あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無と最後の希望 Level04


level-4 「試図」


 作り出した主の命を待つ氷の矢、それはタバサが得意とする魔法『ウィンディ・アイシクル』。
 チーフは右手にハンドガン、左手にデルフリンガーを手に取る、戦闘態勢は整った。

 掲げるはメイジの杖、従うは氷の矢、狙い定めるはルイズの使い魔。
 構えるは兵士の銃、狙うは氷の矢、撃ち抜くは攻撃の魔法。

 杖を振り下ろすと同時に撃たれた氷の矢。
 三度の発砲、迫る十数の矢。
 着弾までの時間に撃てるのは三発、回転して飛来する氷の矢が三つが砕ける。
 その三つは被弾の可能性が最も高い物。
 そうして前へと踏み出し、全力で駆け出した。

「………」

 十数の氷の矢が地面に突き刺さり、巻き上がった砂埃を見るタバサ。

『ウィンド・ブレイク』

 突風が吹き、砂埃が吹き飛ぶ。
 晴れた砂埃から現れたのは平然としたチーフ、立ち上がりタバサを見ている。

(当たらなかった……?)

 幾つかは砕けたが、確かに当たったのが見えた。
 なのに……。
 さすがにこの距離では何が起こっていたのかよく分からない。
 だったら、近くで確かめるだけ。
 レビテーションを解き、タバサが落下し始める。

『ブレイド』

 落ち行く中、呪文を唱えると同時に杖が魔力を帯びて刃と成る。

『エアシールド』 

 立て続けに呪文を唱え魔法を発動させる。

『レビテーション』

 地面から数メイル、呪文の効果により浮力を得て落下が止まる。

『ウインド・ブレイク』

 と同時に爆発的な加速、轟音を伴って低空を駆ける。
 肩に担ぐように持つ杖はさながら長槍、一撃で敵を切り伏せる大刃。

「っ!」

 タバサとチーフが交錯、烈風が木々の葉を揺らし、散り落ちる。
 振り払った杖の刃は大地を薙ぎ、大きな亀裂を作る。

 最大に近い速度で避けられた、反応速度も並じゃない。
 あれを見て「あの使い魔に勝てるのか」と感情が揺れる。
 だが、それをすぐにかき消す。
 雑念を持てば負けに繋がる、感情を排除。

 『私は人形、私は人形、私は人形、私は人形、私は人形。 負ける事が無い必勝の存在』

 ただ戦い、勝利を収める人形。
 思うのは勝利した姿、あの技術は必ず自分強くする。
 なんとしても手に入れたい、そうすればまた一歩念願に近づける。
 『線』で避けられるなら『面』で打ち、動きを止めて『点』で打つ。

 耐えられる最大戦速、次は外さない。
 大地を蹴って奔る、自身が風の奔流となり隙無く牙を剥く。
 狭く灰色の視界、その中心には剣を持つルイズの使い魔。

「エア──」

 タバサは討つための魔法を放った。




 読唇術、唇の動きを読み取り打ち出す魔法を察知する。
 氷の矢のように予備動作が全く見えない魔法に間接をロック、可動領域を固定、避けれないと判断して身体に掛かる衝撃を極力軽減する。
 間接ロックとシールドに頼り、あとは意識を手放さないようにするだけ。
 途端、周囲の地面が凹み、撥ねられた様な衝撃。
 高密度の、空気の塊が押しつぶさんと圧し掛かる。
 地面を穿ちりながらも振り下ろされた空気の槌によって減少したシールドは、約30%。

「異常だ」

 考える暇は無い。
 ロック解除、高速で飛翔するタバサとの距離は5メイルも無い。

「相棒!」

 腰から引き抜くと同時に魔力の刃と物質の刃がぶつかり、弾き上がったのは両方。
 極小の視界の中で、目を見開いた。
 ラインクラスのゴーレムでも潰れているであろう衝撃に耐え切った使い魔。

「ふざけてる」

 視界が回転、地面に叩き落付けられたわけでも、投げ飛ばされたわけでもない。
 瞼を開くと映るのは自分の顔。
 金と橙を混ぜ合わせたような色の、鏡のようなチーフのヘルメット。
 自分の顔を見て思い出した、壊された母と、消されてしまった父の顔を。
 私は……、もっと強くなりたい。





 抱えたタバサは瞳はうつろで、視線が定まっていない。
 『ブラックアウト』、いや『グレイアウト』も併発しているかもしれない。
 だが、そんな状態なのに今だ動けるのは驚嘆に値する。
 海兵隊以上にタフな精神力を持っているかもしれない。

「貴方は、どうして……?」

 たどたどしい言葉で問う。
 ここまで彼女を駆り立てるのは何か。

「知りたいなら教えるが、二つ約束してほしい」

 どちらも重要な事、外すことは出来ない。
 それを聞いてタバサは頷く。

「一つ目、聞いたことは他の誰にも話すな」

 頷く、少しずつだか目に力が戻り始める。

「二つ目、先ほどの魔法は使うな」
「さっきの?」
「高速で飛び回るやつだ」

 急激な加速により、脳内血液が一箇所に固まったり。
 下半身に溜まる事で後遺症を伴う、脳内組織の破壊を招くことがある。
 それこそ脳の損傷で死に至る場合もある。
 初見だが、あれは使い慣れている。
 タバサには、使わなければ行けない状況が幾つかあったようだ。

「守れるか?」

 タバサは小さく頷き。

「教えてくれるなら、守る」





「で、どういうことかしら?」

 ビキビキブチッっとルイズの血管が切れていた。
 タバサは視線を逸らし、キュルケは何とか諌めようと、チーフは転倒したワートホグを起こしていた。

「こ れ は ど う い う こ と か し ら ?」

 鬼が居た、紛れも無く鬼が居た。
 事の経緯はタバサとチーフの戦闘が始まったとこから。
 キュルケに抱えられて運ばれたは良いが、逃げてきた方向から凄まじい轟音が響いてきた。
 恐らくはタバサが放つ魔法に対してチーフが対抗したためだろうか。

「チーフッ!」
「あ、ちょっとルイズ!」

 キュルケの腕から逃れ、チーフが居るだろう場所へ駆けた。

「チー……」

 名前を叫びながら、倒れた木々を乗り越え身を乗り出すと。
 膝を着くチーフと、そのチーフに抱えられたタバサが居た。
 見つめあって動かない二人の姿を見て、ルイズは先ほど以上に激怒して今に至る。
 そのルイズ(鬼)を直視できないタバサが呟いた。

「必要だったから」
「はぁ!? 必要だったから!?」
「まぁまぁ、ルイズ。 少し落ち着きましょ?」
「は ぁ ~ ?」

 ギギギと回るルイズ(鬼)の首。
 うわぁ、とキュルケも目を逸らした。

「あんなのどこが必要だったわけ? 下手したら大怪我じゃすまなかったかもしれないのよ!?」

 別段チーフがと言うわけではなく、タバサもその可能性があったと言った。

「確かめたかった」
「何を!?」
「彼が、なぜ強いのか」
「……、どうしてミス・タバサが──」
「タバサでいい」
「──タバサがそれを確かめる必要があったの?」
「私にとって必要だから」
「必要なら他人を傷つけても良いって言うの!?」

 チーフに怪我は無い、だがもし他の人なら……。
 周囲は戦闘により、かなり酷い状況になっていた。
 木々は倒れ、大地には亀裂と陥没の跡。
 相手がチーフじゃなかったらどうなっていたか……。
 タバサの実力と共に、その状況に寒気が走る。

「……必要ならば、傷つける」

 今度は目を逸らさない、ルイズの瞳にタバサの瞳が映る。
 凄惨な覚悟、タバサの瞳は揺らめきもしない。
 ルイズも視線を逸らさず、タバサの瞳にルイズの瞳が映る。

「はいはい、そこまで」

 二人の間に割ってはいるキュルケ。

「ルイズ、どうしたらタバサの事許してくれる?」
「………」

 ルイズはタバサを見て。

「二度としないなら、許してあげても良いわよ」

 フン! と腕組みして顔を逸らす。

「と言うことよ、タバサ」
「二度目は無い」

 即答してキュルケが優しく微笑む。

「それじゃ、この話は終わりね」

 3人をよそに、横転したワートホグを起こし運転席に座って、エンジンを掛けるチーフ。

「チーフ、帰りましょ!」

 手打ちになり、ルイズは助手席に座る。

「ええ、そうしましょ」

 とキュルケが銃座の前に立ち、タバサはシルフィードに乗る。

「ちょっと! 何勝手に乗ってんのよ!」
「タバサもこっちに乗りなさいよ」
「無視すんじゃないわよ!」

 いい、と呟くタバサ。
 ほらほら、そんな事言わないで、とシルフィードからタバサを下ろしてルイズの隣に座らせる。
 文句言いつつも結局は座らせるルイズ。
 助手席に小柄な少女が二人、銃座の前に長身の少女が一人、本来3人用だがそこは何とか。
 4人乗っても、なお速度が衰えないワートホグから楽しそうな悲鳴が響いていた。

「おーい、俺は置いてけぼりかー?」


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