた腕はルイズの頭に直撃し、見事粉々にな―――――らなかった。

ルイズは咄嗟に出入り口の方へとんだためむなしく床を叩くだけに終わった。
急いで立ち上がったルイズは後ろにあった出入り口のドアを開けると外へ出て…


足下に出来た穴へと落ちていった。



もとここまでくると恐怖を通り越して理解不能になってくる。
丸腰の自分、化け物や食われていた人間に突如出来た穴。

そして今も尚肌身離さず持っている赤い小箱。今はもう喧しくない。

(あぁ…今日の夢はさんざんだったわ、明日になればきっとまたいつもの夢に…。)
目を瞑って頭の中でそう呟き、奈落の底へ落ち行く少女の手を何者かが掴んだ。

だれ?私を助けてくれたのは、もしかしてあの愛しの子爵様?
……………なにかしらこいつ?また化け物。
一瞬人と見間違えたが頭だけではとても人には見えない。
頭を振るわせているミイラのような生き物なんてハルケギニア中何処探したっていないわよ。
どっちにしてもこんな悪夢から覚めて欲しい。はやく朝食のクックベリーパイが食べたい。



またあの赤い小箱から騒音が聞こえてくる。本当にうるさいわね…。




『ここに穴へ落ちた一人の少女がいた、その子は夢と現実を無意識に混ぜ合わせてしまい。ここへ迷い込んだ。』

『その少女は今まで馬鹿にされ。何かする度に罵られ、嗤われてきた。』

『少女は儀式で夢の中にこの街を呼び寄せた。少女は夢の中へと沈んでいく。』

『やがては後悔するだろう。もう二度と元の世界へ、自室のベッドに戻れないことを…』




「ん、んぅぅ…。嫌な夢だったわ。」
ルイズは目を擦り、体を起こし、辺りを見回した。

何処だここ?

自分は確か自室のベッドで異様な悪夢を見て、その後ベッドから飛び起きたはず…。
しかし周りは霧に覆われ、体も薄ら寒い。
まさか夢の続き…と思ったが服装はいつも寝るときに着ているネグリジェ。

とりあえず頬をつねって見るも何も起こらない。
ルイズはベッド代わりに寝ていたベンチから起きあがるとすぐ近くにあった看板へと近寄った。
そして彼女は気が付いた。看板にデカデカとルーンが描かれていたことに。
「これって…使い魔のルーン?」
まさか看板が使い魔?そんな馬鹿な、と思いふとその看板に張られていた地図が目に入った。

見たことがない文字、しかしルイズはそれをスラスラと読み上げた。

「『サイレントヒルへようこそ』………サイレント、ヒル…?……ヘックション!」

突如出たクシャミでルイズはネグリジェ一枚では寒いと感じ、別のベンチに置かれていた子供用のコートを見つけ羽織った。
そしてルイズは見つけてしまった。夢の中で見つけた赤い小箱を。

もう頭の中では理解していた。
夢の中では体感できなかった体温、そして肌にまとわりつくねっとりとした霧。
赤い小箱を手に取ったルイズはベンチの下に書かれていた文字を見つけてしまった。

『ここに逃げ道があった、今はもう無い。』



ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール失踪事件

この名前の少女はトリステイン魔法学院の生徒であり。毎年恒例の春の使い魔召喚儀式を終えてから一週間後に喪失。

学院の全教師が総力を挙げて付近を探索したが見あたらなかった。

失踪したミス・ヴァリエールは儀式に失敗して以来精神的に脆くなっていた。

それが失踪に繋がるのか不明。

王宮派遣調査団の聞き込みで教師のミスタ・コルベールに話を聞いてみたところこう述べている。

「あの儀式から翌日、彼女が奇妙なことを言っていました。『私は夢の中に街を召喚したんです。
そこは濃霧に覆われていますが綺麗な湖と自然があって、神聖な場所なんです。』と。少し興味深かったのですが、そのとき私は多忙でして…適当に返事を返してしまいました。」


これを聞いた医療関係のメイジ達は精神に原因があると言い、妄想に類するものだと断定している。

しかしそれが前述の通り失踪と関係あるのか不明。

なおミス・ヴァリエールの自室を調べていた時壁に小さな文字が書かれていたのを発見した。


『彼女は消えた。静かな丘に行った。もう戻らない。彼女がそれを望んだのだから。』

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