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アカイロマジカル-03

第三幕
御使い(お使い)




ご主人の後に様をつけなさいよ、様を。
ご主人、馬鹿か貴様。



「乾いたかな」
木に掛けておいた上着を取る。陽に当てて置いたおかげで、上着はカラカラに乾燥している。
「しかし、困ったなあ。ドジッ娘メイドだったのか、シエスタは」
実のところ。ぼくは、ある現実に直面していた。横目で水場に置いてある洗濯物を見る。そこには、パンツやらブラジャーやらメイド服やら制服やら赤やらetc……が置いている。
これ、このまま置いておいていいのか? もしも、ぼくが下着に欲情する様な人間だったらどうするんだ。まぁ、そりゃ、少しはするけどさ。主にメイド服とかメイド服とかに。
ぼくは考える。このまま放置すると《魔法学園制服見本市。ただし、出品者はマリコルヌ》みたいな状況になりそうで危険だ。
実際問題、今だって危険なんだけどね。だってさ、水場にある下着や服を見ながらうろうろしている人を見たら、誰だって変質者に見える。ぼくだってそう見る。
考えると、頭痛が痛くなってきた。と、誤法を使用する仕様。と、語法を試用してみよう。
そうか、ぼくは戦慄する。くそ、あのメイドめ。なんという周到な罠だ。まさか、ぼくを間接的に犯罪者にしようと、十重二重の伏線という罠を仕掛けていただなんて。そりゃぼくもワナワナと震えるわな。
そこで。
「どうかされましたか?」
はい、本日二回目。声の主は、子供の時に教わらなかったのだろうか。後ろから変質者に声をかけてはいけません、と。ぼくは教わっていません。くそっ……殺るか?
後ろを振り向くと。背が高く、緑色の髪の女性が冷たい眼でいた。確か、……ええと。学園長秘書のミス……ロング……そう! ロングライフルだ。
そしてぼくはミスロングライフルに終演を始める。いや、言い訳を始める。

「違います! 怪しい者ではないのです。ぼくは決して貴女にメイド服を着せようとか、背の高い女性のメイド服は良いよね。だなんて思ってはいません。本当です、信じて下さい!!」
ギーシュ・グラモン、渾身の言い訳だった。
「……下着泥棒ではないようですね。」
と言い。「ただのメイドマニアですか」と付け加えた。
何故だか誤解されている。……何故だ。ぼくには解らない。
そこでミスロングライフルがぼくの思考を遮る。
「……で、本当にどうかしたんですか?」
すごく、面倒くさそうだ。ごめんなさい、生まれてきて。
そして、ぼくは説明したさ。そりゃあ、もう親切に丁寧に圧倒的に説明したさ。時には悲しい物語やジョークや激動の人生の話を含みながら説明したのさ。

「……と、まあ。こんな感じです」
「……なるほど。大体の事情はわかりました」
「解ってもらえれば幸いです」
「つまり。貴方はどうしようもないメイドマニアだ、と」
「ええ、そうですね。個人的には、おさげに眼鏡等もなかなか必須ですね……って何故に!」
乗り突っ込みさせられた。ロングライフル恐るべし。やはり、素性の違う人は面白いなぁ、と素直に思った。
そして。ミスロングライフルは、ぼくの乗り突っ込みに満足したのか。
「では、私がそのメイドまで洗濯物を届けましょう」と、言ってくれた。神だ。
ぼくは、ロングライフルの背後からでる後光に眼を細める。……愛してるよ、ロングライフル。嘘だけどね。

「しかし、私は今から用事があるのです。だから、貴方が私の用事をする。どうですか?」
どうですか。などと言われてもね。ぼくとしては、選択のしようもない提案である。
「ええ、まあ。こちらからすれば、願ったり叶ったりですけど。ぼくに出来る事ですか?」
「簡単な事ですよ」ミスロングライフルは微笑む。
「宝物庫に行って、ミスタコルベールに宝物のリストを作って下さい。と、伝えるだけです」
「それでいいのですか?」
ミスロングライフルは頷いた。

なんとなく無理難題を言われる様な気がしていたぼくとしては、多少すかされた気がする。これを残念とみるか、良かったとするか。
「わかりました、宝物のリストですね」
「ええ、宜しくお願いします。では、私はこれを持って厨房に……」
ミスロングライフルはしゃがみこみ、洗濯物の入ったかごに手を掛け、動かなかった。
声を掛けてみる。
「どうかしたんですか?」
しゃがんだ姿勢のまま、首だけをぼくに向ける。
「……なかなかに、重い。一つ聞いていいかい?」ぼくは気にしない。
「はい」
「貴方は、か弱い女性にこんな重い荷物を持たせて平気なのですか?」
平気なのです、薔薇の茎は細いのだよ。とは言わない。
「……はあ。半分持ちます」
ぼくは置いてあった空のかごに、洗濯物を入れた。……結論。この赤い服が重い。何の糸で織ってんだよ。これは、ぼくの体力が無い。とか、お腹が空いて力がでない。という問題ではない。十キロくらいあるんじゃないか。
「ところで。さっきの用事は、昼食を済ませた後で良いですか?」
そういえば、朝から何も食べていないので、厨房に行ったついでに昼食を食べよう。という下劣な考え。
ぼく達は、厨房に向かい歩き出す。
「ええ、良いですよ。……しかし、貴方は変わった人ですね」
「そうですかね?」
「失礼ですが、あまり貴族らしくない」
ぼくは正直に答えた。
「まぁ、そうかもしれませんね。でも、ぼくの生活圏内では、結構貴族っぽくしてますよ。……まぁ処世術みたいな物ですけどね」
ぼくは、ぼくでは、あるが。ぼくでは、ないのかもね。ああ、くだらない。
「酷い……人ですね」
ロングライフルはぼくに言う。
ぼくは、仰々しく薔薇を持つ。
そして、髪をかき上げ。
「理解してるよ」
と言った。




ぼくはミスロングライフルに礼を言って昼食の後で宝物庫に行きますと伝えた。
そして食堂で御飯を食べていると。
「ギィィィーシュゥゥァァァー!!」
呼ばれた気がする。叫ばれた気がする。求められている気がする。なにこの根底から間違った三段論法。
ぼくは、声の発された方向を見る。マリコルヌであった。全く、元気な奴だ。
「やあ、久しぶりだね。ざっと考えて、二日ぶり位かな?」
「そうだね。大体それ位だね……って何でだよ! 朝会ったよ! 今朝会ったよ! ステータス異常、忘却かよ!」
はて? ぼくにそんな記憶はないはず。失礼な奴だ。まあいいや。
「で、何の用だい? もしもくだらない用事で、ぼくの食事を邪魔すると言うのなら。ぼくは、君に糖尿病の恐怖を誠心誠意、親切丁寧に一から十まで教えてあげよう。もし君が望むならチェックリストを作ってもいい」
「……ひでぇ」
「ふむ。では、まず第一の恐怖……」ぼくは水泳の出走者紹介の様に言った。
「……止めてくれ。いや、やめてください」
もう少し続けたいが、止めておく。そして前からレイナール達が来た。
「やあギーシュ、久しぶり」(レイナールくん。視力2,0、しかし眼鏡。真面目。結構鋭い)「あんまりマリコルヌを苛めるなよ」と笑いながら言う。
「うん、ちょっとやりすぎたかな」
ぼくはマリコルヌを見る。未来への恐怖を感じているようだ。
「いや、マリコルヌは喜んでいるとみたな」これは(ギムリくん。凶悪な顔。漢。エロス)「ほら、良く見てくれ。あれは明らかに快楽中枢神経を、刺激された顔だ」
そう考えると。項垂れたマリコルヌが、快楽に呑まれたように見える不思議。
レイナール達はテーブルに着く。
「マリコルヌが恋をしたらしいんだ」「また幼女?」「いや、違う」「嘘だッ!」と、言いつつ祝福。ペドコルヌ卒業おめでとう。
「ふーん。恋といえば、ギーシュは彼女とかいるのか?」恋で何故ぼく。
「なあ、ギーシュ。お前、今は誰かとつきあっているのか?」
「そうだ、誰が恋人なんだ?」マリコルヌ復活。寝てろ。
なんだよ、この質問ラッシュは?
「つきあう? ぼくに特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませるのだよ」ぼくは適当に答えた。

その時、昼食特有の喧騒に包まれた食堂は。まるで、聖堂に変異したかの様に、静寂に支配された。
全生徒の視線はただ一点の異常に注がれる。
そして。視線の先、壁になって見えなかった人の波が割れた。
そこには、ただ一人のメイドがいた。
生徒は口々にぼそぼそと何かを言っている。「……ンパイ…キラー」「翼…殺し」「人……強」よく聞こえないが、物騒な響きだ。
ぼくは、そのメイドを見た。肩まで届く長さの髪は、異様といっていいほどの艶がある。眼鏡を掛けた奥の瞳は見えない。背も高く、どこかの王女か何かを思わせるくらいプロポーションが良い。
間違いなく美人を思わせる風貌だった。しかし、なにやら近付きがたい雰囲気がある、万人に好かれるタイプではないだろう。
「へぇ」
素直に感嘆の声を漏らしてしまう。
ぼくは、歩き出したメイドと、目があってしまった。そして、目の前まで来てぼくの顔を凝視する。眼鏡の奥から発された圧倒的で暴力的な視線で威圧されたぼくは動けなくなってしまった。
「うむ、腐った眼だ」
この人はいきなりなんて事を言い出すんだ?
「ようっす、にいちゃん。はは、こんにちは」
「……こんにちは」
「馴れ馴れしく挨拶するな。はは、いやいや、驚きだ。……さて、っとう」
そして、ぼくは蹴られ。意識を失った。

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