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悪魔も泣き出す使い魔-mission11


Mission11 ~穢れなき魂~
ロングビルを救え


学院から戻ったルイズ達女子生徒三人は、帰ってきて早々、医務室に送られたコルベールに代わって、オスマンに報告をまとめていた。

「それでは、今回の事件はフーケと破壊の杖の暴走によるものだったと?」
「はい、破壊の杖を使っていたミス・ロングビルも、フーケの命令に従って意志を奪われていた様です」
「そうであったか・・・。それにしても、メイジとは聞いておったが、ミス・ロングビルがそれ程の使い手だったとはのう」
「オールド・オスマンもご存知では?」

オスマンからロングビルとの出会いの経由を聞いた3人は、冷やかな目をオスマンに送った。

「「「(死ねばいいのに)」」」

その視線を察知したオスマンは、慌てて話を切り替えた。

「ま、まあ何じゃ。お主らの活躍で、ミス・ロングビルも無事に帰ってこれたし、破壊の杖も回収できた。
ミスタ・コルベールを含めるお主ら三人には、その報酬としてシュヴァリエの爵位申請を出しておこう。
ミス・タバサは既にシュヴァリエの爵位は持っておるからのう。精霊勲章の授与を申請しておこうぞ」

動揺する3人。かしこまってキュルケが聞き返した。

「・・・ほんとうにいいんですの?」
「うむ。経由はどうであれ、君らもフーケ討伐に加わったのじゃからのう。然るべき報酬を受けるのは当然じゃ」

3人はお互いに顔を合わせ、その表情を徐々に明るくしていった。それから暫くして、ルイズが神妙な顔でオスマンに尋ねる。

「オールド・オスマン、私の使い魔には、何もないのですか?」
「彼にはロングビルの捜索を第一にお願いしたからのう・・・。
彼は貴族ではないから、爵位は授けられんが、・・・うん、彼が望むものを、でき得る限り用意しておこう」

それからルイズは、納得したのかしてないのかといった表情で、渋々と承諾した。

「ほら、オールド・オスマンがそうおっしゃってるのなら、それでいいじゃないの」
「・・・うん。わかってるわよ」

ルイズの表情を見かねて、オスマンはポンッと手を叩いた。

「ほれ、そう暗い顔をするでない。今日はフリッグの舞踏会じゃ。破壊の杖も元に戻ったことで、予定どおり執り行うぞ」
「そうでしたわ!はやく準備しなきゃ!」
「ほっほ、今日の主役は、見事フーケを討伐してみせたお主らじゃ、せいぜい着飾るのじゃぞ」

そう言われ、学院長室を後にする三人。ルイズは退室した後も、オスマンの言葉が引っかかって、釈然としなかった。
ゴーレムを倒したのも、フーケを捕らえたのも自分達ではない。多少の協力はあったもの、あとは全部、自分の使い魔がやった事だった。

「もう、いつまでもウジウジしてるんじゃないわよ」
「でも・・・やっぱり納得できない」

そこへ医務室から戻ったコルベールが、フラフラと体を揺らせながらルイズ達に向かって来た。
ルイズはコルベールに、報酬として爵位を授かった事を報告した。

「ほほう、君達がシュヴァリエを授与とな?何と素晴らしい!」
「ミスタ・コルベール。この称号は勇敢に戦ってみせた貴方に相応しいものです。ですが、私には余りに勿体無く・・・」

言葉を詰らせるルイズを、コルベールが励ました。

「何を言うミス・ヴァリエール。君は、この私にインテリジェンスソード・・・、いや、デビルアームズというのかなアレは?
とにかくそれを私に託し、使い魔の主として、見事に指揮してみせたではないか!」
「ヴァリエール、ジャンの言うとおりよ。・・・もっとも、ダーリンに次いで活躍してみせたのは、他ならぬジャンなのですけれども」

コルベールに向けて流し目を送るキュルケ。多少、困惑気味なコルベールは髪が残っている後頭部を擦った。

「ミス・ツェルプストー、・・・ジャン、というのは・・うむ、まあそれは置いといて。
その、私の事について、君達にお願いがあるのだが・・・」

それは、コルベールが炎の魔法を使った事、フーケの討伐に行った事を黙っていて欲しいとの事であった。

「ジャン!今夜は舞踏会なのよ!?そこで、学院の男連中に貴方の勇ましさも語れなんて、・・・辛すぎるわ!」
「いいのだよ、ミス・ツェルプストー。ここに居るのは変わり者、臆病者のコルベール。そうしておいてほしいのだ。
フーケ討伐にも君達四人だけで向かったと、そういう事にしておいてほしい」

タバサが小さく頷いた。が、コルベールの要望に食い下がらないキュルケ。それをルイズがなだめた。

「いいじゃないツェルプストー。ミスタ・コルベールにもシュヴァリエは授与されるのよ?」
「アナタ、ダーリンの時と比べて随分薄情ね・・・」
「うっ、うるさいわね!私の使い魔なんだから当然でしょ!」

プッっと吹きだすキュルケ。
自分の口から咄嗟に出た言葉で、ルイズは更に顔を真っ赤にさせた。
コルベールとキュルケは、そんなルイズの様子が微笑ましく、笑みを溢す。
コルベール相手では文句も言えず、ルイズは無表情で自分を眺めていたタバサに食って掛かった。

「なっ、何よ。言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ!」
「使い魔」
「へ?」
「何処?」

ようやくタバサの言いたい事が理解できたルイズ。そういえば、学院に戻ってから一度も姿を見せていない。

「ああ、彼ならミス・ロングビルに用があるとかで、まだ医務室に残っておるぞ」

さっきから頭に血が昇りっぱなしのルイズは、怒りの矛先を、今度は自分の使い魔に向けた。

「あんの犬、・・・杖の魔女にまで、ふ、ふしだらに誘われておいて、今度は学院長の秘書にまで手を出そうってワケ?」
「ミス・ヴァリエールは、何だかよくわからん勘違いをしておるようだが?」
「いつもの事ですわ。それよりジャン。フー・・・、ミス・ロングビルは本当にあれでよかったの?」

その一言で、四人が固まる。それからコルベールが第一に口を開いた。

「うむ・・・。彼がそうした方が良いというのであれば、きっとそうなのだろう」


一方、医務室のベッドに横たわるロングビルが目を覚まそうとしていた。

「うん・・・ここは?」
「気がついたかい御婦人?」

周囲を見回すと、そこは見慣れた学院の風景。そして見慣れない、赤いコートを羽織った銀髪の男がこちらを見下ろしてた。
ロングビルはゆっくり起き上がり、目の前の男に尋ねた。

「あの、貴方は?ここは医務室のようですが、わたくしは一体どうしてしまったのです?」
「俺はただの使い魔さ。美しい御婦人が俺の目の前に倒れてたもんでね、ここまで運んできたって訳だよ」

全身に圧し掛かる疲労感を堪えながら、ロングビルは学院長の秘書として装い、赤いコートを羽織った使い魔に感謝の意を振舞った。

「まあ、それはご丁寧にありがとうございます。何とお礼を言って良いやら・・・」
「使い魔風情に、かしこまらなくたっていいぜ。ついでに落し物も見つけたんだけどな。これもアンタので間違いないかい?」

ロングビルに手渡されたのは、秘書の証でもある上品な眼鏡、そしてフーケのメッセージが綴られたメッセージカードだった。
それからロングビルは、観念したかの様に口調を変えて、ダンテに尋ねた。

「やれやれ・・・、バレバレって訳だね。それで、わたしをどうするつもりだい?」
「どうもこうもしねえよ。俺は落し物を届けに来ただけさ」

それからダンテは、それらと一緒に拾った、一通の手紙が入った封筒を、ロングビルに渡した。
それを受け取ったロングビルは、一瞬で顔を強張らせて沈黙した。

「・・・」
「これもアンタので、間違いないかい?」

ロングビルに宛てられたその封筒は、差出人の名前は書かれておらず、表には"家族へ"と、ただ一行が書かれてた。

「俺はここの字が読めないんだがね。これはアンタにとって大事な物なんじゃないのか?」

ロングビルが声を震わせてダンテに聞いた。

「・・・何が、望みだい?」

それからダンテはロングビルのベッドに腰掛けた。

「聞きたい事が一つ。今頃、アンタに代わって、牢屋のお世話になってるドッペルゲンガー。どこで拾った?
それから忠告したい事が一つ、あんなモン2つも3つも憑けてたら、魔法使いのアンタ等でも寿命が縮むぜ?」

「・・・アレが何なのか知ってるみたいだね。」
「まあね。もともと俺が飼ってた様なモンだ」

ダンテの話では、魔女の姿に戻ったネヴァンにドッペルゲンガーが憑き、
更に人間へと変装したネヴァンの影が、フーケとして宮廷の牢獄に入ってるとの事だった。

「あんたといい、あの魔女といい、一体何者なんだ?・・・まあいいさ、話してやるよ」

すこし間を置いて、ロングビルが口を開いた。

「わたしは、とある組織に雇われてる身でね。
各地に存在するといわれている、強力なマジックアイテムを回収するっていう依頼を負ってたのさ」

その話の出だしに、ダンテは思わず噴出してしまった。

「安い深夜ドラマだな。どっかで聞いた話だぜ」
「訳わかんない事言って、話の腰を折るんじゃないよ!」
「落ち着けよ。感動長編なんだ。まだプロローグも済んでないんだろう?」

ダンテの口が開く度に、ロングビルはムスっとした顔になり、機嫌を悪くしていった。

「・・・もう喋んないよ」
「わかった、わかった。5分黙っといてやる」

ロングビルはニヤけたダンテの顔を見ると、一度溜息をついてから話を続けた。

「それで、この学院に潜入する際に、その組織があの影、ドッペルゲンガーって言うのかい?それを私に無理矢理憑けさせたのさ」
「悪趣味だな」
「まったくだよ。黒いモヤみたいなのがまとわりついて気持ち悪いし。ちょっと呼び出すだけでも、魔力の消費が半端じゃないんだ」
「そんなんで、あんなデカブツやら破壊の杖やら使ってたのか?随分タフだね」
「あの時は、杖の魔女に体を乗っ取られてたからねぇ。私の魔力と体力の限界にも、お構いなしで暴れてくれたもんだよ」

ロングビルは乾いた笑いを溢しながら、握力が殆ど残って無い手を震わせながら拳をつくった。

「お陰で、今じゃもう杖を握ったところで魔法一つも唱えられない。正真正銘ただの平民になっちまったって訳さ」
「アンタは貴族じゃないのか?」
「随分前に、家も身分取り上げられてね、・・・元、貴族さ」
「そりゃ、可哀想なこった」

ダンテの何気ない一言に対して、ロングビルは感情を昂らせて、湧き上がる思いを言葉にして、ダンテにぶつけた。

「わかるかい?取り潰しに遭った貴族はね、家も名も、恥も誇りも捨てて、体を売るか、手を汚すかしないと食っていけないんだ!
あんたみたいな、貴族の娘にぬくぬくと飼われている家畜同然みたいなヤツが、下手に同情なんかしてんじゃないよ!」

ロングビルは息を切らした様子で、肩を上下させている。その顔には薄ら涙を浮かべていた。
医務室に沈黙が広がる中、向かいのベッドから「ガタン!」と何かが落ちる様な物音がした。

ギーシュだった。

ギーシュは寝起き全開といった顔で、状況がよく呑み込めていない様子だった。
しかし聞いてはいけないものを聞いてしまったという事は、
向こうのベッドから睨みつけるダンテと目が合ってから、それなりに理解はしていた。
口をパクパクとさせるロングビルを余所に、小動物の様にプルプルと震えるギーシュに向かって歩み寄るダンテは、
怯えるギーシュの肩を組み、二言三言とボソボソ告げると、またロングビルの元へ戻って話を続けた。

「ええと、何の話だったか?」
「・・あ?、ああ・・・」

ギーシュの登場を境に、頭が真っ白になったロングビルに代わって、ダンテが話を続けた。

「そうそう、恥も誇りも、ってヤツか。別にそれを捨てる事が悪い事だなんて、俺は思わないぜ?」

それからダンテは、自分の胸を親指でトントンと突きながら、ロングビルに言ってみせた。

「魂さえ捨てなければな。どんな掃き溜めに居ようが、アンタ自身が醜く変わる事は無いさ」

どうにかして自分を取り戻したロングビルは、口数少なくダンテに反論した。

「知った風に説教垂れてんじゃないよ・・・」
「そうだな、説教なんざ俺の性に合わねえ」

ダンテはロングビルのベッドから降り、医務室を出ようとした。

「じゃあな御婦人。お大事に」

ドアが閉まり、医務室に再び静けさが戻る。それから暫くしてロングビルがポツリと呟いた。

「・・・御婦人御婦人って・・・わたしは、まだそんな年じゃないよ・・・」


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