あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのボンビー

「ここはどこなのねん?」
「そういうあんたこそ誰よ?」

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが
周囲の心無い怒声と嘲笑の中でようやく召喚に成功したもの、
それはフンドシ一丁の肥満体で小汚いパーマのおっさんであった。
「平民、いや貧民だ…ゼロのルイズが貧民を呼んだぞ!」
「しかも変態かよ…いっそ失敗した方が良かったんじゃねえか?」
どう贔屓目に見ても貧民にしか見えず、僅かな望みをかけて
出自や身分を聞いてみれば貧乏神と名乗ったこの男にルイズは
失望を通り越して絶望を感じたのは言うまでも無いであろう。
しかも出てきた以上はコントラクト・サーヴァントを行わねばならず、
使い魔となればこれと生活をある程度共にしなければならない事を
考えるとますます頭が痛くなってくる。
当然ルイズは涙ながらもコルベールに再召喚をさせてもらえるように頼んだが
物凄く申し訳無さそうな顔をされつつも拒否されてしまったので
半ばヤケクソでオロオロしている自称貧乏神の頭をガシッと掴み、
コントラクト・サーヴァントを行う。ルーンが刻み込まれる熱で左手を押さえながら
見苦しく喚き、のたうつ貧乏神を見てルイズは盛大にため息をつく。

それから数日後……
ルイズの思ったとおり、いや思った以上にこの使い魔は役に立たない事が判明した。
それも役に立たないだけならまだしも気力と実力が反比例な働き者だからより困る。
勝手に何処かに出かけていっては仕事を見つけてそれに失敗して借金こさえてくるわ、
あからさまなインチキ商品を高額で購入する契約を結ばされるわ…
頼みもしないのに秘薬の材料を探しに行って「これはきっと良い物に違いないのねん」
とベニテングダケを渡された日には衝動的に蹴りを入れてしまい
股間を押さえて死に損ないのゴキブリの如く痙攣する彼を見ながら
「こいつが貧乏神っていうのは本当かもしれない…」
などとその日一日鬱だったのも無理は無い。

こうなったら使い道は唯一つ、その弛みきった心身を鍛えに鍛えて
屈強な護衛と生まれ変わらせる他は無い!
そう考えたルイズはいつのも如く使い魔に虐待もとい特訓を行うようになった。

「ゼェゼェ…ハァハァ…ルイズ様、穴を掘り終わりましたねん」
「じゃあ、今度はそれを埋めなさい」
「ええっ~!じゃあボクは何の為に穴を掘ってたのねん!?」
「少しは鍛えて贅肉じゃなくて筋肉付けてもらわなきゃイザというとき私が困るの!」
「最近痩せてきたのねん。ルイズ様、お慈悲を…」
「どこが痩せてるのよっ!あんたの体格だともっと痩せないと早死にするわよ」

と、こんな非日常が日常茶飯事となり、もはや軍隊以上の悪夢のシゴキと
ルイズの怒声が半分自業自得とはいえ哀れな貧乏神に容赦なく降り注ぐ。
しかし捨てる神あれば拾う神ありとはいったもので
メイドのシエスタやコックのマルトーは不憫に思ってこっそり食料を渡してくれたり、
何気に訓練風景を見てしまったコルベールも最近は同情的になってきているので
完全に孤独という訳では無いのがせめてもの救いであろう。

だがそんな自分を含めた誰しも認める弱者である彼に大いなる転機が訪れる事となる。
その発端は二股のばれたギーシュの八つ当たりを受けていたシエスタを
貧乏神が庇い、それに腹を立てたギーシュが彼に決闘を申し込み、
貧乏神も貧乏神でルイズが止めるのも聞かずに受けてたった。
その結果、ヴェストリの広場にて十数分でワルキューレにボコボコに袋叩きにされる貧乏神…
と、ここまではギーシュとギャラリーの予想を裏切らなかったが

「どんなに…貧しくても……魂までは売り渡したくないのねん!」

うつ伏せで痣と瘤だらけの貧乏神がそう呟くと左手のルーンが輝き始め、
やがてそれはギーシュと無慈悲にして無責任なギャラリー達の目にも映り始め、さらに
爆発的に溢れ出した光の奔流が居合わせた者全ての視界を一瞬で白一色に染め上げる。
そして……
「キーーング!ボンビーーー!!」
大気を揺るがすような雄叫びと共に憤怒の化身が降臨した。

そこに立っていたのは文字通り雲をつくような巨漢、いや巨人であり
今までの貧乏神の弱弱しい雰囲気はみじんも無く、
体格も太ってこそいるが肥満体ではないガッチリとした固太りで
ある為に前のような鈍重さは感じられない。
そして鋭い眼光と狼を思わせる犬歯はまさに大悪魔である。

貧乏神、いや、キングボンビーは慌てたギーシュが
さらに六体追加して七体となったワルキューレを拳で
次々と虫の如く叩き潰し、王者の視線でギーシュを睥睨して
鋭い犬歯をむき出しに獰悪そのものの表情で笑う。
この時になってギーシュは思い知らされた…
もはや狩る者と狩られる者の立場が完全に逆転したのだと。
「グェヘッヘ!ギーシュよ。
オレ様を躾けてくれた礼に我が故郷のボンビラス星にご招待しよう!」
「なんだか名前からして恐ろしそうな所なんだけど…さ、さっきの愚行は謝るから…」
「何、遠慮などするな、存分に楽しんでこい!」
キングボンビーはギーシュを小脇に抱えると
凄まじい速度で群集の目の前から姿を消し、
数分ほどで戻ってきたがそこにギーシュは居なかった。

「さて、次は…ルイズよ」
「な、な、何…」
ついさっきまで流石に哀れになってきて止めようとした矢先に
あまりの急展開についていけずに放心状態になった主人の方を見遣り、
笑いながら、だが吼えるように言う。
「お前にも今まで鍛えてくれた礼をせねばな…」
「ヒッ……!」
「お前にはサイコロを十個振らせてやろう。
そして出たサイコロの目一つにつきエキュー金貨を
100枚、お前のサイフとお前の家の金庫から捨ててやろう!」
「いくらなんでも横暴よ!もっと安くして!…くれませんか?」
「じゃあ、オレ様がサイコロを十個振って出たサイの目の数だけ
お前とお前の家族や友人を殴って回るというのはどうだ?」
「……自分で振ります」
どこからともなく現れた十個のサイコロを振った直後に
ルイズは頭を抱えて地面にひれ伏す。
とんでもない金額が出てしまったらしい…

さらに這いつくばってその場から逃亡しようとしていた
別に何もしていないにもかかわらずたまたま気になったという理由で
マリコルヌをもキングボンビーは見逃さない。

「じゃあ次は…神風のマリコルヌ!」
「風上だってば…」
「ところでマリコルヌよ。人間の髪の毛は約十万本だと言われている。
そこでお前の毛髪力をほんの九万本分くらい
ミスタ・コルベールに分けてやろうと思うのだ。良いアイデアだろう?」
「どこがだ!っていうか俺があんたに何したよ!?」
「なんとなくだ。男なら細かい事は気にするな!」
キングボンビーが言い終わるか言い終わらないかのうちに
マリコルヌの髪がハラハラと抜け落ち始めた。

「グェヘッヘッヘッ!……ん?もうこの姿を維持するのも限界のようだな。
だが覚えておく良い!思い上がる者、欲に駆られる者、
妬むだけの者を叩き落す為にボンビラスの王者であるオレ様は何度でも降臨する事を!!」

そしてヴェストリの広場は再び光に包まれ、
そしてそこにはいつもの貧乏神がキョトンとした顔で立っていた。
「あれ?ボクは一体何をしていたのねん?」
「あ、あんた、あれだけの事して本当に覚えていないの?」
「悪いけどな~んにも覚えていないのねん…」
こうして決闘から始まった周囲の予想を超えた
恐怖の断罪劇はあまりにもあっけなく幕を閉じたのである。

そして貧乏神自身も何故か自分が勝った事になっている事を始め、
マルトーを始め厨房の人々から讃えられた事。
ギーシュが長期欠席をし、再登校した時には遭難したかのようにげっそりしていた事。
ルイズが人並みの対応を自分にしてくれるようになった事。
マリコルヌが禿げて落ち込んでいるのと対照的に
コルベールに毛が生え始めて陽気になっている事など
分からない事だらけで戸惑っていたがやがてそれすらも
貧乏神にとって穏やかになりつつある日常生活と
周囲の「触らぬ神に祟り無し」の共通認識の中に埋没していった……



かのように思えたが後に土くれのフーケやレコン・キスタの回し者となったワルド子爵を
ボンビラス星なる地獄のような(ギーシュ曰く、地獄そのものだった)
場所に流刑にしたり、さらにはレコン・キスタ軍を壊滅させ、
その後に数週間程して戻ってきた時には何故かアルビオンの経済が崩壊寸前に
なっていたりと武勇伝に事欠く事は無く、後に邪神、魔王、
果ては始祖ブリミルの暗黒面の体現とさえ呼ばれ、
恐怖、または崇拝の対象としてボンビラス伝説が未来永劫語り継がれる事となる。


おしまいなのねん!

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