あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの機神 ギガンティック・ゼロ-08

激突。黒と紫が、火花を散らした。蛇槌とムラクモソードが激突し、まるで演舞のように両者は舞う。
華麗なステップを踏み、剣を敵に突き立てるためだけに、幾多もの思考を試算し、そして最適の選択を選び取る。
選択を誤った者が、死ぬ。
あらゆる角度から飛来する剣を流し、躱し、そして自らの剣を打ち込む。それだけのことが、こんなにも美しく映ろうとは。
誰も思っていなかった。二機はこの瞬間、自分の名すらも忘れ、ただ敵を打倒するためだけの、戦闘機械となっていた。
剣戟。剣戟。回避。激突。回避、打突、回避、剣戟。
打突、薙払、回避、防御、剣戟、回避。跳躍、打突。
全ての動きは自然で、全く無駄は存在しない。さながら流れる川のように。命を奪い合うという行為が、芸術にまで昇華される瞬間。金属がぶつかり、擦れ合う音はオーケストラのように澄んだ音色を放つ。
「…相手に不足はッ!なかったッ!!」
「なめられたモノだなっ!!」
何度目かの剣の激突で、両者の距離は不意に離された。お互いの様子を見るかのように、両者は距離を保つ。再びの静寂が広場を包み、そして静寂は再び破られる。
先に動いたのはオニクスだった。両腕のビームの銃口を玄武神に向け、発砲する。玄武神はこれを亀甲盾で防ぎ、逆に蛇槌を撃ち込んだ。
オニクスはそれをサイドステップして躱す。そして接近を試みるが、鞭となった蛇槌に目の前の空間を薙ぎ払われ、後退を余儀なくされる。
オニクスは空いた手を上に掲げ、掌にエネルギーを集中させる。そして玄武神に向けると、雷が複数、一直線に飛んだ。だがそれも全て鞭に弾かれ、玄武神にダメージを与えるには至らない。
「近距離戦では君にかなわない。なら遠距離戦を挑むのが常識って物だろう?」
「素直に斬られろ!」
オニクスは両腕に電磁リニアガンを召還する。小振りな形状のそれは、大地の恵みを司る豊穣の神が持っていた銃だ。そして玄武神と距離を取りつつ、二丁の銃を連続で放った。
電磁加速された弾丸を亀甲盾で防ぐ玄武神。
(やはりあの盾がある限り、遠距離戦での不利は明白)
オニクスはわかっていながら、遠距離戦を仕掛けざるを得なかった。あの鞭がある限り、近づくことはかなわない。盾を撃ち抜けるような武装はうかつに使えない。
(…チィ)
面の攻撃も点の攻撃も、あの盾の前には通じない。被弾覚悟で接近戦を挑もうとしても、あの蛇槌の餌食となるだけだ。オニクスはリスクの低い射撃戦を挑まざるを得ない。
玄武神の量子ビームと鞭をかわし、弾丸を撃ち込み弾かれる。このままでは、ケリがつくことは無いだろう。
「どうした、どうした!?」
「うるさいっ!」
銃を捨て、オニクスは一気に踏み込んだ。一気に走り込む。すかさず量子ビームを放つ玄武神。だが左右に飛んでオニクスはかわす。
それを読んでいたかのように、鞭が飛んでくる。オニクスもまたこれを読んでいたかのように、足下を払おうと飛んできた鞭を跳んでかわし、
そのまま上空へと舞った。玄武神は空中のオニクスを捉え、鞭を天に向かって振り払う。だが、オニクスはその鞭を弾いた。



「!?」
オニクスの左腕にあるのは力場障壁。相手の盾に対抗するかのように、オニクスも盾をまた喚んだのだ。そして天に掲げた右腕に、プラズマを収束させる。
「燃え尽きろ!」
身をひねりつつ、オニクスは球状に巨大化したプラズマを投げ放った。すかさず盾を構える玄武神。
プラズマは盾に激突すると凄まじい光と共に爆発、地表を煙で覆い尽くす。滞空したオニクスは障壁を展開しつつ、地上の様子をうかがった。
倒したならばそれでよし。
倒せなかったのならば息の根を止めるまで。
オニクスのセンサー群が、くまなく地上を探査する。だが、プラズマの余波がセンサーを阻害し、玄武神の生死はわからない。
「…………」
時だけが過ぎていく。

[WARNING]
センサーが何かを捉えた。身をかわす。最早それは反射に近い。ブースタが瞬間的に推力を増し、機体を強引に移動させた。瞬間、黒い線が空間を薙ぐ。
蛇槌。
それとわかった次の瞬間に、右足に打撃を受けた。
(さっきの薙ぎはブラフ!)
右足に巻き付く蛇槌。最初の一撃は、この一撃を通すための囮に過ぎなかったのだ。だが気付いてももう遅い。電撃がオニクスの体を襲った。
「ぐああああああああっ」
電撃は全身に一瞬で浸透し、内側からオニクスを灼く。その威力は想像を絶する物で、全身の制御を失ったオニクスは真っ逆さまに墜落した。同時に煙は晴れ、そこにある光景をありありと映し出す。
倒れたオニクスと、それを見下ろす玄武神。その顔には相変わらず、アルカイックスマイルが宿っていた。
「ざまぁないねぇ」
「…っ」
「確かに以前の僕ならそれで殺れたかもしれない。だけど、今の僕は違う。あのお方の力を授かった以上、僕が負けるはずは無い」
「…いくらでもほざいていやがれ」
「口は減らないねえっ!」
そう言うと同時に、再びオニクスの全身に電流が流れる。悶え苦しむオニクス。だが全身の制御を取り戻し切れていないオニクスは、立ち上がることすら出来ない。
こうなればもう玄武神のワンサイドゲームだ。
「じっくり殺してやるから安心しなよ、偽者君」



………
ルイズは驚愕していた。あのウルカヌスを簡単に斬り殺したオニクスが、妙な紫色のゴーレムに、やられかけている。
「…うそ」
両者の戦いは凄まじいものだった。そこに一介の魔法使い、しかも失敗魔法しか撃てない自分が、入り込む余地は全くない。
自分は、オニクスを助けられない。そう思うと、無性に悔しかった。魔法が撃てない自分に失望した。せめて攻撃魔法が使えれば、敵の気ぐらいそらせた。
防御魔法が使えれば、オニクスの身を少しだけど守れた。
だけど、失敗魔法では意味がない。真っ直ぐ飛ぶかもわからないそれでは、オニクスを助けられない。ルイズは絶望した。
使い魔を見殺しにする主人。
(…最低だ、ワタシ)
モンモランシーも、キュルケも、タバサも、そこに入り込む余地はなかったろう。一瞬で殺されかねない。
「…」
皆、何も出来ないのは一緒だった。
だが、ルイズは誰よりも悔しかった。
自分の使い魔だ。自分が初めて成功した魔法で、呼んで従えた使い魔だ。
それを、目の前で見殺しにする。
人生最大の屈辱であると、ルイズは感じた。

「いや、嫌だ…こんな」
確かに、今この状況自分が行ってオニクスが助かる確率が上がるわけでもない。
だが、何もしないでいたら、きっと自分は後悔する。
「絶対、嫌だ!」

ルイズは杖を上げた。詠唱。杖先に集まる魔力。
(届け、届け、届け、届け!)
精神を統一する。昂る心を鎮める。
(助ける、自分が助けるんだ!)
魔力を編む。
(あいつを)

魔力は大気に放出され、玄武神に命中、その力を解放した。爆発は玄武神の左腕を吹き飛ばし、亀甲盾を失わせる。
「っあ!?」
玄武神は彼女など全く眼中に入っていなかったのだろう、突然の事態に姿勢を崩す。右腕は吹き飛んで地に落ち、一瞬で玄武神は自分の損傷の程を理解した。
そして不意打ちとはいえ、自分にこのダメージを与えるそれをキッ、と見つめる。そして判断した。
あれは、自分にとって危険な存在だ。
「雑魚が煩いなぁ…消えろよ!!」
玄武神は残った右手の蛇槌をルイズに向けた。そして即時、発砲する。ルイズはもう一度詠唱する。防御の呪文を。
だがそれは再び爆発に変じ、障壁の機能を果たさない。魔力の奔流は量子ビームを止められず、わずかに減衰させただけだった。
量子ビームがルイズの胸に吸い込まれる。ルイズは着弾と同時に後ろに吹っ飛んだ。
「カナぁあーーーー!!!」
オニクスが、絶叫した。


その時、ルイズは冷静に思考した。
二回目の呪文を唱えた後、閃光に撃たれて吹き飛んだ。わずかに失敗魔法が相殺してくれたのか、即死ではなかったようだ。
(ワタシ、やっぱり役立たず)
だが、オニクスを助けられなかった。視界がぼやける。
(…しぬのかな、ねえさま)
視界に赤い物と青いものがうつった。光が隅で明滅する。きっと、誰かがルイズに治癒の魔法をかけてくれているのだろう。だが神の力は人の力では直せまい。ルイズはやはり冷静だった。
(あの赤いのは、ツェルプストーだわ)
ルイズのわずかに残る感覚が、端から死んでいく。
(つめたい)
そして、視界がモノクロになって、壊れかけのテレビのように消え始める。
(…オニクス)
その時、ルイズは何故か、今頃、しかも死の間際になって何かが気になった。そうだ。さっき聞いた名前。それがとても気になっていた。
(…ねぇ)

(ねぇ、カナって、誰なの?)

ルイズの視界は暗転した。
と思ったら、ホワイトアウトした。

『ルイズ、聞こえてるか。ルイズ!』
数分前まで聞いていた声。オニクスの声。それがルイズの頭の中に響いてくる。
『聞こえているならば、聞いてくれ』
オニクスの声はやけにはっきりと聞こえる。ルイズは、まだ自分は死んでいないようだと思った。
『お前は無力じゃない』
何を言っているのだろう。こいつは。ワタシは失敗魔法しか使えない、『ゼロのルイズ』だっていうのに。
『お前は俺と契約したな』
当たり前だ。
『そしてお前の魔力は俺にルーンを刻んだ。そうだな?』
お前は何を言ってるんだ。
『それと同じように、俺もお前に少なからず影響を与えている』
何の話だろう。
『いいか、よく聞け』
聞いている。
『俺の力を使え』


『信じろ。自分を。生きる希望を持て。意志あるものに、ナーブケーブルは力を与える』
ナーブケーブル?あの細長い糸のことか。
『お前もまた俺の力を、少なからず共有している』
そうなのか。
『思い描くんだ、お前の最も望む力を』
そうだ。私は力が欲しい。
ルイズは今になって、自分の考えを再確認する。
『そして行使しろ』
『神の力を』
『お前の意志を』

そうだ。
助けなくちゃ。
こんな所で冷静になってる場合じゃ、ないんだ。

なら、先ず体を直そう。

視界は再びブラックアウトした。


閃光。
ルイズを必死になって助けようとしていた三人は、凄まじい閃光がルイズの胸からほとばしるのをもろに受けた。三人は皆同じ感想を抱いた。眩しく無い。
「やさしい光」
タバサがつぶやく。そうだ。やさしい光。
そしてルイズの胸から光の線が幾重にも伸びる。オニクス達が行使していた物と同一のそれは、上に伸びるとUターンし、再びルイズの胸に吸い込まれる。
それはルイズの傷を瞬く間に治していった。並の治癒魔法の何倍も強力だ。そしてルイズはゆっくりと立ち上がった。
「…何が、起こっている」
左腕を再生し終えた玄武神も、これには驚きを隠せなかった。ただの人間がナーブ・ケーブルを行使する。ありえないことだった。ルイズが彼にとっての、脅威の存在へと再び切り替えられる。
「死に損ないが!」
玄武神は蛇槌をルイズに放った。だが量子ビームは見えない壁に弾かれるかのように、ルイズに命中することはない。
「馬鹿な」
そしてルイズは玄武神から距離を置いて立ち止まると、無言のままに両手を前に上げる。開いた掌を胸の前で止め、ルイズの口から漏れた言葉が、神話の武器を織り上げる。
ルイズの後ろ、何もない空間から黄色い棒のような物が四本伸び、両方の脇の下と肩の上を通って、先端がルイズの手のひらの辺りで静止した。
そしてその棒とルイズの掌の作る輪の中に、光の玉がひとつ生まれる。
「…馬鹿な!」
玄武神はそれをただ黙って見つめることしか出来ない。
光の球は見る間に大きくなり、空間を覆い尽くす程までに大きくなった。ルイズは掌を離し、再び口を開けた。織り上げられる神代の言葉。
『雷焔(プラズマ・フレイム)』
瞬間、光の玉は解き放たれ、極太の光の奔流となり玄武神に向かって真っ直ぐに飛翔した。すかさず盾を向ける玄武神。フィールドエフェクトが、プラズマフレイムを防いだ。
だが、生み出される光の奔流は盾を構える玄武神を容易く後ろに押しやり、フィールドエフェクトにひびを入れる。後退する玄武神。
もう逃げる場所など無い。ひびは深くまで到達し、ついにはひびは盾にまで入る。
「嘘だ…負けるはずが無い…」



そして、限界点。
盾は砕かれ、光の奔流は玄武神を吹き飛ばした。灼かれていく装甲。光の奔流は周囲の木々をなぎ倒し、玄武神を数十メートルも押しやった。
止まる奔流。ルイズの周囲に展開されていた棒は粒子化し、消滅する。ルイズはぼう、とただその場にたったまま、先ほどまで玄武神がいた空間を凝視する。
オニクスは制御を取り戻し、起き上がった。そして玄武神に歩み寄り、その手に剣を取る。
顔を上げた玄武神の顔面に、オニクスは容赦なく剣を突きつけた。
「容赦はしない」
「……まだだ、まだ死ぬわけにはいかない…」
つぶやく玄武神。オニクスは剣を振り上げる。
「死ね」

その時だ。
木々の奥から、一条の閃光がほとばしった。光弾は剣を弾き飛ばす。
「!」
これをチャンスとばかりに玄武神はオニクスの顔面を蹴りつけ、よろけるオニクスを無視して飛び上がり、飛翔した。
天高く舞い上がる躯体は、そのまま周囲の草木を揺らし、オニクスに背を向けて飛び去っていく。
「待て!」
すかさず追おうとするオニクスだったが、損傷のせいか機能が戻らず、すぐに膝をついてしまった。
彼は追うのを断念し、立ち上がって自分を助けてくれた…自分の主人の方を振り向く。
彼女はその場に突っ立っていた。オニクスは彼女に近づき、声をかける。
「…ありがとう。すまない」
「………」
「…ルイズ」
「………」
だが、彼女は何の反応を示すこともなく、突っ立っている。瞬きもしなければ、首を向けることもない。
「…ルイズ」
オニクスはルイズの肩に手をおいた。
その瞬間、ルイズはふらりとバランスを崩して、地面に崩れ落ちた。まるで糸の切れた人形のように。急いでオニクスは膝をつき、ルイズを抱き上げる。
「…やはり、神の力を人間が行使するには無理があるのだな」
モンモランシーの時と同じだ。ギガンティックは頭像の無尽蔵の力がある限り、いくらでも力を使うことが出来る。だが人間は違う。
魔力を水に例えた場合、ギガンティックを広大な海だとすれば、人間は広さは違えど水たまりに過ぎない。使えば無くなるのだ。
さらに一度に多くを引き出すのにも限界がある。これでギガンティックにおける必殺技クラスの技を行使したのだから、魔力切れで倒れて当然だ。
「…無茶をして」

ルイズがその日、眼を覚ますことはなかった。
ルイズは保健室に連れて行かれ、そのベッドで今も眠っている。
ギーシュの方も保健室に連れて行かれたが、ギーシュはすぐに目を醒まし、すぐに自分で歩けるようになったので、授業に復帰した。
ちなみに、強力になった力は、元に戻っていたようだ。

その後も授業は滞りなく行われたが、やはり話題はギーシュとオニクスの決闘中に突如現れた紫色のゴーレムのことであった。
オニクスを叩き伏せたアレのことですぐに学園中は大騒ぎになり、主が不在の間、オニクスは好事家の生徒達から、さながらスキャンダル疑惑を報じられたアイドルのように逃げ回る日々を過ごした。















知らない人のために、これまで使った武器の捕捉。

  • ムラクモソード
アレスとオニクスの標準装備。ナーブケーブルを纏った両刃剣。

  • ライトニングソード
ジュピター・の装備。雷の剣で、プラズマを物質化している。
雷を操ることが出来る。

  • ボルカノハンマー
ウルカヌス・の装備。ハンマー状の手持ちミサイル・ポッド。
先端が展開し、ミサイルを放つ。

  • 蛇槌
玄武神三号の装備。杖状の武器。
量子ビームと2本の鞭を装備する。

  • 亀甲盾
玄武神三号の装備。盾。
フィールド・エフェクト(いわゆるBシールド)を展開し、高い防御力を誇る。

  • 決闘銃(ドゥエーリ・ルゥジョー)
ユーノワ・の装備。レーザーライフル。

  • プラズマフレイム
ネフティス・の必殺技。強力無比なビーム。

  • Emシェイカー
イシュタル・の装備。重力を操り防御フィールドや射撃を使うことが出来る。

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