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つかいま1/2 第四話 断じて認めん

早乙女らんま(女乱馬)が異世界ハルケギニアに召喚されて、1週間あまり経った。
もっとも、この世界の1週間は8日で、一ヶ月は4週、つまり32日もあるのだが。
今日は召喚から2度目の『虚無の曜日』、つまりは休日である。

「じゃあランマ、約束どおり、都のトリスタニアへ行きましょうか。
 機嫌がいいから、予算100エキュー以内で好きなもの買ってあげるわ。武器なんかどう?」
「やったー、ご主人様太っ腹、いやお金持ちー」
ひとまず厩舎へ向かう二人。そこへ、長身のグラマーな美女が通りかかる。

「あら、ルイズにランマじゃない。どこ行くの?」
「キュルケ……ちょっと、トリスタニアへね。ランマが行きたいっていうもんだから」
「へ~、優しいとこあるじゃない。私とタバサもついて行くわ」
「タバサ? 変な名前」
「猫みたいでしょ、でも強いメイジで、私の友人よ。……ほら、挨拶しなさいよ」
「……タバサ。よろしく」

猫と聞いてらんまはびくっとしたが、現れたのはルイズやらんまより、さらに身長の低い女の子。
どう見ても小学生だ。青い髪で可愛いが、暗いし無口で、本から目を上げようともしない。
「こう見えて、風の『トライアングル』よ。使い魔だってほら、呼んでみせて! こんなに凄いの」
キュルケが自分の事のように自慢する。

タバサが合図すると、ばっさばっさと羽音がして、でっかい有翼のドラゴンが降りてくる。
「シルフィード。風竜の幼生」
「ほえー、すげぇなぁ。そういや何度か見たことあるぜ。トライアングルって、強いんだろ?」
タバサは無言で肯く。らんまが貴族にタメ口なのは、しょうがない。

「そんじゃー、この子に乗って行かない? 馬の数十倍は速いわよ。ものの数分でトリスタニアに着けるもの」
「むむむ、ランマも敵いそうにないわね……のんびり行ってもいいけど、あっちでゆっくりしたいし。
 いいわよ、乗せてくれる? タバサ」

かくして、4人は仲良くシルフィードで王都へ向かった。


らんまが巨大生物に乗って空を飛ぶのは、確かパンスト太郎と協力して阿修羅と戦った時以来だろうか。
しかしあんな小さな鶴の羽根で、物理的にあの巨体が飛べるはずないのだが、まあいい。
あっという間に一行は、トリスタニアに到着した。

「で、どうするの? 武器屋へ行く?」
「武器持って街ん中うろちょろしていーのか? 重たそうだし、後でいいよ」
「軽い武器ならいいんじゃない? この頃盗賊が出て物騒だし、従者を武装させている貴族も増えたわ」
「盗賊ねぇ、あの『土くれ』のフーケでしょ? 上級メイジに剣なんか無駄よ」
「……メイジでも、油断すれば、平民に殺される」

ずーん、とタバサの一言で場が重くなる。
「ま、まずはお茶にしようぜ! 俺はカネ持ってねーから、おごって下さい貴族様」
「はいはい、可愛いランマちゃんの頼みだもの。この『微熱』のキュルケがおごってあげる」
「じゃー、私たちのもついでに出してよ。成金ゲルマニア女」
「はいはい、『ゼロ』のルイズはお財布の中身も少ないのね」

口論はあったが、ブルドンネ街の高級カッフェで、4人はお茶とお菓子を注文する。
「はーい、紅茶お持ちしました……ああっ!?」
つまずいてすっ転んだウェイトレスが、熱い紅茶をらんまにぶちまけようとする! お約束だ。
「ランマ、危ないっ!!」
「でぇっ!?」
ぱしぱしぱしっとらんまは紅茶カップやポットを空中でキャッチし、どうにか零さずお盆に戻す。
「あ……あっぶねぇ~~、シエスタさんに借りた女物の服着てるし、男になってたら変態扱いだぜ……」
おーーーー、ぱちぱちぱち、と拍手が起こり、おひねりも投げられた。

「へへっ、これでお茶代が浮いたな。気をつけろよ」
「は、はいっ! ありがとうございます、貴重なお茶だったので」
「貴重?」
「『茶』は遥かな『東方』の特産品で、結構高いのよ。あんたには珍しくないかも知れないけど」

今更ながら、ここは異世界なんだなぁ。高級店とは言っても、お茶がそんなに高いのか。
らんまは、日本の番茶やほうじ茶が恋しくなった。


一方、地球の日本国、天道家の茶の間では。
「乱馬が失踪して、もう10日にもなるわ……なにか、なにか手がかりはないの!?」
「手がかり、か……総力を尽くして捜索しとるんだが……くぅ~~っ、乱馬くんカムバーック!」

家族一同に加え、乱馬の知り合いが何人か集まり、連日会議を開いている。
ふと白髪の小さな老婆・コロンが何かを思い出す。
「……ううむ……もしや、婿殿はあの鏡に吸い込まれたのでは……?」
「鏡!? おばあちゃん、何の事!?」
「ああいや、古い中国の伝説に過ぎぬし、本当にそうなのかは全く分からんが……」
「何でもええんや、話してんか! 直感が真実かもせーへんし」
「そうある! きっと何かのヒントにはなるはずね!」

コロンは大きな目をつぶり、語り始める。
「そうじゃのう……原初に盤古が天地を開いてから、数万年。
 今から約六千年前の、中国の神話的な帝王・三皇の時代のことじゃ。
 ある帝王が『鏡』というものを発明したとき、それは様々な異世界と繋がっておった。
 また時には意志を持ち、人畜を吸い込んで栄養とする妖怪鏡も存在した。
 その時『武離魅瘤』なる聖人が現れ、弟子たちを連れて鏡の中へ飛び込み、多くの妖怪を滅ぼした。
 じゃがこちらの世界の帝王は、彼の威勢を恐れて鏡に呪術を施し、彼らを封印してしもうた」

「最初からそうしてたら、ええんちゃうか」
「古代神話につっこんではいかん。
 以来、鏡の世界は出入り口を失い、両世界のつながりは絶たれた。
 そこで聖人はかの世界『発流刑銀』を統一して帝王となり、子孫を残した。みな魔法を使える人間じゃという。
 彼らはしばしば、特に春になると、短い間じゃが『魔法の鏡』を作って現実世界と向こうをつなぎ、
 異世界『発流刑銀』へ人間や動物を引き入れて下僕とするというが……」

「それが、乱馬をさらったっていうの? でも、古い伝説の話でしょ」
「……実は、そうでもない。噂によるとごく最近、ここ東京の秋葉原の路上に『鏡』が現れたそうでな。
 しばらくすると消えたらしいが、誰かが知らずに触れて、引き込まれたかも知れぬ……」

なるほど、手がかりにはなりそうだ。だが、どうせよと言うのか。
「その鏡がいつどこに現れるか、もしくはどうすればこっちから呼び出せるか……ってことか」
天道家の次女・なびきが推理する。ちなみに声優は高山みなみである。


再び場面はハルケギニア、トリステイン魔法学院。
結局、らんまは武器として『棍棒』を選び、ルイズとキュルケにカネを出して買ってもらった。
西遊記の孫悟空が持つような、鉄製の重い武器だが、なぜか軽々と自在に操れる。
それにらんまが武器を持つと、左手の『ルーン』が輝く。その効果らしいのだ。

「へっへー、俺にぴったりだぜ。刃物だと人殺しになりかねねーし、これなら手加減できるだろ。
 本当の武器は己の肉体だけど、こればっかりに頼っててもまずいしな」
「ええ、確かに立派な『武器』よ、ランマ。そのカラダは」
「……いやキュルケ、そーゆーつもりで言ったんじゃねぇよ。おいルイズ、タバサ、そんなに睨むなっ」


その夜。魔法学院の学院長秘書、ミス・ロングビルが宝物庫を調べている。
「……予想以上に堅牢な魔法障壁……これじゃ、ゴーレムでぶん殴っても無理っぽいわね。
 伝説の魔剣『デルフリンガー』、本物なら六千年前のブリミル時代の品で、値段なんかつかないお宝。
 絶対手に入れてやるわ、この『土くれ』のフーケ様がね……」

見れば、中庭ではランマとか言う平民の小娘が、棍棒の素振りをしている。
なかなか鋭い動きだ。人間というのは、訓練次第でこういう面白い動きも出来るのか。
「けど、魔法の使えない平民は、メイジに絶対敵わないわ。ご苦労なことよね」
ロングビルは悪そうに笑みを浮かべ、自室に戻った。計画を練り直すだけの時間はある。
あの妖怪セクハラじじい、オールド・オスマンにも天誅を加えてやらねば。

「いい年こいて下着泥棒で捕まるよーな変態じじいに、いつまでも仕えるのもイヤだし。
 さっさと魔剣を手に入れて、じじいを踏み潰してからおさらばと行きたいねぇ」


さて、ルイズの部屋。ベッドでごろごろしていたルイズはふと、思いつく。
「……ねえ、ランマ。ひとつお願いがあるの」
「なんでい、ご主人様。お願い?」
「うん、ちょっとお湯を、私の目の前でもう一度だけ被ってみせて。
 本当にお湯と水で変身するのか、確かめたいの。あんたのコンプレックスだってことは承知の上よ、悪いけど」
「……ま、武器も買ってもらったし、減るもんじゃねーしな。いいぜ、お湯と水を汲んでくる」

らんまは厨房に行って、お湯を沸かしてもらった。水もバケツに汲んでくる。
「それと、タライにタオルだな。行水を使うと思えばいいか」


「よーし、見てろよっ」
らんまはタライに入るとトランクスだけになり、お風呂ぐらいにぬるくしたお湯を、じゃばっと被る。
たちまち、らんまは凛々しい男(乱馬)に変身した。ルイズが目を丸くする。
「どーだ、男前だろっ。俺けっこーナルシスト、自分に酔う性向があるかんなー。
 女の体も男の体も、実は気に入ってんだ。男になれば力が強くなるし、女になれば皆がちやほやするし」
「便利っちゃー便利ね。でも、変態みたい」

がくっと乱馬がこける。
「うるへー、元々好き好んでこんな体質になんねーよっ。俺が落ちたとこはまだマシだったぜ。
 昔その泉、もとい温泉で溺れた『生き物』に変身するんだが、パンダって熊の一種になるとことか、
 仔豚になるとこ、猫になるとこ、アヒルになるとこ、双子になるとこ。
 ひっでーのになると、ウナギと鶴を持って牛に乗った雪男が溺れてて、落ちると牛頭の悪魔になるとことか、
 水に棲むはずのタコが溺れたなんちゅーとこもあったなぁ」

ルイズの知的好奇心が刺激される。これは面白い。
「アカデミーの研究員に見つかったら、バラバラにされそうね。
 ぬるま湯かけたらどーなるのかしら。水かけてー、お湯かけてー、水とお湯を混ぜたのをかけてー……」
「人の体をもてあそぶんじゃねぇっ! ぬるま湯でもお湯だし、ある程度体にかかれば男にはなるよ。
 女か男のどっちかにしかならねーの。俺も最初、いろいろ試したし」
「女の子になる温泉は、なかったの? すぐにそこに入ればよかったじゃない」
「あいにく、そこだけ枯れててな……」

あれこれ実験しているうち、部屋の床がぐぐっと盛り上がり、大きなモグラと金髪の変態が顔を出した。
「ルイズ! おさげの女! 僕にはやっぱり、どっちかを選ぶことなど……え?」
「げっ!?!」「きゃああああ?!?」

運悪く、乱馬は男の姿だった。それもパンツ一丁で、ルイズの部屋で行水中。
「……けっ、けしからん!! なんたるふしだら、破廉恥、不埒者!!
 自室に男を連れ込んで裸にして、なななななにをしているっ、ルイズ・フランソワーズっ!!
 そのようなこと、断じて認めん!! このギーシュ・ド・グラモンがっっ!!」

「ちょ、違うのっ、彼はランマよ、おさげの女なのっ! ってゆーかギーシュの方が不埒者よ、常識的に考えて!」
「げっ、もう水がないっっ!!? いいいやギーシュ、これはだな、つまりそのー」
ぐぐぐっ、とギーシュが拳を握り締める。人の話を聞くようなら、こんな変態には育たない。

「決闘だ!! おさげの男、貴様に決闘を申し込む!!」

(続く)

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