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ソーサリー・ゼロ第二部-3

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一五三

 一刻も早くオスマンの話の内容を知りたい君は、ぼうっとしたままのルイズの手をとると、彼女を引きずるようにして部屋を出て行く。
 本塔の門前でようやく正気に返ったルイズは、気がついたら部屋から連れ出されていたことに怒って君を問い詰めるが、オスマンから呼び出しがかかったことを説明すると、
それ以上なにも言わずに先へと進む。

 学院長室は、前に見たときにくらべてひどく雑然としている。
 紙や羊皮紙の束が、机だけではなく、絨毯を敷いた床の上のあちらこちらにまで積み上げられているのだ。
「夜遅くにこのような、むさ苦しく散らかった場所へ呼びつけてすまんな」
 やや疲れた様子のオスマンが、君たちを出迎える。
「たとえ正体が何者であれ、ミス・ロングビルが得がたい優秀な人材であったことは確かじゃ。彼女がいなくなって以来、帳簿や手紙はたまる一方でな」
 そう言って微笑むと、君たちに椅子をすすめる。

 オスマンの話は、ここ最近の世間の動向から始まる。
 今日学院を訪れ、今は学院内の宿泊所に居るはずのアンリエッタ姫殿下は、トリステインの北東に存在する大国
 『帝政ゲルマニア(キュルケの母国だ)』訪問の帰りであり、両国の間では重大な条約が結ばれたのであろうこと。
 事件から一週間以上たって、ようやく意識を取り戻した≪土塊のフーケ≫が、役人に引き渡され≪チェルノボーグの監獄≫へと収監されたこと。
 さらにオスマンは、西方の浮遊する大陸(君は耳を疑う!)に存在する『アルビオン王国』を二分する内乱のことに話題を移す。
 数千年の伝統を誇る王家を打倒し、新たな秩序を打ち立てようとする反乱貴族連合と、変わらぬ忠誠を王家に誓う王党派のあいだで行われた血みどろの闘いは、
反乱軍の圧勝で終わろうとしていたが、ここにきて少し状況が変化しているという。 
 王党派を追い詰めた反乱軍は急に進撃を停止し、現在は支配地域の町や村から資金や物資の徴発を行っているというのだ。
 反乱軍のこの謎めいた行動は、その真意をめぐってトリステイン宮廷でも議論を呼んでいる。
 あと一押しでアルビオン王家は地上から消滅し、反乱軍はその目的を達成するのに、なぜ今、徴発などする必要があるのだろうか?
 しかも、その『徴発』の実態は無頼の傭兵どもによる略奪と虐殺であり、無駄に軍の規律を乱し民の恨みを買う、なんら益するところがないものなのだ。
 噂では、あまりの愚行に愛想をつかした一部の貴族が、王党派に寝返ったともいう。

 聞いたこともない異国のつまらぬ戦争の話題に飽き飽きし、早く本題に入らぬものかとじりじりする君に気づいたオスマンは、笑いながら
「もう少し話につきあってもらえんかね。君がもと居たところ――カクハバードじゃったかな?――に戻るには、そのアルビオンまで行かねばならぬようなのじゃ」と言い、
君を驚かせる。二七へ。



二七

「アルビオンには、リビングストン男爵という古い友人がおってのう。一月ほど前に、男爵から奇妙な手紙が届いたのじゃ」
 オスマンは机の上に置かれた手紙のひとつを手にとり、読み上げる。
「『ついに私は≪門≫を開くことに成功した。始祖ブリミルにすら使えなかったであろう、まったく新たな魔法を創り出したのだ』と書いておる」
 ≪門≫という言葉に反応して、君は前のめりになってオスマンを凝視する。
 隣に座るルイズは君の態度の意味がわからず、鳶色の瞳で君と老魔法使いを交互に見かえしている。
「男爵はたいそうな変わり者でのう。≪四大系統≫にも≪虚無≫にも分類されぬ≪コモンマジック≫にこそ、新たな発展の可能性が秘められているのではと考える、
異端のメイジじゃった。なかでも彼が注目したのは、≪サモン・サーヴァント≫じゃ」
 ≪サモン・サーヴァント≫とは、はるか遠隔の地の幻獣や動物を≪使い魔≫として呼び出す魔法であり、君がこのハルケギニアへ来てしまったのも、ルイズがこの魔法を使ったためだ。
 もっとも、通常はハルケギニア世界で知られた生き物がやって来るはずであり、まったく異なる世界の存在である君や火狐が召喚されるようなことは、ありえないのだが。

 オスマンの話は続く。
 リビングストン男爵はこの魔法の仕組みを解明しようと研究を重ね、ついには、銀色に光る大きな鏡のような形をした≪召喚の門≫を出現させることに成功したらしい。
 しかし、何度やってもその≪門≫はほんの数秒で消失してしまい、それがどこと繋がっているのかさえわからなかったのだという。
「『≪門≫を安定させることには失敗し続けているが、いずれは私の発明によって世界が変わるはずだ。一瞬のうちに、世界のどこへでも行くことができる時代がくるだろう。
そう、≪聖地≫だろうと失われた≪東の世界≫だろうと!』という一文で締めくくられておる」

 手紙を読み終えたオスマンは、君の顔をじっと見る。
「最初にこの手紙を読んだときは変人の誇大妄想くらいにしか思えず、返事も書かずにそれきりにしておったのじゃが……頻発する未知の幻獣や亜人の出没、さらに七大蛇とかいう化け物の出現。
これらの事件は、男爵の創り出した≪門≫にかかわりがあるのではなかろうか。
ハルケギニアの各地を繋ぐはずの≪門≫が、ハルケギニアとカクハバードを繋いでしまったのじゃ」と言うと、
君に頭を下げる。
「すまんのう。もっと早く男爵の手紙のことを思い出してしかるべきであったのじゃが、この老いぼれめは十日もたってからようやく気づいたのじゃ」 
 ルイズが慌てて
「わたしの使い魔なんかに、オールド・オスマンが頭を下げることはありません!」と言う。
「しかしミス・ヴァリエール。彼は貴族ではないとはいえ、れっきとしたメイジじゃぞ。それに、故郷に戻れば救国の英雄じゃろう」
「ここに居るあいだはわたしの使い魔、ただの下僕です。学院長とこうしてお話させて頂けるだけでも、彼にとっては身に余る光栄で……」 
 ルイズとオスマンのやりとりを意識の外に置き、君は考える。
 君がもとの世界に戻り任務を遂行するためには、空に浮かぶアルビオン大陸へ向かい、リビングストン男爵を探さねばならないのだ。
 文字も読めず土地勘もない異邦人がひとり、戦乱の地で人探し――これは非常に困難な旅となるだろう。三七へ。



三七

 君はオスマンに向かって、それではさっそく明朝にアルビオンに向かうと伝え、リビングストン男爵に会ったときのために紹介状を書いてくれるよう頼む。
「うむ、君に協力を惜しまぬよう書いておこう。アルビオンへの船が出ておるラ・ロシェールの港までは、馬で二日ほどじゃ。厩舎で、気に入った一頭を持っていきたまえ」
 君とオスマンが旅の準備について話し合っているところに、ルイズが
「ちょっと! わたしを無視してどんどん話を進めないでよ!」と割り込む。
「あ、あんたねぇ! 使い魔の分際でご主人様を置き去りにして、勝手に旅に出るつもり!? 行くなって命令しても勝手にいくんでしょうけど。
それにアルビオンで下手したら……じゃなくてうまくいったら……そのまま帰っちゃうかもしれないんでしょ?」
 ルイズの言葉に君はうなずく。
 アルビオンで無事にリビングストン男爵と会うことができれば、彼の創り出した≪門≫を通って、すぐにカーカバードに戻れるかもしれぬのだ。
 男爵の≪門≫がいまだにどこに現れるかわからぬ不完全なものならば、それが安定したものになるよう、研究を手伝うつもりだ。
 どちらにせよ、君がこの学院に戻るのは、男爵に会えなかったときだけだろう。
 別れの挨拶は明朝でよいかと君は問うが、ルイズは顔を真っ赤にして
「わ、わたしも行ってあげるわ! 頼りない使い魔が行く先々で周りに迷惑かけちゃ、ヴァリエール家の恥よ! それに、わたしはあんたと違ってアルビオンに行ったことだってあるんだからぁ!」という意外な言葉を返してくる。

 ルイズがアルビオンへ同行すると言い張るために、君は頭を抱える。
 人通りの多い街道とはいえ、道中は安全とはいいがたい。
 カーカバードとは比較にならぬほど安全なトリステイン王国ではあるが、追い剥ぎのたぐいが出没せぬとは言い切れぬし、あの『さいはての毒虫の巣』からやって来た怪物どもが王国全土を徘徊しているのだ。
 君ひとりならば、いかなる危険からも身を守る自信があるが、ルイズまで守りきれるかどうかは心もとない。
 さらに、戦乱のアルビオンではより多くの危険が君たちを待ちうけていることだろう。
 君はルイズの同行をしぶしぶ認めるか(五五へ)?
 それとも、断固として拒むか(七六へ)?



七六

 これは貴族様の気楽な物見遊山ではない、戦場に侵入する危険な旅なのだと君は力説するが、ルイズは聞く耳をもたない。
「あんたひとりじゃ、地図も看板も読めないでしょ! それに、アルビオンへの船賃だって安くはないのよ。放浪者の手持ちなんかじゃ絶対払いきれないわね。
わたしが力になってあげようって言ってるんだから、おとなしく従いなさい!」
 彼女の言うことにも一理あるが、金がないのはお互い様ではなかっただろうか?
 ルイズは、死なせてしまった学院の馬の弁償をしなければならないため、懐具合は厳しいはずだ。
 そのことを指摘すると、
「う、う、うるさい、うるさい! いいから言うこと聞けー!」と、
オスマン学院長の前に立っていることも忘れてわめき散らす。
 君たちのやりとりを苦笑を浮かべながら眺めていたオスマンだが、
「のう、あまりレディを怒らせ、悲しませるものではないぞ。連れて行ってやってはどうかな?」と取り成す。
 気乗りはしないが、このままでは埒があかないと考えた君は、ルイズの同行をしぶしぶと認める。
「使い魔……いや、異国の偉大なメイジ殿。彼女を守ってやってくれ。ミス・ヴァリエール、彼にあまり迷惑をかけんようにな」
 紹介状を受け取りオスマンに礼を述べると、君たちふたりは学院長室を出ていく。一一七へ。


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