あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZONE OF ZERO6


「それにしても本当に久しぶりだ!僕の小さなルイズ!」
高揚したように己の身体を抱き寄せる婚約者を、ルイズは内心冷めた目で見つめていた。
何故なら頼みもしないのに、ADAが逐一、相手のバイタルデータを示してくれるわけである。

 呼吸:平常値
 心拍:平常値
 体温:平常値
 脳波:平常値

どう見ても社交辞令です。本当にありがとうございました。
憧れが恋に発展することなく憧れのまま終わった事を悟り、また一つ大人の階段を上がったルイズは、
何で自分はこんな所にいるのだろうと、グリフォンの背の上から、雲ひとつ無い青空を見上げた。

アンリエッタ王女の依頼で、何かアルビオンに出張する事になった。
任務は、要約すればスキャンダルの証拠の入手。さらにぶっちゃければ王族の尻拭いである。
別にルイズも、その件に関してここまで悪し様に表現するつもりも無かった。
実際最初に事情を聞いたときは、悲劇の王女に同情し、かわいそうな自分の幼馴染の為に、力を尽くしてあげようと思った。
……自分の使い魔が、いちいち彼女の精神状態を分析して、こっそり知らせたりしなければ。
ぶっちゃけADAの分析結果は辛辣そのものだった。
『精神表層では軽度の興奮状態にありますが、深層域では極めてフラットです』
『自己暗示による自演の可能性大』
『言動に合理性が認められません。鎮静剤の投与を推奨します』
『呼吸からアルコール反応検出。正常な判断力を有していない可能性あり』
……などなど。
最初は無礼な自分の使い魔を怒鳴りつけようとしたが、過去の事例から見ても、ADAの分析は常に的確だった。
改めてちらりと悲劇の王女を見れば、その悲壮な顔は、既にどこか安っぽい仮面のようにも見えた。
それでも、王女じきじきの依頼を蹴る事など出来る訳もないし、
何気にこの国にとってもフェイタルな代物だったりもしたので、何処か白けながらもルイズは承諾したのだった。


そして、宮廷仕込なのか幼馴染の狡猾かつ迂闊な一面を目の当たりにした次の日に、この婚約者の面の皮である。
恋愛感情が無いのは置いといて、こうまで心にも無い言動を繰り返せるとは、
これと比べれば、何かいつの間にかついて来ていつの間にか置き去りにされてるギーシュなど、初心なネンネでしかない。
ちょっぴりやさぐれながらそんな事を考えていると、ADAから警告が入った。
ルイズがレーダーを確認すると、前方1000メイル程の渓谷で、集団の人間が待機したまま動かない事に気付いた。
ルイズから知らせを受けたワルドは、少しだけ驚く素振りを見せながらも迅速にグリフォンを駆り、
渓谷で待ち伏せをしていた野盗に逆に奇襲を仕掛けた。
そして鎧袖一触であまりにも無造作に蹴散らし、スクウェアクラスのメイジたる実力を知らしめたのだった。
そのやっつけ仕事ぶりや、まるで用を成さなくなった舞台設定を片付けるかのようであった。
その後は何事も無く宿に着いた。
宿の一室で、情熱的な素振り(呼吸心拍体温脳波全て正常値)で結婚を迫ってくるワルドに、
失敗魔法を全力で叩き込みたい衝動をこらえながらも、ルイズは疑問を憶えた。
何故、彼程の男がそうまでして私を手に入れたいのか?
その辺の事をこっそりルイズはADAに持ちかけてみたが、芳しい答えは得られなかった。
数字から相手の精神状態を大まかに分析する事は出来ても、
流石に人間の細かい情動や利害などを察するのは不可能らしい。
とりあえず、その夜はワルドに対しての返答は保留にしておいた。


アルビオン行きの船の桟橋へ向かう途中で仮面の男の襲撃を受けたとき、ルイズはワルドを完全に敵と定めた。
いつぞやのゴーレム戦のときとは違い、ある意味で術者と同一の存在である「遍在」の魔法を、
ADAの解析能力は、その魔力反応が仮面の男を退けた当の本人と同一であることまで、一瞬で見破っていた。
しかし腐っても相手はスクウェアクラス、まともにやりあったところで勝つ事は不可能だ。
何とか隙を見つけてゲイザーで拘束してしまおうと、様子を伺いながら飛空船に乗る。
燃料が足りないという船長に、ワルドが自分が燃料代わりになる旨を告げ、出航した。
チャンスだとルイズは思った。このままアルビオンまで向かい、魔力切れのところでゲイザーを叩き込んでしまえばいい。
しかしアルビオンまで後一歩というところで海賊に襲撃された。
空気を読まない海賊に心底イラつきながらも、投降したら、変装したウェールズをはじめ、アルビオン王家の者達だった。
空気を読まない王家に心底イラつきながらも、何かもー、ルイズは色々面倒臭くなってきた。
アルビオンに着いたルイズは、さっさと帰りたいのでさっさと手紙を受け取って一応社交辞令で王太子に
亡命を進めて断られて宛がわれた客室で一夜を明かしさあ帰ろうと意気込んだところでワルドに拉致られ
何か脈絡無く結婚式場と化した礼拝堂にブチ込まれたところでついにブチ切れた。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とすることを誓いますか?」
ウェールズの声に、しかしルイズは反応を示さない。
「新婦?」
「緊張しているのかい?」
心配げな二人の男をよそに、ルイズは突如、苦笑のような哄笑をあげた。


「な、何がおかしいんだい、僕のルイズ?」
「……茶番はおかしい物でしょう?」
戸惑いながらもルイズに問い掛ける自称婚約者に、彼女は出来の悪い子を見るような目で答え、ゲイザーを無造作に放った。
「――っ!?」
突然のルイズの豹変に呆気に取られていたワルドは、為す術も無く非致死性の光の針に拘束されてしまう。
「もう少し付き合ってあげたかったけど、そろそろ終わりにしましょう」
そのまま魔法を詠唱し、更にその上に詠唱を重複させ、身動きの取れないワルドに向けて、
今までの鬱憤を晴らすかのような、巨大な失敗魔法を叩きつけた。
跡形も無く消し飛んだワルドの末路に、同じく呆気に取られていたウェールズが正気に返る。
「き、君は、気でも違ったのか、ミス・ヴァリエール!?」
説明が面倒臭かったので、やや出力を上げたゲイザーを放ち、麻痺状態に陥ったウェールズを物陰に放り込んでおく。
先ほど消し飛ばしたのが遍在のひとつに過ぎない事はわかっている。
ワルドの本体は、既に使い魔のグリフォンと共に、このアルビオンから離脱しつつある。
どうやら、ルイズの未知の能力を警戒して撤退したらしい。
未だ機能の大半が修復中である現在のルイズでは、正直ワルド相手に勝ち目は無いに等しかっただろう。
ブチ切れて短絡的な行動に出たルイズは、正直助かった、と思った。
咄嗟に出た、不敵な態度もハッタリに一役買っていたのかもしれない。


ワルドの目的は最後まで不明だったが、危機が去った今はぶっちゃけもうどうでもいい。
それより早い所自分も脱出しないと、王家の玉砕戦に巻き込まれてしまう。
首をこきこき鳴らして礼拝堂から出たルイズは、見晴らしの良い場所に出て、わくわくしながらADAに問い掛けた。
「本当に、あの機能回復しているのね?」
『はい。ご要望どおり、一月前から最優先で復旧しました。これより、システム再起動します』
ADAがそう言うと、もう既に慣れっこになった、エネルギーの奔流が全身を駆け巡る。
それと同時、その制御方法も頭の中に刻み込まれてゆく。
「じゃ、とっととこんな場所オサラバするわよ」
『了解』
始まりがグダグダなら終わりもグダグダだった。
もう兎に角さっさと帰りたい。帰ってシエスタの特製シチューが食べたい。
エネルギーラインを走らせたルイズの背から、魔力がジェット噴射のようにほどばしり、小柄な身体を宙に持ち上げる。
そのままこの世のどんな飛行生物よりも疾く、朝霧の漂うアルビオンの空を、ぶっ飛ばしていった。



――新たな機能『バーストショット』及び『バーニア』を取得しました。


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