あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの看板に偽り有り-05

平等で理性的な法律。人権思想。命を大事にする文化。
それらが近代の賜物である事を、我々は忘れがちだ。
異文化どころか異世界であるハルケギニアにおいて、秩序とはすなわち力である。
そもそも国家という物からして現代日本の認識とは大きく異なる。
中世ヨーロッパがそうであるように、国家とはつまり軍事力の集合体に過ぎない。
基本的な構造として、身の安全を求める平民が軍事力を持った貴族の元に身を寄せ合う。
この場合の見方として、彼等は統治者と言うよりも庇護者であった。
無力な農夫達を守る力無くば見限られる存在。その代わり、彼等を守り続ける限りその生産物の一部を献上されるのである。
だが、貴族同士の間でも戦いは起こり、力の差は歴然と有る。
また村同士の水争いや他民族の略奪、ハルケギニアにならばモンスターや亜人により襲撃などの危険もあった。
それらを撥ね退ける手段として、力の無い小貴族は連合したり大貴族の配下になる事で庇護を受ける。
ここで間違ってはならないのは、それらはあくまで契約に過ぎず、
連合体や大貴族の能力が十分で無いと感じれば冷静に配下である事を止めて別の主人を求めるのが常であった。
日本人的な御恩や奉公、忠誠と言った価値観は、無では無いにしても薄いのが中世ヨーロッパという世界である。
ともあれ、その集合体の最大規模のものが、つまるところ国家である。
戦う事だけが貴族の価値とは、つまるところそう云う即物的な意味によるのだった。
また、ヴァリエールのような大貴族というのは、要するに領地を守る力が強い者だと言う事だ。
ただし、地球の場合とハルケギニアにある最大の差異はつまり魔法の存在。
中世ヨーロッパにおける貴族が、平民を守るための軍事力として行使したのが私兵の力であったのに対し、
ハルケギニア貴族の軍事力は個人の魔法による強力な攻撃力。
それが外敵から平民達の共同体を護り、大貴族として配下の貴族から信望を集め、国家を形成するための原動力となる。
集団の中から戦士階級が誕生して貴族階級を生み出した地球の場合とは異なり、
始祖ブリミルから誕生した魔法が上意下達的に国家を形成したのがハルキゲニアの貴族であるため、
大枠である4つの国家は6000年という年月を経て存在し続けているが、
それは結局王家が強力なメイジを排出するからという単純な理由に他ならない。
貴族とは戦力であり、戦力は魔法であり、ならば貴族とは即ち魔法。
一人一人の持つ魔法の強さこそが、そして魔法の強さのみが、貴族の価値とも言える。
戦わなければ生き残れない。
強くなければ生きる意味が無い。
それこそがハルキゲニアの貴族。それこそがハルキゲニアのメイジ。

今ここに、剣を構えた魔法を使えない大貴族と、超巨大ゴーレムを操る貴族軍人の死闘が始まろうとしていた。

<ゼロの看板に偽り有り>

「殺っちゃうのねギーシュ!
ストレスやコンプレックスを魔力に変換して爆発的なチカラを使えるようになる悪魂、イービル・ソウルのパワーで、
その魔法少女をペッコンペッコンに粉砕しちゃうのねー!」
「問題無い。あの巨体さえあれば、どんな相手でも簡単に倒せる」

本塔外壁の影から、ギーシュと魔法少女ソーサル・ゼロの戦いを見ながら呟くシャルロットちゃん。
いや、見ながらと言うか、戦場は見ずになんか本を読みながらである。
エキサイトしてるのは、お供の小動物シルフィーだけだったり。
本来はギーシュを暴れさせる事によりドクロ仮面をおびき寄せ、その能力等を確認する予定だったのだが、
こうして思わぬ伏兵に遭ってしまった。
しかしシャルロットちゃんの表情に焦りや動揺はまるっきり無い。
上司のラディカル・ガリアに言われたからやってるだけで、本人的にはどーでも良いからだ。
だから趣味の読書に没頭中。
シャルロットちゃんは仕事熱心では無いタイプの魔法少女である。

ともあれ、学院生徒はもうちょっと戦いに注目している。
突如現れた謎の幼女とギーシュの戦い。
しかし、あんな巨大ゴーレムに、平民の武器である剣などて対抗できるとは思えない。
まだ服を着ている生徒達は口々に、女の子逃げろだとか、幼女の全裸キボンヌハァハァだとか叫んでいる。
しかしソーサル・ゼロは一歩も引くつもりは無かった。
なんか虚無パワーの副作用で身体は小さくなってしまったルイズだが、謎の「おしゃま力」は今こそ最高潮である。

みなぎる力を剣に込め、グルグル目のギーシュに向かって見得を切る。

「さあかかって来なさいギーシュ! 私の剣がズンバラリンよ!」
「その言葉、ペシャンコになって後悔したまえ! 行くぞワルキューレ!」

ガオーンと一声上げて、ワルキューレが組んでいた腕を解く。
その瞬間―――肩からベキリと音がして腕が外れて落ちた。

「重すぎたんだ。壊れてやがる―――」

戦慄したように呟くギーシュの言葉が虚しく風に流される。
もちろん地上は阿鼻叫喚。

「馬鹿ヤローゥ! こんな迷惑なモン落すなあぁぁ!」
「マリコルヌが! マリコルヌが下敷きになってミンチ肉にっ!?」

命運途切れたぽっちゃりさんを余所に、ギーシュが歯軋りをして魔法少女を睨みつける。

「おのれソーサル・ゼロ! よくもボクのワルキューレを!」
「いやその、私は別に何もしてないんだけど。
ってゆーか、冷静に考えたらこんなモン自重に耐えられるワケが無いって判るわよね?」
「うるさーい!! くらえっ、ワルキューミサイル!!」

ギーシュの叫びと共にワルキューレの胸部装甲が開く。
開いた装甲はまたも自重に負けて地上に落下して下は大騒ぎになるが、問題はその下から現れたモノだった。
それはハルケギニアには存在しない系統の兵器だったが、ルイズは本能的に理解する。
すなわち、おっぱいみさいる。
それも砲弾の直径が20メイルを越える、肌色でピンクのポッチも再現された超巨大おっぱい弾であった。

「や、やめなさいよギーシュ! それ、もうオチとか予想できたから―――」
「おっぱいバーストオォォォォ!」

ギーシュがズビシを手刀を振り上げるやいなや、発射されるおっぱいみさいる。
まぁ当然ながらその重量たるや、後ろからショボく噴射される炎の推進力程度で飛ぶようなモノでは無い。
ソーサル・ゼロことルイズが予想した通り、ドカンと飛び出たおっぱいは学院に向かって落下してゆく。

「馬鹿なっ!? この攻撃すら防ぎきるなんて!?」
「だーかーらぁ! 私はなにもしてないでしょーがっ!!」

暢気に叫ぶ二人とは裏腹に顔を青ざめさせたのは地表の生徒達だ。
あんなのが落ちてきて爆発なんかしたら、全員死亡は間違い無い。

「くっ、こーなったら―――マジカル・ブレード!」

ルイズの虚無力が「オシャマちから」に変換されてデルフリンガーに注ぎ込まれた。
溢れる魔力に刀身はピンクに光輝き、更にその姿をより長大に変えてゆく。

「一刀消滅……ギガント・ブレード!!」

ワルキューレの身長にすら近づいた、ちょー長い剣を一気に振り下ろすソーサル・ゼロ。
その切っ先がおっぱいみさいるを両断するかと思われた時、誰もが驚く現象がおこる。
ピンクの光に、みさいるが食われたのだ。
音も無く、触れた部分を中心に消し去られる巨大なおっぱい。
それこそは虚無魔法エクスプロージョンの力を込められた魔剣の威力であった。

「これは、正に伝説の虚乳魔法!」
「凄い! 私達助かったのね!」

「いや―――でもダメだあぁぁぁ!」

しかしルイズがウッカリ忘れていた事が一つ。
おっぱいは二つ揃っておっぱいである。
つまり、ソーサル・ゼロが消したミサイルの他にもう一つのミサイルが当然あったのだ。
学院へ向けて落下してゆくおっぱいみさいる。
落下地点は学院本塔。
崩れれば中や下に居る人間が無事ではすまない。
そして、そこで本を読んでいた魔法少女もまた。

「――――――つっ!?」
「いやー! なのねー!」

その事に気が付いて蒼白になるシャルロットちゃん。
お供のシルフィーは驚いて飛んで逃げようとした所を、シャルロットちゃんにグワシとシッポを掴まれてしまったり。
地表では同じく蒼白になるモンモランシー。
多くの貴族達が、各々におっぱいによる圧死を覚悟していた。

「うおおおおおおおおおお」

その、瞬間。

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」

巨大な物体に対抗するにはあまりに小さな人影が、地表から飛び上がっていた。
真紅のマントを翻し、陽光を反射する透明ポッドの中には不気味なドクロ。
赤いブーツを履いた右足が、一直線に天へと向かって飛び、そして穿つ。
なんと言う奇跡であろうか、物理法則すら蟲するようなその威力によっておっぱいは方向を変えた。
学院を逸れ、塀の外の草原へと地響きを立てて落下するおっぱい。

「ここの人々はこの私が守るっ!」

土煙の中、塔の外壁の彫刻の上にすっくと立って宣言するドクロ仮面の雄姿。
その背中を影に隠れていたシャルロットちやんが呆然と見ている。

「な……なんてヤツだ、ドクロ仮面ッ!」

憎い恋敵の宣言に奥歯を噛み締めてギーシュが言う。
その眼前に、飛び込んでくるピンクの幼女。

「この私を―――」

振り上げたるはピンクに輝く魔剣・デルフリンガー。
桃色の魔力光を放つ翼を背中から噴射して、風より早く突撃してきたソーサル・ゼロは、大上段から剣を一閃する。

「―――忘れてるんじゃないわよおぉぉぉぉ!!」

閃光が地表の生徒達の眼を焼いた。
誰もが眩しさに目を閉じる。
その光が収まった時、既に150メイルゴーレム・ワルキューレの巨体は消えていた。
いや、それだけではなく、ドクロ仮面の姿も消えている。
ポツリポツリと、デカくて深い足跡だけが残る中庭に集まってくる生徒達。
全裸にされて慌てて服を着替えてきた私服の生徒の姿も多い。
その中心で、ギーシュ・ド・グラモンが倒れ伏していた。

「お、おのれぇ、ドクロ仮面とソーサル・ゼロめぇ……」

ヨロヨロと立ち上がったギーシュの前には、長剣を地面に引きずった魔法幼女の姿。

「くっ、まだボクのワルキューレは―――」
「マジカルヤクザキック」

薔薇の造花を振り上げるギーシュの向こうスネに、ヒネリを加えたソーサル・ゼロの蹴りがブチ込まれる。

「ぐはっ!?」
「マジカル鞭」
「ぎゃんっ!?」
「マジカル目突き」
「ずぐわっ!?」
「マジカル脇固め」
「ギブギブギブギブッ!」

スネを抱えて転がったギーシュに淡々と叩き込まれるマジカルな技の数々。
二人を取り囲んだ生徒達は、そんなマジカル折檻を呆然と見つめている。
最初はギーシュへの怒りも顕に「やっちまえ」とか叫んでいた生徒達も、あんまりにあわれな姿に次第に黙っていった。

「マジカル金的キック―――浄化!」
「リフレエェェェェェェェッシュ♪」

せつない部分を蹴られたギーシュが、イイ笑顔で光り輝いて1回転して、そのまま倒れた。
ヤバい顔色でブクブクと泡とか吹いてる姿が悲惨である。

「これでギーシュは元通りよ。彼は悪魂、イービル・ソウルによって操られていたんだわ。
だからみんな、ギーシュを憎まないであげてちょうだい」

剣を担いだ幼女が、慈愛に満ちた聖女の瞳で倒れた少年を見下ろして言う。
とって付けたようなセリフに、周囲の生徒達はドン引きだった。

「じゃあみんな、夢と希望を忘れないでね! とうっ!」

シュバっと飛び去って姿を消す魔法少女ソーサル・ゼロ。
誰もが呆然とその姿を見送っていた。
いったいなんだったんだろう?
誰にも答えられない疑問が全員の脳に去来する中、ヨロヨロとギーシュが立ち上がる。
ちょっと内股ぎみで。

「うう、ボクはいったい……ここは何処だい?」

その目はもうグルグルでは無い、普通の状態になっていた。
かくして終わった一つの事件。
けれどこれは、更なる事件な日々の始まりなのだと、居並ぶ生徒達の誰もが感じていたのであった。


第五戦
――○ソーサル・ゼロVS巨大ワルキューレ●――決まり手はデルフストラッシュ
新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん、第六話へ続く!

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