★★☆☆☆☆
「そっ…それ俺の馬やっちゅうねん!!」
手榴弾を炸裂させて注意が集中する事を考えた俺は、可及的速やかに敷地よりずらかる事だけを考える。馬に乗って巡回している警備を
見つけた俺は、横から飛び蹴りを御見舞いさせて落馬させると成り代わって鞍に乗り込み、門に向って全力疾走した。
「おっおい止まれ!!聞こえてるのか!?止ま……うわあああああああっ!!!」
案の定門には数人の警備が居たが、俺が盗んだこの馬で轢き殺して勢い良く門を抜けると、先程隠しておいた馬車まで戻る。
「馬車は無事だな」
馬から飛び降りて馬車に駆け寄り、繋いでいたロープを外すと御者の席に乗り込んで馬車が出せる限界のスピードを出して、魔法学院への
道を駆けて行く。これで首尾良く逃げる事が出来たなと考えたのだが、実は状況は俺が考えていた以上に深刻なものになっていた。
「畜生!!あの野郎、まだそんなに遠くに逃げてねぇ!!」
「……やれやれ、まだ諦めちゃいねぇんだな」
幾人の人の怒号と数頭の馬の蹄の音が後ろから聞こえてくる。本気で俺を殺しに掛っている事を実感した俺は、ウージーに持ち替えて来る
べき状況に備えた。
「おい、あの馬車怪しい!早く行って止めろ!!」
馬車に察知した兵士が声を上げると、一頭明らかに急速接近してくるのが分かる。流石に馬単騎で来られては、全力疾走の馬車でも容易に
追いつかれてしまうだろう。
「……おい、そこの馬車……うぐあぁぁぁっ!!」
横に付かれたのと同時に、持っていたウージーを横に向けて射撃し火の粉を振り払う。所謂『ドライブ・バイ』と呼ばれる技術だが、馬車に
乗ってするなんて、この世界に来てから二回目だ。何か間違っている気がしない訳でもないけどな。
「な…な!?……あの馬車だ!!逃がすなっ!!」
ウージーで撃たれて仲間が落馬したのを目撃した兵士達は俺を目標と認識、本格的に追撃を開始する。その証拠に馬の蹄の音が一斉に近寄って
くるのが理解できる。
「待ちやがれトニー・シプリアーニッ……ギャアアアッ!!」
横につけられた瞬間にウージーを躊躇なく発砲、追撃者をその都度追い払う。この時代のことだ、槍なんか持たれていたら本気でヤバイからな。
近寄られる前に始末しないと此方が危ない。
「待てと言われて待つ奴いるかよ……スピードが落ちて行く……Fuck!!」
しかしながら、車とは呼んでも結局は馬が引く物だからな……疲れてくるのは当然か。馬の息が荒くなり、泡まで吹き始めたのと同時に馬車の
スピードは徐々に落ちて行く。かなり火の粉は払った気がするが、それでもまだ追撃者の兵士の数は蹄で判断するに大勢居ると推測できる。
「おい見てみろ!馬車のスピードが落ちてきたぜ!!」
「馬が疲れてきたんだろうよ、このままぶっ殺しちまえ!!」
兵士達は速度が落ちてきた俺の馬車を見て狂喜に満ちた歓声を上げつつ、俺の馬車に殺到する……俺は……そうだな、殺られる前に殺るさ。
俺は徐々にスピードを落として樹にぶつかるように馬車を運んで飛び降り、草叢に転がるように隠れる。一方の狂喜の兵士達は先頭の数人が
喜び勇んで馬を下りて馬車に駆け寄るが、俺が居ない事に雰囲気は一転する。
「……おい!馬車に野郎居ねぇぞ!!?」
「馬鹿な!野郎馬車にぶつかって……!!」
「探せ!そう遠くには逃げられんだろ!!くまなく探すんだ!!」
一気に殺気に満ちた状況に俺が隠れている位置から見て、馬から下りた兵士達は背を向いて立っていた。そんな隙を逃す俺ではない。俺は、
馬車が巻き込まれない位置を推測し、手榴弾のピンを抜いて投擲してやった。
「そっ…それ俺の馬やっちゅうねん!!」
手榴弾を炸裂させて注意が集中する事を考えた俺は、可及的速やかに敷地よりずらかる事だけを考える。馬に乗って巡回している警備を
見つけた俺は、横から飛び蹴りを御見舞いさせて落馬させると成り代わって鞍に乗り込み、門に向って全力疾走した。
「おっおい止まれ!!聞こえてるのか!?止ま……うわあああああああっ!!!」
案の定門には数人の警備が居たが、俺が盗んだこの馬で轢き殺して勢い良く門を抜けると、先程隠しておいた馬車まで戻る。
「馬車は無事だな」
馬から飛び降りて馬車に駆け寄り、繋いでいたロープを外すと御者の席に乗り込んで馬車が出せる限界のスピードを出して、魔法学院への
道を駆けて行く。これで首尾良く逃げる事が出来たなと考えたのだが、実は状況は俺が考えていた以上に深刻なものになっていた。
「畜生!!あの野郎、まだそんなに遠くに逃げてねぇ!!」
「……やれやれ、まだ諦めちゃいねぇんだな」
幾人の人の怒号と数頭の馬の蹄の音が後ろから聞こえてくる。本気で俺を殺しに掛っている事を実感した俺は、ウージーに持ち替えて来る
べき状況に備えた。
「おい、あの馬車怪しい!早く行って止めろ!!」
馬車に察知した兵士が声を上げると、一頭明らかに急速接近してくるのが分かる。流石に馬単騎で来られては、全力疾走の馬車でも容易に
追いつかれてしまうだろう。
「……おい、そこの馬車……うぐあぁぁぁっ!!」
横に付かれたのと同時に、持っていたウージーを横に向けて射撃し火の粉を振り払う。所謂『ドライブ・バイ』と呼ばれる技術だが、馬車に
乗ってするなんて、この世界に来てから二回目だ。何か間違っている気がしない訳でもないけどな。
「な…な!?……あの馬車だ!!逃がすなっ!!」
ウージーで撃たれて仲間が落馬したのを目撃した兵士達は俺を目標と認識、本格的に追撃を開始する。その証拠に馬の蹄の音が一斉に近寄って
くるのが理解できる。
「待ちやがれトニー・シプリアーニッ……ギャアアアッ!!」
横につけられた瞬間にウージーを躊躇なく発砲、追撃者をその都度追い払う。この時代のことだ、槍なんか持たれていたら本気でヤバイからな。
近寄られる前に始末しないと此方が危ない。
「待てと言われて待つ奴いるかよ……スピードが落ちて行く……Fuck!!」
しかしながら、車とは呼んでも結局は馬が引く物だからな……疲れてくるのは当然か。馬の息が荒くなり、泡まで吹き始めたのと同時に馬車の
スピードは徐々に落ちて行く。かなり火の粉は払った気がするが、それでもまだ追撃者の兵士の数は蹄で判断するに大勢居ると推測できる。
「おい見てみろ!馬車のスピードが落ちてきたぜ!!」
「馬が疲れてきたんだろうよ、このままぶっ殺しちまえ!!」
兵士達は速度が落ちてきた俺の馬車を見て狂喜に満ちた歓声を上げつつ、俺の馬車に殺到する……俺は……そうだな、殺られる前に殺るさ。
俺は徐々にスピードを落として樹にぶつかるように馬車を運んで飛び降り、草叢に転がるように隠れる。一方の狂喜の兵士達は先頭の数人が
喜び勇んで馬を下りて馬車に駆け寄るが、俺が居ない事に雰囲気は一転する。
「……おい!馬車に野郎居ねぇぞ!!?」
「馬鹿な!野郎馬車にぶつかって……!!」
「探せ!そう遠くには逃げられんだろ!!くまなく探すんだ!!」
一気に殺気に満ちた状況に俺が隠れている位置から見て、馬から下りた兵士達は背を向いて立っていた。そんな隙を逃す俺ではない。俺は、
馬車が巻き込まれない位置を推測し、手榴弾のピンを抜いて投擲してやった。
ドゴオオォォォォォォォォォォオオン……!!
手榴弾の強烈な爆発音が辺りに響き渡ると、無慈悲に数人の兵士達を吹き飛ばした。ある者は馬が暴れて落馬し、そしてある者は爆音に気を失う。
ある意味奇襲は成功しているが無事な者は状況が読めなかったらしく、まだ戦闘意欲が有った。俺が手榴弾を投げて飛び出したのを確認した連中は
目の色を変えて向き合ってきた。
「て…手前っ!!何て…何て事しやがる……おっ…おいっ!!俺のシルバー持って行くなよ!!」
俺は騎乗している戦意喪失していない奴を正面から飛び蹴りをお見舞いして馬から叩き落すと、そのまま馬に飛び乗る。そしてまるでバイクに
でも乗っているように走りながら方向転換すると、そのまま下馬している兵士達を次々と轢き殺してやった。
「ひっ!ひいっ!!」
例え兵士だとはいえどもこんな残虐な光景はそうお目に掛れるものではない。まぁ無事に残ったのは数人だが、流石に戦意喪失して俺に背を向けて
引き返していった。
「やれやれ」
俺は下馬して馬の尻にムチを入れて走らして帰すと、馬車を元に戻して馬を休ませ、魔法学院への帰路についた。
ある意味奇襲は成功しているが無事な者は状況が読めなかったらしく、まだ戦闘意欲が有った。俺が手榴弾を投げて飛び出したのを確認した連中は
目の色を変えて向き合ってきた。
「て…手前っ!!何て…何て事しやがる……おっ…おいっ!!俺のシルバー持って行くなよ!!」
俺は騎乗している戦意喪失していない奴を正面から飛び蹴りをお見舞いして馬から叩き落すと、そのまま馬に飛び乗る。そしてまるでバイクに
でも乗っているように走りながら方向転換すると、そのまま下馬している兵士達を次々と轢き殺してやった。
「ひっ!ひいっ!!」
例え兵士だとはいえどもこんな残虐な光景はそうお目に掛れるものではない。まぁ無事に残ったのは数人だが、流石に戦意喪失して俺に背を向けて
引き返していった。
「やれやれ」
俺は下馬して馬の尻にムチを入れて走らして帰すと、馬車を元に戻して馬を休ませ、魔法学院への帰路についた。
とんだ災難に巻き込まれたが、何とか無事に魔法学院への帰路に着くことは出来た。だが学院に到着した頃は先程より闇に包まれており、恐らく
時間にして深夜2時頃だろう。ルイズも恐らく寝ているだろうし、キュルケは男誘って遊んでいるだろう。恐らく何処にも帰れないだろうから、
馬車を片して馬を休ましていると、後ろをマルトーが通り掛った。
「お前トニーじゃないか、何やってたんだ?ヴァリエールの令嬢がヒステリー撒き散らしてたぜ」
「ああ、ルイズには何も言わずに出掛けたからな……すまないがマルトー、ワインを売ってもらえると嬉しいんだが?」
俺がこうお願いすると、マルトーは嫌な顔はしないが不思議そうな表情を浮かべていた。
「それ位はお安い御用だが……今日はもう寝た方がよく無いか?」
「いや、俺が飲む訳ではないんだ。ちょっとな」
時間にして深夜2時頃だろう。ルイズも恐らく寝ているだろうし、キュルケは男誘って遊んでいるだろう。恐らく何処にも帰れないだろうから、
馬車を片して馬を休ましていると、後ろをマルトーが通り掛った。
「お前トニーじゃないか、何やってたんだ?ヴァリエールの令嬢がヒステリー撒き散らしてたぜ」
「ああ、ルイズには何も言わずに出掛けたからな……すまないがマルトー、ワインを売ってもらえると嬉しいんだが?」
俺がこうお願いすると、マルトーは嫌な顔はしないが不思議そうな表情を浮かべていた。
「それ位はお安い御用だが……今日はもう寝た方がよく無いか?」
「いや、俺が飲む訳ではないんだ。ちょっとな」