あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ディセプティコン・ゼロ-13 A

目標を射程圏内に捉えるや否や、『それ』は唐突にブラックアウトの擬似視界内へと表示された。

自身のものとよく似た、機械生命体の頭部を模した紋章。
しかし、自身のそれが口部の存在しない無機的なデザインであるのに対し、目標の分析結果と共に表示されたそれは幾分生物的なデザインである。
そして―――――ブラックアウトは、その紋章に厭というほど見覚えが在った。


『セイバートロン』星での誕生以降、実に数百万年もの時間を敵性体という形で共有してきた存在。
各種戦略兵器郡制御系を祖とするディセプティコンとは異なり、脆弱な民間工業用機械郡制御系を祖とする個体群でありながら、急激な自己進化を繰り返しつつ戦闘に適応した機能を獲得し、敵対的存在に対し常に互角以上の戦いを繰り広げてきた、危険な存在。
戦闘と破壊のカタルシスを否定し、所謂『建設的な理想論』に凝り固まった、自身達とは決して相容れない存在―――――


自律的ロボット組織体―――――『オートボッツ』。


瞬間、ブラックアウトは目標をロック、スポンソンより計4発のミサイルを発射。
空中へと弾き出されたそれらは瞬時に、『地球』のそれと比して遥かに先進的な技術体系によって構築されたロケットモーターに点火、目標へと飛翔を開始する。
その音に、漸く異変に気付いたルイズ達が身構えるのと同時。


青い砲弾が、ミサイルの弾頭を貫いた。



「何……きゃあぁぁッ!?」
「うわ……! グッ!?」

機体直下にて4発全てのミサイルが爆発、破片と衝撃が機体下部を襲い、ブラックアウトは直上へと実に3メイル近く弾き飛ばされた。
その急激な機体の動きに内部では悲鳴が上がり、4人とデルフは壁、そして床へと叩き付けられる。
鈍い音、押し殺した呻き。
続けて警告音と、細かい振動が機内を埋め尽くす。
4人が何とか身体を起こすのと同時、機内にデルフの電子合成音が轟いた。

「攻撃だ! 脱出しろ!」

ルイズ達がその言葉の意味を理解する間も無く、右舷の扉が開放される。
その向こうでは景色が上下に激しく揺れ動き、緑の地平と灰色の空が目まぐるしく入れ替わり続けていた。
その様子にルイズは、ブラックアウトが制御を失い掛けている事を理解する。

もう、時間が無い。

「キュルケ、タバサ、ギーシュ! 飛び出すわよ!」

返事は無かった。
無かったが、その言葉の意味を全員が正確に理解していた。



一瞬、ほんの一瞬だが、ブラックアウトが安定を取り戻す。
その瞬間を逃さず、先ず咄嗟にデルフを掴んだキュルケが機外へと飛び出した。
一拍置いて、2丁の銃を背負ったギーシュ、ルイズ、タバサが続く。
ルイズはレビテーションを発動したギーシュによって受け止められ、更にタバサによって一方の腕を抱えられて地表へと降下。
先に飛び出したキュルケと合流、4人は黒煙を引きつつ高速で離れ行くブラックアウトを呆然と見詰める。
元々低空で飛行していた上、攻撃によって更に高度を落とし、森の表層擦れ擦れを飛ぶブラックアウト。

一体何が起こったのか、攻撃とは何処からか。

ルイズ達が、デルフへとそう問い掛けようとした矢先―――――


森から飛び出した銀の巨人が、ブラックアウトへと組み付いた。




全員の脱出を確認したその時。
ブラックアウトの擬似視界に映り込む眼下の森、その深い緑の下を貫く小道を疾走する、銀の車体をセンサーが捉えた。
甲高い音と共に泥を巻き上げつつ、ブラックアウトの直下を目指し奔る、明らかに『地球』製の車体―――――ソルスティス。
ブラックアウトの思考が、ルイズ達の脱出に時間を取られ過ぎた事に至った時には、既に手遅れだった。



減速すらせずにハンドルを切り、バランスを失って横転するソルスティス。
しかしその側面が地面へと叩き付けられる直前、外装が一瞬にして分解され、内部機構が露となる。
そして10分の1秒か、はたまた100分の、1000分の1秒か。
その瞬きすら出来ない時間の内に、腕を、脚を、頭を形成したそれは地面に手を着き、見事な体捌きで宙を半回転。
外装が装甲を形成すると同時に着地、バイザー型の視覚装置が黒煙を引きつつ迫り来るペイヴ・ロウを捉えるや否や、踵部のホイール、そして膝部のアクチュエータが爆発的な力を解放し―――――


10メイル程も飛び上がったそれは、飛来したブラックアウトと正面から衝突した。


金属的な轟音と共に、銀と灰色の破片が宙を舞う。
巨大なペイヴ・ロウの下部に取り付いた、全高5メイル程のメカノイド。
翼部の付け根に左手を掛け、右腕を大きく振り被り機体下部の装甲を殴り付ける。
1度では飽き足らず、2度、3度、4度と、連続して殴る。
各種センサーが伝える警告と共に、敵性メカノイドの詳細な情報がブラックアウトの擬似視界へと表示される。

敵勢力認識―――――『オートボッツ』。
敵個体認識―――――『ジャズ』。



5度目の殴打と共に、装甲に生じた亀裂の隙間へとマニピュレーターが侵入、警告のレベルが上がる。
ブラックアウトは瞬時に変形シークエンスを開始。
同時にこの危険なメカノイドを引き剥がすべく急旋回、凄まじい遠心力にジャズの腕が振り解かれ、上半身がブラックアウト下部を離れる。
それを確認し、ブラックアウトはシークエンス実行速度を加速。
メインローターを展開したまま人型へと移行、落下する敵へと20mmを―――――


瞬間、ブラックアウトの擬似視界に、翼部に掛けた脚を支点に振り子の如く飛び掛る、ジャズの姿が映り込んだ。
その右腕はまたも大きく振り被られ、その拳を突き立てんとしている。
そう、敵は振り落とされてなどおらず、ただ加速を付ける為に曲芸じみた行動を起こしたのだ。
理解すると同時、ブラックアウトは激しくジャズへと掴み掛かる。
それは演算でも、センサーが発した警告でもなく。
言うなれば、無数の戦場を戦い抜いてきた、戦士としての直感というべきものだった。


―――――敵は、致命的な一撃を狙っている。


半ば強引に身を捻り、ジャズを空中へ投げ出そうと試みる。
しかしそれすらも―――――オートボッツ最速を誇るジャズの前には、起き出したばかりの亀も同然の動きでしかなかった。
更にもう1つ、ブラックアウトは思い違いをしていた。



ジャズには、ブラックアウトを殴り付けるつもりなど更々無い。
先程は幸運にも、装甲の薄い箇所に亀裂を入れる事が出来たが、そんな幸運が何度も続くとは考えていなかった。
彼が狙っていたのは、まさにこの瞬間。
ブラックアウトが人型へと変形する、その僅かな隙だった。

上半身の捻りと振り被った右腕。
それらによって秘められたエネルギーが瞬時に解放され、人智を超える速度の一撃が放たれる。
同時に腕の側面、格納されていた砲身が弾丸の如く伸長。
腕の動きと併せ、衝撃波すら伴ったそれは、まさに槍としか形容出来なかった。

そしてそれは狙い違わず、変形したブラックアウトの、人間でいえば喉に当たる部分へと突き立てられる。
幾本ものケーブル、無機合成筋組織が引き千切られる鈍い音の後、漸くブラックアウトの腕がジャズを捕らえた。
しかしそれと同時、目前のオートボットから声が発せられる。
吐き捨てる様に、嘲笑う様に。


『ノロマが』


返されるのは、怒りに満ちた電子の咆哮。
直後、砲声と共にブラックアウトの喉、その内部で青い光が爆発した。

鋼板を打ち抜いた様な音が周囲一帯に響き渡り、森に生息するあらゆる生物が巣穴に逃げ込み、或いは飛び出す。
それは巨大な音に対する反射というだけでなく、大気を満たす怒り、そして異質な存在が放つ憎悪に反応したからでもあった。



ブラックアウトが稼動部の限界まで喉部を仰け反らせ、感電したかの様に全身を引き攣らせる。
砲撃の瞬間、喉部前面からは火花が滝の様に噴き出し、背面からは無数の破片が火山弾の如く弾け飛び、それらを振り切って青いエネルギー弾が天へと消えていった。
ブラックアウトの左視覚装置が火花を散らし、微かに点っていた赤い光が消えて失せる。
第1光学センサー、ダウン。

しかし、この凶悪なまでの攻撃を成功させたジャズもまた、無事では済まなかった。
砲撃の瞬間、ジャズを捕らえたまま硬直したブラックアウトの剛腕は、不気味な金属音と共に小柄なメカノイドの身体を圧迫したのだ。
背面装甲が文字通り握り潰され、胴体の内部機構をモニターしていたセンサー郡の反応が軒並み途絶える。
胴部に深刻なダメージ、損傷箇所の詳細不明。

それでもジャズは攻撃を続行。
捻り込む様に砲身の角度を変え、ブラックアウトの頭部を根こそぎ吹き飛ばさんとする。
無事なセンサーから送られる警告を無視し、左腕を巨大な敵性体の装甲間隙へと打ち込み、力任せに内部機構を掴んで固定。
そのまま敵性体頭部を内部から砲撃しようとしたその瞬間、喉部に突き立ったままの砲身すら無視し、ジャズを掴む両腕がブラックアウトの頭上へと振り上げられた。
その先には、先の砲撃による被害を奇跡的に回避し、高速で回転を続けるメインローター。

次の瞬間、またも周囲に、金属が引き千切られる耳障りな音が轟いた。



けたたましい音と共に右指部マニピュレーターが根元から折れ飛び、それでも防ぎ切れなかったブレードが胸元の装甲を剥ぎ飛ばす。
咄嗟に砲身を収納し、腕でガードを取った事がジャズを救った。
マニピュレーター、そして胴部の装甲板と引き換えに、スパークごと胴を両断される事だけは避けられたのだ。
胴部装甲を打ち砕いたところで漸く、メインローターがその動きを止める。
ブラックアウト、落下開始。
ジャズはその腕から逃れられない。
時速230リーグ、地表まで8メイル。

ブラックアウト、右手でジャズの頭部を鷲掴みにし、損傷箇所を軋ませつつ大きく振り被る。
ジャズ、砲身再展開。
ブラックアウト頭部、第2光学センサーへと照準。
砲撃直前、音を立てて腕が振り下ろされる。

轟音。
ジャズ、秒速90メイル前後で前方の森林表層に落下、数十本の木々を薙ぎ倒して停止。
ブラックアウト、ペイヴ・ロウへと再変形、ローター収納。
落下継続のまま、一時的なシステムダウンに陥ったジャズへと機首から突入。
ジャズ、機能回復と同時に回避行動に移行するも、回避は叶わず。

衝突。



衝突点より半径15リーグに轟音、続いて振動。
ジャズ、ブラックアウト、共にシステムダウン0.4秒、再起動。
ブラックアウト、零距離より20mm発砲。
ジャズ、腕を蹴り上げて砲身を逸らし、踵部のホイールにてブラックアウトの下より脱出。
20mm弾幕を紙一重で躱し、泥を巻き上げつつ高速で木々の間へと姿を消す。
ブラックアウト、広範囲制圧射撃開始。
しかし木々を貫通、粉砕しながら飛来したエネルギー弾の直撃を受け、砲撃が中断する。
そして深い森の中、敵意を孕んだ電子合成音が響く。


『来いよ、ウスノロのデカブツ! 撃ち返してみろ!』


咆哮。
怒りの電子音と共に20mmを乱射、更にミサイルをノーロックのまま発射。
無数の木々が弾け、吹き飛び、炎に捲かれて四散する。
その様は怒り狂う鬼神そのもの。
しかし、それはポーズに過ぎない。
怒りに我を忘れての乱射を装いつつ、ブラックアウトはその瞬間を待つ。

元より、障害物の多いこの地形で、あの危険なオートボットに勝てるとは微塵も考えてはいない。
この様に障害物が多い地形での戦闘に於いては、機動力に富んだ小柄なメカノイドの方が圧倒的優位だ。
プラズマで周囲一帯を消し飛ばす選択肢も在ったが、最悪、主達を巻き込みかねない為に却下。
しかし、20mmでは無数の木々により威力が減衰され、有効打とは成り得ない。
ミサイルをホップアップで撃ち込んだところで、迎撃されるのは目に見えている。
ならばどうするか。



簡単な事。
障害物の影響を受けず、敵を急襲出来る存在に任せれば良い。
幸い、己の共生者はその任に打って付けだ。
地中から敵の背後に回り、自身とで挟撃する。
スコルポノックの爪は、原生植物の地中器官に遮られるほど脆弱ではない。
問題無く掘削を行い、高速で移動出来るだろう。

そして遂に、待ち侘びた瞬間が訪れる。
吹き飛んだ木々の破片、その先で、銀の光が瞬いたのだ。
同時に、擬似視界に対象の分析結果が表示される。


対象よりナノマシン反応検出。
標的照合結果98.91%合致。


その瞬間、標的から隠す様に位置した背面より、無数のフレアと共にスコルポノックが射出され―――――


ほぼ同時、『背後』より飛来した3発のエネルギー弾により、地中の支配者は地面に触れる事も無く、20メイル余りも吹き飛ばされその機能を緊急停止した。


ブラックアウト、左旋回172度。
砲身展開、プラズマ発射―――――被弾。
プラズマ砲、暴発。
正常発射時には遠く及ばないとはいえ、超高熱の爆発が至近距離で発生する。
左腕部、機能停止。
機能回復まで140,400秒。
右腕部兵装保護の為、右旋回と同時に移動。
その際、標的と認識していた『それ』の正体が視界に入った。



『ウィング』だ。
根元から倒された木の幹に、取り外された車両形態時の『ウィング』が立て掛けられている。
センサーの大半が使用不能となり、視覚装置すら片方しか機能しない状況の中、その場に据え置かれたパーツの一部を敵本体と誤認してしまったのだ。
そして敵は狙い通り此方の背後へと移動し、予測した通りか或いは偶然か、射出されたスコルポノックを砲撃、一瞬にして機能停止へと追い込んだという訳だ。

そして今。
敵は、無防備な此方へと狙いを定めているのだろう。
今にも、あの恐るべき威力を秘めた、青い砲弾が飛来する―――――


その瞬間、金属音と共にブラックアウトの胸部から、二又の槍を思わせる砲身が出現。
凶悪としか形容出来ない、暴力的なエネルギーが瞬時に収束し、青い光球となって地面へと射出される。
そして、光球が泥に覆われた地面へと接触、直径20メイル程の半球状の壁となって前方を薙ぎ払った。

両腕のそれに比べ出力こそ劣るものの、れっきとしたプラズマ砲―――――胴部予備格納砲。
永きに亘るオートボッツとの戦いの中でも、数える程しか使用した事の無い奥の手である。
流石にこれには驚いたのか、小柄なオートボットは即座に全ての攻撃行動を中断し、回避行動を取った。
ルイズ達の向かってくるであろう方向を確かめ、その方角と射線が45度以上離れている事を確認した上で、ブラックアウトは右腕のプラズマ砲を放つ。



木々を消し飛ばし、大音響と共に業火の線を引くそれすら回避したジャズは、長距離戦は不利と判断したのか、凄まじい速度で距離を詰めてくる。
時折放たれる砲弾は的確にプラズマ砲身を狙ってくる為、ブラックアウトはその防御に追われ追撃のプラズマを放てない。

そして十数秒後、突然業火の中から姿を消したジャズが、木々を薙ぎ倒しつつブラックアウトの左側面を突いて飛び掛った。
迎え撃つブラックアウト。
共に雄叫びを上げ、正面からぶつかる。
その余りの突進力に巨大なブラックアウトの体躯が僅かに浮き上がり、ジャズ共々背後の木々を押し潰して転倒。
そのまま、至近距離での凄まじい殴り合いが始まった。

ブラックアウトの巨大な拳がジャズの装甲を砕けば、ジャズの神速の一撃がブラックアウトのスパークを守る胸部装甲の隙間へと突き立てられる。
強力だが大振りの一撃が外れる傍ら、小振りで威力こそ小さいものの神速の打撃が内部機構を打ち据える。
両者の擬似視界を無数の警告表示が埋め尽くすも、共にそれをキャンセルする。

第1冷却システムダウン。
無視。
防御フィールド出力低下。
無視。
フライトシステム異常発生。
無視。

長距離照準装置故障。
無視。
スパーク防御壁コンディション悪化。
無視。
右脚部ホイール損傷。
無視。



金属の巨人達が、互いを殴り付ける轟音。
その暴力的な空気の振動が、ウエストウッドの森を震わせる。
転げ回り、木々を薙ぎ倒し、地面を抉り。
それでも離れる事無く、互いのスパークが放つ灯火を消し去ろうと、凄絶な格闘戦を繰り広げる2体のメカノイド。
森に生息するあらゆる炭素生命体が恐慌を来し、この金属生命体同士の戦場から逃避を図る。

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