―虚無の日。
ルイズ達は、トリステインの城下町に来ていた。
着のみ着のままで召喚された真理阿には、 代えの服や、その他最低限の生活用品が必要であったからだ。
着のみ着のままで召喚された真理阿には、 代えの服や、その他最低限の生活用品が必要であったからだ。
「あら いいじゃないマリア! やっぱり私の目に狂いは無かったわね」
そう言いながら、真理阿を着せ替え人形にしているのはキュルケ。
「・・・って なんでアンタがココにいるのよ!」
「・・・って なんでアンタがココにいるのよ!」
「あら? マリアは私の友人でもあるのよ
それに私たちがシルフィードで運んであげたから こうしてじっくり吟味出来るんじゃない
ちょっとは感謝しなさいよ ヴァリエール」
それに私たちがシルフィードで運んであげたから こうしてじっくり吟味出来るんじゃない
ちょっとは感謝しなさいよ ヴァリエール」
「アンタの使い魔じゃ無いでしょーが!!」
真理阿はと言えば、きらびやかなドレスに落ち着かない様子だ。
「やっぱりこんなのダメよキュルケ 背中が見えすぎているし、スリットだって・・・」
「そ・れ・が イイのよ! これだったら学院中の男どもを手玉に取れるわ! ねっ! タバサ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
タバサは値踏みするかのように、じぃ~っ、と真理阿を見つめている。
「・・・・・・・・・・・・・」
「タ、タバサ・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「に・・・似合っている・・・かしら?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・人間のニオイ」
「・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「タ、タバサ・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「に・・・似合っている・・・かしら?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・人間のニオイ」
「・・・?」
キュルケが柏手を打つ。
「良し! 決まりね! ご主人 今着たドレスを全部頂くわ!」
「んなわきゃぁ無いでしょーがッ!!
どこの世界に ドレス着て洗濯する使い魔がいるのよ!?」
「んなわきゃぁ無いでしょーがッ!!
どこの世界に ドレス着て洗濯する使い魔がいるのよ!?」
―結局、真理阿は地味めで動きやすそうな服をいくつか見繕って店を後にした。
(キュルケは実に残念がっていたが・・・)
(キュルケは実に残念がっていたが・・・)
「・・・っと ここよ! ここが今日一番の目的地よ」
ルイズが指差したのは、薄汚い路地の一角にある武器屋。
ルイズが指差したのは、薄汚い路地の一角にある武器屋。
「・・・ついにメイジの道を諦めるの? ヴァリエール」
「あたしが使うんじゃないわよッ!!」
「あたしが使うんじゃないわよッ!!」
(そう 悔しいけれど 今の私に真理阿を守る力は無い
せめて護身用に 真理阿にも使えそうな武器があれば・・・)
せめて護身用に 真理阿にも使えそうな武器があれば・・・)
「貴族の旦那 うちはまっとうな商売をやってまさあ」
「客よ この娘に武器を・・・」
「へえ でしたらコチラ! かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿が鍛え上げた・・・」
「何で店一番の大業物を持ってくるのよ!
使うのは女の子よ!
アンタ あたしをおちょくってんの!?」
使うのは女の子よ!
アンタ あたしをおちょくってんの!?」
「い いえ! そんなつもりは・・・! スイヤセン! なんか体が勝手に・・・」
「・・・たく」
そんなやりとりをしながら、手近の武器を物色する。
そんなやりとりをしながら、手近の武器を物色する。
「・・・なかなか良さそうな物は見つからないわね」
「まあ こんな薄汚れた店じゃねぇ」
『ナマ言ってんじゃねーぞ! 剣もロクに使えねえ娘っこが!!』
「まあ こんな薄汚れた店じゃねぇ」
『ナマ言ってんじゃねーぞ! 剣もロクに使えねえ娘っこが!!』
ルイズとキュルケの会話に、何者かが割って入る。
一同、声のした方に注目する。
一同、声のした方に注目する。
「デル公! お客様に失礼な事を言うんじゃねえ!」
「こんな冷やかしのどこが客だ! 塩まけ塩!」
「こんな冷やかしのどこが客だ! 塩まけ塩!」
「・・・剣が 喋ってるの?」
「インテリジェンスソード」
ルイズの問いかけに、タバサが答える。
真理阿がおもむろに『デル公』と呼ばれた剣を取る。
「インテリジェンスソード」
ルイズの問いかけに、タバサが答える。
真理阿がおもむろに『デル公』と呼ばれた剣を取る。
「ん? おめえさん その紋章・・・ガン・・・
いや・・・ 違うな・・・ こりゃおでれーた 他人の空似ならぬ他紋の空似か」
いや・・・ 違うな・・・ こりゃおでれーた 他人の空似ならぬ他紋の空似か」
ひとり合点しているデル公をじっと見ていた真理阿だが、やがてルイズに言った。
「決めたわルイズ この子にしましょう」
「「「ええ~・・・」」」
一同、なんか凄く嫌そうな顔をする。
一同、なんか凄く嫌そうな顔をする。
「あたし そんなうるさそうな剣と暮らすのは嫌よ」
「悪趣味よ マリア」
「・・・ナマクラ」
「悪趣味よ マリア」
「・・・ナマクラ」
一方、当の真理阿は涼しい顔だ。
「どっちみち私 剣なんて使えないもの
それだったら 戦場で助言をくれる武器の方が 絶対に役に立つわ」
それだったら 戦場で助言をくれる武器の方が 絶対に役に立つわ」
そして、今度は剣に語りかける。
「あなたの本当の相棒が見つかるまででいいの
力を貸してくださらない? デルフリンガー」
力を貸してくださらない? デルフリンガー」
真理阿がまじまじと剣を覗き込む
「・・・そりゃあ 一向に構わねーけどよ・・・」
剣が答える
剣が答える
「おめえさん 何で俺の本名を知ってるんだ・・・?」
平和な休日が過ぎ、慌ただしい日常が戻ってくる。
二度と無茶な真似はしない、そう誓い合った真理阿とルイズであったが
その誓いは、早くも破られる運命にあった。
その誓いは、早くも破られる運命にあった。
類まれなる錬金術とゴーレム使い手 『土くれのフーケ』
世を騒がせる怪盗は、その日、学院の宝物『破壊の杖』を盗み出した。
ルイズが爆破した外壁をぶち破って・・・だ。
世を騒がせる怪盗は、その日、学院の宝物『破壊の杖』を盗み出した。
ルイズが爆破した外壁をぶち破って・・・だ。
―その犯行の一部始終を、四人は目撃してしまったのだった・・・。