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ソーサリー・ゼロ第三部-06

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四三二

 体力点一を失う。
 黄金石は持っているか?
 なければこの術は使えない。
 三一五へ戻って選びなおせ。
 持っているなら、石を手にしてこの少女に術をかけよ。

 少女の表情が緩み、君のことを信頼の眼差しで見つめるようになる。
「本当はすごく恥ずかしいけど……あなたみたいに頼もしそうな人なら、相談しても大丈夫よね」と、
もはや警戒せずにしゃべりだす。
「あなたたちとの旅から帰ってきて以来、ギーシュの様子が変なのよ。ええ、あいつの言動や趣味が変なのはいつものことだけど、そういうのじゃなくって。
ギーシュったら朝から晩まで、まるで夢の中に居るみたいぼんやりとして、わたしがなにを言っても生返事ばかり。あれは絶対、誰か他の女の子のことを考えているのよ! そうに違いないわ」と。
 どうやら、三日が経ってもあいかわらず、ギーシュの頭の中はアンリエッタ王女のことでいっぱいのようだ。
 少女はギーシュのことを好悪入り混じった口調で語る。
「旅に出る前はわたしのことを麗しき薔薇だ、天上に輝く星だ、と褒めちぎっていたくせに、帰ってきてからはさっぱり。どこの誰のことを考えているのかしら、あの軽薄な浮気者は!
どうせ、向こうには相手にもされていないでしょうに」と吐き捨てるように言う。
「別にわたしはあんなやつとの付き合い、いつだって終わりにしてやっていいのよ? でも、あの馬鹿ギーシュのことだもの、私に捨てられたと知ったらやけになって、どんな無茶をしでかすか……
そう考えたらほうっておけないじゃない、そう思うでしょ、あなたも? なんだかんだでギーシュとは古いつきあいだし」

 おおよその事情を理解した君は、術の効き目が薄れる前にその場を離れようとするが、少女は休みなく語り続け、話を切り上げる隙を与えてはくれない。
 よほどギーシュに対する鬱憤を、腹に溜め込んでいたのだろう。
 君という腹蔵なく語れる聞き手を得たためか、彼女の言葉は止むことがない。
「それで、明日はギーシュとふたりで北の山へ秘薬の原料を採集しに行こうと思うんだけど……」
 そこまで語ったところで、少女ははっと眼を見開き、両手で口を覆う。
「わ、わ、わたし、なんであんたみたいな平民にこんなことを……? う、嘘!?」
 彼女の顔が、茹で上がったかのように真っ赤に染まる。
 術の効果が切れたのだ!
 君は相手に別れを告げ、そそくさとその場を離れようとするが、少女は
「待ちなさい!」と一喝すると、
細身の女のものとは思えぬ力で背嚢を引っ張るため、その場に留まらざるをえなくなる。
 少女は肩を震わせ、巻き毛を揺らして、笑っているようにも泣いているようにも聞こえる声で言う。
「ふ、ふふ、ふふふふ。あなた、この≪香水のモンモランシー≫から秘密を聞き出しておいて、ただで帰れるとは思っていないわよね……。あなたは知りすぎてしまったのよ……」と。
 君は慌てて、このことは何者にも口外せぬと誓うが、モンモランシーと名乗る少女は君を解放しようとはしてくれない。
 彼女はしばらく君の顔をじっとにらんでいたが、やがて意を決したように
「こうなったら、恥のかきついでよ。あなた、明日のわたしたちの遠乗りに同行しなさい。そこで、わたしとギーシュのために働いてもらうわ、荷物持ち兼護衛としてね。
そもそも、あなたがギーシュを旅に連れていったりしなければ、こんなことにはならなかったんだから!」と告げる。

 羞恥と困惑で混乱しているとはいえ、モンモランシーの振りかざす論理は無茶苦茶だ。
 ギーシュが君たちの旅に同行したのは、彼が自ら志願したことなのだから!
 それに加えて、≪虚無の曜日≫である明日はタバサとの先約がある――彼女はいまだ学院に戻ってきてはいないのだが。

 君はモンモランシーの同行せよとの命令に従うか(二ニ七へ)、それともタバサとの約束を優先して断るか(八へ)?



 あいにくだが明日は先約があるし、主人でもないお前たちのために働く義理はないと言うと、モンモランシーは苦い顔をするが、すぐに薄笑いを浮かべる。
「その約束というのは、タバサとの逢引かしら?」とモンモランシーは囁くような声で言う。
 君がぎょっとした表情を浮かべるのを見て、彼女は意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「あら、当てずっぽうだったけど正解みたいね。あなたたちが学院に戻ってきたあの日、タバサとふたりっきりでなにやら話し込んでいたんでしょう? 
覗くつもりはなかったんだけど、ふたりで部屋に入るところを偶然見かけて。あのガーゴイルみたいな子が、キュルケ以外の人間を部屋に入れるなんてわたしの知る限り初めてだから、気になったのよ」
 タバサと石の肉体をもつ悪魔めいた姿の怪物は、似ても似つかぬだろうと不思議に思いながら、君はモンモランシーに言い返す。
 確かに自分はタバサと≪虚無の曜日≫に出かける約束をした、どのような用件かは明かせぬが、と。
「ええ、そうでしょう、そうでしょうねえ」
 いまや自分が優位に立っていることを確信したモンモランシーは、いくらか嗜虐的な口調で続ける。
「ところでルイズは、あなたのご主人様はそのことをご存知なのかしら?」
 その言葉を耳にした君の背中を冷や汗が伝う。
 ルイズはこの数日、君に対して妙によそよそしい態度をとっていたため、タバサの家族を治療しに行くということを話しそびれていたのだ。
 モンモランシーは君の内心の動揺を、敏感に察する。
「知らないようなら、わたしから伝えてあげましょうか? タバサとのあいだに、やましいことはなにひとつないんでしょう?使い魔を信頼しきっていて、
少しも嫉妬深くなんかないルイズのことだもの、きっと気にもかけないわよね」
 この言葉はあからさまな皮肉だ。
 実際にルイズが、君とタバサがふたりきりで話し込んでいたことを知ればどうなるか、想像もしたくない!

 タバサとの約束を破ることになるのは心苦しいが、急を要することでもなさそうなので、彼女の家族を診てやるのは次の機会に延期してもよいだろう。
 そう考えた君は、モンモランシーとギーシュの遠乗りに同行することを渋々と認める。
 そのかわり、自分を利用するのはこれが最初で最後だと誓ってくれと言う――タバサとの件でそう何度も脅迫されては、たまったものではない!
 モンモランシーはおごそかな表情でうなずき、
「ええ、始祖ブリミルに誓うわ。わたしだって誇り高きモンモランシ家の人間よ、本当はこんなゆすり屋みたいなことはしたくなかったんだから。
明日、きちんと務めを果たしてくれれば、わたしもすべてを忘れてあげる」と言う。

 ほどなくして朝食の時間は終わり、君はいくらか気落ちした表情でルイズが戻ってくるのを待つ。一七七へ。


一七七

 その日の放課後、寄宿舎の部屋に戻った君はルイズに頭を下げて頼み込む。
 明日まる一日、≪使い魔≫としての義務から解放してはくれぬかと。
 それを聞いたルイズは怪訝そうな表情を浮かべて、≪始祖の祈祷書≫から顔を上げ、
「それはまあ、明日は≪虚無の曜日≫でとくに予定はないから構わないけど……どこかへ出かけるの? わたしに見られるとまずいことでも、するつもり?」と尋ねる。
 君は、明日はギーシュと『北の山』へ向かうと約束したのだと言う――モンモランシーの存在を伏せているが、少なくとも嘘はついていない!
「あんたたち、いつのまにそんなに仲良くなったの? アルビオンではそこまで親しげには見えなかったけど。それにしても、あのギーシュが休日を男同士で過ごそうとするなんて意外ね。
モンモランシーと別れたのなら、さっそく他の子を誘いそうなもんだけど。……あ、わかった。ギーシュの奴、あんたに修行をつけてくれって頼んだんでしょ?
休憩時間に『祖国のため、麗しの姫殿下のため、軍に志願しよう!』とか言ってたわよね、そういえば。戦に備えて、闘いに慣れてるあんたに鍛えてもらおうって魂胆かしら」
 君の返事を待たず一方的に納得したルイズは、そう言ったのち溜息をつく。
「志願が認められたところで、どうせ後方勤務なんでしょうけど……それでも偶然の流れ弾で死んじゃうかもしれないのに。どうしてこう、男ってみんな戦好きの馬鹿ばっかりなのかしら」
 数日前にその眼で見たアルビオンの惨状を思い出したのか、ルイズは沈痛な表情を浮かべる。

 迷惑のかけついでに君は、もしも明日タバサが戻ってきて自分のことを尋ねたときは、次の機会には必ず約束を果たすので許してくれ、と伝えてくれるようルイズに頼む。
「あんた、タバサともなにか約束してたの? 戻ってきたと思ったらすぐまた出ていったって、キュルケが心配してたけど」
 立て続けに明らかになる君の意外な交友関係に、ルイズは驚きを隠せない。
 タバサに病気の家族が居るということは、あまり軽々しく口にすべきではないだろうと考えた君は、彼女に故郷の伝説や歴史を語ってやると興味深そうにしていたので、
≪虚無の曜日≫にふたたび話を聞かせるつもりだったのだ、と言ってごまかす。
「ああ、あの子っていつも本を読んでいるもんね。聞いたこともないような遠くの国の物語でも、夢中になっちゃうんでしょうね……」
 そこでルイズは言葉をとぎらせ、君を見る。
 あいかわらずなんの文字も現れぬという≪始祖の祈祷書≫を閉じると、
「ねえ、わたしにも聞かせて。あんたの国のお話……いや、それよりも、あんたが今までどんな冒険をしてきたかを」と言う。
 君は驚く。
 召喚されてから一月近くが経ったが、ルイズが君に話をせがむなど初めてのことだ。
「わたし、あんたのことをなにも知らないんだもん。しゅ、主人としては、使い魔がどこでなにをしてきたのか知る必要があるでしょ?」

 ルイズの頼みを聞き入れ、君は国境の門をくぐり≪諸王の冠≫の奪還を目的とした旅を始めたところから、話すことにする。
 厄介者の豆人との出会い、凶暴なマンティコアとの対決、魔の罠の都カレーへの潜入、カレーの北門を開くための四行の呪文。
 これらの話を熱心に聞き入っていたルイズだが、バドゥ・バク平原の隠者シャドラクとの遭遇のくだりのあたりで眠気に耐え切れず、机に突っ伏してしまう。
 そっとルイズを抱きかかえ寝台に運びながら君は首を傾げる――どうしたわけか、自分でも意外なほど話の細部を忘れてしまっている、と。八八へ。


八八

 翌朝、充分に睡眠をとった(体力点三を加えよ)君は早起きし、ルイズを起こさぬよう静かに荷物をまとめデルフリンガーをつかむと、寄宿舎を出る。
 厨房に頼んで昼食のためのワインやパンを用意してもらい、採取した秘薬の材料を入れる合財袋やガラス瓶を準備し、厩舎にも行かねばならない。
 今日一日、君はモンモランシーとギーシュの従者なのだ。

 厩舎から三頭の馬を借り受けて待っていた君を見て、ギーシュは眼を丸くする。
「モンモランシーから聞いてはいたが、まさか本当に来てくれるとは。きみの友情と奉仕の精神に感謝するよ。しかし、よくルイズが許してくれたね」
 そう言って、君から手綱を預かる。
 モンモランシーは勝ち誇った表情で君を見ると、
「よろしく、お優しい使い魔さん」とわざとらしく微笑み、
手馴れた動きで馬に跨る。
 君は彼らに聞こえぬ小さな声でやれやれとつぶやくと馬の背によじ登り、『北の山』へと向かう。九三へ。


九三 

 『北の山』は、魔法学院から三時間ほど馬を駆った場所にある岩だらけの高地だ。
 ギーシュが得意げに語ったところによると、まばらな草地からは薬効をもつ珍しい植物が、ぎざぎざの岩肌からは貴重な鉱石が見つかるため、学院創立以来、
幾多の若き魔法使いたちがここを訪れ、秘薬の原料を採取してきたのだという。
 道は、山裾を登っていくにつれ、次第に険しくなる。
 荒涼とした岩地に棲む存在は少ないらしく、生き物といえば空に鷹や鴉を何羽か見かけるだけだ。

 君は途中で何度か馬から降り、ギーシュとモンモランシーの指示に従って薬草を引き抜き、奇妙な色に輝く岩を削り取る。
 君が小さな鶴嘴(つるはし)や鋏を振るうのをよそに、ギーシュとモンモランシーは親しげに言葉を交わしている。
 正確には、そっぽを向くモンモランシーを相手に、ギーシュが彼女を褒め称える美辞麗句を並べ立てているのだが。
 さすがのギーシュも、見慣れた学院とはまったく異なった光景が周囲に拡がるこの地に居ては、王女のことを考えて惚けたりはできず、目の前の金髪の少女だけに集中している。
 一方のモンモランシーは数々の褒め言葉を前にしても物憂げな態度を崩さぬが、よくよく見ればまんざらでもなさそうな様子だ。
 ≪竜硫黄≫、≪氷水晶≫、≪呻き草≫などと呼ばれる、魔法使いである君でさえ見たこともないような奇妙なものを合財袋に詰めていくが、早くも昼前には袋がいっぱいになる。
 小さな鞍袋に収まりきる量ではない――モンモランシーが君を連れて行くことにこだわったわけだ!

 正午を過ぎたころ、モンモランシーは昼食にしようと言う。
 君は素早く馬から降りると、手近の潅木に手綱をつなぐ。
 パンやワインを鞍袋から取り出し、折りたたみ式の椅子と小さな卓(こんな物まで馬に載せていたのだ)を準備するのも君の仕事だ。
 君が食事の用意を終えるのを待つギーシュは、なにげなく足元の握り拳大の石を蹴飛ばし、坂から転げ落とす。
 石は途中まで落ちたところで唐突に止まり、驚いたことに逆走しだす!
 あっけにとられて見ていたギーシュのところにまで戻ってきて、勢いよく足首にぶつかる。
「痛っ!? な、なんだこれは……」
 苦痛の声を漏らしたギーシュは足首をさすろうと身をかがめ、モンモランシーは気遣わしげな表情をし、
「どうしたの?」と言って彼に近づくが、
次の瞬間、ふたりそろって言葉を失う。
 凄まじい地鳴りがして大地が揺れ、君たち三人をよろめかせたからだ。
 つながれた三頭の馬が狂ったようにいななき、自由になろうと激しくもがく。
 さらに、君たちから二十ヤードほど離れた岩山の頂が吹き飛び、そこらじゅうに岩をばらまく!
「な、なに? なんなのよ!?」
「逃げろ、モンモランシー!」
 ふたりが悲鳴を上げるなか、君はかつて、これによく似た事態に出くわしたことを思い出す。

 君は降りそそぐ岩を避けて逃げるか(一二四へ)、この奇怪な現象の原因を探すか(二〇三へ)、それとも術を使うか(三一へ)?



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