あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法騎士ゼロアース-02


「寝過ごしたああああ!?」
昨日の疲れでぐっすり眠ったルイズ。
起きたらとっくに朝食の時間だった。
「モコナ! どうして起こさなかっ……」
「ぐーすかぷぅー」
「そうよね、まあ寝てるとは思ってたわよ!」
昨日の続きといきたいところだが時間がない。
急いで着替えて部屋を飛び出した。

「……ぷっぷっぷー」
実は起きてたモコナ。窓から今日も元気に飛び出すのだった。

「お、終わってる……」
朝食時間は終わっていた。次の授業まであと30分ほどしかない。
ほとんど人のいなくなった食堂をトボトボと後にしようとするルイズを呼び止める声があった。
「ミス・ヴァリエール? どうなさったんです?」
「ええと……シエスタ、だっけ?」
昨日、モコナを一緒に追いかけたメイドだった。
「もしや、朝食に遅れたのですか?」
「そ、そんなことあるわけないじゃない! ま、まったく何を言って」

ぐ~~

「……寝坊したのよ」
「やはりそうでしたか。実は私も昨日はそのまま寝てしまって……少し仕事に遅れてしまいました」
「そうなの? なんか悪かったわね。クビとかにされそうなら言いなさい、私が悪いんだって証言してあげるから」
「いえ、そんな大事になることではありませんから。そうだ、良ければ料理長に頼んで軽食をご用意しましょうか?」

本当に? と一瞬目を輝かせるルイズだったが、丁重に断った。
「結構よ。貴族は平民に弱みな (ぐ~~)……ごめん、やせ我慢だけど貴族のプライドを守るわ……」
「そ、そうですよね。申し訳ありません」
「ううん、ありがとう。それじゃあね」
教室へ向かおうと振り返るルイズ。と、その視線の先に跳ねてくる生き物一匹。
「あっ、モコナ。残念だけど、アンタの御飯も抜きよ~」
「使い魔は貴族ではありませんし、良いのでは……」
「駄目よ、ご主人様が御飯抜きなんだから使い魔だって抜きなの」
そう問答していると、モコナの様子に変化が現れた。
「ぷっぷぷー!」
ピカッと額の飾りがふわふわと揺らめく光を放つ。
「な、なにこれ?」
「あれじゃないでしょうか、使い魔の必殺技。すたーらいとなんたらーとか、せきはなんたらけんとか」
「それ何か違うわよね……というか攻撃じゃないでしょこれ」
ふわふわとした光は、ルイズとシエスタの手の付近まで近づくと。

やたらでかいイチゴに変わった。

「ええ!? なにこれ、錬金? ってかデカ! モコナくらいあるわよ?」
「……とても美味しいですよ?」
「食べちゃうんだ!? こんなあやしいのに!? ……あ、ホントだ美味しい」
二人してそれぞれ一つずつイチゴモドキをペロリと食べる。
「ミス・ヴァリエール。お手拭です」
「ありがと……それとモコナも。ご主人様の危機を救うなんて、やっと使い魔の自覚が」
「あの……ミス。もういませんよ」
「あはは、やっぱり捕まえて食べてやる」
結構お腹の足しになったので、そのままルイズは教室へと急いだ。

残されたシエスタは、ルイズが見えなくなると浮かべていた笑みを消した。
「今のって……「この世界」の食べ物じゃあないですよね」
モコナが跳ねていった廊下を振り返るが、姿はもちろんない。
「ミス・ヴァリエールの使い魔……あなたは、もしかして……」
その呟きは、誰の耳にも届くことはなかった。

「きゅいきゅい。今日も良い天気なのねー!」
学園の外の森の上を、学園の生徒の一人タバサの使い魔シルフィードが飛び回っていた。
「きゅい? あれはなんなのね?」
なんだか目の前を、妙なものが飛んでいる。
「きゅいきゅい。あれは桃色の髪の子が呼んだ使い魔なのね。でもおかしいのね、なんで飛べるのね?」
目の前を飛んでいるモコナ。もちろん自力で飛んでいるわけではない。
台座に翼が付いたような乗り物に乗っているのだ。
お互い、すぐ近くで止まる。
「なんなのね、お前は。空はシルフィのお庭なのね。ふわふわしたお前は地面で跳ねてるのがお似合いなのね!」
「ぷーぷぷぷー!」
「きゅい? 最近変な生き物を見ないか、ですって? それは見るに決まってるのね。
ふわふわもよっぽど変わってるけど、変だけじゃなくもっと怖い「魔物」が一杯増えたのね」
魔物。昔はいなかった異形の生物。植物の怪物や鳥の怪物など、どれも凶暴で危険な生物だ。
ハルケギニア全土……特にガリアでは多数出没している。
最近では、アルビオンにも魔物の数が増えているという。
「そんな当然のこと、どうかしたのね?」
「ぷっぷー」
モコナは方向転換して行ってしまった。
同時にシルフィードの目の前にふわふわした光が近づき、その姿を変えた。
「きゅい!? おにくになったのねー♪ 嬉しいのね、あのもこもこは良い奴なのね!」
かぶりつき、シルフィードは幸福そうにきゅいきゅい声をあげていた。
それからしばらくして、遥か下の魔法学院で起きた爆発が空気を奮わせた。
「きゅい? この音はまた桃色の髪の子なのね。使い魔と違って駄目な奴なのね」

その爆発の原因。ルイズは、教室を掃除していた。
「ゼロ」の二つ名の所以……「どんな魔法も爆発して失敗する」を今日も発揮したのだった。
もちろん、普通は爆発なんてしない。だが、ルイズはどんな魔法でも爆発して失敗する。
最大四つまで組み合わせられるはずの系統魔法を一つでも失敗する。
それゆえに「ゼロのルイズ」。
名門貴族の子女であるルイズにとって、最大のコンプレックスなのである。
ルイズは一人残され、教室の瓦礫を掃き続ける。

「ぷぷー!」
「……なによ。今は遊んでる暇はないの」
やってきたモコナに、思わずそんな言葉を吐いてしまう。
この爆発にモコナは無関係なのに、と自己嫌悪を感じる。
だが、妙なことにモコナは特にイタズラもせずにじっとしていた。

「どうしたの? 別に笑ったっていいのよ、こんな失敗するのは私だけなんだから」
「ぷーぷぷぷ、ぷっぷぷぅ!」
「なに? もしかして……慰めてくれてるの?」
キリッとしてるつもりらしい顔を見て、ルイズは思わず笑ってしまう。
「まったく、普段からこうならいいのに……さて、さっさと片付けて昼食にしましょう」
「ぷっぷー!」
この10秒後、まとめたゴミをモコナが散らして、再び追いかけっことなるだった。

なんだかんだで掃除が終わり、食堂で昼食を食べに来たルイズ。
目の前で、目立つ赤髪をした長身の女性、キュルケが立ち止まる。
「あら、昼食はちゃんと間に合ったみたいね」
「なによ、キュルケ。さっきは私の爆発に怯えてたくせに」
「ええ、怖いわよ? なにせ先生を気絶させるような爆発がいつ起きるかわからないんだもの」
さっき吹き飛ばした教師、ミセス・シュヴルーズがルイズの頭に浮かぶ。
「う、うるさいわね! キュルケのファイアボールだって似たようなものでしょ!?」
「わかってないわねー。私は錬金する時に人を吹き飛ばす炎なんか出さないわ。
吹き飛ばすときは吹き飛ばす。焼き尽くす時は焼き尽くす。あなたと違って自分でコントロールしてるの」

確かにその通りだった。キュルケは振った男を炎で吹き飛ばしたり過剰なことも良くする。
だが、それも全てはキュルケの意志。ルイズのように思いも寄らない爆発なんて起こさない。
「まっ、使い魔を召喚できたのは幸いだったわね。契約できなかったら留年だったんだし。
次の進級まで余裕が出来たんだから。その間に着火の魔法くらいは使えるようになるんじゃない?」
「ふん、その使い魔はとんだ悪戯大好き動物で困ったもんだわ。ってこら、食堂中を飛び回るんじゃないの!」
縦横無尽に跳ねるモコナを見て、キュルケは疑問を口にする。
「ねえ、食事は? あの子、何を食べるの?」
「た、多分……果物とか?……きっと森で勝手に食べるのよ」
「適当ねぇ……まああれだけ元気なら平気そうよね」
立ち去るキュルケを、憂鬱そうにルイズは見送った。

「そうよね……キュルケがしつこい男を吹き飛ばしたりするのに魔法を使うことが多いからって、それ以外も使えるのよね」
反面、自分は何かを吹き飛ばすことしかできない。
威力は中々だと思う。盗賊や亜人退治……戦争でも使えるだろうが、日常で必要とは思えない。
怪我人や、ちい姉さまのような病人を治したり、錬金で物を作ることも、飛ぶことも出来ない。
(もういっそのこと、軍人にでもなるべきかしら。でも爆発しか出来ないメイジなんていらないわよね)

せっかくの食事も、美味しく感じることもなく食べ終えぼんやりしていた。
「はぁ……甘いものでも食べて、頭をすっきりさせましょ……」
そろそろデザートが運ばれてくる時間のはずだ。
ちょっと遅いわね、と思っているとなにやら喧騒が聞こえる。

「なにかしら……あれ、シエスタ?」
騒ぎの中心らしき場所を見ると、誰かがシエスタに詰め寄っているようだった。

急ぎ向かうと、詰め寄っているのはギーシュだった。
「ちょっと、ギーシュ。貴族という地位を利用してメイドに破廉恥な真似はよしなさい!」
「してないよ! なんだいその決め付け!?」
たしかにそういう様子ではなかった。シエスタは少し青ざめている。
「あら失礼。じゃあ何、どんな難癖をつけて虐めてるわけ?」
「難癖なんかじゃないさ。この平民の罪を咎めていたところだ」

ギーシュの説明によるとこうだ。
シエスタがデザートを運んでいたところ、床に香水が入ったビンを拾った。
それを、最も近くに居たギーシュに尋ねたところ
「し、知らないね。そ、そこのテーブルの上にでも置いておけば、持ち主が拾うさ」
そう言われたので、シエスタはテーブルに置くとデザートを配り続けたそうだ。
しかし、しばらくしてギーシュが「あの香水はどこだ!」と詰め寄ってきた。
置いたはずのテーブルの上には何もなかったという。
「さては、君が盗んだんだな!」
ギーシュはそう決め付けて、今に至る。

「やっぱり難癖じゃない! それに、その香水はギーシュの物じゃないんでしょ?」
「い、いや、それは」
「いいえ。あれはギーシュのものよ、ルイズ」
それぞれ学年が違う、二人の女生徒が前に出てくる。
「ゲェー!? モ、モンモランシーにケティ!?」
狼狽するギーシュを、凍った笑顔で見つめる二人の女性。
「騒ぎは聞いたわ。なんでも私のあげた香水を落としたそうね」
「酷いですわ、ギーシュ様。付き合っている女性はいないと仰っていたのに」
「い、いや、それはだね」
ルイズも、誰もが感づいた。香水を自分のだと証言すれば、モンモランシーと付き合っているとケティに発覚する。
だから知らないと嘘をつき、後で回収しようとしていたのだ。
「このケティって子にも言いたいことはあるけど。あなたの姑息さの前ではどうでもいいわ」
「これから私と会う予定だったのに……他の女性からの贈り物を持ったまま、なんて馬鹿にしているにもほどがありますわ」
そう言い切るや否や、ケティがギーシュの顔面に何かをぶつける。
デザートのケーキだった。コントみたいに顔面に食らったギーシュに、上から液体が降り注ぐ。
「あら大変。汚れを落としてあげるわね」
そう言いながら、モンモランシーはギーシュの頭にワインをドボドボぶちまけた。
「さようなら。「嘘吐き」のギーシュ」
完膚なきまで打ちのめされたギーシュを置いて、モンモランシーとケティは食堂を後にした。

冷静なまま完璧にキレていた二人の様子に、周りの面々も背筋が凍った。
哀れなギーシュはうつむいたまま小刻みに震えている。
「………決闘だ」
全員、その呟きに「え?」と聞き返す。
「メイド! 君に決闘を申し込む! 盗人のせいで傷ついた二人の乙女の心の傷、君の命で払ってもらおう!」
「な、何とち狂ったこと言ってるのよ! そもそもシエスタが盗んだなんて決め付けないでよ!」
「モンモランシーの香水は特製のものでね。売れば平民の給金の何倍にもなる。だから盗んだのさ!」
そんな特別な物を落とすなよとつっこむ声も、冷静さを失ったギーシュには届かない。
「ミスタ・グラモン。私はそんな卑しい真似はけして。始祖ブリミルにお誓いします」
「――は、平気で嘘をつく平民だな。よっぽど卑しい血でも混じってるに違いない」
完全に言いすぎだ。ギーシュ自身、頭が醒めるほどに自分の失言を悔いる。

その発言に、シエスタの様子も変わった。
「――そこまで言いますか。ギーシュ・ド・グラモン」
どれだけ理不尽な物言いにも耐えていた表情が、素のものへと変わっている。
「決闘でしたね。いいでしょう、受けて立ちます」
おおっと野次馬から声が上がる。
「君の罪を明らかにしてみせよう。ヴェストリの広場で待つ。逃げずに来たまえよ!」
ギーシュの去った後、大勢がその後を追ったがルイズはシエスタの脇に残った。

「シエスタ! あんた、自分が何言ったかわかってるの?」
「はい、ミス・ヴァリエール。十分理解しています」
その顔は真っ青だった。どれだけのことをしているのか理解しているからの顔色だ。
「ギーシュの非は絶対に謝らせるから、行っちゃ駄目よ! 平民とメイジの決闘なんてどうなるかわかってるでしょ!?」
「……いいえ。本気ではないにしろ、血まで馬鹿にされてしまいましたから。
この体に流れる血……曾祖母の血は私の誇り。私自身の手で、ミスタ・グラモンに非を認めさせてみせます」
それこそ難しいのだとルイズは思う。
トリステイン貴族は典型的な貴族が多い。
平民を蔑ろにする貴族は少ないとは言えず、おそらくはギーシュのような理不尽な扱いを受けるものもいるのだろう。
頭に血が昇っていた時の発言とはいえ、プライドを守るためにギーシュは決闘をしない限り取り消すこともない。
「死ぬかもしれないのよ。昨日今日の付き合いだけど、死地に知り合いをを赴かせるわけには行かないの」
「本当にありがとうございます。ですが私は行きます。何の策もないわけではありませんから、死なないよう祈ってくだされば幸いです」
「準備してきます」と会釈して、シエスタは食堂を後にした。

他の生徒たちも、決闘を見るため広場へと移動を始める。
ルイズもまた、最悪の事態が起こるようなら全力で止めて見せると決意し、広場に急いだ。

「シエスタッ!」
料理長マルトーは、シエスタの部屋のドアを開ける。
私服に着替え終えたシエスタがきょとんとした顔でマルトーを見る。
「マルトーさん? どうしたんです、仕事は……」
「本気なのか、貴族と決闘だなんて」
既に知れ渡っているらしい。シエスタは気まずそうに表情を変える。
「すみません、こんなことになってしまって……皆さんには迷惑をかけないよう……」
「そんなことはどうでもいい! シエスタ、お前……「本気」で決闘するのか?」
「……ただ殴られても、と考えましたが。でも、やっぱり私は自分の血に誇りを持っています。
敵うとは思いませんが、精一杯の「本気」で挑もうと思います」
その言葉に、マルトーは諦めたような顔つきになる。
「その決意を崩すことは、無理みたいだな。貴族どもめ……やっぱりろくでもない奴ばかりだ!」
「そうでもありませんよ。私を本気で心配してくれている方もいます。マルトーさんは一括りに貴族を嫌いすぎです」
「ふん、魔法を使えるだけで威張るメイジどもなんぞ……って、いや別に魔法がどうのじゃなくて……」
「わかってますよ、マルトーさん。……結果によらず、ここに戻れないかもしれませんけど……そろそろ行きます」
マルトーの横を通り、シエスタは部屋を後にする。
その手に握られた、私服とは明らかに不釣合いの物をマルトーは見つめる。
「無理だ、シエスタ……お前の「魔法」じゃ、貴族を本気にさせるだけ……死ぬ可能性が増えるだけだ」
シエスタの持つ「杖」を見て、悲しげにマルトーは呟くのだった。


「こ、これは!?」
図書館で調べ物をしていたコルベールは驚きの声をあげる。
けして見つからないだろうと思っていた手がかりが見つかったのだ。
あまりにも古ぼけた書物。誰も呼んだ形跡もなかった。
「少し、根拠としては弱いが……オールド・オスマンにご報告しよう」
その書物を持って、コルベールは飛び出した。
それは、内容の繋がった書物ではなかった。
長い歴史の中、焚書の対象になった本の失われなかったページを集めただけのもの。
どうやって学園の図書館に紛れ込んだかも知れないが、これも存在すら許されぬ禁書の類だった。
その中に、一枚の絵が描かれていた。描かれた人物の顔もわからないほど不鮮明なものだ。
左に剣を、右に槍を置いた戦士らしき人物と、美しい衣に身を包んだ人物が跪いている。
その上空に、翼を広げた丸い何かが描かれていて……その姿は、翼こそ無いがモコナとあまりにも酷似していた。


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