あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

異世界BASARA-33


「ウィーック、じゃあなボブさん。またなぁ~」
酔った客はふらつきながらも家の中に入っていく。
ボブと呼ばれた忠勝はそれを確認すると店へと戻る為に移動を開始する。
このように、酔い過ぎた客を家へと送るのも彼の仕事になっているのである。
忠勝は夜も遅いのを考慮して、極力騒音を立てないように道を進んで行く。

「……キャァァ!」

と、何処からか聞こえた悲鳴が忠勝の音響感知センサー……じゃなくて耳に入る。
「…!」ヴィン、ギュオォーン!!
それを聞いた忠勝は速度を上げ、悲鳴の聞こえた方に向かって行った。


「ひひ、こいつは綺麗なお嬢さんじゃねぇか」
「おい、俺が先だぜ!」
暗い路地裏で2人の男が1人の少女を行き止まりに追い詰めていた。
男達は手に剣を持っており、質素な鎧を着ている。どうやらならず者の傭兵のようだ。
「い、いや…やめて…」
少女は後ずさるが背後は壁、逃げ場がない。
(誰か…誰でもいいから助けて…!)


「あん?」
その時、妙な音が男達の耳に入ってくる。
地響きのような、フネが上空を横切った時のような音が自分達の後ろから近づいてくる。
男達は振り返った…
「…!……!」グワアァァン!!
丁度振り返った瞬間、巨大な影が男達の前に現れ、目を赤く光らせていた。
「こ、こいつまさか…!最近ここら辺で噂になっている…」
現れた者を見て、ならず者2人が同時に叫ぶ。



「鋼鉄のボブ!!」
「漆黒のボブ!!」
本多忠勝である。



「…お、お、おい…どうすんだよ!」
「ど、どうするったって…」
目の前に仁王立ちしている忠勝に2人のならず者はうろたえる。
逃げようにも、逃げ道は忠勝の後ろ…少女を追い込んでいた筈が、今は自分達が追い詰められていたのである。
「………」シュゥ…シュウゥゥ…
「う……うう…うわあああぁぁ!!!!」
と、1人が剣を抜き、やけくそになって忠勝に斬りかかった。


しかし…
ガキン!…という音がして、剣が根元からポッキリと折れた。


「あ、あ…あわわわわ…」
「……………」ゴゴゴゴゴ…
「す、すまん俺達が悪かっ…」

謝るよりも速く、忠勝の手がならず者の首根っこを掴む。
少し力を入れると、「ぐえぇっ!!」という声を上げ、失神した。

気絶した男達を放り投げると、忠勝は少女を見る。
「あの、魅惑の妖精亭で働いているボブさんですよね?」
言葉の代わりに、音を発して少女の問いに応えた。
「助けてくれてありがとうございます!気をつけてはいたんですけど…」
頭を下げている少女を、忠勝は持ち上げ、自分の肩に乗せる。
「…もしかして…送ってくれるんですか?」
「!……!」ヴィィン!!キュイキュイ
「ありがとう!それじゃあ、お願いしても宜しいかしら」

それを聞くと、忠勝はゆっくりと移動を開始する。
店に帰るのが少し遅くなるかもしれないが、ジェシカもいるし大丈夫だろうと思った。



だが実際は、店で大問題が起きていたのである。


「……………」
「……………」

さっきまで賑やかだった店内は一気に静まり返り、皆、幸村を見ていた。
従業員用のドレスをピッチピチにして身に纏い、すね毛の生えた足が気持ち悪さを倍増させている。
よく見ると口紅まで塗っているではないか。
ルイズは体中をプルプルと震わせながら幸村に問い詰める。
「ユユユユユキムラ?それは一体何の冗談かしら?」
顔こそ笑ってはいるものの、眉がピクピクと動いており、いつ堪忍袋の緒が切れてもおかしくない。

「拙者…じゃなくてあたしは幸村ではない!」
「……はい?」
「あ、あたしは…」

幸村は顔を真っ赤にし、汗を流しながら目をグッと瞑る。
遠い元の世界、甲斐にいる自分の主の事を頭に思い浮かべた。

(甲斐におられますお館様!拙者に…この幸村に力をおおおおおぉぉぉぉぉー!!!)

幸村はスカートの裾を摘み、精一杯の笑顔で一礼をした。


「あ、あたしは幸姫!今日からここで働く事になりましたですぅ!よろしくなのですよぉ~!」


「「「「「ぎいぃやあぁぁぁぁああぁぁぁぁAAAAA!!!!!!」」」」」
その瞬間、店は阿鼻叫喚に包まれた。

「何だよアレ気持ち悪いぃぃ!」
「目を合わせるな!絶対に目を合わせるなよ!!」
「うわあぁぁ未知との遭遇!!!」
店の客、従業員は一斉に壁まで後退し、座っていたイスや近くのテーブルを盾にする。
ルイズに絡んでいた客も一緒に逃げようとした。

「お待ち下されですぅご主人さむうあぁぁ!!」

だが幸村に捕まってしまった。

「止めろ離せ!は、離してくれぇ~」
「今代わりの酒を持ってくるでござ…じゃなくて持ってくるです!」
必死にもがくが、その強い腕力のせいで振りほどく事が出来ない。
暴れる客に、幸村の顔が近づいてきた。
「止めろやや止め………おかあちゃぁぁーーん!」


「止めなさいこのバカムラアァァァァッッ!!!!」


と、暴走を続ける幸村に向かってルイズの一喝が飛んできた。
それと同時に、頭にゲンコツが振り下ろされる。
「ぬぉっ?」
頭に来た衝撃で幸村は我に返り、振り返る。
普通ならここでルイズが仁王立ちしているものだが、彼女は殴った方の拳を抑えてうずくまっていた。

「ルイズ殿…じゃなくてルイズちゃん!大丈夫ですかぁ!?」
「うううるさいわよっ!いいからあんたちょっと裏に来なさい!説教してやるんだからね!!!」

ルイズは目尻に涙を浮かべながら怒鳴る。
厨房の奥へ消える2人を、客と従業員は見送った。

「さぁて、何でこんな事したのか聞かせてもらおうかい?」

店の奥で、ジェシカとルイズが床に正座している幸村…そしてスカロンを見下ろして言った。
何故かスカロンの頬には平手を喰らったような跡がある…どうやら一足早く折檻されたようだ。

「あ、あのね…ユキムラちゃんが何とかあなたの力になりたいって言うからそれで…」
「ふーん、で…ユキムラは何でそんな格好をしているのかしら?」
ルイズは幸村の方に目を向ける。


「ルイズ殿が客を取れぬのなら、拙者が客を取るしかぬぁいではないかあぁぁぁーーっ!!!」
「馬鹿かあんたは!!!!」


顔を真っ赤にして叫んだ幸村を、同じように顔を真っ赤にしながルイズは怒鳴りつけた。
そもそも、あの格好をして本気で客を取れると思っていたのがある意味凄いものである。
「あんたには誇りってものはないの!?」
「ルイズ殿のお役に立つ為ならば!誇りは一時捨て置く覚悟でござる!!」

そんな風に言い合っていると従業員の娘がやって来た。
「スカロ…じゃなくてミ・マドモワゼル!困った事が…」
「どうしたの?また困ったお客が来ちゃったのかしら?」
娘はそうですとばかりに頷き、困った顔で言った。


「はい、その…チュレンヌ様がいらっしゃって…」


スカロンが戻ってみると、店内は静まり、さっきまでいた客はいなくなっていた。
いや、テーブルの1つに太ったの男が座っている。
この店にいつも来ている客とは違い、貴族が着るような服とマントを着ている
それを見たスカロンは慌てて駆け寄っていった。

「こ、これはこれはチュレンヌ様!ようこそお越し下さって…」
「むふふ、久しぶりだなスカロン、中々繁盛しているそうではないか。最も…」
チュレンヌと呼ばれた男は店内を見回し、下品な笑みを浮かべる。
「今は閑古鳥が鳴きそうな程寂しくなっているがな…ははははは!!」
「ほ、ほほほ…」
当たり前だ、客がいないのは彼が部下に命令して全て追い出したのである。

「ところで、何故誰も酌をしない?私は貴族であるぞ!誰かおらんのか!?」
従業員が酌をしたがらないのにも理由があった。
このチュレンヌという男、酒を飲んで体にベタベタ触ってくる癖にチップの1つも払わないのだ。
その振る舞いに皆うんざりしていたのである。
「ええいどうした!女王陛下の徴税官である私を待たせるでない!」

「まったく…誰が好き好んであんたに酌するってんだい」
チュレンヌの様子を見ながらジェシカは小さな声で呟く。
他の従業員も困った顔をしながら目を背けていた。
「うぅむ、仕方がない。ここはこの幸村…いや幸姫にお任せを…」
「止めて、また店の中が騒がしくなっちまうよ」

「…私が…」
だがそんな中で1人、向かって行こうとする者がいた。
「…私が…私が行くわよ!」
ルイズであった。


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