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薔薇乙女も使い魔 第六話    『フーケ捜索隊』




窓から見上げれば、夜空に月が二つ輝く
月を飾るように数多の星が煌めいている

 でもそんな風情に目もくれず、ルイズはキュルケとタバサを自分の部屋へ押し込んだ。
続いて真紅と翠星石を抱えたジュンも部屋に飛び込み、扉に鍵をかけた。
「ちょっと待って。一応覗き見とか、調べとかないとね」
 キュルケはそういうと、タバサと共に杖を掲げてルーンをつぶやいた。二人の杖から広
がる光の粒が、ルイズの部屋を舞う。
「そうね。私たちも覗き見されるのは好きじゃないわ」
 真紅はそう言うと、手から薔薇の花びらを数枚湧かせ、ジュン・真紅・翠星石から光の
粒をはじいた。
「あら、ごめんなさいね。気が付かなくて」
 キュルケはニッコリ微笑んで謝った。タバサも黙ったまま僅かに頭を下げた。
「大丈夫のようね。さぁてルイズぅ、いろいろと聞きたい事があるのよぉ♪」


 ベッドに座るルイズ。その左右には真紅と翠星石も座る。
 小さなテーブルには、タバサとキュルケが席に着いた。キュルケは興味津々という感じ
で真紅達を見つめている。タバサも今は本を読まず、皆の話を聞き入っていた。鞘に入っ
たままのデルフリンガーは、壁に立てかけられていた。ジュンは窓の横に立っている。
 一難去ってまた一難、そんな言葉がジュンの脳裏をよぎった。


 ルイズは胸を張り声を震わせて
「あ、あんた達!今日見た事は絶対に、絶対に秘密にしないと許さないわよっ!」
と、虚勢を張っていた。天真爛漫に笑うキュルケの返答は、
「そのつもりよ。ただしぃ~、あなたの使い魔達の事を色々教えてくれたら、だけどね」
だった。

 そんなわけで、ルイズは先日オールド・オスマンに話した、『ジュンはロバ・アル・カ
リイエ出身。ローゼンメイデンはジュンの国の伝説的人形師ローゼンの作品。全部で7体
のはず。ローゼンの弟子の槐とかいうヤツも作ってたけど、詳しくは分からない』
 との内容を語っていた。
 窓の横で黙っていたジュンだが、正直気が気ではない。何しろ、この部屋にはジュンが
サモン・サーヴァント後に地球から持ってきた目覚まし時計などがあるのだから。一応隠
してはあるし、魔力を帯びていないから、この世界の魔力探知系魔法では見つからないは
ずだ。
 とは言え、何かの拍子に見つかったら、入手ルートについて、あれこれ突っ込まれるこ
とは間違いない。

 実際、6人が部屋に入ると同時に、キュルケとタバサは室内にディティクトマジックを
かけていた。その結果、覗き見の類は無いと二人は言っていた。でも、魔法を使えないジ
ュンにはそれを確認する術はない。また、あくまで『キュルケとタバサにとって不都合な
覗き見が無い』というだけの意味かもしれない。
 さらにジュンの不信感をかきたてたのは、ディティクトマジックの光の粉が、真紅と翠
星石にも降りかかりそうだったことだ。真紅の薔薇で光の粉を防いだので、探知はされな
かったと思うけど、絶対わざとだろうな、とジュンは考えていた。

 いずれにせよ、ジュンは目の前の紅い髪の巨乳な女性も、青い髪の無口で小柄な少女も、
全く信用していなかった。

 そんなジュンの警戒心をよそに、キュルケは真紅と翠星石に思いっきり好奇心を向けて
いた。
「へぇ~、全く凄いじゃない、ジュンちゃんの国って。こんな凄い人形がいくつもあるな
んて。ねぇねぇジュンちゃん、お姉さんに、ちょっとだけこのお人形さん達を抱かせてく
れない?」
「…本人に頼んでみて下さい」
 キュルケに頼まれたジュンは、そっぽを向いて答えた。だがキュルケは、ジュンの冷た
い態度を気にする様子もなく、相変わらずニコニコしたまま、真紅と翠星石を見比べた。

「お断りだわ」ぷぃっと横を向く真紅
「やぁーです」ルイズの後ろに隠れる翠星石
「あぁーんっ!もう、かぁわいいぃ~~っ!!」
 キュルケは二人に冷たく断られたというのに、まるで子猫でも見つけたかのように興奮
していた。なんだか、手がワキワキと動いてる。飛びかかってでも抱きしめるつもりかも
しれない。
 ジュンは、この人なにしにきたんだろう、と半ば呆れていた。

「でさぁ、ジュンちゃん」
 キュルケが急に立ち上がり、ジュンに話しかけた。
「…ちゃん付けは、よして下さい。呼び捨てで良いです」
「あーら、別にいいじゃない、子供なんだから」
「あの、確かに僕は皆さんより年下ですけど、3つくらいしか違いませんよ」
「「「3つ!?」」」
 キュルケにタバサ、さらにはルイズまで驚いて声を上げていた。
「そ、そうですよ。僕は今14歳です。ルイズさんも知らなかったんですか?」
「知らなかったわよ」
 ルイズは目を丸くしていた。キュルケもじーろじろと、ジュンを上から下まで舐め回す
ように見ていた。
「まさか、タバサと一つしか違わないなんて、そうは見えないわねぇ~。あんたの国って
みんなそんな子供っぽいの?」
「僕の国では同い年の男子は、みんなこんな感じですよ。…一体、何歳くらいだと思って
たんですか?」
 キュルケとルイズとタバサが互いの顔を見合わせ、同時に口を開いた。
「「「10歳」」」
 ガクッと来た。真紅と翠星石は、プッと吹き出した。 

 でも、ホントはハルケギニアの方が一年の日数が多いから、この世界の14歳より、僕
はもっと年下なんだよな…ジュンはそう考えていたが、言う必要も無いし黙っていた。そ
れに、ジュンは日本でも背が高くない方だし、ハルケギニアの人々は背が高いので、実際
より年下に見られてもしょうがない。

「それにしてもねぇ・・・」
 キュルケが、真紅達に視線を戻した。
「本当に凄いお人形さん達ね。おまけにとっても可愛いし」
 可愛いと言われ、真紅も翠星石もちょっとだけ嬉しそうにしたが、すぐにツンとそっぽ
を向いた。そんな二人にキュルケは目を輝かせていた。
「んじゃ、そろそろ本題入ろっか。ぶっちゃけ言うと、あたしも一つ欲しいわ」
 タバサもコクコクと頷いた。そして二人でジュンを見た。
「あげません」
「でも、一つくらい良いんじゃない?」
「ダメです」
「んじゃさぁ、少し貸してよぉ。タダとは言わないわよ」
「貸しません!」
「それじゃ、我が家の家宝『召喚されし書物』と交換でどう?これはねぇ、殿方の欲情を
駆り立て」
「ちょっとキュルケ!いい加減にしなさいよ!!」「そーですぅ!あたし達はあなたみた
いなチチオバケの所には行かないんですぅ!」

 ルイズがとうとう肩を振るわせて立ち上がった。翠星石もルイズの後ろからトンでもない
事を叫ぶ。真紅もキュルケ達をキッと睨んだ。

「キュルケさん。エレオノールを退けてくれた事には感謝致します。ですが、それとこれ
とは話が別ですの。第一、あなたは私たちローゼンメイデンのミーディアム、主として相
応しくないわ」
「あら、大丈夫よ。その子の着けてる指輪さえあれば、平民でもいいんでしょ?なら、魔
力を持つメイジが指輪を持てば、あなた達ローゼンメイデンにも得と思わない?」
 キュルケはフフフッと不敵に笑い、ジュンの左手にある大きな薔薇の指輪を指さした。
ジュンは慌てて左手を背後に隠し、キュルケをキッと睨み付けた。
「無理ですよ。この指輪を外そうとすれば、肉が削げます」
「あらそうなの、不便ねぇ。
 でも、その指輪がお人形さん達にとっても大事なモノって事は確かだったみたいね」

 ジュンが一瞬たじろいだのを見て、キュルケは小悪魔のように笑っていた。

「まぁまぁ、そう怒んないでよ。いくらなんでも無理矢理奪おうなんて事は考えていない
わよ」
「どーかしらねぇ」
 ルイズが口を尖らせた。そんなルイズを見て、キュルケはさらにニコニコしだす。
「ほぉんとうよぉ!確かに、ウチのひい祖父さまはあなたの所のひい祖父さまから奥さん
を奪ったり、ひいひい祖父さまは婚約者を奪ったりしたけどね」
「あんた、どうあってもあたしを怒らせたいようね…」
 ルイズが杖を構えてプルプルしてる。
「やーねぇ、遠い昔のご先祖の話じゃないの。それに、これは恋とは関係ないし…」
 と言って、キュルケは急に黙り、ジュンの顔を真顔でジッと見つめた。大人の色気たっ
ぷりの美女に見つめられて、ジュンは思わず赤くなっていまう。

「・・・あの、恋が何か関係あるんですか?」
 黙って見つめられる緊張感に耐えきれず、ジュンがあさっての方を向きながら尋ねる。
「・・・うんとね、五年後が楽しみだから、今から手をつけちゃおっかなーって♪」
「あんたって人はー!」
 グーで殴りかかるルイズを、キュルケはひょいっとかわした。
「あらあら怖いわぁ、冗談よジョーダン。ウフフフ」
「冗談でもよっ!小鳥一匹だってツェルプストー家のヤツに渡すモンですか!」
「わかったわよ、まったく冗談のわかんない子だわ」
 と言ってキュルケは立ち上がり、タバサに目配せした。タバサも頷いて立ち上がる。

「それじゃ皆様、もう夜も遅いし、今夜はここで帰るわね」
「もー来なくて良いわよ!」
 ルイズは腕組みして、フンッと鼻を鳴らした。キュルケは相変わらずニコニコ笑ってい
た。
「あーらそうは行かないわよ。だって、どんな風に借りを返してもらうか、相談しなきゃ
いけないんだものー」
「い、いろいろ教えてあげたじゃないの!?」
「あーらら、牢獄行きとか、王室からのお咎めを受けずに済んだお礼が、それだけ?まぁ
慌てなくても、どうやってあたしに借りを返すか、みんなでゆっくり考えましょうねぇ」
「うぐぐぐぐ…」
 ルイズは怒りのオーラをまとい、拳を握りしめて震えていた。

「んじゃねぇ~」「ちょっと待って!」
 扉に向かおうとしたキュルケとタバサを、ジュンが突然呼び止めた。
「あら、もしかしてお人形貸してくれる気になったの?」
「いや、そうじゃなくて、さっき言ってた本なんだけど」
「本?」
 キュルケとタバサは顔を見合わせた


「これよ」
 キュルケが部屋から持ってきた本を示されてジュンは、いや真紅も翠星石も、口をあん
ぐりとさせていた。
「あたしの祖父が買ったのよ。書物マニアでは有名で、モット伯爵も譲って欲しいって来
たそうよ。留学の時に嫁入り道具として渡されたの。でも、あたしこんなの必要ないのよ
ね」

 ルイズは、呆れてモノも言えなかった。
 真紅は、こめかみを手で押さえていた。
 翠星石も、真っ赤になってそっぽを向いていた。
 タバサは、一瞥しただけで興味なさげに無表情だった。
 ジュンは、タイトルを声に出して読んだ。

「エロ凡パンチ、'75年4月号…」
「あらっ!?この字読めるんだ!へぇ、ということはジュンちゃんの国の本なのね」
「そうですけど、これ、どうやってハルケギニアへ来たんですか?」
「なんでも、誰かが昔、魔法の実験中に偶然召喚しちゃったって」
 ジュンが何気なしに開いたその本には、一昔前のセクシーな女性があんなことやこんな
「「「何を読んでるのよ!」」」
 ルイズに殴られ、真紅の髪ではたかれ、翠星石に跳び蹴りを喰らった。

「むふふぅ~♪やっぱりジュンちゃんも男の子なのねぇ~」
「からかわないで下さい!それじゃ、お返しします」
「あらぁ、いらないの?無理しなくても良いのよ?」
「いりませんよ。そ-ゆ-本は、僕の国では珍しくもなんともないんです」
「あらそうなの、ざーんねん。んじゃ、また明日ね~♪」
 ようやくキュルケとタバサは自室へ戻っていった。



「はぁ・・・疲れた」
 残った4人がへたりこみ、誰ともなくつぶやいた。
 もうフラフラだ。この一日で、いったいどれだけの事が起きただろうか。ルイズがだる
そうに口を開いた。
「あうぅ・・・もういい。何にも考えられない。ともかく寝ましょ」
「そーですねぇ…もう眠いですぅ」
「ええ、それが一番ね。それじゃ、おやすみなさい」
「そだな、僕ももう限界だぁ」

 4人とも、這うようにそれぞれの寝床に入り、即熟睡してしまった。



 翌朝、学院はハチの巣をつついたような大騒ぎが続いていた。
 被害は宝物庫のカベ、そして秘宝『破壊の杖』。宝物庫の壁に『破壊の杖、確かに領収
いたしました。土くれのフーケ』との犯行声明文。
 宝物庫には学院中の教師達が集まり、壁の大穴を見て口をあんぐりさせていた。次に、
当直の貴族は誰だとか、平民の衛兵なんか役に立たないとか、責任の押し付け合いを始め
た。
 犯行現場の目撃者であったルイズ・キュルケ・タバサ、そしてジュン・真紅・翠星石も
呼ばれていた。彼らはコルベールの後ろで、黙って教師達の有様を見ていた。ジュンは、
せっかく買ったのでと、デルフリンガーを背中に担いでいた。
 ついでに、当直だったミセス・シュヴルーズがミスタ・ギトーに責任追求されているの
をオールド・オスマンがかばって、感激して抱きついてきたシュヴルーズのお尻をナデナ
デしていた。

 全員、真顔のままだった。

 場を和ませようとしたジョークだったのに、誰も突っ込んでくれない。オールド・オス
マンは咳払いをして、真面目な顔に戻った。
「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
「この3人です」
 コルベールが自分の後ろの若いメイジ達を指さした。ジュン達は使い魔なので数に入っ
ていない。
「ふむ…。君たちか」
 オスマン氏は、ジュン達も含めた6人を見渡し、コルベールに改めて尋ねた。
「これだけかね?」
「…はい!この者達だけです。間違いありませんぞ!」
 オスマン氏は、ルイズと彼女の使い魔達にも尋ねた。
「ここにいるのが目撃者の全て、ということで間違いないかな?」
「ま、間違いありませんわ。おほほほほ…」
 ルイズが、引きつった笑顔で答えた。
「ええ、その通りですわ。ねぇタバサ?」
 キュルケが、ニヤニヤしながら答えた。タバサは無言で頷いた。ジュン達は、目をそら
して知らんぷり。
「ふむ、そうかね…では、詳しく説明したまえ」
 オスマン氏の態度に、ジュンは正直イヤーな予感を感じてはいたが、それを口にする勇
気はなかった。

 ルイズは、この場の目撃者達が何をしていたかは触れず、純粋に何を見たかだけを説明
した。

 オスマン氏は教師達に向き直り、ふと気付いたようにコルベールに尋ねた。
「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」
「それがその…朝から姿が見えませんで…」
「この非常時に、どこに言ったんじゃ?」
「どこなんでしょう」

そんな風に噂をしていると、ミス・ロングビルが宝物庫に入ってきた。

「ミス・ロングビル!どこに行っていたんですか!大変ですぞ!事件ですぞ!」
 興奮した調子で、コルベールがまくし立てる。しかし、ミス・ロングビルは落ち着き払
った態度で、オスマン氏に告げた。
「申し訳ありません、朝から、急いで調査をしておりまして」
「調査?」
「そうですわ、今朝方、起きたら大騒ぎじゃありませんか。そして、宝物庫はこの通り。
すぐに壁のフーケのサインを見つけたので、これが国中の貴族を震え上がらせている大怪
盗の仕業と知り、すぐに調査を致しました」
「仕事が速いの。ミス・ロングビル。で、結果は?」
「はい、フーケの居所がわかりました」
「な、なんですと!」
 コルベールが、素っ頓狂な声を上げた。
「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル。」
「はい。近所の農民に聞き込んだところ、近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのロー
ブの男を見たそうです。おそらく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと」
 ルイズが叫ぶ。
「黒ずくめのローブ?それはフーケです!間違いありません!」
 ジュンはコケそうになった。ルイズの脇を肘でつついて、ひそひそとささやく。
(ちょっと、ルイズさん。僕らは遠目で見ただけじゃないですか。おまけに暗くて、ロー
ブの色だって)
(うっさいわね!こーなりゃヤケよ!ぜーんぶフーケのせいにしてしらばっくれてやるん
だから!)
(そもそも男かどうかだって)
(だまらっしゃい!こっちにとばっちりがこなけりゃい-のよ!)
 ジュンは真紅に目配せすると、彼女は肩をすくめて教師達を眺め続けた。ともかく黙っ
て事の運びを眺める事にした。

オスマン氏は目を鋭くして、ミス・ロングビルにたずねた。
「そこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日、馬で4時間といったところでしょうか。」

 それからも、コルベールが王宮に報告しようとするのをオスマン氏が反対し、フーケが
逃亡する前に自力で奪還する事を主張。捜索隊を募るが教師達は誰も名乗りでない。困っ
たように顔を見合わすばかりだった。
 ミス・ロングビルは、この答えを待っていたかのように微笑んでいた。
 ジュンと真紅と翠星石は、ともかく黙っていた

 ルイズはうつむいていたが、すっと杖を顔の前に掲げた。ミセス・シュヴルーズが驚い
て声を上げた。
「ミス・ヴァリエール。あなたは生徒じゃありませんか。ここは教師に任せて…」
「誰も掲げないじゃないですか。」
 ルイズはまっすぐな目で、オスマン氏を見返す。が、それをみていたジュンは『まさか
フーケの口封じをする気じゃぁ…』と、イヤな予感をさらに強めていた。

ルイズが杖を掲げているのを見て、キュルケもしぶしぶ杖を上げた。
「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ。」
それを見て、タバサも掲げた。
「タバサ。あんたはいいのよ。関係ないんだから」
そう言ったキュルケに、タバサは
「心配」
と告げ、ちらりとルイズを見る。キュルケは感動した面持ちで、タバサを見つめた。ルイ
ズはそんな二人を見て驚き、少し嬉しそうだ

そんな三人の様子を見て、オスマン氏は破顔する。
「そうか。では、頼むとしようか」

 ごすっ

 いきなり、コルベールがオスマン氏の脇腹を思いっきり肘で突いた
「ぐおふぉっ!げほっ!いきなり何をするんじゃコルベール君!」
「うぉっほん!」
 コルベールは、これでもかと言わんばかりに思いっきり咳払いをした。
「ん?あ、ああ、そうじゃな、そうじゃった」

 不自然極まりない二人のやりとりを見て、シュヴルーズはハッと我に返った。
「何がそうじゃったですか!?生徒達にこんな危険な任務をさせるなんて、何を考えてい
るんですか!?」
「では、君が行くかね?ミス・シュヴルーズ」
「い、いえ、私は体調がすぐれませんので…」
「彼女たちは、敵を見ている。その上、ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持
つ騎士だと聞いている。加えて、ミス・ツェルプストーはゲルマニアの優秀な軍人を数多
く排出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法も、かなり強力と聞いている」

 教師達もキュルケも、タバサがシュヴァリエと聞いて驚いていた。

「あの…私は?」
 ルイズは、おずおずと尋ねた。
「うぉっほんっ!その、き、君は、だのぉ…」

 つんつん

 今度は、すすすっとオスマン氏の横に来たミス・ロングビルがつついた。
「う…わ、わかっとるわい」
 そんな様子を見て、ルイズが不審がり尋ねる。
「あの…オールド・オスマン。私の実力の事でしたら、この使い魔達が」
「う、うむ、その、なんだ。あー、ミス・ヴァリエールの使い魔達の実力なら、というか
人形達の事は知っておる。それに、その…ミス・ヴァリエール自身も数々の優秀なメイジ
を排出したヴァリエール公爵家の息女で、その、うむ、なんだ、将来有望なメイジと聞い
ておる」

 うぉっほん、とオスマン氏は大きな咳払いをして、ルイズの前に立った。

「うむ、で、だね」
「なんでしょうか、オールド・オスマン」
「ヴァリエール家の長女、エレオノール女史が昨夜学院に参られてのぉ」

 ぎっくー!

 ルイズと使い魔達は、一瞬飛び上がったかのような錯覚を感じるほど、動揺していた。
キュルケは『あらららぁ~』という感じで顔を手で押さえていた。タバサは無表情なまま
だった。

「で…ちょっとその事で、急いで話があるんじゃよ」
 ジュンは、どーしてイヤな予感ってよく当たるんだろう、と理不尽な世の中に怒りを感
じていた。


               第六話  フーケ捜索隊     END


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