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ゼロの魔獣-30


『レコン・キスタ』 - タルブに侵攻。

学院に早馬が到着したのは、明け方のことだった。
急報を受け取ったオールド・オスマンは、ただちに教師陣を集め、今後の方針を指示する。

一時間後、広場へ集まった全生徒を前に、コルベールが簡潔な連絡を行う。

「・・・そのため当面の授業は中止 連絡があるまで生徒は自室で待機とします
 以上 速やかに解散するように」

突然の集会の内容に雑然とする学生たちを掻き分け、慎一がコルベールの下へと進む。

「話がある ・・・爺さんのところへ連れてってくれるか?」

「トリステインは負けるのか?」

学院長室に入るなり、慎一が踏み込んだ発言をする。
傍らにいたコルベールは、慎一の無神経さに怒りを通り越して驚愕する。
一方、当の学院長の方は眉ひとつ動かさない。

「・・・なぜ そう思うのかね? シンイチ」

「昨日の今日で本土決戦とは 展開が早すぎる
 トリステインの艦隊戦力はどうした? あるいは既に全滅してるんじゃないのか?」

「・・・・・・・」

「何故だ? なぜ ヤツらにはそんな芸当ができる
 一夜にして世界のパワーバランスを変えるような力を
 ヤツらはどうやって手に入れた?」

「・・・シンイチ君  キミは一体 何が言いたいんだい?」
要領を得ない慎一の言葉に、コルベールが割って入る。

「・・・聞き方を変えよう 敵艦の中に マストも羽も持たない船は無いか?」
「・・・ッ!?」
「やはりか・・・!」

二人の反応を見て、慎一は険しい表情で歯を食いしばる。

「・・・イーグル号を動かす コルベール 準備を頼む」

「!? シンイチ君? まさか!」

「・・・あの『竜の羽衣』とやらで どこに行こうというのかね?」

部屋を後にしようとする慎一の背中に、オスマンが問いかける。

「失礼とは思ったが 君の事はずっと観察させてもらっていたよ・・・

 君の中には 確かに好戦的な資質が宿っているようじゃったが
 その一方で 可能な限り戦闘を避けようと努力している風も見受けられた
 ―この世界の歴史に 影響を及ぼすのを嫌うかのようにの・・・

 それが何故 今更になって国家間の争いに介入しようとする?
 君にとってあの少女は そうまでして守らねばならぬ存在なのかね?」

「・・・俺は この世界に庇を借りに来ただけの通りすがりだ
 他人の母屋に土足で踏み込むような真似はしたくなかった

 ―だが 今はもう そんな事も言ってられなくなった」

コルベールには、その先の言葉が予想できた。
敵艦の情報が入った時から、そうではないかという予感がしていた。

「俺の推測が正しければ 敵艦の本当の名前は 『箱舟』・・・
 俺達の世界の兵器だ」

ヴェストリの広場
学院内に戒厳令が敷かれている今 広場に人影は見受けられない。
― イーグル号の真下に立っている 古ぼけた剣を持った少女を除いて、だ。

「こんな時にお出かけ? シンイチ?」
「早々何度も置き去りにゃあさせねーぞ! シンイチ!」

「・・・今度ばかりは連れて行けねえ コイツは俺の戦いだ」

「あなたと真理阿の でしょう?」
ずいっ、と、ルイズが慎一に迫る。

「だったらアンタに あたしを止める権利はないわ
 この戦いは あたしと真理阿の戦いでもある・・・
 真理阿はあたしの使い魔で あたしの親友なんだから

 それに この国の命運を使い魔の・・・異邦人のアンタに任せてぬくぬくとしていられる程
 あたしはプライドの安い女じゃ無いわ!」

「・・・言いたい事は分かるが ハッキリ言って足手まといだ」

「足手まといになる時は 打ち捨てて行って結構よ
 あたしもアンタが足手まといになる時はそうするわ
 それでこそ 五分と五分
 確かに未熟かもしれないけれど 
 それでもあたしは アンタと対等な友人でありたいと思っているわ」

―慎一は、認めざるを得なかった。
 さっきまでの自分は甘かった・・・と。
 この世界を、できる限り自分の戦いに巻き込みたくない。
 出来る事なら、命の恩人である少女を、戦火から遠ざけたいと願っていた、と。

だが、目の前にいるのは、自分よりも覚悟の座った『戦士』であった。
過酷な運命を覚悟した少女に、彼がしてやれる事はひとつだった。

「・・・分かったよ だが 箱舟は俺の手で堕とす。
 お前は姫さんを守ってやれ」

「言われるまでも無いわ!」

慎一がニヤリと笑う。それを受け、ルイズも不敵な笑みを浮かべる。

「待ちなさい」

イーグル号に乗り込もうとした二人を、コルベールが制する。

「無駄だぜ コルベール
 こいつは何を言ったって 聞くようなタマじゃねえ」

「分かっているよ・・・
 イーグル号を始めて見た時から こうなる予感はしていた・・・

 だからこそ ミス・ヴァリエール!
 こんな事もあろうかと用意しておいた コレを着てから行きなさい!」

ルイズは受け取った生地を広げ、全体を確認する。
赤と白を基調としたボディスーツに黄色のスカーフ、水色のバイザーの付いたヘルメット・・・。

「・・・コルベール先生 これは・・・?」

「シエスタの祖父が着ていたという防護服を 女性用に仕立て直した物だ
 プロトタイプとはいえ イーグル号の出力は 一般人が長時間耐えられる代物ではない・・・
 魔獣の肉体を持つシンイチ君はともかく 君には身を守る鎧が必要だ」

「で で でも 先生! 今は一刻を争う・・・」

「 着 ・ る ・ ん ・ だ !」
有無を言わさぬ迫力でコルベールが迫る。
生徒の安全を願う心が、彼に例えようの無い凄みを与えていた。
そういう事にしておこう・・・。



五分後・・・
立派な地球防衛軍のルーキーの姿がそこにはあった。
スーツからくっきり浮かび上がるボディラインが、彼女の二つ名を強調する。

「・・・シンイチ 言いたいことがあるならハッキリ言いなさい」
「『なかなか似合ってるんじゃないか? お嬢様』」
「利いた風な口をきくなあああ!!」

叫びながら、ルイズが慎一の顔面に布切れを叩き付ける。

「アンタにはそれよ シンイチ 感謝して使いなさいよ!!」
慎一は、渡された代物を確認する。

鮮血で染め上げたような真紅の布―。
上等な生地である事は一目で分かるが、無駄に長く、しかも異様にズタボロである。
ルイズはこれで、何をしろというのか・・・?

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・!!  マフラーかッ!?」
「遅いわよ!」

ともあれ、マフラーらしき代物を巻きつけながら、慎一はイーグル号へと乗り込む。
秘密図鑑から飛び出してきたようなコックピットを確認しつつ、
練習どおりの手順でスイッチを入れていく。
ブウゥゥゥン、という起動音と共にモニターが立ち上がり、周囲のランプが次々に点灯していく・・・。

「いけそう? シンイチ」
慎一は無言で中央のスイッチを入れる。
キュイィイインというエンジンの回転する音が響き、ブースターの奥が淡い光を放ち始める。
卵から雛が孵るような高揚感が内部を包む。

外でコルベールが何事か喚いている。
前を空けろと慎一が手で合図する。

「気を付けるんだ!! ソイツの力は未知数・・・」
「イーグル号! 発進だああアアァァッ!!」

慎一がレバーを思い切り倒す。

刹那、シートに取り込まれるかのような強烈なGが二人にかかり、爆音と衝撃波が広場を支配する。
地面を抉り、大木をひっくり返し、風圧でコルベールを吹き飛ばしながら、機体が超スピードの世界に突入する。

「シ! シシシン シンイ ま・・・!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」

ズ ワ オ ! !

厳重な防護の施された外壁をたやすくブチ破り、イーグル号が一陣の風になった・・・。


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