あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

トランスフォーマー小ネタ3

トリステイン魔法学院始まって以来の、異例の事態が発生した。

それは、2年生への進級テストを兼ねた、サモン・サーヴァントの儀式での事。
ハルケギニアの動物や幻獣を召喚し、自身の魔法の系統を定めるのがこの学院の掟である。
今年度の儀式では、誰1人召喚に失敗する者は現れず、教員であるコルベールもほっと胸を撫で下ろしていた。

だが、召喚自体は全員成功したのだが、前年度までは予想だにしなかった結果も建立した。

5人の生徒が、同じ『スタースクリーム』と名乗るガーゴイルを、それぞれ1体ずつ召喚したのである。
ここで簡単に、召喚された彼等を紹介していこう。


『俺様がこのスタースクリーム軍団のニューリーダーだ!』

ルイズが召喚したのは、実はツンデレキャラの称号を持つ航空ヘタレ参謀初代スタースクリーム。
映画などでも引っ張りだこの有名な戦闘機、F-15イーグルから変形する。
赤と青のコントラストが見る者の眼を誘い、頭は黒く、眼は悪を象徴しているのか、真っ赤に染まっている。
ツンデレと呼ばれる由縁は、破壊大帝メガトロンに幾度も刃向うも、最終的には謝り部下として従う点や、
ある時メガトロンと離れ離れになった際、再開時に非常に嬉しそうにしていた事があったからだと考えられる。


『あらやだ。あなたみたいなドジッ子に、軍団の頭領が勤められると思って?』

キュルケが召喚したのは、なんとなくスカロン店長と気の合いそうなBWⅡスタースクリーム。
実は実写版のスタースクリームに先駆けて、黒色を象徴とするF-22ラプターへと変形する。
人間で言えば性別は男だが、聴いて解るように、何故かオネェ言葉で話す。所謂どんだけぇ、である。
余談だが、BWⅡ本編では、サイバトロンとの戦いで敗れた後、何故か鮫の姿に転生した。
ビーストウォーズ、という意味では正しいが、スタースクリームとしてそれはどうかと思う、という意見もある。


『なぁ、おい、それよりもこの蜂型ボディ、どうにかなんねぇかな、ブ~ン』

ギーシュが召喚したのは、今にもやぁぁってやるぜとか叫びそうなビーストスタースクリーム。
スタースクリーム達の中で唯一、戦闘機では無く、緑色の蜂へと変形。
元居た世界でワスピーターというTFに憑依し、そのまま召喚された為にこのような姿なのである。
但し、航空参謀としての能力は健在で、見た目以上の高速移動を得意とする。
因みに、彼と初代スタースクリームは恐らく同一人物なのだが、ややこしいので今回その設定は無視。


『待ちたまえ、その前に皆でブラックアウトをボコボコにしようじゃないか』

タバサが召喚したのは、どことなく胡散臭い車のセールスマンみたいな雰囲気の実写スタースクリーム。
ラプターから変形する彼は、スタスクと呼ばれるトランスフォーマーの中で、最もクリーチャー的な外見である。
彼の世界では、メガトロンは既に行方不明の身で、故に彼はメガトロン探索期間の何万年もの間、
念願の悪の軍団の先導者として成り立つ事に成功した。部下からの評判はすこぶる悪かったが。
だが結局、地球にて復活したメガトロンに『またしくじったか』と怒られていた。


『ここは何処なんだ! アレクサは何処だぁぁぁ!!!』

モンモランシーが召喚したのは、連中の中で最もマトモな反応及び性格のアルマダスタースクリーム。
架空の戦闘機から変形する。人型形態だと、頭部に隣接した肩のブースターが邪魔そうなのが印象的である。
他のスタースクリームが、主にビーム等による射撃で戦闘に赴くのに対し、彼は剣術を得意とする。
また、先述のようにいたって真面目な性格で、人間の子供からも好かれ、彼自身も満更では無い様子。
そのためか、初代スタースクリーム程で無いにせよ、彼にもツンデレの属性が備わっていると言われている。


以上、計5名のスタースクリームが、各々別の世界から、何故か同時に召喚された
(他にナイトスクリームとか、レオザックとか、アニメイテッド顎長スタースクリームだとかがいるが省略)。
原因は、聖地やらユニクロンやらなんやらかが、ややこしく絡んでいるからだと思われる。たぶん。

あと、ギーシュやタバサやモンモランシーもスタースクリームを召喚しているため、
アルビオン脱出時とかきゅいきゅいフラグとかラグドリアン湖での惚れ薬イベントとかどーすんだ、
そもそも各自系統魔法はどうなるのか、と天の声が聞こえてきそうだが、そこは気にしない。


さて、吃驚の展開でルイズ達の2年生としての学園生活がスタートしたわけだが、
そんな彼女達の魔法学院での日常のほんの一場面を、それぞれ1組ずつ順に覗いていくことにしよう。


「まったくこのスタースクリームめ、またオールド・オスマンを脅して学院を占領しようとしたわね!」
『お、お許し下さい、ルイズ様ぁぁぁ!!!』

ある日の夜、学院宿塔のルイズの部屋にて。
ここで突然だが、トランスフォーマーに大きさの概念は無いに等しい事を事前に釈明する。なにせあの世界では、
人型からジャンボ旅客機、そして大型トラックへと変形する、物理学もクソも無い輩もいるくらいである。
なので、全長約19メートルのF-15から変形する初代スタースクリームが、
普通に部屋に佇み、ルイズにお仕置きされているこの状況は、決して矛盾ではない。
但し、かなりシュールレアリスムな光景ではあるが。
さて、初代スタースクリームにとって、ルイズがメガトロンポジションなのは明確であり、
というか、ゼロのトランスフォーマー本編とあまり変わり映えしないので、ここは敢て省いて次に移ろう。


「ミス・モンモランシのスタースクリームって、中々良い性格じゃない」
『そうねぇ、同じスタースクリームの私でも彼は魅力的だと思うわ』

ルイズと初代スタースクリームが漫才を催してる頃、キュルケの部屋にて。
ネグリジェ姿でベッドに横たわり、ネイルを弄るキュルケと、月夜を背景に部屋の窓から巨大な顔を覗かせる、
BWⅡスタースクリームが、何やら色沙汰について語り合っている。
彼女らは、使い主と使い魔である以前に、お互い気の合う性格らしく、普段から何かと男関係の多いキュルケに、
そういう類の話に割りと興味があるBWⅡスタースクリームが加担している、といった関係だ。
さて、そんなキュルケも、スティックスを始めとした、彼女を慕う男達に完全に興味が失せたらしく、
今度はモンモランシーのアルマダスタースクリームを、試しに誘惑してみようと言う魂胆を抱いていた。
意外と紳士的で、その辺の男よりも余程魅了的なのではないかと判断したのだ。

「って事で、やってみる価値はあると思うのよね」
『面白そうじゃない、協力しましょう。私に出来る事があったら何でも言いなさい』
「んー……」


――翌朝、まだ朝日が眩いアウストリの広場で、紅の巨人が棍棒を素振りしている姿がある。
アルマダスタースクリームだ。剣術を戦いの術とする彼は、
こうして定期的な鍛錬を絶やさない、根っからの武士道精神を持つ。
棍棒を素振り、といっても闇雲に棒を振り回しているのではなく、
回数を決め、縦斬り、横斬り、防御の構え等、いく種もの動きを繰り返すのだ。

この日の朝の鍛錬を終え、眠りから覚めた鳥達の囀りを聞きながら
朝日を眺めていたアルマダスタースクリームの背後に、黒い何者かが近寄った。

『誰だ』
『あら怖い。振り向きざまに棒をこっちに向けないでくれない? にしても、朝から熱心だこと』

それは、BWⅡスタースクリームであった。
アルマダスタースクリームは、掲げた棍棒を下ろし、会話を交わしつつも目線を太陽の方角に戻す。

『あんたこそ、広場をうろつくにはまだ早い時間帯だと思うが、何か用か』
『そっ。折り入って頼みたい事があるんだけど、うちのご主人様がね、今夜あなたと話がしたいって言うのよ』
『ツェルプストー、だったか? 話とは、なんの用件でだ』
『さぁ、それは私にも解らないわ。だけど5分だけで良いのよ。
 どうか、お年頃のシャイなご主人様の話し相手になってくださらないかしら?』

アルマダスタースクリームは、朝日を瞼(の役目を果たす視力装置)の裏に焼き付けながら、暫し考え込んだ。


BWⅡスタースクリームが指定した時刻、夜も更けた午後11時頃。

『ほう、年頃のシャイな少女というのは、肌着のみの容姿で客人を出迎えるのか?』

窓から部屋に巨体を無理やりねじ入れ、薄いランプの灯りの元、
ベッドに腰掛けたこの部屋の主の姿を見て、第一印象を洩らすアルマダスタースクリーム。
彼の言う通り、ネグリジェも身に着けず、隠すべき場所をどうにか隠せてる程度の幅の黒生地下着姿のキュルケが、
ランプの灯りでより光沢を放つ褐色肌を露わにし、妖艶な笑みを浮べ、腕組みをしながら巨大な客を見上げていた。

「ふふ、中々凝った物言いね。貴方、やっぱり他のスタースクリーム達とは全然質が違うわ。
 まぁ、1番は勿論私のスタースクリームだけど」
『話とはなんだ? 簡潔にすましてくれないか』
「ちょっと顔を近付けてくれる? 誰かがディテクト・マジックか何かで聞かれてても困るのよ」

アルマダスタースクリームは、ふむ、と小さく唸り、
両手と片足を床につき、ぐっと上半身を屈折させ、頭部の側面にある音声機構をキュルケの口元に近付けた。

「人間の体に、興味はあるかしら」
『……えらく素っ頓狂な』
「貴方が人外種族なのは一目瞭然だけど、貴方のいた所でも人間はいたんでしょ。
 だったら、人間の体の構造も、研究対象になったりはするでしょう?」
『つまり、君の体を私に調べて欲しい、と言う事か?』
「うーん、さすが物分りが良いわね、そゆこと。私の体なら、色んな興味深い情報が採取できると思うんだけど」
『む。むむむむ』

このハルキゲニアに、ブラジャーの概念は無い。
故に、キュルケが腕組みを解けば、彼女の豊満な胸部はアルマダスタースクリームの眼下に広がる事になる。
キュルケはにやにやと口元の線を下に曲げ、わざとらしく腕を組んだまま肩を上下に動かした。

『よ、よさないか。自分で馬鹿らしいとは思わないのか?』
「あら、女が男を惑わしたいなら、これ位の過剰演出で丁度良いのよ。
 それに貴方のような性質の持ち主なら、思われ人も少なくないんじゃない?」
『お、思われ人だと? 言っておくがアレクサはそんなのでは無いぞ! 断じてだ!』
「あれくさぁ?」
『いやいやいや、そのだな』



アルマダスタースクリームが、途端に挙動不審に陥ったその時である。

「やっぱりここね、ミス・ツェルプストー! 私のアルに何ちょっかい出してるの!?」

ドアを勢いよく開き、怒鳴りながら部屋に闖入するのは、アルマダスタースクリームの使い主、モンモランシー。
縦巻きのブロンドの髪を揺らし、少々雀斑が目立ちながらも端整な顔をこの時は歪ませ、
キュルケとアルマダスタースクリームの合間に仁王立ちし、腰に手を当てキュルケを睨む。

「やっぱりここねって、ここは私の部屋なんだから、居ても可笑しくは無いでしょ」
「屁理屈言ってる場合じゃないわよ。貴方ねぇ、いくら人間の男に飽きたからって、
 トランスナントカにまで手を出すなんて、飢えてるにも程があるわ。何考えてるのよ!?」
「あら、私はただ彼と楽しく歓談したかっただけよ? 何を勘違いしてるのかしら」
「か、歓談の格好じゃないでしょそれは!! アル、私の命令よ、早く部屋に戻りなさい!」

アルマダスタースクリームは、助かった、といった表情で、そそくさと窓から外に脱出した。
いくら物理的矛盾皆無のTFと言えど、ドアを潜って廊下を平然と歩く訳にもいかないので、
部屋から部屋への移動は、宿塔回りをぐるりと飛び、目的部屋の窓から入り込むのだ。
モンモランシーは、散々文句をキュルケに言い散らした後、ドアをばたんと閉めて部屋を後にした。
キュルケの部屋がしんと静まり返り、今度は入れ替わりにBWⅡスタースクリームが窓から室内に入り込んだ。

『失敗しちゃったようねぇ。どうする?』
「今回は身を引くわ。洪水で水責めにされるのもなんだし。それに彼、あれは絶対折れない精神の持ち主ね」
『あらま、諦めの早いこと。でもそのさっぱりとした性格、貴方らしくて好きよ』
「ありがとっ」

キュルケとBWⅡスタースクリームは、からからと笑い合った。
仲の良い姉妹に見えなくも無い。


「ったく、ミス・ヴァリエールが嫌う理由も解る気がするわ。ほんと、見境無いんだから」

一騒ぎあった後、モンモランシーの自室にて。
赤や緑のカラフルな液体の入った数本のフラスコを片手に、香水の調合例が書かれた本を確認し、
ぶつぶつとキュルケへの不満を洩らしながら、新作の香水作りに没頭するモンモランシーと、
その様子を胡座をかいて見下ろす、アルマダスタースクリーム。
彼は、自身の黒い顔面を指でぽりぽりと掻き、不機嫌な使い主にどう接すれば良いか判断に迷っていた。
しかし、そんな心配は無用だったらしい。モンモランシーの方から語りかけてきた。

「いいわね、アル。2度とあんな色ボケに引っ掛かっちゃ駄目よ?」
『いや、引っ掛かったつもりは無いんだが……。心配をさせたのなら、謝っておこう。すまない』

アルマダスタースクリームの素直に頭を下げる仕草に、モンモランシーは思わずクスリと微笑み、
香水作りの作業を休め、彼女も頭を軽く頷かせ、
上目遣いでアルマダスタースクリームの表情を窺い、以前より気になっていた事を問うた。

「ところで、さっきもドア越しに聞こえてたけど、貴方って、よくアレクサって言うわよね。誰なの?」
『え、いや、その、アレクサは、あー』
「隠さなくてもいいわよ。私が勝手にここに呼び出しちゃったんだし、
 向こうの世界に残してきた子だっているんでしょ?」

向こうの世界。
アルマダスタースクリームは、遠い過去を思い出すような、寂しげな表情で、手の平を見つめる。
デストロンとサイバトロンの、思い返してみれば無駄な戦い。真の敵がサイバトロン以外にある事実を、
そしてサイバトロンや、人間達と手を組み、トランスフォーマー達が1つとなって、
その真の敵と戦うべきである事を、アルマダスタースクリームは、メガトロンになんとしても伝えねばならない。
だが、そんな義務を持つ彼が、何故土壇場で異世界になど召喚されたのだろうか。
その答えは、今は見つかりそうに無い。
そして、人間であるアレクサの事も、まぁ、その、なんだ。

『残してきた、か。その表現は語弊がある。向こうは私の事をデカブツとしか考えて無いんだからな』
「そう思ってるのは、アル、案外貴方だけかもしれないわよ」
『む? 私だけだと? 何故なんだ、意味が解らん』

あくまで誠実に、且つ何処か抜けた返答をするアルマダスタースクリームに、
モンモランシーは、僅かに溜息をついた後、鈍いわね、そのアレクサって子が可哀相。
と呟き、また使い魔の顔に微笑みを送った。


さて、召喚の日から何日かが経過し、スタースクリーム達による騒々しさも一定の安定感を保ってきた頃。
この日、大地を照らす太陽の下、実写スタースクリームラプター形態が、
時速で言えば約280リーグの速度で、上空3千メイルを飛行している。
そのコックピット内で、使い主であるタバサが、比較的優雅に読書に耽ていた。
風竜に跨るのと違い、ラプターのコックピットには座席もあるし、屋根もあるので風に煽られる事も無い。

この使い主と使い魔が向かうのは、ガリアの首都、リュティスに位置する、プチ・トロワ。
ラプターもとい実写スタースクリームを使い魔にして以来、タバサの移動手段は飛躍的に進化した。
トリステインとガリアの国境も、音速に近いスピードで難なく上空を通過出来る。
出頭命令を受け、そしてプチ・トロワの主イザベラの下に辿り着くまでの時間が1層も2層も短縮された。
だからと言って、イザベラのタバサへの態度が急変するワケでも無いが。

この日も、小宮殿の前庭に着陸し、実写スタースクリームに待機命令を下し、王女の部屋に足を運び、
定番となった‘歓迎’を、無言で受け入れ、蒼い髪に粘着した腐った卵の黄身を嫌がることも無く、
冷たい表情のままイザベラの目の前に立ち止まるタバサ。
イザベラが、そんなタバサの姿に、毒気を咬ましてやろうと何か言いかけたその時だった。

『いい加減、私の主人をいいように扱使うのは控えてくれないかな?』

兵や護衛ガーゴイル達の制止を振り切り、宮殿内に侵入した実写スタースクリーム(繰返すが物理的矛盾は無視)が、
カーテンからその醜い頭部を覗かせ、王女の部屋に堂々と足を踏み入れながら、
派手な行動とは反対的に、落ち着いた口調でイザベラに話しかけたのだ。
さすがのタバサも表情は変えずとも、若干驚き、実写スタースクリームをイザベラに近付かせないように、
杖を構えて実写スタースクリームの前に立ちはだかった。

「何故、来たの」
『それは当然、私の慈愛なる貴方が、これ以上任務に苦しむ姿を見たくないからではありませんか』

一見、それは使い主の身を案じた心優しい言葉に聞こえる。
だが、例えば針をオブラートに包み隠す場合、隠そうとするあまりオブラートを必要以上に枚数を重ねてしまうと、
逆に針の存在感を浮彫りにさせてしまう。
実写スタースクリームの態度も、まさにそんな擬装の精神を絵にしたような姿であった。
人間は、消耗品である。イザベラの与える任務が原因で、タバサが万が一使い物にならなくなったら、
今後彼女を利用してのハルケギニア侵略が困難となる。ならば、無用な労力は避けさせた方が良い。
それが、彼の目論みであった。

「お前が、スタースクリームとか言う人形娘の使い魔かい? ふざけてんじゃないわよ!」
『ふふふ、そうやって威張れるのも今のうちだよ、お嬢さん。
 私の後ろには有能な部下達が控えてるんだからね』
「はぁぁぁ!?」
「他のスタースクリーム達の事?」

タバサの問い掛けに、実写スタースクリームは人差指を左右に振り、嫌味ったらしくその疑問を否定した。

『大方、我々以外にも誰かしらがこの異世界に居たりするんだろうね。バリケードとかブロウルとか。
 例え離れていようと、同じ世界にいるならば、私が集結命令を電波で発し、すぐにでもここに呼び出せるのさ』

得意げに語った後、実写スタースクリームは、イザベラを蛇の如くな目付きで睨み付け、
彼女がその眼光に僅かに怯んだのを見て、不敵ににやけると、右手を掲げ、耳を劈くような大声を上げた。

『こちらスタースクリーム、ディコセティプン集結せよ!』



一刻の沈黙の時が、宮殿を静寂へと誘った。
実写スタースクリームは、回りを見渡し、白けるタバサや、口をあんぐりと開口するイザベラの姿を確認し、
僅かに頭を傾げ、腕を組み、再び口を開いた。

『訂正する。こちらスタースクリーム、ディセコプティン集結せよ。
 いや待て、こちらスタースクリーム、ディプコティセン集結せよ?
 違うなぁ、こちらスタースクリーム、ディティプセコン集結せよ…
 うぅんむ、こちらスタースクリーム、ディコディコプン集結せよっ』

またも、一刻の間。
そして、今まで紳士を装っていた実写スタースクリームが、ついに素の姿を表し始めた。

『ちぃっ、ディコプコティン……じゃない、ディプコセティン……あ゛ぁぁぁ、これも違う!
 記憶装置がイカレやがったか!? クソッタレめが!! ファッ(以下米国的放送禁止用語連発故規制)』

「人形娘」

イザベラが、タバサを手招きする。

「あんたの使い魔がイカしてイカれてるのは、よぉく解ったから、さっさと摘み出せ」

その命令に、タバサは素直に従い、喧しい実写スタースクリームにウィンディ・アイシクルを放った。


所変わって、ここはトリステイン学院のヴェストリの広場。
ここでギーシュとビーストスタースクリームが、並んで地面に腰を降ろし、特にやる事も無くて暇を弄ばせていた。
ギーシュが薔薇の造花を、魔法で消したり出したりしてる横で、ビーストスタースクリームが口を挟む。

『なぁ、暇だしよぉ。とりあえず、ここで誰かと決闘するか?』
「はぁぁ? 何を唐突に言い出すんだい」
『先ずは食堂行って、下級生にナンパして、メイドに香水拾われて、モンモランシーに嫌われて、んで逆上』
「僕はそんな器の小さな男じゃない!」
『そいで決闘の時はだな、ワルキューレを8体も9体も出して相手を翻弄するんだ』
「僕が出せるのは7体までだってば! 何度言ったら解るんだい?」
『怒るなや、冗談に決まってんだろ。……しかし暇だな、ブ~ン』
「それには同意しよう」

結局その日は、日が暮れて夕食の時間になるまで、2人仲良く日向ぼっこに精を入れたのだった。


さて、これまたそんなある日。

ルイズの婚約者と名乗る男を目にした、初代スタースクリーム曰く
『いけすかねぇ野郎だな、俺達でシメちまうか』

BWⅡスタースクリームから言わせれば
『髭の生やし方のセンスが劣悪ねぇ、あー趣味悪いったらありゃしない』

ビーストスタースクリームの意見は
『悪い意味で俺達に似てるよな。頃合を見て反逆しますってツラだぜありゃ』

実写スタースクリームによると
『ふむふむ、データを見るに、彼はマザコンらしいね。加えて、ロリコンときた。オオゥマイスタァァ』

アルマダスタースクリームに到っては
『このワルドとやら、邪険に満ちている! 今すぐに葬らないと、何れ巨悪へと変貌してしまうに違いない!』

と、スタースクリーム同士にしては珍しく意志合致し、そのノリで、
まだ何もやってない初対面のワルドを袋叩きにしたため、当然ながらルイズは憤慨し、
危く虚無の魔法で消滅させられそうな騒ぎになったが、
キュルケやモンモランシーの説得、そしてオールド・オスマンの計らいで、
スタースクリーム全員に、トリステイン全校生徒分の制服及び、下着の洗濯の罰を下す事でなんとか納まった。

人を1人殺しかけたのにその程度で済んだかのか、と思われがちだが、実はそれが存外大変な作業であった。
巨体のスタースクリーム達が、人間用の、それも高級素材のデリケートな制服や下着を、
普段はメイドが使用する洗濯場でちまちまと洗う故、異様に骨が折れるのだ。

嫌そうな顔をしてぶつぶつ文句を言う初代スタースクリームと、
それと対照的に、これといって不満を漏らさないアルマダスタースクリームが、水場での衣類洗いを担当。
ビーストスタースクリームは、蜂特有の4本の腕を巧に使い、洗い終えた衣類を生徒ごとに分担し、
実写スタースクリームとBWⅡスタースクリームが、それを干していった。
だが、朝早くから開始しても、量が量なので、何時間も休まず作業するものの一向に洗濯物の山は減らず、
午後3時頃、ついに彼等のチームワークに乱れが生じた(というか、ここまで持ったのが奇跡的だとも言える)。


『やろう、ぶっころしてやる!』
『きゃあ、じぶんごろし』

案の定、不満の頂点に達した、血眼(元々赤目だが)の初代スタースクリームが、左手で洗濯板を振り回し、
さらに右手でナルビームを乱射、修羅の形相でBWⅡスタースクリームを追っ掛けまわしている。

『やめるんだ。じぶんどうしのあらそいは、かくもむなしきかな』

常識と良心を併せ持つアルマダスタースクリームが、それに割って入り、2人を宥める。

『なるほど、エネルギーがきれかけると、気があらくなるのだね』
『はやく洗濯やってワインのもうや』

と、実写スタースクリームとビーストスタースクリームが、然も他人事のように騒ぎを傍観。
尚、彼等の音声機構に若干の劣化が確認される理由は、エネルギーの残量と相互しているからだと思われる。


とまぁ、こう言った具合で毎日が進んでいく為、トリステイン学院に退屈な時間が訪れる事は無い。
「騒ぎたいなら、おいでませ魔法学院」という一種の諺のような言葉まで、巷で使われ始めた有様である。


最後に、使い魔品評会での一興として行われた「スタースクリーム人気投票」の結果をここに載せよう。

第1位、アルマダスタースクリーム。
当然の結果と言えよう。2位との差は大きい。

第2位、BWⅡスタースクリーム。
喋り癖は如何ともしがたくとも、性格自体は気さくな部分もあるので、この順位に落ち着いた。

第3位、ビーストスタースクリーム。
稀に、「ぼくちん、間違えちゃったんだブ~ン」とおどける姿(二重人格と言う噂も)が女生徒の心を掴んだ模様。

第4位、実写スタースクリーム。
内面のギトギトさはスタスク中随一だが、それを覆い隠す外面部分に見惚れた者が何名かいたらしい。

第5位、初代スタースクリーム。
見事、ぶっちぎりで最下位であった。


「1票て! あんた、1票てなんなのよ! 情け無いったらありゃしないわ!」
『へぇ、1票はあったのか。待てよ、その1票って、誰が入れたんだ?』
「う、うるさいうるさいうるさい!」

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