あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Zero ed una bambola   ゼロと人形-28


 夢……夢を見ていた。それはわたしが小さな頃の夢。
 魔法の使えないわたしはいつものように母親に叱られていたのだ。いつもいつも出来のいい姉と比べられて……。
 私は叱られる度に逃げ回っていた。わたしだけの秘密の隠れ家に……。
 ここなら誰にも見つからない。お腹が空くまで隠れていよう。
 でも誰かが呼ぶ声がする。ふと顔を上げればそこは見慣れぬ部屋だった。

 そこではわたしはソファーに座って本を読んでいた。それは見たこともない文字の書かれた本だった。

「アンジェリーナ」

 誰かが『わたし』の名前を呼んでいる。わたしはそれに対して返事をした。

…どこかで聞いたような声だった。

「市場へおつかいに行ってきて頂戴」

 『わたし』に『わたし』の母親はおつかいを頼んでくる。『わたし』はうんと返事をすると立ち上がった。

「ペロ! おいで!」

 心強い従者の名を呼んで家の中から外へと駆けて行く『わたし』。そこでようやく気付いた。これはわたしじゃない誰かの、少女の夢なんだと……。

 夢の中の少女は楽しそうにわたしの知らない町を従者と共に歩いていく。そこに何かが唸るような音が聞こえた。少女が後ろを振り向くとそこには車輪の付いた青い箱が物凄い勢いで突っ込んでくる。
 ドンという音と共に少女は宙を舞い地面に叩きつけられた。少女の視界が赤く染まっていく。従者のペロが心配そうに、悲しそうに鳴いている。

 わたしは車輪の付いた青い箱から男が身を乗り出しているのを見てしまった。男は少女がどうなっているのか心配している。ちゃんと殺せたかどうか……。
 少女はそれには気付いていないようだがわたしは直感的にそれが誰か分かってしまった。男は少女の父親なんだと……。


 目を開ければそこは見慣れた天井。ルイズは身を起こし、隣で寝ているアンジェリカを見た。アンジェリカはまだ寝ていたがその目からは涙がこぼれていた。
 いつものようにそっとアンジェリカの涙をその手で拭うと溜息をついた。

「変な夢を見ちゃったわ……」

 ルイズはもう一度自分が見た夢を思い出そうとした。

「アンジェリーナって…誰?」

 考えても仕方がない。日の出までまだ時間がある。ルイズは寝なおすことにした。



Zero ed una bambola   ゼロと人形



 眠りに着いたわたしはまた夢を見た。今度は誰の夢かすぐにわかった。アンジェリカの見ている夢だ。
 夢の中でアンジェリカは沢山の大人達に囲まれて過ごしていた。
 眼鏡をかけた人のよさそうな男の人が御伽噺を聞かせてあげている。とても楽しそう。
 でも……この人たちは何を考えているのだろう。
 アンジェリカに鉄砲何か持たせて……。

 暗転、視点が変わる。アンジェリカではない『誰か』の夢。
 四角い箱に人が映っている。
 するとそこにアンジェリカが映った。銃を持ってそこにいた数人の男達を射殺していく。
 事が終わった後、アンジェリカは箱の中からこちらを見て……上手に殺せたと言わんばかりに微笑んだ。

 わたしは理解した。あの優しそうな人たちがアンジェリカに人殺しをさせていたのだと……。

 そして視点はまた変わる。
 アンジェリカは鉄砲を持って走り回った。必死になって引き金を引いて引いて人を殺して殺していた。
 時に銃で撃たれ苦しんでいた。そしてアンジェリカは喜んだ。あの眼鏡の男に「よくやった」と褒められて。

 何故アンジェリカは何故人を殺すのか……少し分かる気がした。わたしもアンジェリカも同じなのだ。
 認めてもらいたい。アンジェリカはあの眼鏡の男の人に……自分の必要性を。
 認めてもらいたかった。わたしがメイジであることを周りの人間に。

 でもそれも終わり。アンジェリカがわたしの魔法が成功した証。誰に認められなくてもそれでいい。
 アンジェ? 人を殺さなくてもわたしは貴方が必要よ。だから……。



Episodio 28

Un sogno di Angelina
アンジェリーナの夢





Intermissione



「あなた方は正気ですか?」

 ロングビルは呆れていた。
 コルベールの説明によると破壊の杖が盗まれた時点でフーケの正体に目星がついていたと言うのだ。
 それなのにフーケ捜索に行かせたのだ。正気を疑うのは当然である。

「わたくしが生徒達に危害を加えるとは思いませんでしたの?」
「うん。思わなんだ」

 ロングビルの当然の疑問にオスマンはさらりと答えた。ロングビルは開いた口がふさがらない。

「伊達に長く生きておらんよ。お前さんがどういう人間かは目を見ればわかるわい」

 威厳たっぷりに言うオスマンにロングビルは少し尊敬した。
 だがコルベールがボソリと呟いた。

「よく言いますね。雇うときには分からなかったくせに…」

 訂正、尊敬などしません。

「と、ともかく君が人を殺したりするような悪党じゃないってことぐらい分かるわい」
「他人の物を盗む盗人が悪党ではなくて?」

 オスマンはロングビルが悪党ではないというがロングビルにはそれがおかしくて堪らない。他人の物を盗むような人間は悪党でなくて一体何だというのか。

「同じ悪党でも人は殺さんじゃろ?」
「ええ人は殺しませんとも」
「生徒を傷つけなかったのう?」
「当たり前です。彼女達には何の罪も恨みもありませんから」
「無関係な者は傷つけたくないと?」
「そのとおりですわ」

 尚もオスマンは問答を続ける。

「では聞こう、何故宝物庫に押し入ったとき生徒達をかばったのじゃ? あのまま踏み潰しておったら全部盗めたのじゃろうに」
「見ておられたのですか?」
「遠見の鏡でな。コルベール君も一緒に見ておったぞ」
「……」
 ロングビルは答えに窮した。何故とっさにあんな行動をとったのか上手く説明できない。

「それにフーケを捜索に行った生徒達に何も危害を加えなかった。それどころか怪我を負ってしまうとは…説明できますか? ミス・ロングビル」

 コルベールが捲くし立てる。

「それは…それは……」

 説明などできない。理由を説明すれば…故郷のあの子のことまで話さなくてはならないのだ。

「説明できんようじゃな。ほれみろ、所詮君は悪党になりきれん半端者じゃよ」

 オスマンが呆れている。だがそんなことは分かっている。でも悪党にならなければ養っていけないのだ。

「何か事情があるのでしょう。そう、例えば…家族を養うためとか……」

 コルベールの言葉に衝撃を受ける。一体何処まで知っているというのだろうか。

「図星のようじゃな…」

 どうやら顔に出てしまったようだ。オスマンはそれを見逃すはずも無い。

「よければ話してみんかね? もしかしたらわしらが力になれるかも知れんぞ」

 オスマンの真意が分からない。盗賊である私の力になるかも知れないなんて信じられない。

「わしらを信じてくれんかのう?」

 いつになく真剣な顔。信じられない。セクハラばっかりしていた人間なんか信じられない。

「そうです。僕達を信じてもらえませんか?」

 コルベールの真剣な表情。こっちのほうがまだ信じられる。……ハゲだけどね。


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