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るいずととら第二章-2



『土くれ』のフーケが脱獄した、翌朝のことである。

「なーに読んでるの、ルイズ?」

教室で熱心に本を読んでいるルイズの手元を、モンモランシーがひょいと覗き込んだ。そして、本に書かれた文字を見て顔をしかめる。

「ちょっと、それ何語? どこの本なの?」
「ミスタ・コルベールに借りたの。ずいぶん前の貴重な古書だって言ってたけど……珍しい幻獣の絵が載ってるって言ってたから」

モンモランシーはふうん、と頷いた。

「大変ね、変わった使い魔呼び出すと。危ないし、あれ。教室に入れとくのはまずいんじゃない?」
「う、うるさいわね。おお、おとなしくしてるじゃない!」

ちら、とモンモランシーが見つめたのはルイズの使い魔であった。机に足をのせて『テロヤキバッカ』をもぐもぐと平らげている、とらである。
とらは変化を使って真由子の姿となっている。意外に、教師や生徒の中には、それがとらの変化したすがただと知らないものもいた。
知らないものたちは大口をあけて『テロヤキバッカ』をむさぼる美少女に好奇の視線を向けている。
知っているものたちはただ目をそらした。

(そそそりゃあ、わたしだって教室に入れるのはどうかと思うわよ。使い魔なんだし。でも、とらは授業ききたいって言うし……
 そそそそれに、ああああの、タバサの、はは発情した竜が! 竜のクセに、おお、おちちが大きいあの竜がッ!!)

ルイズは思わず顔を赤くして拳を握り締める。使い魔のことで竜に嫉妬するとは、人間としての尊厳をだいぶ失ったルイズであった。

と、教室の扉ががらりと開き、ミスタ・ギトーが現れる。生徒たちは慌てて席についた。
黒い長髪に漆黒のマントをはおったミスタ・ギトーは、教室を見渡す。と、その目ががつがつと『テロヤキバッカ』を食べる少女に止まった。

(……あんな生徒いただろうか?)

疑問を抱きつつ(この疑問をしっかりと追究すべきだったのだが)、ミスタ・ギトーは咳払いをして、喋り始めた。

「私は『疾風』の二つ名をもつ。疾風のギトーだ。さて……諸君は最強の系統を知ってるかね? ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか?」

当てられたキュルケが答えると、ギトーは鼻で笑った。

「伝説の話はいい。現実的な答えを聞いてるんだ」
「『火』ですわ。すべてを燃やし尽くすのは『火』の系統ですもの」

カチンときたキュルケがそういうと、ギトーは杖を引き抜く。

「残念ながらそうではない。『風』こそが最強の系統だ。そうだな、ためしに、君の魔法をぶつけてみなさい」

(生徒相手に何ムキになってるんだか……)

最近、やや性格が丸くなったキュルケである。バカバカしいから座ろうかとも思ったが、ちょっとしたイタズラ心が芽生えてしまった。

「私の『火』の魔法ではミスタ・ギトーにかなわないでしょうね。でも、このクラスには、私以上の『火』の使い手がいますわ
 『風』が最強というなら、その生徒の『火』も防げるでしょう?」
「ほう、それは誰だね?」

ギトーは笑みを崩さずに言う。まさか生徒にトライアングル以上の使い手などいないだろう、そう彼は判断した。

「そこにいますわ。とら! ちょっとミスタ・ギトーに炎をぶつけてやってよ。殺さない程度に」
「ああ? わしがやるのかよ……」
「ちょ、ちょ、ちょっと!! キュルケ! ああ、あんた勝手に何言ってんのよ!!」

慌てるルイズにギトーの声が飛ぶ。どうやら、キュルケの「殺さない程度に」という言葉に、カチンときたようだった。

「ミス・ヴァリエール! 君は関係ないだろう。口出しは無用だ! 魔法の使えぬ『ゼロ』は黙っていろ!」

ピタ、とルイズの動きがとまる。禁句をいったギトーに対するルイズの静かな怒りと殺気が教室を包んでいった。

「……とら。やや、やっちゃっていいわ。ここ、殺さないようにね。いちおう」
(ふん……手加減は苦手なんだがよ……しゃーねーか)

ルイズの言葉に、あくびをしながらとらは立ち上がる。ギトーは杖を構えた。

(トーラ? 変わった名前だな。まあいい、何にせよ、我が風に勝る系統などない……!!)

こぉおぉおおおぉおぉ……

(む? なぜ杖を構えない……? なぜ口を開いて……なぜ口が、ひか、光っている!? まてまて、よく考えろ。
 『火』の使い手って普通メイジのことだろ常識的に考えて! ここ、こいつは、ミス・ヴァリエールの使い魔じゃないか――――ッ!!)

轟ッ!!!!!


大惨事である。


「あやや、ミスタ・ギトー! 失礼しますぞ! ……と、治療中でしたか。さて、皆さん」

あたふたと教室に入ってきたコルベールは、水系統の生徒たちが全力で治療中のギトーをちらりと見ると、教室を見渡した。

「今日の授業はすべて中止であります! 本日はトリステイン魔法学院にとってよき日ですぞ!
 恐れ多くも、アンリエッタ姫殿下が本日ゲルマニアからのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます!」

教室がざわめいた。

「今から全力をあげて歓迎式典の準備をおこないます。授業は中止、生徒諸君は正装して門に整列するように!」

生徒たちは緊張した面持ちになって、いっせいに頷く。コルベールは重々しく頷くと、笑顔で声を張り上げた。

「諸君が立派な貴族に成長したことを、姫殿下にお見せする絶好の機会ですぞ! しっかり杖を磨いておきなさい!」


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