あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無と最後の希望 Level09


level-9 「出発」


 早朝、朝もやの中3人は正門前に立ち。
 それぞれが準備を整えて、チーフの到着を待っていた。
 そんな中、ギーシュが恐る恐ると言った感じで口を開く。

「お願いがあるんだが……」
「なによ」
「ぼくの使い魔を連れて行きたいんだ」
「使い魔? どこに居るのよ?」
「今呼ぶさ」

 ギーシュは足を上げ、地面を踏みつける。
 すると地面が盛り上がり、かなり大きな動物の顔が現れる。

「ああ! ぼくの可愛いのヴェルダンデ!」

 膝を付いて大きなモグラっぽい生物を抱きしめたギーシュ。
 それを見ていたモンモランシーが額に手を当てていた。
 ルイズは、ギーシュが抱きしめていたモグラを見て一言。

「却下」
「な、決断が早すぎるんじゃないか!?」

 ギーシュの使い魔、ジャイアントモールの『ヴェルダンデ』。
 かなり大きく、立ち上がればルイズよりでかい。

「馬鹿言うんじゃないわよ! こんな大きいモグラどうやって連れて行くのよ!」
「ふ、ヴェルダンデは地面を掘り進む速度は、そこらの馬より速いんだ」
「だから駄目だって言ってるのよ、馬程度の速さじゃ追いつけないわよ!」
「馬より速い? 空でも飛んで行くって言うのかい?」
「違うわよ、地面を走るのよ」
「地面を走る生き物で、馬より速いのってあんまり居ないんじゃないかな?」
「生き物じゃないわよ」
「生き物じゃない? それは──」
「ああもう、うるさいわね!」

 ギャアギャアと喚く二人を見て、モンモランシーは。

「こんなことで大丈夫なのかしら……」

 と不安がっていた。





 一方そのころ、チーフは倉庫からワートホグを出し、持っていく銃と弾薬を揃えていた。
 簡単なチェックを終え、ワートホグに乗り込もうとすると。

「待ちな」

 背後から声が掛かった。

「ほら、これ持っていきなよ」

 振り返ると同時に放り投げられた袋、それを掴む。

「これから厄介なとこ行くんだろ? そん中には役立つ物入れてあるから必要になったら使いな」

 袋の中には薬品ビンなど、小物が幾つか入っていた。

「使い方がわからないならご主人様にでも聞いときな」
「助かる」
「ハッ、大事に使いなよ」

 そう言ってロングビルは朝もやの中に消える。
 それを見送った後、デルフが鞘から少し抜け出る。

「素直じゃねーなぁ、一言「ありがとう」って言やぁいいのに」

 それができないから、こういう形を取ったのだろう。

「何にせよ、助かることには違いない」
「ちげぇねぇ」


 笑うデルフ、チーフは
ワートホグに乗り込み、アクセルを踏んだ。





 場所は戻り、一通りの言い合いの後、連れて行くかはチーフに決めてもらう事となったが。

「ところでルイズ、チーフはどこに行ったんだい?」
「もうすぐ来るわよ」

 そう言ったときには、何か音が聞こえ始めていた。

「何なんだ、この音は?」

 それはエンジン音、ハルケギニアには無い『自動車』を動かす主機の音。
 次第に音が近づき、現れたのは鋼鉄の車、その運転席にはチーフが乗っていて3人のすぐ近くに寄せる。

「な、何なんだこれは!?」

 ギーシュとモンモランシーが驚愕の声と表情を浮かべる。

「『わーとほぐ』って言う『じどうしゃ』なんだって」
「わーとほぐ? じどうしゃ?」

 二人して聞いたことの無い言葉に首を捻っていた。

「簡単に言えば、『馬が引かなくても動く馬車』よ」

 とルイズが説明しているとチーフがアクセルペダルを踏む。
 ブォン! と鳴る音に二人がビクリと動いた。

「だ、大丈夫なんでしょうね?」

 見知らぬ、よく分からない乗り物に軽い恐怖を覚えたモンモランシー。

「勿論よ……、           多分」
「ちょっと! 今多分って言ったでしょ!?」
「しょうがないじゃない! 前と形が少し違うんだから!」

 ルイズがこの前乗った時より、少しだけ形が変わっていた。
 主に助手席の部分に手が加えられていた。
 本来、ワートホグは軍用車ですぐ乗り降りできるようにドアが付いていない。
 海兵隊員ならばどうということは無いが、ルイズなどが乗ると悪路を走った時の振動で転げ落ちかねない。
 チーフはそれを考慮して、簡易ドアを取り付けていた。

「安全対策だ」

 勿論座るシートも手を加えている、この前のように2人座る場合もありえるのでシートマットを付け加えている。
 大人の女性が二人乗っても余裕、とは言えないが十分座れるようになっている。
 無論、まだ子供であるルイズとモンモランシーならば余裕で座れる。
 3人はチーフの説明を一通り聞いた後、どこに座るかを相談し始めたと思ったらギーシュの座る場所は後部銃座と一瞬で決まった。
 それならばとギーシュが先ほどのお願いを口にした。

「チーフ! ぼくの使い魔を連れていきたいんだが、だめかな?」

 それを聞いてチーフは運転席から降りる。

「使い魔とはあれか?」

 指差す先にはルイズとヴェルダンデ、いつの間にかルイズへと擦り寄っていた。

「な、何よこのモグラ」

 鼻をひくつかせ、主に右手に鼻を寄せる。
 仕舞いには立ち上がってルイズに飛び掛る。

「キャ! なにこのモグラ!?」

 押し倒されるルイズ、ヴェルダンデはルイズの右手の指輪に鼻を押し付けている。
 退かそうと暴れるルイズを見ていたギーシュはモンモランシーに殴り飛ばされていた。
 理由は倒れたルイズのスカートがめくれていて、それを頷きながら見ていた為。
 その殴り飛ばす光景はもう酷いもので、誰もが目をそむけるほどの光景だった。

 チーフはそれを余所目に、ルイズに圧し掛かっているヴェルダンデを退けようと、歩み出すと同時に一陣の風が吹いた。
 あまりの烈風にヴェルダンデだけが飛ばされ、空中でくるくる回る。
 チーフはそれをジャンプしてキャッチ、そのまま銃座に乗せた。

「ふ、ふれふぁっ!?」

 殴られたダメージで上手く呂律が回らないギーシュは叫んだ。
 朝もやの中から現れたのは長身の男、羽帽子を被り、マントを羽織った貴族は素性を名乗った。

「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」





 学院長室、その窓からアルビオン行き一行を見るのはアンリエッタ。
 指を組んで始祖ブリミルへの信仰を言葉にしていた。

「彼女たちにどうか加護をお与えください、始祖ブリミルよ……」

 その隣では、ロングビルが注いだ紅茶を飲むオスマン。

「ほう、これは美味いの」

 さらに一口含み飲む。

「オールド・オスマン、見送らないのですか?」
「ほほ、必要ありますまい」
「何故です?」
「彼らは学生とは言え立派なメイジですぞ、彼らもこれが子供のお使いではない事を理解しておりましょう」

 アンリエッタは頷き、もう一度視線を窓にやる。

「それに、既に杖は振られたのです、我々にできることは待つだけですぞ」
「確かに、仰るとおりですね」
「なぁに、彼なら何があろうとも必ずや成し遂げ帰還してきましょう」
「彼とは?」
「ミス・ヴァリエールの使い魔、彼なら成し遂げると信じております」
「……そうですね、ルイズがあそこまで言ったんですもの、信じましょう」

 頷き遠くを見る瞳は、友を心配する光が宿っていた。
 アンリエッタが言い終わると同時に、ドアが強くノックされた。

「オールド・オスマン! 大事なお話が!」
「入りなさい」
「失礼しますぞ! あいや、これは姫殿下、お見苦しいところを」
「いいえ、そのようなことはありません」

 アンリエッタに一礼して、コルベールは本を開いてオスマンに見せる。

「オールド・オスマン、これを……」
「む、これは」
「はい、おそらく間違いないかと、フェニアのライブラリーを片付けていたら見つけました」

 さらに紙を取り出し、本と紙を交互に見合わせる。

「いや、彼の実力は元からの様じゃしのぉ」
「しかし、彼女が書いた通り同じものだとしたら世紀の──」

 オスマンはアンリエッタを一瞬だけ見て、コルベールに告げる。

「ミスタ・コルベール、この話は後で聞こう」
「しかし」
「ミスタ・コルベール」
「……、分かりました」

 オスマンの一言に気圧されたコルベールは一礼して退室した。

「どうかしたのですか?」
「いやはや、彼が面白いものを見つけただけですじゃ、学者気質な教師で時折今のようなことをしておりましての」
「どのようなことを?」
「少し珍しいルーンを見つけただけですじゃ」
「珍しいルーン?」
「ええ、今年の生徒は粒ぞろいばかりで学院長としては嬉しい限りですぞ」

 ニカッと笑うオスマンに釣られてアンリエッタも笑う。

「その生徒たちを戦に駆り出さないよう、強くならなければなりませんね」

 その思いを、強く心に刻み付けていた。



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