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使い魔はじめました-03


使い魔はじめました―第三話―

どうにか部屋まで戻ってきた二人と一匹
もっとも、先程こけた際にルイズは後頭部をぶつけて気絶し、
二人を探しにきたコルベールに部屋へ運び込まれた、
という顛末があったため、すっかり夜中になってしまっていた
「ううー……」
まだ痛む頭を撫でつつ、メイドに持ってこさせた
サンドイッチを食みながら、ルイズは改めて自分の召喚した
使い魔とその使い魔に目を向ける
二人はぽかんと口を開けたまま外を眺めていた
「ねえねえ、見てサララ!月が二つあるよ!」
窓から身をのりだした猫が驚愕の声をあげている
「何当たり前のこと言ってるのよ」
「だって、ボクらの居たとこには月は一つだけだったもの」
こくこくと頷き、それに同意するサララ
自分が育った村でも、店を開いていた町でも月は一つだった
「もしかしてここ、ボクたちが居たのとは違う世界なんじゃない?」
チョコのその言葉にサララは考え込む
月が二つ、箒が無くても飛べる魔法使い
部屋の中を見渡せば、見たこともない作りの調度品で溢れている
その可能性は十分あるだろう
「はあ?違う世界って何よ?月が一つ?馬鹿にしてるの?」
イライラしているらしいルイズの言葉に慌てて首を左右に振る
「……もういいわ。とりあえず、あんたらが何処から来たのかは、
 この際置いておきましょ。ここに座んなさい」
テーブルを挟んで椅子に座り、主と使い魔は向かい合う

「改めて確認するけれど、『サララ』と『チョコ』ね」
一人と一匹を順番に指差してルイズが名前を確認する
「で、あんたはマジックアイテムを売る商人をやっていた」
「そーだよ。ねえ、ぼくたち、元の場所に帰りたいんだけど」
「無理ね」
ルイズはチョコの言葉を一蹴する
「どうして?」
「だって、サララは私の使い魔になったんだもの。
 額に、ルーンが刻まれたはずよ」
サララはそっと髪の毛の下の額に触れる
確かに何か文字のようなものが刻まれている手触りだ
あんまり人に目から上を見せないとは言え、ちょっといやだなあ、と思った
「使い魔とメイジは一心同体!あんただってそれは分かるでしょ?」
「う」
人差し指で鼻を突かれて、チョコは言葉に詰まった
「確かに、それはわかるよ。
 ぼくだって、サララのパートナーだもの」
「でしょ?」
勝ち誇ったようにルイズは告げる
「それで、よ。使い魔のものは主のもの、よね」
ずい、とルイズは身をのりだし、サララに詰め寄る
「あの鍋の中のマジックアイテムも、私のもの、よねえ?
 ねえ、そうよね、見てもいいわよね?」
たじろいだサララがうっかり頷いたのを確認すると、
ルイズは椅子から立ち上がり、鍋にかかった梯子に手をかける
「さあ、一体どんなものがあるのかしら!
 ご主人様が確認して……え?」
鍋を覗き込んだルイズは、そこが真っ白に輝いてるのを見た
「何これ?一体どうなって……きゃあ!」
身を乗り出したルイズが、
そのままバランスを崩して鍋の中に転げ落ちる
「わわっ!まずいよサララ!早くあの子を助けないと!」
チョコに急かされて、サララは慌てて
鍋の中から出ている梯子に手をかけた鍋の中へと入っていった
梯子を降りたサララは、きょろきょろと辺りを見回し、
目を回しているルイズを見つけ、慌てて抱き起こす
「うう……あ、あれ?私一体?」
自分の状況が掴めないルイズが目を白黒させた
「もう、うっかりしてるなあ。鍋の中に落ちるなんて」
「ううう、うるさいわね!」
チョコに怒鳴ってから、ルイズははた、と気がつき辺りを見渡した
そして恐る恐る、チョコとサララに向き直る
「ここ、何処?」
「だから、鍋の中」
再び、視線を巡らせる
そこには異様とかしか呼べない光景が広がっていた
まるで、巨大なデコレーションケーキだった
自分達の存在は、さながらその上に置かれた砂糖菓子の人形である
「な、な、何なのよ、これはあああ!!説明しなさいよ、ねえ!!」
パニックになったルイズを見つつ、チョコはあっさり言い放つ
「魔女の大鍋の中は、こーいう風になってるもんなんだよ。
 不思議だよねえ。入れたアイテムはどこにしまわれてるんだろ?」
可愛らしく首を傾げるチョコ
こーいう風になってる、と言われてもルイズは動転したままだ
「な、鍋の中って!嘘!だってあんなに天井?が高いじゃない!」
見上げた上部は、どこまでも続いているような気がした
このまま戻れないのではないかと、
ちょっと泣きたくなりかけた時だった
「……って、ちょっと待ちなさいよ。鍋の中を知ってるってことは、
 あんた、この鍋の中入ったことあるの?」
サララは、つい、とすぐ側にある梯子を指差す
「……出られるの?」
首を縦に振り肯定の意を示したサララを見て、
ルイズは何となく気恥ずかしくなり、顔が真赤に染まってしまう
「だ、だったら先に言いなさいよ、もう……」
照れ隠しのようにぱっと起き上がると、梯子に手をかけ昇り始める

「(びっくりした……)」
部屋に戻ってからも、まだルイズの心臓はドキドキしていた
あんなに高く見えたのに、梯子を何段か昇れば、
あっさり元の自分の部屋へ帰ることができたのだ
一体、どんな仕組みになっているのだろうか
「ねえ、あんたたち」
鍋から出てきた彼女達に声をかける
「あんたたちが、別の世界から来たかもしれないって、信じるわ。
 だって、ハルケギニアにはそんな変な鍋、存在しないもの」
「やーっと信じてくれた?」
チョコがやれやれ、といった様子でため息をつく
「それよりさあ、使い魔やるにしても、
 とりあえず一度、元の場所に帰してくれないかなあ」
サララもそれには同意だった
使い魔をやると決めたのは自分だが、
せめて、引越しとか休業のお知らせをしないと
常連客たちが心配するだろう
「……無理よ」
「どうして!」
ルイズは困った顔でサララ達に告げた
「だって、あなたたちの世界と、
 こっちの世界をつなぐ魔法なんてないもの」
「じゃあ、どうしてぼくらは来られたのさ!」
「そんなの知らないわよ!……召喚魔法は、ハルケギニアのものを
 呼ぶ魔法だし……サモン・サーヴァントは、
 使い魔が死なない限り、二度と使えないんだもの……」
段々声が小さくなっていくルイズ
じっと聞き入っている彼女らは、多分困っているのだろう
魔法が使えないことで苦労するのは自分も痛い程知っている
その上、いきなり知らない場所に連れて来られたのだ
せめて、自分が有能なメイジであれば、
彼女らを召喚せずにすんだのでは?
などと考えて、落ち込んでしまう
「んー……じゃあ、しょうがないかな?」
あっさりと開き直ったチョコにがくっと、なるルイズ
「……あんたたち、それで、いいの?」
「サララがやるって決めたんだし、今の所、元の世界に
 帰る方法もない。じゃあ、使い魔やるしかないじゃないか」
今までだって、行き当たりばったりで様々な目に遭ってきたが、
いつだって、何とかなっていた
きっと、今度も何とかかなるだろうとサララとチョコは考えた
「そ、そう、ならいいのよ!ああ、それじゃあ、使い魔が
 何をしなくちゃいけないか教えてあげるわ!」
無い胸を張って、ルイズが告げる
「魔法媒体じゃないの?」
首を傾げるチョコを否定する
「そんなことしないわよ。
 まず、使い魔は主人の目となり耳となる能力を与えられるわ」
「できそう?」
「……さっきから試してるけど無理ね。人間だからかしら?」
もっとも、見えた所で視界は悪そうよね、という言葉は飲み込んだ
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ」
それを聞いた瞬間、サララは満面の笑みを浮かべた
そういったことなら、自分の得意中の得意だ
仕入れるよりも、ダンジョンで拾ったアイテムの方が確実に多い
「……そーいうのなら得意だよ。
 ぼくら、よく、ダンジョンに潜ってたもの」
「ダンジョン?」
訝しげな顔をしたルイズを見てサララは戸惑う
「あ……もしかして、ダンジョン、ない?
 薄暗い洞窟でさ宝箱とかあって」
チョコが恐る恐る尋ねた
「……ない、わねえ。じゃあ、無理かしら」
その場に、三つのため息がこぼれる
特にサララのため息が一番大きかった
多少危険ではあるが、仕入先として重宝していたダンジョン
それが無いのでは、迂闊に道具を使うことも売ることもできない
これは商売人として大きな痛手である
「で、最後なんだけど……使い魔は主人を守る存在よ。
 その能力を使って、主人を敵から守るのが
 一番の役目……なんだけど」
「あ、そっちも大丈夫だよ」
さらりとチョコが告げる
「大丈夫、って……あのねえ、強い幻獣だったら、
 並大抵の敵には負けないけど、
 あんたらなんか、カラスやカエルにだって負けそうじゃない」
苛立たしげに言うルイズに、チョコは小さな胸を張る
「ぼくはともかく、サララなら大丈夫さ。カラスやカエルどころか、
 ドラゴンにだって、サラマンダーにだって負けるもんか!」
「ふーん……」
疑いの眼差しをサララに向けるルイズだが、思いなおす
「そうね。あんたには、さっきのアレみたいな
 マジックアイテムがあるんだもの。
 ひょっとしたら、ひょっとするかもしれないわね。
 ……でも、そんな機会は、きっとあんまりないわ」
だから、とルイズは指を立てた
「掃除、洗濯なんかの雑用もやってもらうわよ!」
「あちゃー、やっぱりかあ。ぼく手伝わないからね、サララ」
チョコの言葉を聞いて苦笑しながらも、サララは頷いた
どうせ、頼る相手は目の前の彼女しか居ないのだ
だったら、精一杯のことをやるだけである
「ふわ……喋ったら、疲れちゃったわ」
ルイズはあくびをした
「ぼくたちだって疲れちゃったよ。
 ねえ、ぼくたちは何処で寝たらいい?」
その言葉にルイズはしばし考え込む
普通の使い魔なら宿舎、あるいは床だが
相手は自分とそう年も変わらないであろう少女だ
「……しょうがないわね。一緒に寝てもいいわよ」
そう言いながらルイズは服を着替えていく
「もーちょっと恥じらいを持った方がいいんじゃない?」
「猫と同性の前で何を恥らえって言うのよ。
 あ、これ。明日洗濯しておいて」
下着をサララの方に放るともぞもぞとベッドに潜り込んだ
「朝になったら起こしてね、おやすみ」
ぱちん、と指を鳴らしランプを消すと、
あっという間に小さな寝息を立てだした
「はあ……なんだか、大変なことになっちゃったね、サララ」
くぁ、と小さくあくびをするとチョコはルイズの枕元に飛び乗る
「サララも、早く寝た方がいいよ……。
 明日からは、もっと大変になるだろうから……。
 んー、ふかふかのベッドだな……」
組んだ前足に頭を乗せて、チョコも寝息を立てだした

着替えがあればよかったのに、と思いながら、
サララも帽子を脱ぎ、エプロンをはずしていく
コトリ、と何かがポケットから床に落ちた
見れば、広場で拾っておいた、占いカードと日記帳である
サララは手に取った日記帳を開き床に置くと、
挟んでおいた羽ペンでさらさらと今日の出来事を記していく
魔女の世界には、日記をつけておけば、例え天変地異があっても
そこからやり直せるという言い伝えが残っているため、
大事なことの前後には、日記をつけておくクセがあった
月明かりが元の世界より明るく、ランプがなくとも十分だった
『『ハルケギニア』という場所に召喚されて、
 ルイズという少女の使い魔:パートナーになった
 元の場所に戻れるかはわからないけれど、ちょっとワクワクする
 まるで、ダンジョンで新しい階層に潜る時のよう』
それだけ書くと、日記帳を閉じる
それから、思い立って、占いをしてみることにした
占いカードの内、『最後のカード』を除いた十三枚のカードを
よくシャッフルし三つの束にする
その三つの束のいずれかの一番上のカードを選ぶという
ごくごく簡単な方法で明日はどんな日か占う占い方だ
手にとったカードは、『Ⅰ:水晶玉』
『水晶玉』の暗示する意味を、頭に思い浮かべる
『完成』、『完全』そして……『未来』
三つの意味の中で、これが一番しっくりくる気がした
あの町で初めてやった占いでも同じカードを引いたことと、
初めてのお客様から始まったあの町での暮らしを思い出す

二つの月が輝くこの異世界で、自分と、チョコと
そして彼女には、どんな『未来』が待っているのだろうか
そう考えながら、ベッドに潜り込むと、サララは眠りに落ちていった


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