あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと聖石-20


ワルドの杖に篭るエアニードルと、タバサの杖を媒体にしたアイスブランドがぶつかり合う。
交差する瞬間に起こる剣戟。
距離が離れた瞬間に、私はブラストガンを連射。

しかし、そこは流石元魔法衛士隊体長。
風竜の手綱を握り、見えない弾丸を回避。
当たりそうな弾は円錐状に張った障壁でしのぐ。
洗練された動きだ。

「キュルケ」
「ええ、風竜との連携がうまくいっていない。付け入る隙はあるわ」
「じゃあ、よろしく」

え、と思う間も無くジャンプするタバサ。
思考が真っ白になるが、意図に気が付いてブレイズガンを構える。
その間に、シルフィードがものすごい勢いでワルドの風竜に体当たり。
お互いの速度がゼロになった瞬間、私はブレイズガンをワルドの杖に連射。
エアニードルに阻まれて破壊は出来なかったが、杖を持つ手を弾く。

同時に風を切る音。
アイスブランドをワルドの風竜に突き立てるように落ちる。
風と風と風の三乗スペル。
氷の刃が突き立った瞬間に、内側から風の刃が内部を蹂躙する。
それを見届けたタバサが、即座にシルフィードへと舞い戻る。

「エアスパイク、シルフィードとの連携だからツインスパイク」
「きゅいきゅい(頭コブできたのね)」
「というか、ためらいも無くその連携が出来るあんた達が怖いわ」

眼下には絶命し、墜落する風竜。
同属が落ちていく姿を見て、シルフィードは呟いた。

「きゅいきゅいきゅい(勝てるかどうかはランナーしだいだったのね)」

タバサはシルフィードを杖で叩く。
何を言っているか解らない私は、その光景に首を傾げるのだった。


レキシントン号の周囲にいた戦艦約五隻。
今現在こちらに向かって進行してくる。
村の内部では一丸となって炊き出しが行われている。
最初は手伝おうと思ったのだが、休んでなさいと止められた。
シチューを啜り、心を落ち着ける。

「あ、いたいた! シエスタ!」

声のした方向に顔を向ける。
そこには、ギーシュ様が立っていた。

「ギーシュ様、なぜここに!?」
「本来なら君を守りに、と言いたい所なのだが…残念ながら今の僕はメッセンジャーだ」

確かに。
魔法というスキル自体は心強いが、数が勝負のワルキューレでは話にならない。
自分でも解るひどい評価を下しつつメッセージを聞くことにする。

「私とタバサはルイズの援護に行く。シエスタはとにかく時間を稼いで―――キュルケより」

それだけで、この戦いの光明となった。
やはり、ルイズ様は来てくれた。
私はその到着を完全な体勢で迎えなければ。

「張り切ってるな、相棒」
「こんなところで死ぬわけにはいきません。ルイズ様を迎えなくてはならないのですから」

デルフを振り、構える。
トウホウフハイがクェ、と鳴いた。
さあ、お迎えしよう。
ルイズ様を迎えるための準備をしよう。
笑いながら皆を迎えるために。




しつこく飛んでくる砲弾をかいくぐりながら詠唱。
目標はレキシントン号。
こいつを潰して、早いとこタルブ村に行こう。
私の所にキュルケとタバサが来たということは、シエスタの所にもギーシュが行っているという事だ。
とりあえず、目の前の敵に集中。
砲撃をかわしながら紡ぐは、古に失われた虚無の系統。
今まで使い手のいなかった失われし系統。
詠唱の大半が終わり、放とうとした瞬間に気が付く。
レキシントン号の護衛艦の内、五隻ほどがタルブ村の方向へ向かっている。
それでも魔法は止まらない。

「エクスプロージョン!!」

放たれた光は、レキシントン号と周囲の戦艦を巻き込んだ。
光によってマストや風石が破壊され、墜落していく。
地上のアンリエッタ様はその光景に驚きながらも、軍を突撃させた。

精神力をエクスプロージョンによって根こそぎ持ってかれた。
少しでも気を抜くと、意識は闇の中に閉ざされてしまう。
それは駄目だ、私はシエスタの元に行かなくちゃいけない。
かすかに薄れる視界の中、私はミメットをタルブ村に向けて飛ばした。
降り注ぐ砲撃、鳴り止まない爆音。
襲い掛かるレコンキスタの兵を一刀両断にする。
タルブ村事態にも砲撃を受けているが、被害はそう大きくない。


ラ・ロシェール周辺の空が急に明るくなる。
そちらを見ると、巨大な光の玉が戦艦を焼いていた。
ルイズ様が巻き起こしたものだ。
確証はないが、その直感を信じながら剣を振るう。

横ではギーシュ様がワルキューレで懸命に戦っている。
シルキスが岩石を落としてメイジを蹂躙する。
背後では刀に宿る怨霊が、周囲の敵をなぎ払う。
槍に矢が飛び交う。
あちこちで響き渡る怒号。

私は、ルイズ様の到着を待ち続けた。




かすむ視界の中、私はタルブまでたどり着く。
残された精神力はわずか。
それでも、私は全力を振り絞る。
詠唱が短く、威力の有る最高峰の魔法を放とうとする。

「震えろ…」

誰がこの行動を褒め称える?
後世の歴史家は「最低で、最悪の行動」と評価するかもしれない。
そんなボロボロの意識で何が出来る?
心の問いかけに、私は声に出してこう言った。

「そんなことは関係ない。私が、私の魂が自分のしたいことをしろと、そう告げている」

だから、私はこの選択を後悔しない。
たとえ、死ぬことになろうとも。
生きて、彼女達の元にたどり着けるのなら。
それが、希望のない絶望の道だとしても。

「命つなぎ止める光……」

ああ、わかる。
体が変化を始めている。
髪の毛が銀に染まり、背中に違和感を感じる。

「力の塔となれ………」

背中が弾け、翼が飛び出す。
頭から、小さな翼が生える。
完全な異形/聖天使と化してでも。
それでも。



――― わたしは、みんなの所にいくよ。
    だからみんな、必ず待っててね ―――



「完全アルテマ!」

私は見た、ルイズ様が来てくれたのを。
私は見た、ルイズ様がふらふらになりながら魔法を使おうとしているところを。
私は、見てしまった。

―――ルイズ様が、聖天使になってしまった瞬間を。

そして、聞いてしまった。
ルイズ様の、心の声を。


――― わたしは、みんなの所にいくよ。
    だからみんな、必ず待っててね ―――



「ルイズ様ぁーーーーーーー!!!」

戦艦五隻が、アルテマの光に包まれる。
膨大なまでに荒れ狂う魔力が、全てを包み込む。
そして、ミメットから落ちてゆくルイズ様。

生涯でも最速のスピードで戦場を駆け、落下地点に回りこむ。
落ちてくるルイズ様に合わせて飛び上がり、受け止める。
受け止めたルイズ様は、眠っていた。
体を調べても、翼は消えていた。
安堵の息をつきたかったが、つけなかった。
普段から聖石に触れている私は悟ってしまった。

―――もう既に、人間という種族から外れてしまったのですね。

今まで、一房だけ銀に染まっていた髪の毛が、全体に広がっていた。
ルイズという貴族を象徴していたピンク色の髪の毛が、一房だけになっていた。

「サジタリウス、ルイズ様は」

その問いに対して、サジタリウスはかすかな光を放つだけ。
とりあえず、生命に別状はないみたいだ。
周りを見ると、アルテマの光で敵は混乱。
こちら側も呆然としているが、この程度ならたきつければ何とかなる。

「全員、畳み掛けなさい! ルイズ様が作ってくれたチャンス、無駄にするなぁぁ!!」

私は絶叫し、ルイズ様を運びながら後退。
爆音の響かない戦場を、怒号に包まれた戦場をただひたすら後退した。


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