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ゼロの蛮人8




「アッララララ――――――――――イ!!!」

雄叫びを挙げて跳び、ニューカッスル城に突入する蛮人トラクス。手には抜き身のデルフが握られている。
『土くれ』のフーケも後を追って城壁に降り立つ。すでにトラクスの『投石と矢』によって、こちら側の櫓や城壁の兵士は死に絶えていた。

トラクスは背後を振り返ると、鉄弓と矢を背負って背嚢を投げる。
「ロングビル、俺の荷物を持て」
「ここではフーケとお呼び。あたしは怪盗『土くれ』のフーケさ」
フーケは城壁の内側の地面から、高さ30メイルにも達する巨大な土のゴーレムを創造する。
それに二人は乗り移り、城の方へと向き直る。
「あたしが雑魚をひきつけてるから、あんたはさっさと大将首を取ってきな! 危なくなったら加勢してやるよ」

「おお、敵のメイジだぞ!!」「くそっ、一人で突入するとはいい度胸だ! なめおって」「いや、もう一人いるぞ」
わらわらと城の中から、アルビオン王党派の将兵が出てくる。
殺しは好きではないが、トラクスの殺しぶりを見ていると、躊躇っているのが馬鹿らしく思えた。
「あははははは、憎きアルビオン王党派め! この『土くれ』のフーケが、引導を渡してやるよ!!」
ゴーレムが豪腕を振るい、トラクスを城の尖塔めがけて、ふわりと投げつける。

トラクスは尖塔のテラスの手すりにしがみつき、中に入る。
「侵入者だ!」「しかもメイジではない、傭兵か!?」「剣や弓で、このニューカッスルに集いし勇士を滅ぼせると…」
ビュウ、と剣風が吹き、守備兵二人の首を刎ねる。もう一人だ。
「う、あああ、ああああ」
「おい、王様どこだ。教えろ」
デルフをひたりと首筋に当て、求める首の在処を聞き出す。聞き終わると、すっと刃を引いて動脈を切断してやった。
ついでに鉄弓を引き絞り、鉄の矢を放っては、下にいる敵兵を次々に串刺しにする。


矢を撃ち終わると尖塔を駆け下り、二つの首を目指して『礼拝堂』へひた走る。
暴れまわるゴーレムが外で陽動し、疾風のように駆けるトラクスは、すれ違い様に老若男女を切り倒していく。
前へ、前へ、前へ、前へ。血飛沫が舞い、臓腑が流れ、首や腕や手首が転がる。人々が逃げ惑う。
敵を切り殺すたび、マジナイを吸い込むたび、デルフは血と脂と魔力を喰らって輝きを増す。
その刃は妖しく光り、兇刃デルフの発する哄笑も大きくなる。

『そうだあ! トラクス、お前は始祖ブリミルにも仕えたという伝説の「ガンダールヴ」だ!
 あらゆる武器や兵器を自在に操り、メイジの盾となる戦士!!
 お前の左手のルーンはその証さあ! ご主人様のルイズはあのザマだがよおおおおお!!』

礼拝堂に来ると、宮廷メイジたちがトラクスの乱入に気づき魔法を放つが、デルフにはいい食事だ。
『そして俺様、デルフリンガーは六千年前、初代ガンダールヴが振るった魔剣!!
 こいつら如きのへろへろ魔法、俺様が全部食い尽くしてやるぁぁぁあああああ!!!』
何を言っているのかよく分からなかったが、自分とデルフがとても凄い存在だという事は伝わった。
少しずつだが、切り殺した相手の魂を吸ってか、この世界の知識も蓄積されていく気がした。

そして、無人の野を行くが如きトラクスの前に、細身の剣のような杖を構えた金髪の美丈夫が立ちはだかる。
「よく来たな、勇敢なる刺客よ。我が名はアルビオン・テューダー王家の誇り高き後継者、ウェールズ皇太子。
 生憎だが、ここで命を落とすわけにはいかない。せめて貴族派に一矢報いたいのだ。
 いざ、名乗られよ!! この僕が相手だ!! 他の者は、手を出すな」

ウェールズ。その名を聞いて、血塗れのトラクスが名乗りをあげる。
「俺は、トラクス。世界で最も勇猛で誇り高く、残忍なスキタイ人の戦士。
 俺に王様も貴族もない、ただ殺す。
 お前は、王子か。お前と王様の首をもらい、俺は生きて帰る」


互いに力量と間合いを測り合う。蛮人といえども、ウェールズは微塵もトラクスを見下していない。
一人の戦士として、死命を賭して戦うに相応しい相手だと見極める。

「スキタイ人・トラクスよ、いざ参る!!」
「来い、アルビオンの王子、ウェールズ!!」

ウェールズが横薙ぎの烈風を放ち、同時にトラクスへ突進する。
トラクスは風の刃を左手のデルフで切り裂きながら、沈み込んだウェールズに右腰の蛮刀を鞘走らせる。
だが、ウェールズは素早く懐へ入り、鋭い風を纏った杖でトラクスの肩を突く。
トラクスはよろめきながら避け、ウェールズの顎を蹴り上げる。
ウェールズは仰け反って衝撃を逸らし、後ろに跳び上がるや、くるくると回転して着地した。

「強い……!」「やるな、王子」

互角か。いや、トラクスの方が剣の腕は上。デルフリンガーの加護もある。
しかし、ウェールズは『風』のトライアングル・メイジ。直接攻撃魔法は魔剣で防げても、変幻自在な風は奥深い。
アルビオン王党派の生き残りは、固唾を呑んで勝負の行方を見守る。
老王ジェームズ1世は杖を握り締め、玉座を降りて非戦闘員を脱出船『イーグル』へ誘導する。

「今度は、こちらからだ!!」
トラクスが跳んだ。空中は風のメイジの独壇場、ウェールズは杖を振るい、トラクスの手足を空気の枷で縛る。
それをデルフが瞬時に切り裂き、両手で魔剣を振りかぶったトラクスは回転しながら皇太子に迫る。
咄嗟に横へ逃げたウェールズを、トラクスの回し蹴りが襲う。延髄に入った。
ぐらついたウェールズの咽喉を、右手で掴み、床に押し倒して締め上げる。
「首、もらった」

そこへ、皇太子とは別の風が吹く。トラクスは意表を点かれ、横殴りの『エア・ハンマー』に吹き飛ばされた。
「ぐがっ、何ッ!?」
「だ……誰だ!? ゴホッ」


礼拝堂の入口から現れたのは、羽根つき帽子を被り髭を蓄えた、若い貴族の男。
その後ろに、赤毛で褐色の肌の豊満な美女もいる。グリフォンから降り立ち、二人は皇太子に駆け寄った。
「ウェールズ皇太子! ご無事ですか!!」
「ああ、有難う。君は?」
「僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。二つ名は『閃光』。
 トリステイン王国の魔法衛士隊、グリフォン隊の隊長です。
 アンリエッタ王女の御命により、御前に参上いたしました。ご安心を」
「そして、私はゲルマニアの留学生、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
 二つ名は『微熱』。魔法学院の友人が蛮人に誘拐されたため、取り戻しに参りました」
「トリステインの……これは心強い!」

新手か。それも、強い。赤毛の女の方は学院で会ったが、タバサやルイズの友人らしい。
そして、ワルドという男。こいつは、ウェールズより強い。多勢に無勢が、ようやく現実の壁となる。
「山勘が当たったな。トラクスを保護した貴族派が、彼を『投入』するとしたらこの決戦場だと目星はつけていた。
 三対一。卑怯とは言うまいね、蛮人(バルバロイ)のトラクスくん。さあ、ルイズを返してもらうよ」
形勢逆転。トラクスは壁際でふらりと立ち上がり、構えを解く。ワルドの放った風の槌は、左腕を骨折させていた。

「ウェールズ。お前のしている指輪は、『風のルビー』か?」
「ああ、いかにも。我が王家に伝わる、始祖ブリミルの秘宝だ」
急に問いかけられ、立ち上がったウェールズが答える。
「ここでお前を殺すのは、難しそうだ。どうせこの城は落ち、お前は死ぬ。
 その指輪をもらって、そこの王様の首を刎ねて、持って帰る。いやなら、指か手首ごともらう」

(続く)




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