あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

モニカがルイズに召喚されました-02


何日かこの魔法学園と言う場所で過ごしてみて分かった事がある。
ここの人間は節穴だ、その上程度が低い。
モグラやサラマンダーなんかを呼び出すより人間を呼び出せる魔法使いの方がすごいに決まっている
ではないか。
モグラのように地に潜れなくても、ドラゴンのように飛べなくても、サラマンダーのように火をふけなくて
もこの世の中で一番繁栄しているのは人間である。
間違いない。
他のどの使い魔にだって学院の住み込みの下働きの人間と交渉してくる事も、街にお使いに行く事も
酒場で情報を集めてくる事も、主人の変わりに潜入して視覚を共有する事で偵察するなんて芸当は
出来ないに違いない・・・最後のは契約していないから彼女にも出来ないが。

程度の低さは教師が主張を一貫させていない時点で仕方が無いのだとも思う。
周りから「失敗する」「危ない」と注意を受けているのにどんな危険かを確認せずに「失敗を恐れては何も出来ません」と言って実習を行わせ、失敗(いつも通り派手に爆発した)したら罰則を課すのである。
「失敗を恐れずにやりなさい」という言葉には普通、失敗してもペナルティは掛けませんと言うニュアンスを含むものである。
罰や減点の対象としてしまうのなら失敗を恐れずに挑戦するなんて出来るはずが無い。
教育者として軸がぶれている。
「おやおや、また変わった使い魔を召喚したものですね」とか自分から煽っておいたくせに同調した生徒をしかっているのも気に食わない。
これでは筋を通せる生徒を育てるのは難しいだろう。

「ほら、手が止まってるわよ」
「ごめんなさい、ちょっと考え事していたものだから」
「なによ。 やっぱりあなたも私が魔法を使えない事を馬鹿にしてるんでしょ」
「相手を馬鹿にして、優越感を得るような低俗な趣味は持ち合わせていないわ。
 だって、そんな事をしても意味が無いもの。
 そんな暇があればどうすれば自ら高みに飛べるかを考えて実行するべきだわ」
「…がんばってるのに結果が出ないときはどうすればいいのよ?」
「それはアプローチの仕方が間違っている可能性があるわね」
「ここは、ハルゲニア大陸有数の教育機関なのよ?
 ここの教え方が間違っているならどうしょうも無いじゃない!」

ルイズは真面目で勤勉だった。
色んな教師に教えを請うて魔法の使い方を試してみた。
だが、ルイズが魔法を使えるようになる方法を開示できる教師はただの1人も居なかった。
そう、残念な事に。
では文化の違う…もっと言えば異世界のやり方でならどうだろう?
モニカはこの頃からそんな事を考えていた。


ルイズがモニカを召喚しました。 第二話


使い魔と言う身分を把握しているモニカは他の使い魔たちと食事を外で済ませてくると、主人の食事が終わる頃を見計らって食堂に合流する。
ここ最近のパターンである。
ただこの日はちょっとしたイベントが起きた。
高価そうな小瓶を拾ったのだ。
鮮やかな紫色した香水はきっと大切なものだろうと考えた彼女は、小瓶の落ちていた位置から落とし主を推測するとその男に声を掛けた。
つまりギーシュ・ド・グラモンに対してである。

「これ、落としませんでしたか?」
「いや、知らないな」
「そうですか。 すいませんでした」

素直に頭を下げた後、彼女は辺りに向かって話し始めた。

「みなさん少し話を聞いてください。 落し物です。
綺麗な紫色の香水瓶の持ち主の方はいらっしゃいませんか?」
「見事な紫色だな。 もしかしてモンモランシーのものじゃないか?」
「うむ、これほどまでに鮮やかな紫色は『香水』のモンモランシーが作った香水に違いない」
「そうだ、これはミス・モンモランシーのものだ」

現れるモンモランシー。
慌てるギーシュ。
そこをお約束のようにケティに目撃される。

「ギーシュ。 落し物よ。
 私だと思って大切にしてくれるって言ってくれたのに駄目じゃない」
「ギ、ギーシュ様。 やっぱりミス・モンモランシーと…」

使い魔の対応がどうであっても結局修羅場に発展するギーシュに乾杯。

「いや、モンモランシー。 誤解だ。 誤解なんだ」
「何が誤解よ!」
「彼女とは一度だけ遠乗りに行っただけで…
 僕の心に住んでいるのは君だけだ。
お願いだよ。 『香水』のモンモランシー。
咲き誇る薔薇のような顔を、ゆがませないでくれよ。
とても悲しくなってしまう。
ああ、そうだ。 セビリア座の新作オペラのチケットがあるんだ。
誤解させてしまったお詫びに次の虚無の曜日に一緒に行こう。
うん、それがいい」

モンモランシーと呼ばれた縦巻きロールの少女はテーブルに置かれたワインの壜を掴むと、中身をどぼどぼとギーシュの頭の上からかけた。

「これで頭でも冷やしなさい」

そしてくるりと身を翻すと風のように去っていった。
沈黙。



「ふぅ、彼女達は薔薇の存在意義を理解していないようだ」
「浮気がばれただけじゃない」

爆笑。
「何かっこつけてるんだ」との野次にムキになって言い返す。
とにかく二股だの浮気物だのそう言う風評は彼のプライドが許せなかった。
まったくこの生意気な子供め。

「だいたい君が軽率に香水の落とし主を探すものだから、二人のレディの名誉に傷がついてしまった。
どうしてくれるんだね?」
「高価そうな香水が落ちているならそれを落とし主の所に届けるのは当然の事でしょう?
別に私の行動に非は無かったわ」
「いいかい? ボクは知らないフリをしたのだよ。
 こう言う時は気を利かせて、あとでこっそりと届けてくれればいいんだ」
「そうやって逆恨みで誰かに八つ当たりしているようでは、あなたの底が知れるわよ?
 これから誰かとよりを戻そうと言うのならまずいのではないかしら?」
「言ってくれるね。
 ここまで平民に馬鹿にされるとは」
「貴族じゃなければ全部平民とか、よその国の文化への敬意が微塵も無いのね。
 実力主義で貴族を取り立てるゲルマニアを野蛮な国とか言っているだけあるわ」
「くっ、平民ならば謝れば許してあげようと思ったが仕方ない。
 そうじゃないと言うなら決闘しよう。
 貴族ではないとはいえ平民で無いというなら自分の誇りくらい守れるはずだな?」
「自分を省みない人に付き合う義理なんて無いわ」
「こうまで言われて怖くて逃げるのか? やっぱり平民じゃないか。
まぁいい、ゼロのルイズの使い魔じゃ仕方ない。
 どうせ彼女には使い魔の躾なんて出来ないだろう。 行って良いよ」
「聞き逃せない言葉を聴いたわね。
 私への侮辱なら聞き流してあげてもいいけど、分かったような顔してルイズを侮辱しないで貰おうかしら?」

モニカはあれから使い魔に隠れてこっそり魔法の練習をしている自分の主人の事を結構気に入っているのである。
呼び出したのが生意気な子供であるがサモンサーバントには成功したのだ。
きっとそのうちに他の魔法も成功するに違いないと爆発を量産する毎日である。
もしかしたらそんな彼女に滅亡に向かう世界に居残ってみんなを助けたいと言った『誰かさん』を重ねてみたのかもしれない。
彼女の伯父ならば「無駄な事だ」と一言で切って捨てただろう。
けれどもモニカにはその一見無駄な所がとても好ましく思えるのだ。
一見無駄でも何処でどう繋がるか分からない人間のそのみっともない努力を。


思いがけず挑発に乗ってきた事に気をよくしたギーシュは格好を付けてこう言った。

「食堂を血で汚す事も無いだろう。 ヴェストリの広場で待っている」
「同感ね。 でも場所が分からないから、案内して頂戴」

『決闘しようと言う人間が2人でなかよく並んで広場まで行くなんて決闘っぽく無くていやだなぁ』とか考えているギーシュも
大概平和であるが、なんでも効率優先の彼女にそう言う事を理解させようと言うのがそもそもの間違いである。
食堂の入り口のあたりでルイズが追いついてくる。
これ幸いにモニカをルイズに押し付けて先に行ってしまうギーシュ。

「あんた、私のために決闘引き受けたってどう言う事よ?」
「使い魔はご主人様の事を守るものなんでしょう?
安心していいわ。 私は勝ち目の無い戦いはしないから」
「よくないわ。 あなたはちっとも分かってない。
 平民がメイジに勝てるわけ無いんだから!」
「だから平民じゃないって言っているのに…」
「あのね、メイジが平民の上に君臨するのはその絶対的な力ゆえなの」

始祖ブリミルに授かった神聖な力と権威がどうのこうのと説明を受けた。
スキルの希少さと戦闘力の高さからキルシュラーンド大陸のリングマスターを思い浮かべる。
でもやっている事はシェルフェングリフ帝國の貴族と同じように思う。
ギーシュを見ているからだろうか? いかんせん貴族=優れた者と言うイメージは結びつかなかった。

「でも例えば1日に30人の平民と戦えば流石に精神力も尽きると思うのだけれど?
 そうなったのなら日頃体を鍛えている平民にも勝ち目が有ると思うの。
 そう言うのは絶対って言うのでは無いわ。
 問題は反抗しようっていう気概の無い平民の方に有るのではないかしら?
 それに彼はドット・メイジなのでしょう?」
「ドット・メイジでも平民とは絶対的な差があるのよ!」

力一杯不当な評価を受けている気がするが自分の身を案じてくれている事だけは分かる。
広場に着いてしまったので「勝てないと分かったら素直に謝る」と言う事だけ約束してギーシュの前にたった。

「礼式にのっとって、名乗りを上げさせてもらう。
 ギーシュ・ド・グラモン。 二つ名は『青銅』  青銅のギーシュだ」
「ピート・アレンの娘モニカ。 ゼロのルイズの使い魔をやっているわ。
 決着の方法はどうなっているのかしら?」
「どちらかの戦闘不能か、降伏の言葉をもって終了と言う事でいいだろう。
それとボクはメイジだから魔法を使わせてもらう。
 よもや文句はあるまいね?」

捧げ持った薔薇の形をした杖を振るうと落ちた花びらの一枚がゴーレムとなって立ち上がる。

「なんて言うか…なんでもありね…」
「だから言ったでしょう!? 平民は貴族には勝てないんだって!」

彼女の世界ではゴーレムと言うのはもっと手間が掛かる。
闘技場の裏を見せてもらった事があるのだ。
何故そんな経験があるのかといえば、某ダークロードのインフェルノ一発で吹き飛ばされるので流石に泣きが入ったのである。
職人が丹精込めて体を作り、魔法使いが何日もかけて魔化を施したそれはまさに芸術品であった。
「おのれクレイブ!」との掛け声と共に放たれるストレス解消のための一撃で吹っ飛ぶのだが。
まさに非道。



「じゃあ、私はリングマスターだから、リングウエッポンを使わせてもらうわ。
 もちろん文句は無いわよね?」

答えは聞いていない。
言うが早いがいつの間にか両手に持っていた8本の投げナイフを投げつける。
あっと言う間に青銅のゴーレムはハリネズミになって倒れた。
投げたはずなのにモニカの手には8本のナイフが握られている。

※青銅はまがりなりとも金属です。

「もう終わりかしら?」
「ぼ、ボクのワルキューレが…」

誰が見ても一目瞭然だ。
ギーシュが錬金でゴーレムを作って攻撃させるよりモニカが投げナイフを突き立てるほうが早い。
第一、ミスリルゴーレムとかとやり合っていた経験のあるモニカにブロンズゴーレムなんて敵じゃない

「どんな魔法だ」
「魔法なのか? あの使い魔、杖なんて持ってないぞ?」
「先住魔法か? 詠唱さえ聞こえなかったぞ?」

いえ、どう見ても連続攻撃+3の精霊石です。 本当にありがとうございました。 ><

「…いまさら…いまさら後に引けるものかぁぁぁ!」

錬金して作った6体のワルキューレのうち3体がハリネズミになって、2体が石化し、1体がモニカまで肉薄するも
0距離からナイフを突き入れられて機能を停止した。
モニカの手には再び8本のナイフが作られる。
無表情な視線の先にはギーシュの姿。

「ちょっとあなたギーシュを殺す気?
 もう止めて、ギーシュの精神力はもう0よ。
 精神力が尽きたらメイジも平民も変わらないって言ったのはあなたでしょう?」
「彼は私に決闘を申し込んだわ。
 つまり他の人たちが平民の子供と言っている中で、彼だけはきちんと判断力を持っている個人だと評価してくれているのよ。
 私には彼の最低限の名誉を守る義務があるわ」
「もうこれ以上ないくらいぼろっかすじゃない!」
「でもまだ彼は嘘をついてない。
 彼は『私に2人の女の子が恥をかいた事に対して謝罪させる』為に戦っている。
 私にはそれが理に適っているかどうかなんて分からないし、この国の文化からしてもおかしいのかもしれないけれど
 どんなに自分を正当化させる為の方便でも、そう宣言したからには彼の中では自分の誇りなんかより重要な事が有ると言う事なのよ。
 それで負けたとしても彼には自分が馬鹿にされたからではなく、2人の女の子のために命を懸けて戦ったと言う事実だけが残るわ。
 さぁ、続けましょう。 青銅のギーシュ。
 もちろん、彼女達の誇りを守る為なのだから、魔法が使えなくなったくらいで降参しないわよね?」
「ひどいな、君は」


あの何を考えているか分からない少女が無表情にこちらを見ているのがたまらなく怖かった。
ワルキューレを打ち倒したナイフが次にねらっているのはこの身だろう。
勝てない事は十二分に分かっていた。
それでも動かなくなったワルキューレから武器を取り上げた。
選んだのは槍。
ギーシュはこの期に及んで一太刀浴びせる事を考えている。
レイピアのような優美な武器ではなく少しでもリーチを伸ばそうと考えた武器選択である。

「本当にどうしょうも無いな、僕は、どうしていつもこうなんだろう?
 そんな事を言われたら本当に引けなくなってしまうじゃないか」

どう考えてもその構えは素人のものだ。
槍の重さが移動スピードに及ぼす影響を考慮すれば武器の選択も甘い。
それでもこのギーシュ・ド・グラモンと言う男のすごい所は本気で2人の女の子の為にこの場に踏み止まらなければならない
と考えている所である。
彼女達のために起こした決闘だと言う事にしてしまった。
だから怖くても退く事が出来ないのである。
好きになった女の子の為にみっともなくなれる立派な男の子がそこには居た。
薔薇を模した杖ごと青銅の槍を握りこむと突撃を開始した。

「格好を、付けたくなってしまうじゃないか!」

相手がこちらの急所をねらってくる可能性を捨てて、それ以外の部位への攻撃へと集中する。
槍を構えていて体は半身になっている事も幸いした。
1射目8本のナイフを危なっかしい足取りで避ける。
2射目はバランスを崩しながら槍で叩き落す。
3射目が足をかすり、4射目が肩口を刺し貫いた。
外野から悲鳴が上がる。
それでも彼は倒れなかった。
驚いた顔をしているモニカに向けて気合一閃槍を突き出す。
あっさり受け流されて懐にもぐりこまれるがそれは囮。
本命は本当になけなしの精神力で作り上げた、杖にまとわせた魔力の刃(ブレイド)。
槍を落とすと近接戦闘の基礎も出来ていないモーションで振り下ろした。












飛んでいく青銅で作った薔薇の造花。
モニカのナイフはギーシュの首筋に突きつけられている。

「チェックメイトね」
「駄目か、参った降参だ」


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