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ゼロの魔獣-33


「『何ゆえコイツがこんな所にいるのか・・・?』
 そんな顔かな? それは」

慎一は無言でシャフトを睨み付ける。
『神』の力すら及ばぬ別の宇宙で出会った因縁の男・・・。
偶然の一言で片付けられる事態では無かった。

「それを説明するには まず私という人間を知って貰わねばならないな
 ユダ博士のことは覚えているかね? 十三使徒の裏切り者の・・・

 実は 私も彼と同類 裏切り者なのだよ!
 ただし 私は彼よりもずっと強欲で 自分勝手な人間だがね」

― 人が他人を裏切るとき、その行動には二つの要因が存在する。

一つは他者との理想の違いや、組織内での孤立などから自らの心身を守るための - 『自衛』のための裏切り。
もう一つは、より積極的に他者を踏み台にしてのし上がろうという - 『悪意』に満ちた裏切り。

ユダ博士は前者に則った裏切り者であり・・・  そしてシャフトは後者であった・・・。

「正直なところ 私は新人類の誕生や 地球の未来などどうでもよかった
 私の狙いは 『神』 の力・・・ それを解析し 己の物とする事だった
 その為に先ず 地上に光臨した軍神達と接触した・・・

 結果は・・・ フフ 散々なものだったよ
 私の肉体は軍神の一部に取り込まれ 否応無しに君との戦いに巻き込まれた」

― 虚空の彼方で繰り広げられた、真理阿の血肉を巡る戦い・・・。

いくつもの時空を飛び越え、ハルケギニアまで落ち延びた慎一。
その肉体に最後まで喰らい付いてきた、軍神の細胞の一部・・・
それこそがシャフトの正体だった。

「最後の跳躍の時  私は君から引き剥がされ
 たどり着いた場所は 今から5年前のアルビオンだった・・・
 まったくの幸運だったとしか言いようがないな
 軍神の影響の及ばぬ世界で 私は肉体と自我を再生し
 そして 新たな力を手に入れるに至った!」

ハッ!、慎一が吐き捨てる。

「虎の子の十三使徒が裏切り者ぞろいとは 親父の器も知れるってもんだ・・・

 だが! テメエの心情なんざ俺には関係ねえッ!!
 あの時の約束どおり 八つ裂きにしてやるぜ!! シャフトッ!!」
言うが早いか、慎一が左手を突き出し、機関砲の斉射を浴びせる。
同時に、シャフトの背中からバサリと翼竜の翼が生え、高速で頭上に跳ね上がる。

「何だとおッ!?」

慎一の容赦ない銃撃を、縦横無尽にシャフトが避ける。
やがて、弾切れを起こした左手が、情けない音を上げる。

「こなクソオオッ!!」
用無しになった鋼鉄義手を引きちぎり、シャフトに向けて投げつける。

眼前に飛んできた鉄隗に対し、シャフトが右手に持った『杖』をかざす。
刹那、鋼鉄がチョコレートのように溶け、飛沫が空中へと飛び散る。

シャフトが演奏でもするかのように、軽快に杖を振るう。
飛び散った金属の粒がたちまち硬質化し、螺旋を描きながらシャフトの頭上に集まる。
杖を止めた瞬間、『錬金』が発動し、空中に一本の槍が出来上がる。

シャフトが杖を慎一に向ける。
一筋の光弾と化した鋼鉄の槍が、慎一の右腕を跳ね飛ばした・・・。



「ッ! ガアアアァァァアアア!!!」
猛禽の目をもってしても、反応すらできない一撃。
鮮血が舞い、慎一の体が大きく揺らぐ。

「コイツは何の手品だァッ!? シャフト!」
叫びながら、慎一が思考する。

慎一の知りうる限り、この世界の『魔法』は、先天的・遺伝的な才能だったハズである。
メイジの血を引かない平民は勿論、異邦人である慎一やシャフトに扱える能力ではない。
ましてや、四系統全てを次々に繰り出して見せるなど・・・。

「驚くことはないのだよ 慎一君
 元々これは 全て君の与えてくれた能力なんだ!」

言いながら、シャフトがゆらりと着地する。

「覚えているね? あの虚空での戦い
 神の尖兵達との戦いに敗れ 君は自らの力・・・『無限の吸収能力』を奪われた
 軍神の細胞を通じて 私はそれを解析し 己のものとしたのだよ」

おそらくは、この世界のドラゴンから取り込んだのであろうその翼を、シャフトが愛おしそうに撫でる。

「ときに慎一君 勉強は好きかね?
 この世界の魔法の法則を もう一度おさらいしてみようか?」

シャフトの腹部がボコボコと蠢き出し、そのシャツがビリリと裂ける。
シャフトの腹から現れたのは、人間の顔・・・。

― かつてシャフトは、その体内に両指でも余る程の息子を宿し、常に周囲を警戒させていた・・・。

だが、浮き出てきた顔は、明らかにシャフトの息子ではない。
シャフトの褐色の肌に対し、抜けるように白い肌。 無骨さのない端正な顔に、緑色の髪。
苦悶の表情を浮かべたそれは、間違いなくハルケギニアの住人であった・・・。

「・・・魔法の効果と威力は 組み合わせた系統の数と種類で決まる
 同時に 一度に組み合わせられる魔法の数で メイジの格も決まる
 単独なら ドット
 ふたつの組み合わせなら ライン
 みっつなら トライアングル
 よっつなら スクウェア・・・ ここまでくれば 一流の使い手と言われる・・・」

シャフトが講義を続ける。
その話の内容に合わせるかのように、シャフトの体に、ポコン、ポコン、と人の顔が浮かんでくる。

「五つ以上の組み合わせは・・・ フフ 何て言うんだろうね?」

最後に胸元に現れた六つ目の顔、それを見た瞬間、慎一の顔から一気に血の気が引いた。

「・・・ウェールズ!!」
刹那、見えざる空気の拳に握り締められ、慎一が膝を付く。

「分かるかい慎一君? 全ては君のおかげなのだよ!
 君の細胞を得たおかげで 私は神に匹敵する力を得た!
 おめでとう慎一君!
 私と出遭った事により 君の人生は価値を得たのだ!

 さあ 後は安心して 大いなる主の胸へと還るがいい!!」

「シャフトオオオォォォオオオォォッ!!!!」

シャフトが杖を振るう。 
六つの口が同時に詠唱を完成させ、天まで立ち上る程の炎の竜巻が慎一を包み込んだ・・・。



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