あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロギアス-01

「宇宙の(ry」

何十回の失敗の末、一際大きな爆発が起き、砂埃が派手に舞った。
そして時間と共に視界が晴れ…『それ』が姿を見せた。
『それ』は、体のいたる箇所から煙を上げ…立ったまま、眠るかのように微動だにしなかった。

「…プッ…プハハハ!!『ゼロのルイズ』が人間を召喚しやがった!!」
「いや、あのなり、亜人かもしれねーぞ!ひゃははは!」
「やっと成功したと思ったらこれかよ!」
後ろから聞こえる嘲笑に耐えられず、ルイズは顔を真っ赤にして振り返る。
「コルベール先生!…ミスタ・コルベール…?」
無駄とは知りつつも、コルベールに最召喚の許可を…
そう思い振り向いたルイズが見たのは、緊張した顔で杖を構えるコルベールの姿だった。

「…ミス・ヴァリエール…早く、そこを離れなさい…」
呻くようにそう言ったコルベールの額には…玉の様な汗が浮かんでいた。

コルベールは考える。
この人間…いや、人間かどうかさえ疑わしい。とにかく『これ』は危険だ。
異様な仮面…漆黒のローブ…そんな外見だけの問題ではない…。
もっと異質の…世界の全てを憎む様な…全ての破壊を望むような…そんな意思が具現化したかのような禍々しさ。
それだけなら…まだいい。『これ』は…その意思に見合うだけの力を持っている…。

「皆さん…今日の授業はこれまでです。早く教室に戻りなさい…早く!」
今まで見たことも無いコルベールの剣幕に、生徒達は不信に思いながらも教室に帰っていく。
残ったのは、ルイズ。ルイズを心配したキュルケ。キュルケを心配したタバサだけだった。

生徒のほとんどが帰ったのを気配で感じながら、コルベールはさらに考える。
きっと…いや、間違いなく、自分では時間稼ぎもろくにできないだろう…。
それでも…生徒を守る事が…今の私の務め!

何時に無く本気の顔をして杖を構えるコルベール先生。そして、その先には自分の使い魔候補。
ルイズは軽いパニックになっていた。
「あの…ミスタ・コルベール?一体…」
ルイズがそう言い、コルベールに一歩足を向けた瞬間!『それ』が動いた。

「!!ミス・ヴァリエール!!」
コルベールはそう叫ぶと同時に、杖の先から―2メイルは軽く超えるであろう火球を放った!

それは火球というより、業火といった方が正しく思われる程の代物。
それが、ルイズが召喚した『それ』の顔面に迫り―

そして、虚空を焼くだけに終わった。

「!?避けた!?」
自分では、時間稼ぎすらできないというのか…!
予想だにしなかった事態にコルベールは背中に空寒いものを感じる。
そして…その一瞬の隙を突いて動いた者がいた。
「ミスタ・コルベール!いきなり…人の使い魔…候補に攻撃するなんてあんまりです!」
ルイズがそう叫び、コルベールの杖にしがみ付く。
「それに見てください!あれはすでに瀕死です!」
ルイズの一言で、コルベールもようやく落ち着きを取り戻した。
…なるほど。避けたのではなく、地面に倒れただけだった。

「使い魔はメイジにとって一生の問題。そう教えてくれたのは他でもない、ミスタ・コルベール!あなたではありませんか!」
教え子にそう言われ、コルベールはハッとする。
確かに、使い魔は一生の問題だ。しかし『これ』は危険なのでは?しかし…
「うーむ…」と唸っていると、後ろから声をかけられた。

「ミスタ・コルベールはえらく警戒なさってましたけど、契約してしまえば従順になるんでしょう?
それに、この様子ですし、学園に戻ってから処置を考えてもよろしいのでは?」
キュルケが少し戸惑った表情をしながら、それでもそう言う。
「『ある程度は』従順」
タバサが一部強調してそう付け足す。
その手は、青白くなるほど強く杖を握り締めてはいたが。

「うーむ…」
学園には、オールド・オスマンもいる。彼なら、正しい判断をしてくれるだろう。
それに、万が一の事態の際にも…。
そこまで考えると、コルベールの行動は早かった。
『それ』にレビテーションをかけ、学園へと向かった。
自分のこの判断が正しい事を、心から祈りながら…。

学園の正門前で、ルイズは眠る『それ』を見ていた。
流石にコルベールも学園の中に入れる事には抵抗があったらしく、「学園長を呼ぶからここで待ってなさい」とだけ残して、どこかに急いで消えていった。
キュルケとタバサも、毛根焼畑先生に説得され、教室へと消えていき…
結局ルイズはここで待ちぼうけを食らう形となっていた。

目の前に転がる人間だか亜人だか分からないものを眺めながら、一人呟く。
「それにしても…なんで私の召喚したのがこんなのなのよ!咄嗟の事だったから助けちゃったけど…やっぱり止めなきゃ良かったかな…
何だかコルベール先生の様子からして、危ないやつみたいだし…
でもそれって、それだけ強力、って事よね…」
ぶつぶつ言いながら考えるが…結局、オールド・オスマンの指示を仰ごう。という結論に達した。


そしてその頃『それ』は…夢を見ていた。
幾つもの人生。幾つもの光景。
それはとても長くて…そして、一瞬の幻のようで…

男が女の手を引き、雪原を走っていた。
黄金の髑髏の仮面を被った人物達が、二人を追う。
背後から光の矢が伸び…女の胸を貫いた。
男の手の中で女は何かを呟き…そして、息絶えた。
「――――」

赤い光が点滅する中、男と女がガラスの壁を隔てて見詰め合う。
女の背後には銃を構えた人物が大勢立っている。
赤い光が警鐘を鳴らす中…女は多数の弾丸を受け倒れる。
女はガラスの向こうに立つ男に何か囁き…死んだ。
「―――て」

空を飛ぶ船を、男は地上から見つめていた。
幾つもの光の矢が船を貫き、それでも船は飛ぶ。
そして…その船は、巨大な何かにぶつかり…爆発した。
その瞬間…船の艦橋で、女が叫ぶ。
「――きて!」

それはとても悲しい夢。
どの時代でも男と女は出会い、そして――

『それ』は夢を見ていた。
起きれば全て忘れてしまうような…
指の隙間から水がこぼれるように、決して記憶に残る事の無い…
それでも、滴が残る様に、決して忘れる事の無い…


頭髪転進先生、早く来ないかな…。
そう思いながらルイズは、自分の召喚した使い魔候補を見た。
すると…呼吸と共に上下していた胸の動きが…心なしかさっきより弱い。
まさか!
そう思い、恐る恐る使い魔候補の胸に手を当ててみると…その鼓動は今にも止まりそうなほど弱い。

これには、さすがに驚いた。
あれだけの騒ぎ―最も、デコ無限先生が勝手に騒いだだけだが―を起こしといて、ぽっくり死にました。ってのは、いくらなんでも酷い。
何より…目の前で何かが死ぬのは、16歳の少女ルイズには、耐えられない事でもあった。

どうすればいいのか分からず…それでも、使い魔候補を揺さぶる。
「ちょっと!このバカ!起きなさいよ!勝手に死なないでよ!」
呼吸の感覚が広く、弱くなるのが分かる。
「これじゃ私が殺したと思われるじゃない!起きなさい!」
ドンドンと使い魔候補の胸板を叩く。
「ちょっと…ねえ…」

使い魔候補の呼吸が止まった。
そっと胸に手を当ててみると…そこに生命の鼓動はすでに存在してなかった。

目の前で、命が失われた。
それがどのような存在であれ…その事実は重く感じられた。
「ねえ…死んじゃダメ…死んじゃ…ダメ…ねえ…」
その重さ故に…どうしようもなく悲しくなった。
「ちょっと…生きなさいよ…」
何の思い入れも無いはずの使い魔候補を激しく揺さぶる。
感情が暴発しそうになる。
「生きなさいよ!ねえ!」
揺する手にも力がこもってくる。

「生きて!」

― ドクン ―

世界から色が失われた様な錯覚が突然襲ってきた。

いつの間にか目の前に転がっていた筈の使い魔候補の体が無くなっている。

重力が何倍にもなったような…急に酸素が薄くなったような…そんな圧迫感が広がる。

いつの間にか、そこに倒れていた筈の使い魔候補がルイズの目の前に立っていた。
否。
『それ』は…宙に浮いていた。

腕を組みながら、仮面の男がルイズを見下ろしていた。

ルイズは…震える手を握り、押しつぶされそうな空気を大きく吸い…男に話しかける。

「あなた…死んだんじゃなかったの…。それなのに…一体…何者…」

男は低い、全ての存在が震える程に低い声で答えた…


「我はグラーフ…。力の求道者…」


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