あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの妖精‐02

ルイズは激烈に不機嫌だった、呼び出した男…ピクシーだとか言う男は
自分の儀式における重要な発言を全て無視し、ただ言われるままに
自分のファーストキスを受け、何故か自分に背を向け歩き出そうとし
そして、あっさり気絶した。

周りには「平民を召還した」とか「ルイズのキスは大の大人を気絶させる威力」と馬鹿にされるわ
頼りのコルベール先生も気絶した男の左手に浮かんだルーン…
なにやら奇妙に捩れたリボンのようなものを見て「ほう、これは珍しいルーンだ」とか
言いながら、それをスケッチするだけスケッチして、他の生徒を引率して
学園に戻ってしまうし、男と一緒に召還された奇妙なゴーレムともなんとも言えぬ物体は
うんともすんとも……あとで、自力で男を運ぶ際、遠くから初めて全長を見た

それは羽ばたいている鳥を上か、後ろから見た姿を平面に固定したような形で……
なんだかよくわからないが、触る限り、鎧や剣と同じ鉄でできていて、形自体は綺麗な左右対称
先ほど男が現れた位置には、彼がかぶっていたと思われる兜(それにしても変に丸い妙な形の)
体、と思われる場所の上には目と思われる巨大なものが装着されていて
後方には、太い、大砲のような穴が見えていた

……唯一、左右非対称なのは、鳥として見た場合、右羽根の部分が赤く染められていた。

「目があるなら、見えてるんでしょ……まったく、どうにもならない愚鈍ね、大きさのわりには
 妙に薄っぺらいし……鳥だとしても、片羽をどこかに落っことして、別のをつけたって感じね」

ぶつぶつ言いながら、その男の体を引きずり、学院の自分の部屋へと運ぶだけで
日が暮れて、夜になってしまった、男は作業服というのか、やたらポケットがついた服を着ていて
…その下の体はルイズであっても、鍛えているのが判断できた、運ぶとき、やたら重かったのだ。




運びこまれて数時間後、ピクシーはようやく目を覚ました。
瞼が震えるほどゆっくり目を開く、どうやら、目覚めがあるということは死んではいないらしい
だが、問題は解決していないらしい、そこは最終決戦の場であるアヴァロンダムではなかった
左手に被弾したような痛み、夢でもないようだ……顔をあげると、さきほどの桃色がいた
腕を組んで、仁王立ち、なんというか、あれだ、激烈に不機嫌そうだ。

「よお、ご主人様、目覚めのコーヒー淹れてくれないか」
「なっ……!!」

オーケイ、激烈に不機嫌そう、じゃなくて、激烈に不機嫌だ。

「なによ!使い魔の分際で、ご主人様にい、い、い、いきなりお茶汲みを要求ですって!?
 あなたの自分の立場を弁えているの!?使い魔のクセに!使い魔のクセに!!」
「ああ、騒がないでくれ、頭と左手に響く……クソ、やはり怪我でも…」

先ほどから、いまだに鈍い痛みを伝えてくる左手を見下ろす、掌にはなにもないが
甲に、なにかのイタズラ描のような傷跡のような、刺青のような文様が浮かんでいる
これは……メビウスの輪?
ピクシーはルイズがなにか、杖を振りかぶるのが見えたが、それで殴る間合いにも遠く、なにも警戒していなかった。

瞬間、爆音、衝撃。

油断した、油断しきっていた、相手の杖、なにかが仕込まれていたのか
爆風をモロに受け壁に叩きつけられ、再び意識を刈り取られそうになるが、歯を食いしばり、持ち応えた。
まずい、どうにかしなくては、反射的に腰から銃を抜くと、相手に向けようとして、止まった。

相手も…焦げていた。

「おかしいわね……ちゃんと唱えたはずなのに…」

そんなことをブツブツ言いながら、体についた煤を払い落とす相手に、なんだか笑いが込み上げてきた…
どうにか、それを、噛み殺しながら、銃をしまい、すぐ横にあった窓の外を眺める、星だ、星が見れれば
緯度経度などが……オーケイ、わかった、少なくとも地球上にはいないようだ、月が二つ、とは。

「わかった、わかった、とりあえず、話を聞こう、魔法とやらも見せてもらったし
 さすがに月は用意できないだろうからな」
「…?なに言っているの?…まあ、いいわ、あなたがわかってくれれば幸いよ
 あのあと胃が痛くなるまで 迷ったけど、あなたを使い魔にすることに決めたわ、いい?」
「…随分と勝手に話が進むな」
「あなた、私の大事な台詞、全部聞きとばしていたものね、とにかく!
 契約を結んだ以上は私の目となり耳となり、私に忠誠を近い、私のために生きなさい!いいわね!?」
「そういえば、そんなことも言っていたが………まあ、いいさ、結局戻るべき場所もない番犬だ
 やるべきことも、すべてできなくなった、忠誠……はともかく、働きはしよう」

ピクシーとしては、元いた世界から『国境』を無くそうとテロ活動はしたものの
それらの手段となる超大型空中母艦も、凄腕のエース達も
そして、全てをゼロに戻そうとしたV2ですら
『鬼神』に阻止されてしまった、もはや手札はない、先に残っているのは行き止まり
元居た場所に……どこにも居場所はない。
渡しに船、とは言わないが、いいチャンスだ、不服だったら飛び出してもいい。
傭兵というものは理想ではなく、現実を見据え、常に状況を見極めて渡り歩くものだ
『鬼神』は違うかもしれないが、ピクシーの持論はそれだった。

話を聞けば、依頼内容は三つらしい
1、文字通り、感覚を共有し、目となり耳となり行動すること
  もっともルイズはピクシーに対し、感覚を共有できないので
  実質的にはこれは存在しない依頼。
  (ピクシーはこれをAWACSと戦闘機に変換して考えた
   おそらく、ECMでも作動しているのだろう、とジョークを飛ばしかけたが押しとどめた)

2、ルイズの求める品(主に調合に使用するものらしい)を
  調べて集めること…これは近辺の探索を兼ねて後に実行することに。
  (ピクシーはこれを偵察任務と変換して考えた
   撮ると採るでは大いに違う、とボケを飛ばしかけたが踏みとどまった)

3、ルイズの護衛、そして身辺の世話

「あなた、運ぶときにわかったんだけど、なかなか鍛えてあるようだし、戦いはある程度できるわね?」
「戦いは本職だが……いまいちジャンルが違うな、俺は空中専門だ」
「空中?竜騎士かなにかだったの?あなた?……そういえば、あの変なもの一体なんなの?」

もしや、この男平民ではなく騎士の部類か、とルイズの瞳が輝くが
ピクシーは頭を振り、言葉を続ける

「あれは飛行機、わかるか?空を飛ぶ乗り物だ、アレに乗って、空中で、戦う」
「…………ばっかじゃないの?」

瞳の輝き、即座に消えて、なにやら、胡散臭いを通り越して、なにか可哀想なものを見る目で
ピクシーを見つめるルイズ、ピクシーはその視線に、あえて口を開かなかった

(あんな鉄の塊で飛ぶとか…これは相当に重症な人ね
 あー…やっぱりこんなのを使い魔にするんじゃあなかった!)
(さすがにファンタジーの世界で戦闘機を口で説明してもな…
 おそらく「相当に重症な人」とか考えられていそうだ、必要なときがくるまで、黙っているか…)

重苦しい沈黙の中、ルイズがさっさと着替えながら、冷たい口調で口を開く
さすがに頭のおかしい男に着替えを手伝ってもらうつもりはない、手早く、早業で着替える
途中、ピクシーが口笛を吹いたような気がするが、もうツッコむ気にもならない。

「私、もう寝るから、授業が始まる前に起こして、服は洗濯しておきなさい」
「ああ、了解、ところで」
「なに?」
「頼んだコーヒーが出てこないんだが、まだか、ご主人様」

無言のまま、ベッドに横になるルイズ
無言のまま、ため息をつくピクシー
…部屋の隅に「ここで寝なさい」とばかりに藁が敷き詰められていた。
まあ、雪山でのベイルアウトよりはマシさ、と自分に呟きながら、ピクシーはそこに横になる。
ついさきほどまで、意識を失っていたが、割とあっさりと眠れた。

そうして、片羽の妖精とルイズの初日が終わる。



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