あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ-11


広い教室の中で、生徒達は雑談にいそしんでいた。勤勉な一部の生徒達は配布されたプリントを解くことに精を出しているが、普通の学生ならば、自習の時間はこうやって談笑の時間になってしまうだろう。
一部のものは自らの使い魔と楽しいひとときをすごしている。
そしてオニクスは今日も、後ろの壁にもたれてそれを見物していた。こういうことに縁のなかったオニクスは、こういう「日常の風景を見ている」だけで、それなりに楽しかった。
(カナも、マサヒトも、俺さえいなければ…こうしていたのだろうか)
ただ、雑談を交わし。
机に向かい。
友人らと帰路につき、
そして暖かい家で食事を摂る。
それだけのことすら、彼らは出来なかった。
(全て、俺のせい)
そうだ、俺のせいだ。だが、オニクスはその想いを打ち消した。失われたものを過去に求めようと、何も戻りはしないのだ。過去はただ回想の為に存在し、それが何かを生み出すことはない。
参考にはなれど、それ自体が未来への鍵になりはしない。過去への逃避が何も生み出さぬように、これもまた無駄な行為…オニクスはそう感じた。
過去を振り返るのは構わない。だが、それを逃げ場にしてはいけない。
「…戯言だったな」
彼はあえて口に出す。それは自ら点けた、決意のスイッチ。スイッチがOFFからONへと変わり、意志という電気が躯に供給される。
(二の轍を踏むわけにはいかない)
以前の彼とは、明らかに違う。冷徹なマシンとしてのオニクスでもなく、残虐非道の殺戮者としてのオニクスでもなく、
ルイズの使い魔としてのオニクス。
そのスイッチが今、ONにされたのだ。

再び顔を上げた世界が、新しいものに見える程の決意。
それは、どれほどのものであったろうか。
そしてオニクスは、さっそくその決意を試されることになるとは、知る由もない。

「また男を誘惑してるのね~?」
「違うわよ、相手が勝手に寄ってくるだけよ」
キュルケとその友人らは、楽しい雑談の時間を過ごしていた。傍らにはびっしり字が書き込まれたプリント。それは既に彼女がプリントを終えたことを示している。
「で、あのクラスのボブがまた、ステキなわけよ」
「えぇ、私はタイプじゃないな」
「じゃだれがいいの」
「うーん、私は…」
このまま楽しい雑談は、続くかに思われた。だがそれを中断する声が、キュルケの視界の外から聞こえてきた。それは間違いなく、キュルケを呼ぶ声だ。
キュルケが振り向くと、そこにはよく顔を合わせる男子生徒が立っている。
「おぉい」
「ん、なに」
「ちょっとフレイムがうるさいんだけど、静かにさしてくれるかな」
「オッケー、ちょっとまって」
キュルケは立ち上がると、後ろの方に待機させておいたフレイムの方に足を進めた。フレイムは男子生徒の言った通り低い唸り声を上げ、落ち着かない様子でうろうろと動き回っている。
(こりゃうるさいわ)

「フレイム、静かにして」
キュルケは当然命令口調で、フレイムに静かにしろと命じる。だがフレイムは主人であるキュルケのいうことを聞かず、依然として動き回っている。
「フレイム!」
キュルケの語調が鋭くなる。するとフレイムはそれに反応するかのように顔を上げ、苦しそうな顔を見せた。何か具合が悪いのか、フレイムのうめきは止むことはなく、苦しい顔はキュルケに何か訴えかけるかのようだ。
「どうしたの…?」
「どうした」
そこに見かねたオニクスが歩いてきた。オニクスはかがみ、フレイムの背中をなでて、フレイムを鎮めようとする。
「主人が困ってるぞ」
オニクスの鋼鉄の掌が、フレイムの皮膚をなでる。それが不快だったのか、フレイムは声を上げてそれを振り払った。そして再び低く唸り、うずくまったようにフレイムは動かなくなった。
本格的に不審がる2人。何でも無い、わけがなかった。
オニクスがもう一度手を差し伸べ、背中をなでようとする。だが、そこで2人の悪い予感が的中した。
フレイムはオニクスの手を振り払い、口を開けた。
                  • 火炎!
オニクスは瞬間的に次の行動を予測し、逆にフレイムの首を払う。それた頭はあらぬ方向に向き、そして予想通り、フレイムの口からは灼熱の炎……否、金色の光が吐き出された。
「な」
天井を光が焼き付くし破壊する。オニクスがフレイムから距離を置き、その様子をうかがう。キュルケや周囲の生徒も距離を置き、フレイムの状況をつぶさに観察する。
唸るフレイムは背中がうっすらと光り輝き、それは明らかに異常な状況であることを周囲に知らせる。フレイムの中に、なにかいる。だが、そんな事例は誰も知らないため、当然対処法はわからない。
周囲の生徒達はさらに一歩下がり、キュルケとオニクスは取り残される形になった。
「フ、フレイム」
そしてキュルケが、再び距離を詰めようとした、その時だった。急にオニクスの腕がキュルケの前に現れ、それを制したのだ。

オニクスはもう理解していた。
この感じ。
におい、否、気配と言った方が正しいか。
いや、そんなものよりもっと鋭敏で鮮明。

2人が視ている前で、フレイムの光輝く背中から「腕」が突き出した。それも普通の腕では無い。全体が黄色の装甲に覆われ、曲線主体のフォルムに、詰めのようなカウリングに覆われた手と指。
それは間違いなく、人ではない。
ギガンティックだと、オニクスは確信する。
そして決断は早かった。
「キュルケ、下がれ!」
その一声と共に、オニクスは右手にライトニングソードを生み出し、水平に払った。切っ先からエネルギーがほとばしり、紫色の衝撃波となってフレイムに一直線に飛んでいく。
キュルケは一瞬オニクスの行動が、理解できなかった。
「 え 」

爆炎。着弾した衝撃波は爆発と共に広範囲に煙をまき散らし、状況を不透明にした。噴煙に眼を覆うオニクスとキュルケ。状況は不透明なまま、時間が数秒、経過する。喧噪と悲鳴の中で、過ぎ行く時間。
「間違えるはずがねぇ」
オニクスは噴煙の先にいるはずのそれを見据える--------

噴煙を割って、腕が飛び出してオニクスの顔面をつかみ取った。さらに噴煙を割って明らかになる腕の持ち主。それは全身を黄金で覆った、機神…ギガンティックに他ならなかった。
黄金のギガンティックはそのままオニクスを押し倒し、マウントポジションを取ってオニクスを殴りつけようとした。だが黙って殴られるオニクスではない。
背部のスラスターを全開にし、不意を取られたギガンティックを逆に殴り飛ばした。
殴り飛ばされたギガンティックは空中で姿勢を制御し、華麗に着地する。オニクスもゆっくりと立ち上がり、標的を正面に捉えた。
「お前…ヘスティアか!!」
ヘスティアと呼ばれたそれは、言葉を発する。現界してはじめて放つ言葉は、戸惑いでもなく、絶望でもなく、
一転の曇りなき、憎悪。
「貴様が…ヘファイストスを殺したッ!!」

一瞬の後、ヘスティア『ネフティス・』は、胸部のハッチを展開し、レーザーを放つ。オニクスはそれをライトニングソードで弾く。オニクスは間髪入れずに叫んだ。
「逃げろ!!」
突撃。ソードを振り上げて相手を打ち据えんと距離を詰めるオニクス。一方のネフティスも両腕の掌の間から三つ又の矛を生成し、これに応じる。
そして切っ先が激突し火花を散らした。それが始まりだったのか、ネフティスは連続してトライデントを突き出し、オニクスは剣戟でそれを弾く。
それを尻目に生徒達は出口に殺到し、教室には二機だけが取り残された。
「同志殺しめ!」
「ふざけるな、正当防衛だ!」
「残虐非道のコピーが、何をッ!」
怒れるネフティスは槍を斬り上げ、ライトニングソードを弾くと胸部のレーザーでオニクスを吹き飛ばした。よろけたオニクスにネフティスは槍を構え、突撃する。
だが、ヨロケから戻ったオニクスはライトニングソードを振り下ろし、槍の穂先を地面に逸らす。両者は武器を手放し、バックステップで距離を取る。オニクスが口を開いた。
「お前も『あのお方』の手先か!」
「そんなこと、知るか!私はヘファイストスの仇を討つ!」
「…関係無さそうだな。それより、事情も聞かずに斬り掛かってくるとはどういう了見だ」

「お前は私達に取って殺すべき敵だ、それだけの話だよっ!」
ネフティスは会話すらうっとうしいのか、全てを怒りで弾き、かたくなにオニクスの話を聞こうとしない。オニクスは困った。
やヘり悪役は辛いな。
「…なら力づくで止めるしかないな」

飛翔。空中で二機が激突する。そして着地。互いの位置は入れ替わり、二機は相手の手に取っていた武器を手に取り、再び剣を交えた。槍が鈍色の剣と激突して火花を散らす。
「私がお前を討つ!!」
「討たれるわけにはいかないんだよ!!」
互いの武器の力が拮抗し、弾き飛ばされる。すかさずオニクスは右手にハンマーを生成し、渾身の力で撃ち下ろした。
だがそれはネフティスの華麗なステップにかすりもせず、逆に側面を取られたネフティスの攻撃で、オニクスは窓の外に放り出されてしまった。大地に叩き付けられたオニクスに、追って飛び出したネフティスが、空中から追い討ちをかける。
背中の翼が全面に展開され、それは強力なレーザー砲となる。
「プラズマアーム!!」
瞬間、光の嵐。地上に叩き付けられるように降る金色の光はオニクスの装甲と大地を一瞬にして焼き尽くした。ネフティスはさらに追い討ちをかけるようにプラズマアームを放ち、オニクスに憎しみを叩き付ける.
「貴様だけは!」
「いい加減にっ…話を聞けっ!」
オニクスはいつの間にか、背中に新たな装備を展開していた。羽のような文様をあしらったそれは、四枚の翼。そしてそれは光り輝き、その光はネフティスの眼を焼いた。
『アルゴスの百目』
「ぐっ…!!」
眼を覆って攻撃を中断するネフティス。その隙にオニクスは素早く立ち上がり、ネフティスの元へと飛翔する。一気に飛び上がり放つそれは飛び蹴り。
勢いのついたオニクスはネフティスを叩き落とし、再び窓枠を破壊して教室へと戦場は移行。そして床を突き破って両者はその下の階層へと落下した。

下の階層へと落下した二機。上を取ったオニクスが、掲げた剣を突き入れようと迫る。だがネフティスはそれを振り払い、逆にチェストファイアを浴びせてオニクスを追い払った。
「だから話を聞け!」
「貴様の話など聞くか!」
「被害者は俺の方だ!」
「ふざけた話を」
「やっぱりお前も『あのお方』の手先なのか!!」
「くっ、何だか知らんが、騙されないぞ!」
「畜生め!」
オニクスは一瞬で判断し、加速、剣を上段から叩き付けるように振り下ろす。迎撃に放たれたネフティスの蹴りと剣はぶつかり、互いのエネルギーを相殺。
再び距離を離したオニクスは剣から紫電を走らせ、ネフティスに向けて放った。紫電に焼かれ火花を散らすネフティスの装甲。
そこに畳み掛けるように再びオニクスの突撃。ネフティスは背中に新たにプレッシャー・カノンを召還し、迫るオニクスにそれを放った。
とっさに防御の態勢を取ったオニクスだが、かわしきれずに直撃、後退を余儀なくさせられる。
そこにミサイル・ポッドの弾幕がさらに襲いかかり、オニクスは力場障壁を展開して身を守る。力場障壁でミサイルをかき消し、オニクスは剣を弓へと変えた。
『光弓(アルク・ルミエール)』

弦を引くオニクス。それに対するネフティスもプラズマアームを展開し、同時に放たれた二つの飛び道具は互いを相殺し合った。弓はさらに光の槍へと変じる。
『光鑓(フレッチェ・ランス)』
再びの近接戦。剣先は幾重にも変則的軌道を描き、相手ののど元を抉らんと乱舞する。
正直オニクスは今回殺す気はなかった。できればこの誤解は晴らしたいところだが、オニクスの話は聞いてくれそうにない。なので名案が思いつくまで、オニクスは勝負を引き延ばすつもりだったのだ。
(俺が説得…不可)
(四肢斬り飛ばして説得…それでもアイツは話を聞きそうにない。却下)
(ルイズを呼んで説得…アイツは寝てる)
(キュルケorタバサに説得を頼む…有力だが巻き込みたくない)
(殺す…最悪パターン)
だが、名案は当分思いつきそうにない。

「…手加減」
「え?」
キュルケとタバサは、距離を置きつつ二機を追跡していた。そして戦いによる移動が沈静化したところで腰を落ち着かせ、離れた場所からそれを観察していたのだ。タバサは視力に魔力を込め、つぶさに観察している。
キュルケは最初はじめて召還した使い魔をあっさり失ったせいで魂が抜けたようになってしまっていたが、タバサの「フレイムの仇を追う」という言葉に正気を取り戻し、タバサと追ってきたのだ。
「オニクスは本気で戦ってない」
観察をつつけるタバサは言う。
「なんでよ?殺さない理由が無いじゃない。あれもオニクスを倒したがってる理由があるらしいし」
「私にはわからない。でも、オニクスは戦いを終わらせたくないみたい」
キュルケは疑問だったが、妙に信じる気になった。この子の言うことはいつも不思議に的を射ている。タバサがそう言うのなら、信じていいかもしれない。
「でもあれ、下手に介入すれば瞬殺ね」
「シルフィードを呼べばまだなんとかなるかもしれない…けど…龍でも太刀打ちは難しいと思う」
「そうよねぇ…でも、ココでのぞきやってても状況は変わらないし…あぁ~、どうしたらいいのかしら」
こちらも名案は、浮かばない様子だ。




次 回 予 告

雷の神は我を忘れ、
怒りに任せて仇を討つ。
そして、黒の機神が
迫られる選択は。

次回「雷焔」 絆は、少なくとも簡単にはちぎれない。



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