FF:U:Z ~FINAL FANTASY:Unlimited:Zero~
『―異界の夜へようこそ』
暗闇に光が浮かぶ、淡く、そして美しく…その光の中心、巨大な二枚貝の中に声の主はいた。
『私はファーブラ、導く者』
薄く微笑みながら、唄のようにも聞こえる言葉を彼女は紡いでゆく。
『失敗、失敗、また失敗…友に笑われ、涙を堪えながらも少女は挑む。
そう、諦める訳にはいかない、私は皆を見返すのだから。
悲壮とまで思える覚悟を胸に、彼女は儀式を続ける。
その日その時から、自らの運命が大きく変わるという事も知らずに…』
『私はファーブラ、導く者』
薄く微笑みながら、唄のようにも聞こえる言葉を彼女は紡いでゆく。
『失敗、失敗、また失敗…友に笑われ、涙を堪えながらも少女は挑む。
そう、諦める訳にはいかない、私は皆を見返すのだから。
悲壮とまで思える覚悟を胸に、彼女は儀式を続ける。
その日その時から、自らの運命が大きく変わるという事も知らずに…』
FF:U:Z 第1話 召喚 ~しょうじょとかぜのであい~
その日、もう何度目かもわからない爆音が広場に響く。
「ケホ…も、もう一度やらせてくださいっ!」
土煙の中から出てきた少女は、少しだけ煤で汚れた顔に涙を浮かべ懇願した。
「もう諦めたらどうだ?ゼロのルイズ!」
「どうせまた爆発して終わりだろ?」
「ミスタ・コルベール、もう次の授業の時間が迫ってますよ~」
周りから飛んでくる嘲笑を含んだ野次の数々、これはもう立派なイジメである。
囃し立てる生徒たちと、その対象となっているルイズを交互に見つめた男…コルベールは
小さく咳払いをして、
「こらこら、そんな事を言うものではない!
貴族たる者、級友の成功を祈る心の美しさを持つべきですよ…さ、ミス・ヴァリエール」
野次を飛ばしている生徒を睨み付け、心の恨み手帳につらつらと名前を書き込んでいたルイズは、
促されるままに一歩前へと進み、一度大きく深呼吸。
(もう失敗できない、次こそ…次こそ使い魔を呼び出すのよ!)
「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよ!神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ!
わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさいッ!!」
今まで以上に気合を入れ、覚悟を決めたもはや絶叫に近い詠唱が広場に響き渡り…
「ケホ…も、もう一度やらせてくださいっ!」
土煙の中から出てきた少女は、少しだけ煤で汚れた顔に涙を浮かべ懇願した。
「もう諦めたらどうだ?ゼロのルイズ!」
「どうせまた爆発して終わりだろ?」
「ミスタ・コルベール、もう次の授業の時間が迫ってますよ~」
周りから飛んでくる嘲笑を含んだ野次の数々、これはもう立派なイジメである。
囃し立てる生徒たちと、その対象となっているルイズを交互に見つめた男…コルベールは
小さく咳払いをして、
「こらこら、そんな事を言うものではない!
貴族たる者、級友の成功を祈る心の美しさを持つべきですよ…さ、ミス・ヴァリエール」
野次を飛ばしている生徒を睨み付け、心の恨み手帳につらつらと名前を書き込んでいたルイズは、
促されるままに一歩前へと進み、一度大きく深呼吸。
(もう失敗できない、次こそ…次こそ使い魔を呼び出すのよ!)
「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよ!神聖で美しく、そして、強力な使い魔よッ!
わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさいッ!!」
今まで以上に気合を入れ、覚悟を決めたもはや絶叫に近い詠唱が広場に響き渡り…
…今まで以上の爆音と土煙が広場に広がったのは、言うまでも無い。
「ちょ、もうっ、どうしてこうなるの!また失敗だなんて…って、あれ?」
憔悴しきった顔でもうもうと立ち込める煙を見るルイズが、ある異変に気づく。
(煙が広がり続けてる…今までとは違う?ひょっとして…成功!?)
そう、土煙は晴れることはなく、逆に何かに煽られるようにその勢いを増していた。
やがて中心からの風が渦を巻き、竜巻のように天へと伸びていく。
風は強くなり続け、一番近くに居たルイズは立っていられなくなり尻餅をついた、その直後、
「っ、なに…あれ!?」
ルイズは視た、竜巻の中にその姿を、確かに。
「ドラ…ゴン?」
赤黒い巨躯、巨大な翼、二本の尾、鋭い眼光と鋭い牙、
そして、それがかつて現れた世界の住人なら、その形状を『銃』に喩えるであろう異形の頭部、
圧倒的な威圧感と破壊の気配を漂わせるその獣は、しかし一瞬で姿を消した。
同時に風もぴたりと止み、土煙が収まったその場に立っていたのは…
憔悴しきった顔でもうもうと立ち込める煙を見るルイズが、ある異変に気づく。
(煙が広がり続けてる…今までとは違う?ひょっとして…成功!?)
そう、土煙は晴れることはなく、逆に何かに煽られるようにその勢いを増していた。
やがて中心からの風が渦を巻き、竜巻のように天へと伸びていく。
風は強くなり続け、一番近くに居たルイズは立っていられなくなり尻餅をついた、その直後、
「っ、なに…あれ!?」
ルイズは視た、竜巻の中にその姿を、確かに。
「ドラ…ゴン?」
赤黒い巨躯、巨大な翼、二本の尾、鋭い眼光と鋭い牙、
そして、それがかつて現れた世界の住人なら、その形状を『銃』に喩えるであろう異形の頭部、
圧倒的な威圧感と破壊の気配を漂わせるその獣は、しかし一瞬で姿を消した。
同時に風もぴたりと止み、土煙が収まったその場に立っていたのは…
「あんた…誰?」
長身の痩躯を、暗い色の服と外套で包み、暗めの赤銅色をした長髪は後ろで束ね、
整った顔立ちは、右目のレンズが無い色眼鏡と奇妙な化粧、そして鼻梁を横に疾る傷痕で
彩られていた。貴族、メイジとはとても見受けられないその容姿…
つまりは、自分でも拍子抜けしてしまうような…ただの平民の男だった。
整った顔立ちは、右目のレンズが無い色眼鏡と奇妙な化粧、そして鼻梁を横に疾る傷痕で
彩られていた。貴族、メイジとはとても見受けられないその容姿…
つまりは、自分でも拍子抜けしてしまうような…ただの平民の男だった。
「…」
広場を静寂が包んでいた。先ほどのルイズの問いに、男は沈黙を保っている。
「ちょっと、何とか言いなさいよ!」
「…」
「へ、平民のくせして貴族であるこのわたしをムシするつもりっ!?」
「…」
「ははっ、こりゃいいや!ゼロのルイズが平民を呼び出したと思ったら、
その平民にすらシカトされてやんの~」
「~~~!うるさいうるさいうるさいっ!!!風邪っぴきのマリコルヌは黙ってなさい!
…ちょっとアンタ、もう一度聞くわよ!
あんたは一体何なの?サモン・サーヴァントの呪文で出てくるなんて何様のつもりなの?
こ た え な さ い っ !」
頭から湯気を出しそうなほど真っ赤になってまくし立てるように男につめよるルイズ、
今にも襟首をつかんで「やんのか?あ゙?」と某らき☆ちゃん司会者のような事を言い出しそうだ。
と、男はそこに至ってやっとルイズのほうに目線を移し、
「…ここは、どこだ?」
最初のセリフがそれだった。
ぴきっ…その瞬間ルイズの中の何かが音を立てて壊れた、取り返しのつかない何かが…
「お~っと会話が成り立たないおバカさんが一人登場~~。
質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってた?ねえ…ちょっとふざけてんの!?
ばかばかばかーっ!」
最後のほうはもはや涙交じり、恥も外聞も無いといった様子で男に殴りかかる。
しかし悲しきはその身長差、腕を上げても男の胸近くまでしか届かず、
仮に擬音が見える人間が居たならば丸文字の『ぽかぽか』が目に映っただろう。
広場を静寂が包んでいた。先ほどのルイズの問いに、男は沈黙を保っている。
「ちょっと、何とか言いなさいよ!」
「…」
「へ、平民のくせして貴族であるこのわたしをムシするつもりっ!?」
「…」
「ははっ、こりゃいいや!ゼロのルイズが平民を呼び出したと思ったら、
その平民にすらシカトされてやんの~」
「~~~!うるさいうるさいうるさいっ!!!風邪っぴきのマリコルヌは黙ってなさい!
…ちょっとアンタ、もう一度聞くわよ!
あんたは一体何なの?サモン・サーヴァントの呪文で出てくるなんて何様のつもりなの?
こ た え な さ い っ !」
頭から湯気を出しそうなほど真っ赤になってまくし立てるように男につめよるルイズ、
今にも襟首をつかんで「やんのか?あ゙?」と某らき☆ちゃん司会者のような事を言い出しそうだ。
と、男はそこに至ってやっとルイズのほうに目線を移し、
「…ここは、どこだ?」
最初のセリフがそれだった。
ぴきっ…その瞬間ルイズの中の何かが音を立てて壊れた、取り返しのつかない何かが…
「お~っと会話が成り立たないおバカさんが一人登場~~。
質問文に対し質問文で答えるとテスト0点なの知ってた?ねえ…ちょっとふざけてんの!?
ばかばかばかーっ!」
最後のほうはもはや涙交じり、恥も外聞も無いといった様子で男に殴りかかる。
しかし悲しきはその身長差、腕を上げても男の胸近くまでしか届かず、
仮に擬音が見える人間が居たならば丸文字の『ぽかぽか』が目に映っただろう。
「わ、わたし…やっと、サモン…サーヴァント…っ、ひっく、成功…ぜいごうじだのに…ぐすっ
こ…んなっ、ぶ、無愛想な平民にまで…バカにされt…うわぁ~~~ん!!」
とうとう泣き出してしまったルイズを目に、コルベールはさてどうしたものかと
その光沢溢れる頭部に浮かぶ汗をハンカチでぬぐう。
正直そろそろ時間が押している、次の授業が始まるまでもう間もない。
「あ~…ミス・ヴァリエール、その、戸惑う気持ちはわかりますが、
彼は紛れも無く貴女が呼び出した使い魔だ。
事実をしっかり受け止め、契約の儀を済ましてしまいなさい」
「ミスタ・コルベール、どうか召喚のやり直しを…」
「だめです」
涙ながらの懇願はばっさりと却下。
「サモン・サーヴァントの儀式は神聖にして絶対、やり直しが利くものではありません。
確かに人を使い魔にするという前例は無い…が、だからといって例外は認められない」
そう、春の使い魔召喚の儀式におけるルールは全てに優先するのだ。
ルイズに選択肢は残されていなかった。
「う~、ぐすっ、わ、分かりました、彼とコントラクト・サーヴァントを…って!」
気づけば男はルイズの隣から姿を消し、明後日の方向に歩き始めていた。
「ちょっと!どこ行こうっていうのよ!」
「…白い雲を探し出す」
「ハァ?何ワケ分からない事言ってんのよ、雲ならそこらじゅうにあるでしょ!待ちなさいってば!」
駆け寄り、思わず男の左手を握って引き止めるルイズ。
こ…んなっ、ぶ、無愛想な平民にまで…バカにされt…うわぁ~~~ん!!」
とうとう泣き出してしまったルイズを目に、コルベールはさてどうしたものかと
その光沢溢れる頭部に浮かぶ汗をハンカチでぬぐう。
正直そろそろ時間が押している、次の授業が始まるまでもう間もない。
「あ~…ミス・ヴァリエール、その、戸惑う気持ちはわかりますが、
彼は紛れも無く貴女が呼び出した使い魔だ。
事実をしっかり受け止め、契約の儀を済ましてしまいなさい」
「ミスタ・コルベール、どうか召喚のやり直しを…」
「だめです」
涙ながらの懇願はばっさりと却下。
「サモン・サーヴァントの儀式は神聖にして絶対、やり直しが利くものではありません。
確かに人を使い魔にするという前例は無い…が、だからといって例外は認められない」
そう、春の使い魔召喚の儀式におけるルールは全てに優先するのだ。
ルイズに選択肢は残されていなかった。
「う~、ぐすっ、わ、分かりました、彼とコントラクト・サーヴァントを…って!」
気づけば男はルイズの隣から姿を消し、明後日の方向に歩き始めていた。
「ちょっと!どこ行こうっていうのよ!」
「…白い雲を探し出す」
「ハァ?何ワケ分からない事言ってんのよ、雲ならそこらじゅうにあるでしょ!待ちなさいってば!」
駆け寄り、思わず男の左手を握って引き止めるルイズ。
ドクン
瞬間、男の鼓動が跳ね上がる、脳裏を駆け巡る灰色の記憶…崩れ行く世界の端で、男は少女の手を取り、涙を流す。
「アウ…ラ…」
ルイズの事を見つめながら、男は絞り出すように呟いた。
「あうら?何の事だか知らないけど、勝手にどっか行くんじゃないわよ!」
目の前で騒ぐ桃色の髪をした少女は、記憶の中の彼女とは似ても似つかない。
ならば、あの瞬間感じたものは一体…男は困惑のまま、足を止めた。
その様子を自分の言葉に従ったと勘違いしたルイズは、機は逃さぬとばかりに呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」
「…」
「ね、ねぇ、そのままじゃ届かないでしょ!しゃがみなさいよ、気が利かないわね」
口を尖らせながら男の腕を引きしゃがませ、頭の中で手順を反復。
契約の方法は、まずは杖を男の額に、しかる後に男と…
(き、キス…私のファーストキス…こんな訳分かんなくて無愛想な奴に…)
理不尽な現実に憤りを感じながらも、しゃがんだ事によって目の前に来た男の顔、
そしてレンズが片方欠落した色眼鏡の奥から覗く、深く悲しげな瞳に少しだけ見惚れるルイズ。
(まぁこんな事でもなければ貴族であるわたしとき、キスなんて出来ないし、こいつも本望よね。
そうよ、ボランティアだと思えば…べ、別に意外とカッコイイからいいか、なんて思ってないんだからっ!)
頭の中で展開されるセルフツンデレを振り払うように、一気に唇を重ねた。
「アウ…ラ…」
ルイズの事を見つめながら、男は絞り出すように呟いた。
「あうら?何の事だか知らないけど、勝手にどっか行くんじゃないわよ!」
目の前で騒ぐ桃色の髪をした少女は、記憶の中の彼女とは似ても似つかない。
ならば、あの瞬間感じたものは一体…男は困惑のまま、足を止めた。
その様子を自分の言葉に従ったと勘違いしたルイズは、機は逃さぬとばかりに呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」
「…」
「ね、ねぇ、そのままじゃ届かないでしょ!しゃがみなさいよ、気が利かないわね」
口を尖らせながら男の腕を引きしゃがませ、頭の中で手順を反復。
契約の方法は、まずは杖を男の額に、しかる後に男と…
(き、キス…私のファーストキス…こんな訳分かんなくて無愛想な奴に…)
理不尽な現実に憤りを感じながらも、しゃがんだ事によって目の前に来た男の顔、
そしてレンズが片方欠落した色眼鏡の奥から覗く、深く悲しげな瞳に少しだけ見惚れるルイズ。
(まぁこんな事でもなければ貴族であるわたしとき、キスなんて出来ないし、こいつも本望よね。
そうよ、ボランティアだと思えば…べ、別に意外とカッコイイからいいか、なんて思ってないんだからっ!)
頭の中で展開されるセルフツンデレを振り払うように、一気に唇を重ねた。
「…コントラクト・サーヴァント、終了しました」
「はい、よく出来ましたね、ミス・ヴァリエール」
唇を離し、コルベールに報告するルイズ、男と言えば、キスをされる前から微動だにしていない。
が、しばらくして左手に違和感を覚えたようだ、手の甲を眺めながらルイズに問いかける。
「何を…した?」
「使い魔の証であるルーンが刻まれてるだけよ…あんた痛くないの?鈍感ね」
その失礼な物言いに腹を立てた様子も無く、淡々と自らの手を見つめる男。
やがて複雑な文様を持つルーンが、まるで焼き鏝を押し付けられたかのように手の甲に浮かんだ。
「ほう、これはまた珍しいルーンが」
横から輝く何かが飛び出した、と思ったら、その頭の持ち主であるコルベールが興味深げに呟く。
「う~む、どこかで見た事があるようなないような…とりあえず、軽くデッサンさせてもらいますよ」
さらさら、と紙にルーンの形を書き取ったコルベールは、やっと一仕事終えたというような顔で、
「さぁ、これで全員が召喚と契約の儀を終わらせました。皆さん、教室に戻りましょう」と言った。
それを聞いた生徒たちは三々五々、フライの呪文を唱えて教室のほうへ飛び立っていく。
もちろん、「ゼロのルイズは歩いてこいよ~」という野次も忘れずに。
「はい、よく出来ましたね、ミス・ヴァリエール」
唇を離し、コルベールに報告するルイズ、男と言えば、キスをされる前から微動だにしていない。
が、しばらくして左手に違和感を覚えたようだ、手の甲を眺めながらルイズに問いかける。
「何を…した?」
「使い魔の証であるルーンが刻まれてるだけよ…あんた痛くないの?鈍感ね」
その失礼な物言いに腹を立てた様子も無く、淡々と自らの手を見つめる男。
やがて複雑な文様を持つルーンが、まるで焼き鏝を押し付けられたかのように手の甲に浮かんだ。
「ほう、これはまた珍しいルーンが」
横から輝く何かが飛び出した、と思ったら、その頭の持ち主であるコルベールが興味深げに呟く。
「う~む、どこかで見た事があるようなないような…とりあえず、軽くデッサンさせてもらいますよ」
さらさら、と紙にルーンの形を書き取ったコルベールは、やっと一仕事終えたというような顔で、
「さぁ、これで全員が召喚と契約の儀を終わらせました。皆さん、教室に戻りましょう」と言った。
それを聞いた生徒たちは三々五々、フライの呪文を唱えて教室のほうへ飛び立っていく。
もちろん、「ゼロのルイズは歩いてこいよ~」という野次も忘れずに。
「…あ、あの、ミスタ・コルベール」
「どうしました?ミス・ヴァリエール」
さて自分も、とコルベールがフライの呪文を唱え始めたところに話しかけるルイズ
「わたしのせいで、大幅に予定が遅れてしまって…申し訳ありません」
そう、何だかんだで彼女自身も責任を感じていたのだ、もちろん人一倍の矜持を持つ彼女が
謝罪の言葉を切り出すのは、それなりに覚悟の要る事だったが。
「どうしました?ミス・ヴァリエール」
さて自分も、とコルベールがフライの呪文を唱え始めたところに話しかけるルイズ
「わたしのせいで、大幅に予定が遅れてしまって…申し訳ありません」
そう、何だかんだで彼女自身も責任を感じていたのだ、もちろん人一倍の矜持を持つ彼女が
謝罪の言葉を切り出すのは、それなりに覚悟の要る事だったが。
怒られるとびくびくしていたルイズは、しかし意外な言葉を聞く事になる。
「私としても非常に珍しいものを見れて嬉しいですよ、貴女には感謝をしなくては」
「へっ?珍しいもの…あいつのルーンですか?」
はてそんなにレアなルーンなのか、と頭を捻っていると、
「いやいや、ルーンも確かに珍しいものですが…ミス・ヴァリエール、貴女は視なかったのですか?
彼が竜巻から姿を見せる前に、空中に現れたモノを」
「…!」
一瞬で表情を強張らせるルイズに、やはり、という面持ちで頷くコルベール。
「どうやら、しっかりと視えたようですね、私も一瞬でしたが…一生あの姿を忘れる事は出来ないでしょう」
「あれは一体?」
「分かりません…が、威圧感はあっても敵対心は感じませんでした。
今のところは危険は無い…というか、消えてしまったからね」
「あいつとの関係は…」
「無関係、と言うほうが無理のある話ですね。
何かしら深い因縁があるはずです。あるいは…」
コルベールはその先を言わず、そして最後に、
「ミス・ヴァリエール、貴女は彼をただの平民と言っていましたが、それは間違いかもしれません。
まだ確証は持てませんが、私のほうで色々と調べておきましょう…
一つ確かに言える事は、貴女の召喚は大成功、という事です。胸を張りなさい、ミス・ヴァリエール」
そう締めくくって、教室の方へと飛んでいった。
「大成功…なのかな?ほんとに」
教師の言葉に、釈然としないながらも少し救われた感のあるルイズは、自分が呼び出した男をみつめる。
しかし主となった少女を見つめ返すでもなく、彼はただ虚空に浮かぶ白い雲を目で追っていた…
「私としても非常に珍しいものを見れて嬉しいですよ、貴女には感謝をしなくては」
「へっ?珍しいもの…あいつのルーンですか?」
はてそんなにレアなルーンなのか、と頭を捻っていると、
「いやいや、ルーンも確かに珍しいものですが…ミス・ヴァリエール、貴女は視なかったのですか?
彼が竜巻から姿を見せる前に、空中に現れたモノを」
「…!」
一瞬で表情を強張らせるルイズに、やはり、という面持ちで頷くコルベール。
「どうやら、しっかりと視えたようですね、私も一瞬でしたが…一生あの姿を忘れる事は出来ないでしょう」
「あれは一体?」
「分かりません…が、威圧感はあっても敵対心は感じませんでした。
今のところは危険は無い…というか、消えてしまったからね」
「あいつとの関係は…」
「無関係、と言うほうが無理のある話ですね。
何かしら深い因縁があるはずです。あるいは…」
コルベールはその先を言わず、そして最後に、
「ミス・ヴァリエール、貴女は彼をただの平民と言っていましたが、それは間違いかもしれません。
まだ確証は持てませんが、私のほうで色々と調べておきましょう…
一つ確かに言える事は、貴女の召喚は大成功、という事です。胸を張りなさい、ミス・ヴァリエール」
そう締めくくって、教室の方へと飛んでいった。
「大成功…なのかな?ほんとに」
教師の言葉に、釈然としないながらも少し救われた感のあるルイズは、自分が呼び出した男をみつめる。
しかし主となった少女を見つめ返すでもなく、彼はただ虚空に浮かぶ白い雲を目で追っていた…
『予言します』
『少女の呼びかけに応じた者、それは男、平民の男?
なぜ?どうして?こんなはずじゃなかったのに。
無愛想な男に憤りを感じながらも、少女は彼を使い魔に。
そして始まる新たな生活、新たな授業、新たな教師。
赤土の教師に指名され、彼女が見せる実力とは…』
なぜ?どうして?こんなはずじゃなかったのに。
無愛想な男に憤りを感じながらも、少女は彼を使い魔に。
そして始まる新たな生活、新たな授業、新たな教師。
赤土の教師に指名され、彼女が見せる実力とは…』
次回 FF:U:Z 第2話 爆発 ~ぜろとよばれるゆえん~
『次回もアンリミテッドな導きを…』