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豆粒ほどの小さな使い魔-14




……マメイヌ隊に入隊が決まって、舞い上がっていた気持ちは、最初の一週間でぺしゃんこになった。
走ることに自信はあったけど、それだけじゃだめだって知ってたから、狩りや探索も自分なりに練習してた。
お父さんとか、元クマンバチ隊の人にもお話聞いて。
なのに、いざ現場に出たら、先輩たちに全然着いていけないの。
やらなきゃって思ってるのに、頭が働かなくて、手が間に合わなくて、それで、

「それで……叱られたの?」

叱られなかった。だから余計に怖かった。
ルイズはどう?
叱られたら、そりゃ泣きそうになるかもしれないけど、でも、どこか安心できなかった?
心配してくれるから、だから叱ってくれるんだって。
マメイヌ隊は、ね、結構入れ替わりが激しいの。先輩たちは皆優しかったけど、でも本当は、後ろにいる隊長たちがどんな目で私のことみてるのか、怖くて振り向けなかった。
おかしいでしょ。
小さいときからずっと憧れてて、頑張って、ようやくなれて、これから頑張ろうっていうのに、頭の中がぐちゃぐちゃになってるんだから。
隊服が締め付けるみたいで、ご飯も食べられなくて、
焦って、でもどうしたらいいのか分からなかったときに、たまたま偶然か、それともその時皆が本気じゃなかったのか、その日の訓練で、私が一番速く走れたの。
これだ! って。
一つでも皆に抜きん出てるものがあれば、隊員でいられる。
ばかみたいでしょ。
だから恥ずかしくてルイズに言えなかった。ごめんなさい。
それから、どうしたかって?
走ったわ。脇目も振らずに、少しでも速く、もっと速く、誰よりも速く、
それしか頭になかった。
ふふっ
何日目だったのかな、とにかくがむしゃらに走ってたときに、いきなり、頭ががーんってしたの。
気がついたら、仰向けに倒れてた。
木にぶつかってた。
頭から、思いっきり。コロボックルがそんなの、聞いたことないわよ。
ぶつけて、頭が空っぽになって。やっと気がついた。
私は、何の為に走るのか、全然考えてなかった。
マメイヌ隊員だった人たちに、たくさん話を聞きに行ったのに、全然分かってなかった。
あの人たちは、隊を辞めても少しも悔しそうでも恥ずかしそうでもなかった。
お父さんもそう。
私は、あの人たちを見てたからマメイヌ隊に憧れたのに。
この剣、ね、世話役が直接私に渡してくれたの。
だからすごく重く感じてた。何よりも大切にしなきゃって。
違うんだよね。
子供を助けるためだったら、剣なんか折っちゃってもいいんだ。
隊長に、そう言いに行ったの。気がついたこと、思ったこと全部、ぐちゃぐちゃだったときのことも。
返事は一言だけ。「そうか」って。
嬉しかったな。それで、やっと剣が剣の重さになってくれた。
副隊長なんて、お前は頭がいいんだか悪いんだかって。

はあ、すっきりした。


* *



引き込まれてた私も、ようやく息がつけた。
ここで終わってもらって助かった。だって、この後はハヤテから見た私のはずだったもの。
しっかり分かったから、重ねて聞かされたら恥ずかしくて死んじゃう。
それにしても、
「半年前かぁ」
たった半年。それでこんなにしっかりしたお姉さんになっちゃうのか。
ずるいなぁ。そのころのハヤテが来てたら、私だけが子供っぽくなくて済んだのに。
「ガンバルノト、焦ルノハ、チョット違ウ」
まだちょっと赤いわよ。でも、感謝してる。
話してくれてありがとう。
手を伸ばして、ノートをぱらぱらとめくる。20ページほど遡ったところに、その書き込みはあった。
目的を間違えちゃだめだって。何のためにメイジになるのかよく考えようって。
あの後、ミスタ・コルベールとのごちゃごちゃがあって、それで埋もれちゃってたんだ。
大事なことに気づけて、大人になれた気分だったのに。ほんと、ばっかみたい。
「るいず、私モ、子供ダヨ。イキナリ大人ニナル、違ウ。少シズツ、行ッタリ来タリシナガラ、ネ」
もしもハヤテがいてくれなかったら、私も目を瞑ったまま走って、木に頭をぶつけてたんだろうな。
「ハヤテは、私の悩んでることとか、分かりやすくて、子供っぽいって思う?」
ううん、の指笛。
「大人ダッテ、分カンナクナルンダヨ、キット。先生モソウダッタジャナイ」
ゼロと呼ばれてむきになってたころが懐かしいわ。それだけで頭一杯になってた。
自分のこともだけど、シエスタとか、コルベール先生のことなんて、全然考えなかった。
ただのメイドで、ただの先生。
それに、そうだタバサ。
あの子今日は授業に出てたわよね。あれ? 昨日からだっけ? ううん、やっぱり今日からよ。
こんな風に考えることが増えて、魔法だけに集中できなくなってからの方が、よっぽど進んでる。
「フシギ、ダヨネ」
ハヤテもその言い方実感が篭ってるわね。
「アノネ、ゴ飯トイッショジャナイカナッテ、思ウンダケド、ドウカナ?」
また、話が飛んだわね。でもいいわ。面白そうだから聞いてあげる。
「好キナモノ、トカ、精ガツクモノトカ。デモ、ソレダケヲ食ベテルト、病気ニナッチャウ。タクサン、色ンナモノヲ食ベル、元気ノ素」
「そうよね。ハヤテって実は食いしん坊だしね」
「チ、違ッ! ルルルルッ!」
「冗談よ。分かってるわ」
私が意地を張らないように、わざと優しく噛み砕いて言ってくれてるの。そういうところも、ちい姉さまに似てる。
「明日から、ちゃんと授業受けるわ」
それだって、無駄じゃない。きっと私の糧になる。


「なんか、寝るの勿体無いな」
もう時間も遅いんだけど、もう少しハヤテとお話したい気分。
ちい姉さまにするみたいに、ちょっと甘えてみたら、しょうがないなぁってもう一度座り直してくれた。
「学院の庭、よく散歩してるでしょう? 何か面白いこととか、変わったことってないの? あ、別に何でもいいの。ハヤテの目から見た学院の話、聞きたいな」

眠くなるまで、余韻に浸りたいだけだったんだけど。

「ええっ! 風竜の背中に乗せてもらったの?」
それっていつ? いつの間にそんなに仲良くなっちゃったの?
寝てなんていられない。
「落チ着イテ、るいず。違ウノ。飛ンデナイカラ」
よくよく聞いてみたら、本当に背中にぽんと乗せてもらっただけ。
やっぱりタバサって分からない。竜の背中に乗るのはすごく興味あるけど、でも地面に降りてる竜に乗って楽しいの? 上手く想像できない。
だけどハヤテが嬉しかったって言うのを聞いてたら、その顔を見てたら、私も羨ましくなって、
「決めた! 私も明日タバサに会いに行くわ。だから明日の朝、一緒に起こしてね」
「エ? アレ? ウ、ウン。ワカッタ」
ベッドに潜り込む。
早く寝なきゃ。あ、ハヤテ、
「ナニ?」

子守唄、お願いね




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