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ソーサリー・ゼロ第二部-15

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三 

 ルイズは君を≪使い魔≫として召喚したことから話しはじめ、その≪使い魔≫が実は、ハルケギニアとは異なった世界の人間だったのだと語る。
 普通ならば一笑に付すような内容だろうが、ウェールズは話に夢中になり、ときどき短い質問を挟みながら耳を傾ける。
 君は祖国のために一刻も早くカーカバードに戻らねばならぬ立場にあり、ルイズとオスマン学院長も君の送還のために尽力していることを知ると
、ウェールズは深く同情の意を示す。
 オスマンに、彼の旧友リビングストン男爵が≪門≫を作り出す魔法を研究していることを教えてもらった君たちは、
男爵の協力を得るためこのアルビオンの地までやってきたのだが、目的の人物の死を知らされたいま、旅は不本意な結末に終わろうとしているのだと言って、
ルイズは話を締めくくる。
「人間が使い魔というだけでも珍しいが、それが夜空にかかる月の数さえ違う遥かな異国の、重大な任を帯びたメイジ殿だとはな。
近頃はさても奇妙なことの多いことよ」とウェールズは言う。
「男爵のことは残念だが、もはやどうしようもない」
 ウェールズは続ける。
「男爵が我が方に参陣するためニューカッスルの城に来たのは一月ほど前のことだったが、私はその頃、軍艦の指揮をとっていたので、
彼に直接会ったことはない。後に聞いた話では、男爵はほんの数名の従者だけを引き連れた、尾羽打ち枯らした風情だったという。
彼はあらためて国王陛下に対する忠誠と、すべてを奪った貴族派に対する復讐を誓ったのだが、三日ほど後の小競り合いで生け捕りにされてしまったそうだ。
彼はその日のうちに殺され、城壁から吊るされて晒された。首から名を示す札を提げたその遺体は、焼かれ、切り刻まれ、
誰との見分けもつかぬひどい有様だったという」
 ウェールズは君が絶望に沈んでいるのを見て取り、すまないと頭を下げる。
「我らアルビオン王家の無為無策が、この醜い内乱を、かかる惨事を招いたのだ。リビングストン男爵も、朝に君たちと出会ったゴーツウッド村の人々も、
内乱勃発以来の数え切れぬほどの死者も、すべては我らの無能がゆえに死んでいった。そして今度は、使い魔殿を帰還させる望みの綱まで
断ち切ってしまったのだ」と悲痛な表情でウェールズは言う。
 君は、まだ望みはあるかもしれぬとウェールズに言い、リビングストン男爵の遺品かなにかは残っておらぬかと尋ねる。
 ≪門≫を作り出す魔法に関する覚え書きでもあれば、しめたものだ。
「ニューカッスルの城に、親類縁者のない戦死者の遺品を収めた倉庫がある」
 ウェールズは言う。
「収められた品々はたいした量ではないはずだから、探せば簡単に見つかるだろう。ちょうど私たちもあの城に帰還し、陛下に状況の報告をするところだったのだ。一緒に来てもらえるかな?」
 ウェールズの言葉に一縷の希望を見出した君は、すぐさま同意する。
「ま、また私を無視して話を進めてー!」
 ルイズが抗議の声をあげるが、彼女もこの申し出に反対する理由はない。
 話を終えた君たちはギーシュと十人ほどの兵士を連れ、岩屋を出てニューカッスルの城へと向かうことにする。八へ。



 鬱蒼とした森の中を東へと歩いていくうち徐々に木立ちはまばらになり、やがて君たちは小高い丘の上に立つ。
 そこからはおぼろげだが、高い尖塔を備えた城の影が見える。
「あれがニューカッスルの城だ。我ら王党派が維持している城砦のなかでは最大のものだよ」城を指差してウェールズは言う。
「この辺りは反乱軍の支配地域ゆえ、敵中を突破して門から堂々と入城することはかなわぬが、この近くに我らしか知らぬ秘密の抜け道がある。案内しよう」

 ニューカッスルの城へと続く秘密の抜け道は、岩地の崖に巧妙に隠されている。
 大岩のひとつの前に立ったウェールズがなにごとか呪文めいた言葉をつぶやくと、岩は内開きの扉のように動き、洞窟の入り口が現れる。
 ウェールズが先頭に立って洞窟の中に脚を踏み入れ、護衛の兵士たち、ルイズとギーシュが後に続く。
 最後に洞窟に踏み込もうとした君がなにげなく背後を振り返ってみると、視界の端を小さな赤い蛇が横切り、そのまま岩陰に姿を消す。
 以前にどこかで見たような気もするが、いまひとつ判然としない。扉を閉じるのを待つように言って、蛇を追いかけるか(九六へ)?
 かまわず先を急ぐか(一〇八へ)?


九六

 蛇の後を追おうとするが、すでに赤い姿はどこにも見えなくなっている。
「なにしてんの、早く来なさいよ!」とルイズに言われ、
君は急いで洞窟の入り口へと引き返す。
 すぐに岩が閉じられるが、その直前に小さな赤い蛇が素早く洞窟の中へと這いこんだことには、誰も気づかない。一〇八へ。


一〇八

 君たちは暗闇の中、数本の松明の明かりを頼りに単調な一本道を進む。
 声が大きく反響するため、誰も口をきこうとしない。
 坂道や曲がり角を除けば通路の途中にはなにもなく、時間の感覚が怪しげなものになりつつある。
 そろそろ夕暮れどきだろうと君が考えたそのとき、前方に光が見えてくる。
 先頭を進んでいたウェールズは振り返ると
「ニューカッスルへようこそ。諸君、ここが我らの秘密の船着き場だ」と君たちに言う。

 そこは地下に設けられた広大な空間であり、舷側からいくつもの大砲を突き出した軍艦を含む数隻の空飛ぶ船が、
太いもやい綱で岩壁に係留されており、その周囲で船員や水兵が忙しげに動き回っている。
 洞窟を煌々と照らす光の源は炎ではなく、白く発光する奇妙な苔の一種だ。
「殿下、ご無事にお戻りでなによりです」
 杖をついた長身の老貴族がウェールズを出迎えに現れる。
「城中に変わりはございません……いや、トリステインよりの大使を名乗る貴族の方がおひとり、先ほどお着きです。
なにやら殿下への密書を言付かって参ったとか。して、そちらのお方たちは?」
 老貴族が怪訝な表情をする。
 戦場から、小奇麗な服装の貴族らしき少年少女と、剣を吊るした平民の旅人を連れて戻ってきたのだから、妙に思うのも無理はない。
「この者たちは私の客人だ。戦死したリビングストン男爵に縁(ゆかり)の者だそうだ」
 ウェールズがルイズとギーシュを紹介(例によって君の紹介は省かれる)すると、老貴族はかしこまって、皇太子の侍従をつとめるパリーだと名乗る。
 ウェールズはトリステインからの大使と会見すると言って君たちと別れたので、君たち三人はパリーの案内で城の倉庫へと向かうことにする。
 目的はリビングストン男爵の遺品だ。

 君たちは倉庫として使われている埃っぽい半地下の一室で、がらくたの山を掻き分ける。
 錆付いた剣、折れた杖、もとは美しかったであろう虫食いだらけのタペストリー……がらくたの大半は、戦死者の遺品ですらない。
 数十分後、「あったぁ!」とルイズが叫びをあげる。
「見て、見て! 男爵の日記よ!」
 嬉々とした声でそう言いながら、革装丁の本を開く。
「その本にトリステインの命運を左右する、重大な記述があるのかい?」
 ギーシュも興味津々といった面持ちで日記をのぞきこむ。
 この世界の文字が理解できぬ君は、日記の内容を読み上げてくれとルイズに頼む。

 日記の内容は≪門≫を作り出す魔法に関する事柄ばかりで、世間の出来事、家族や領地経営に関する記述はいっさい存在しない。
 男爵はその人生のすべてをかけて、まったく新しい魔法を生み出そうとしていたのだろう。
 しかし落胆したことに、その日記には≪門≫を作り出す具体的な方法についてはまったく触れられていない!
 どの日付の内容を読んでも、現れた≪門≫があっというまに消失してしまうことについての泣き言や、研究資金の不足に対する愚痴が書き連ねられているだけなのだ。
 ただ、屋敷が反乱軍の焼打ちにあう直前の頁には奇妙な記述が見られる。
 男爵はなんとも異様かつ鮮明な夢を見たらしく、その内容が詳細に記されているのだ。

 背中が曲がり脚はひどいがにまた、大きさの合わぬ薄汚れた服に身を包み、ざんばら髪を振り乱した不気味な男が男爵の前に現れ、こう言った。
『隔てる壁に何度も穴を開けたのはきさまか』
 わけがわからず呆然とする男爵に、男は言葉を続ける。
『ああ、最初から穴を開けるつもりではなかったのだな? 偶然とはいえ、神ならぬ身でこれだけのことをしでかすとはたいしたものだ。
それに、きさまのおかげで私は新たな遊び場所を見出せたのだから、礼をしなければならぬな』と。
 男は狂人めいたぎらぎらと光る眼で男爵を睨むとにっと笑い
『礼として、ひとつ予言を下しておこう。きさまの研究は成功する。それは、この世界を一変させるだろう。しかし、きさまが栄光を得ることはない。
それどころか、死するまで悔やみ続けることになるだろう』と言うと、
男はそのまま煙のように消えうせた。

 君もルイズもギーシュも、夢の示す事柄が理解できずに首をひねる。
 いまだハルケギニアの各所をつなぐ≪門≫など存在せぬうえ、『死するまで悔や』むもなにも、男爵はこの夢の数日後に殺されているではないか!
とりあえず日記を持ってこの部屋を出ていくことにするが、行きがけの駄賃として部屋の隅で見つけた、糊の入った小瓶と砂の入った袋を持っていってもよい。一三〇へ。



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