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ソーサリー・ゼロ第二部-9

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一八九

 ルイズとギーシュはあまり気乗りせぬ様子だが、君の意見に強硬に反対する理由もないため、やがてふたりとも同意する。
 確かに、ごろつき同然の傭兵どもと同じ船に乗り合わせるのは危険かもしれぬが、おとなしく目立たぬようにしていれば厄介ごとは避けられるだろうし、
なにより船賃の安さは魅力的だ。
 『ウィップアーウィル』号に乗船すると決めた君たちは、急いで朝食をとり(体力点一を得る)、荷物をまとめて桟橋へと向かう。

 数百段はある長い階段をのぼり終えた君は、信じられぬものを目にする。
 山のような大樹が天をついてそびえ立ち、葉のつかぬ枝を四方八方に伸ばしているのだ。
「あれが桟橋よ。ほら、枝に船が泊まっているでしょ?」
 ルイズは、唖然とする君に説明する。
 彼女の指差す先を見ると確かに、舷側から翼が突き出した帆船らしきものが、いくつも枝にぶら下がっている。
 多くの人々が行き交う道を進み、大樹の根元に開けられた門をくぐってその内側に入ると、そこは巨塔を思わせる広大な空間だ。
 見上げると、壁いっぱいに木製の階段や、広々とした踊り場、荷の積み降ろしに使う起重機などが設けられている。
 どうやらここは、枯れた大樹の幹をくり抜いて、空飛ぶ船の発着する施設へと作り変えた場所らしい。
 木が相手では≪土≫系統の魔法も役に立たぬはずだが、人力だけで大樹をこれほどの施設に作り変えたのだろうか?

 きしむ階段を何段ものぼった君たちは、大樹の幹の内外を隔てる戸口のひとつを通り抜け、『ウィップアーウィル』号の停泊している幅広い枝の上に立つ。
 枝は上側が平坦になるように削られ、頑丈な手摺が設けられているため危険はないが、ラ・ロシェールを一望できるその高さに、君は息を呑む。
「高い場所は苦手かい?これから向かう先は、さらにずっと高いところにあるんだよ」と薄笑いを浮かべて言うギーシュに、
見くびるなと言い返した君は、酒の臭いをぷんぷんさせた船員に船賃を渡すと、甲板へと続く階段を上る。三八へ。


三八

 風を切る船体も、張り詰めた帆も薄汚れた『ウィップアーウィル』号だが、船内はさらにひどい有様だ。
 君たちが座りこんでいる船倉は、そこかしこに酒の空き瓶や腐った食料などのごみが散らばり、異様な臭いがたちこめている。
 与えられた『座席』がこの船倉では、船賃の安さにも納得がいくというものだ!
 この『ウィップアーウィル』号の乗客は君たちだけではなく、すでに大勢の先客――戦乱のアルビオンでひと稼ぎしようともくろむ傭兵ども――が居て、
船倉のあちらこちらに腰を下ろしたり寝転がったりして、やかましく騒いでいる。
 彼らの話すことといえば「貴族派につけば略奪も強姦も思いのままだ」といった、およそ聞くに堪えぬものばかりだ。

 ラ・ロシェールを出港して一時間も経たぬうちに、ルイズとギーシュは、船倉内から消えぬひどい臭いと傭兵どもの下卑た笑い声に耐え切れず、弱音を吐きはじめる。
「やっぱり、他の船にしておけばよかったかも……」
 ルイズが眉をひそめて、君にささやく。
「ぼくはちょっと甲板に上がって、新鮮な空気を吸ってくるよ」
 心なしか青ざめた顔のギーシュがそう言って立ち上がると、ルイズも慌てて一緒に行くと言うので、君も腰を上げる。
 旅用のマントに身を包み頭巾を目深にかぶったルイズはともかく、黒いマントに飾りつきのシャツをまとい、胸ポケットに薔薇を挿したギーシュの姿は
否応なしに目立ち、傭兵どもの冷やかしを浴びる。
「お手洗いですかい、貴族の坊ちゃん!」
「見ろよ、女連れだぜ! いいご身分だ」
 からかいの言葉に反応せず歩を進めるギーシュだが、その端正な顔は怒りに赤く染まっている。
 君は、なにか言い返したくてたまらぬ様子のルイズに、無視するよう耳打ちするが、この判断は誤っていたようだ。
 自分たちが嘲笑した貴族が、魔法も脅しの言葉も使わぬことで、傭兵どもはいよいよ調子に乗る。
 浴びせられる嘲りにギーシュもルイズも肩を震わせるが、やがて甲板へと通じる階段にたどりつく。
 ギーシュが踏み板に片足をかけたところで、傭兵のひとりが足をひっかけてきて、彼を転倒させたので、船倉のなかは爆笑に包まれる。
「おいおい、ちゃんと前を見ろよ貧乏貴族の小僧が! 痛ぇだろうが」
 足をひっかけた傭兵は謝るどころか、ギーシュをさかんに罵る。
「き、きさま……いい加減にしろよ……」
 歯を喰いしばり、相手の眼をじっと睨みつけながら、ギーシュが唸るような声で言う。
「餓鬼が! 仲間の靴を汚しておいて、詫びの一言もなしか? さっさと頭を下げて、それから靴を舐めて綺麗にしてもらおうか」
 別の傭兵がにやにや笑いながら、腰に差した剣の柄に手をやる。
「あ、あ、謝るのはそっちでしょう! 今すぐギーシュに謝罪しなさい!」
 ルイズが声を震わせて叫ぶが、周囲をとり囲んだ傭兵どもは笑うばかりだ。
 通常、貴族の操る魔法は平民にとって圧倒的な脅威なのだが、この状況では話は別だ。
 彼らは、いかにも未熟そうな少年少女を圧倒的な数で取り囲んでいるのだから、負ける要素などどこにもない。
 呪文を唱える前に、背後からの一撃が片をつけてしまうだろう。
「なあ、やっちまおうぜ。できの悪い親のかわりに、俺たちがこの餓鬼どもを躾けてやろう!」
「半殺しにして、身ぐるみ剥いじまおうや」
 何人かの傭兵は、剣を抜き放ち、石弓に矢をつがえる。
「や、やってみろ下郎ども! 後悔するぞ!」
「誇り高いトリステイン貴族は、そんな脅しなんかで怖がったりしないんだからっ!」
 ギーシュは胸ポケットから薔薇を抜き、ルイズも小さな杖を構える。

 もはや事態は最悪だが、君の行動しだいではなんとか収拾がつくかもしれない。
 君は、ルイズたちを殴りつけてでも謝らせるか(八七へ)?
 武器を抜いて身構えるか(一四へ)?
 それとも、術を用いるか(一四七へ)?


一四七

 どの術を使う?

 HOW・三三七へ
 FOF・四九六へ
 ZAP・四〇八へ
 DUD・三八一へ
 GAK・四七四へ


四七四

 体力点一を失う。
 黒い仮面の持ち合わせはあるか?
 なければこの術は使えない。
 武器をとって一四へ。

 仮面を持っているなら、顔にあてがって術を使え。
 君たちをからかっていた連中が、急におびえて縮こまる!
 何事かと覗き込んだ他の傭兵どもも、君の顔を見るや否や恐怖に支配され、悲鳴を上げて逃げ出す。
 この術は勇気のある者にはあまり効果がないのだが、どうやら、ここに居るのは臆病者ばかりのようだ。
 なにが起きたのかと当惑するルイズとギーシュを、先に甲板まで上がらせ、君は仮面をかぶったままゆっくりと階段を上る。五四へ。


五四

 甲板に上がった君たちは、めいめい胸を撫で下ろし、冷たく新鮮な空気を吸い込む。
 緊張の糸が切れたギーシュは、へなへなとへたり込んでしまう。
「こ、怖かった……」
「だ、だらしないわねギ、ギーシュ! 男の子なんだから、しゃきっとしなさい、しゃきっと!」
 まだ震えのやまぬふたりをそっとしておき、君は今しがた上ってきたばかりの開口部をじっと見張るが、誰も姿を現さない。
 術の効果がなくなっても、臆病者ぞろいの傭兵どもには、君たちを追いかけて甲板まで上ってくる勇気はないようだ。
 吹きさらしの甲板上に座り込み、毛布にくるまって寒さをしのぐルイズとギーシュ、そしてそのふたりを護衛する君の三人は、はたから見れば異様な連中だ。
 通りかかる船員はいずれも怪訝そうな眼で君たちを見るが、幸い、邪魔なので船倉に戻れと言う者は居ない。

 『ウィップアーウィル』号はそのまま何事もなくアルビオンへ向かって何時間も飛び続ける。
 眼下に広がるのは白い雲海だ。
「アルビオンだ! アルビオンが見えたぞ!」
 見張りの叫びを耳にした君が舳先(へさき)の方向に視線を転じると、雲の切れ目から黒い塊が垣間見える。
 やがて、その黒い塊が意味のある形を取り出す。
 それは鋸刃を思わせる連峰の稜線であり、麓には緑の森が広がっている。
 話には聞いていたが、こうやって実物を眼にしていてもいまだ信じられぬ眺めだ。
 雲と霧に包まれた大陸が、空中に浮かんでいるのだから!
 このような光景を眼にした≪タイタン≫の住人は、七大蛇を除けば、おそらく君が最初だろう。
 生涯忘れ得ぬであろう光景を前にぽかんと立ち尽くす君に、
「驚いた? あれが『白の国』アルビオンよ。わたしも来るのは久しぶり」と、
ルイズが話しかける。
 彼女は浮遊する大陸の特性や、アルビオン王国の成り立ちについて君に説明するが、君は別のことを考えているため生返事を返すばかりだ。
 あれこそが、水大蛇の言っていた『我らの拠点』『いと高き地』に違いない。
 冥府より蘇った怪物どもは、あの戦乱の地でいったいなにを企んでいるのだろうか?
 王国を二分する内乱に、なんらかの形でかかわっているのだろうか?
 そして、君をカーカバードへ送り返す方法を知っているかもしれぬ、リビングストン男爵は無事なのだろうか?
 君の頭の中は疑問だらけだが、ひとつだけ確かなことがある。
 リビングストン男爵を探してアルビオンをさまよう旅が、危険きわまりないものになることは間違いない。二〇九へ。


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