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双月の女神 第八章

その日の夜、ミカヤはルイズに、今夜の「授業」の中止を申し出た。
無論、ルイズにとって大事な時間が無くなることは、彼女の眉を顰めさせる。

「今日に限ってどうしてなの?」
「ごめんなさい。実はキュルケに晩餐に誘われたの。」

申し訳無さそうにそう告げるミカヤ。

「キュルケに?」

ミカヤの言葉や、タバサの存在もあり、以前のようには邪険にしなくはなったものの、やはり、先祖から続く因縁もあり、
快く思えないルイズは、頬を膨らませる。

「ごめんなさい。きちんと埋め合わせはするわ。」

頭を撫でつつ、そうルイズに言い聞かせるミカヤ。

「・・・・・。」

頭を撫でられ、嫌な気分はやや失せたものの、ルイズはこの大切な一時を潰したキュルケに後で文句の一言も言ってやろうと
思いつつ、今日という日がどのような日だったかを思い出し、一つの提案をした。

「・・・・・明日は『虚無の曜日』、休日だから王都に行くから。
お買い物に付き合ってくれるならいいわ。」

言いつつぷい、と頬を赤くしながらそっぽを向き、了承した。

「ありがとう。じゃあ、行ってくるわね。」

それに微笑を浮かべ、むくれるルイズを宥めるようにもう一度頭を撫でると、自室を後にする。
廊下に出ると、迎えに来たのか、フレイムが扉の前で此方を見ていた。

「お待たせしました。それじゃあ、案内をお願いね。」

ミカヤの言葉にきゅる、と軽く鳴き、頷くと、隣にあるキュルケの自室に向かう。
それに続き、歩みを進める。
部屋の前に立ったフレイムは二本足で立ち、器用に扉を開け、ミカヤに入室を促す。
笑みを浮かべながら会釈をし、案内を労うと、明かりを消されているため、暗い室内に入る。

「扉を閉めて。」

キュルケの声が暗闇から聞こえる。その声に従い、フレイムは扉を閉める。
その様子にいぶかしむが、キュルケの思考が伝わることで、演出であることが分かり、苦笑する。

「随分と凝った演出をしますね。」
「そうおっしゃらないで下さいな。
貴女をお招きする為に、メイド達に夕食を運ばせ、ボーイフレンド達の誘いを全て断って来たのですから。」

そう笑う声が聞こえると、指を弾く音が響き、周囲にあった蝋燭に一斉に火がともった。
灯火に照らされるテーブルには、所狭しと並ぶ食器と料理。
そして、相対するであろう席には、彼女の艶やかさを際立たせる礼装のドレスに身を包んだキュルケが腰掛けていた。

「ようこそミス・ミカヤ、灯火の晩餐へ。
さ、遠慮なくかけてくださいな。」






ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~

第一部 『ゼロの夜明け』

第八章 『灯火の晩餐』





テーブルを挟む、キュルケの前の位置にかけたミカヤ。
フレイムが窓際の床に座り、眠るようにしつつ、外の様子に耳をそばだてている。

「さて、何に乾杯しましょうか?」

キュルケが恐らく、年代物になるであろう、古めかしいラベルのワインを開け、二つのグラスに注ぐ。

「そうですね・・・。」

グラスを取る動作は流麗に、ミカヤは思案する。

「私達の出会いとルイズに、というのはどうかしら?」
「ふふふっ、面白いですわね。」

彼女の思いついた乾杯の文句に、愉快そうに笑うキュルケ。
悪友たる自身に、「姉」たるミカヤの為にあつらえられたような文句だったからである。

「では、それにしましょう。」

そう返し、キュルケもグラスを取る。
どちらともなく、二人はグラスを中程の位置に掲げ、軽くガラス同士が当たる音を響かせた。

「乾杯。」
「私達の出会いとルイズに。」

ミカヤと、キュルケはそう軽く言葉を交わし、ワインを飲み干した。

「過日の決闘、私も見ていましたの。」
「友人の為にしたこととはいえ、大人気ない事をしたかも知れません。」

料理に舌鼓を打ちつつ、キュルケの切り出した話にそう返すミカヤ。

「いえ、ギーシュには事実、良い薬になりましたわ。
これに懲りて、色を好む悪癖も治まればと思いますし。」

むしろ、ミカヤの取った行動を当然、と賞賛する。
そうしながらもグラスを向けてワインをもらい受け、優雅な動作で口にする。

「ルイズは我が儘を言ってきてはいませんかしら?あの子、結構独占欲強そうですもの。」
「甘えられこそすれ、目を瞑る程の我が儘しか感じていません。」
「あらあら。もしミス・ミカヤが同い年で殿方だったら、違ったかも知れませんわね。」

悪友というよりはむしろ、姉に近い心配をするキュルケに微笑を浮かべ、答えるミカヤ。
ふと、フレイムが立ち上がり、窓の外をのぞくように見回す。

「どうしたのかしら?」
「さて?寝惚けた梟でも過ぎたのでは?」

その様子が気になったミカヤは訊ねようとするが、キュルケは気にした様子もなく、そう言う。
大方、今夜の交際を断られた男子学生達が、新しい男が出来たのではないかという猜疑心からのぞきに来たのだろうと、思考
した彼女から、ミカヤも納得する。
この少女もまた、火遊びを好む性格なのだ、と。

「あら、ミス・ミカヤ。今、私がギーシュと同じと思っていませんかしら?」
「どうしてそう思いました?」
「だって、今苦笑を浮かべていましたもの。」

自身の思考に合わせたような苦笑だったこともあり、目ざとく見抜いたキュルケは艶のある笑みを湛えつつ、聞く。
自分のふとした所作から、読心の力を見抜かれてしまい、心の中で諸手を上げつつ、困った笑みで返した。

「ルイズには秘密にしていてくださいね。」
「ゲルマニアの女は、「女の秘密」には口が固いものでしてよ。」

そう、笑みを浮かべながら、言葉通りの心を向けて来たことに感謝した。
グラスを取ったミカヤに、キュルケからワインを注がれる。

「初日の授業の時、ルイズを庇ってくれたこと、感謝しています。」
「・・・本当、ミス・ミカヤには隠し立て出来ませんわね。でも、貴女の御蔭でもありますわ。
もし、召喚されたのがミス・ミカヤで無かったならば、あの子を庇うようなことは、ツェルプストー家の面目もありましたから
出来なかった事ですわ。」

やや照れたように頬を染めたキュルケが、今度は此方が困った笑みを浮かべることになった。





―――――そうして、注しつ注されつ、マルトーの料理を挟みつつ、桃色髪の少女の保護者達の、ささやかな宴は続く。
双子の月が眺める夜は、ゆっくりと更けていった・・・。

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