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マジシャン ザ ルイズ 3章 (14)

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マジシャン ザ ルイズ (14)飛翔艦ウェザーライトⅡ

トリステイン南部、ガリアとの国境付近。
そこには現在トリステイン戦力の少なくない人員が動員された、軍の天幕が張られていた。

その一角、一際目立つ豪奢なテントの中に、トリステイン王女アンリエッタの姿があった。
正面にはマザリーニ枢機卿、ポワ・チエ将軍、その他大勢の臣下達が控えている。
「殿下、全軍の配置が完了しました。いつでも作戦行動へ移れます」
「ガリア軍の陣の動きが活発化して早一日、まだ動かないのは腑に落ちませんな」
「殿下!先制攻撃を仕掛けるべきです。ゲルマニアにアルビオンの脅威ある今、南部の憂いは叩いておくべきです!」
「馬鹿な!?元は誤解から始まった戦争、それを此方から攻撃を仕掛けるなど!」
「それが敵の狙いなのです!数に勝るガリア=アルビオンは時がたてばたつほど優位となりましょう!」
「そもそも将軍!この数の圧倒的不利をどうおつもりか!?今からでも遅くない、話し合いの場を持つべきです!」
「いや、ならばこそ先制攻撃です!ガリアを叩いて、それを手土産に講和に持ち込むのです!」
「あのガリアがその程度で講和するなどありえない!あなた方は戦争が何もわかっていない!」
「何を言う!我々は国を憂いて言っているのです!」

会議は踊る。
目の前の貴族達は前線まで来たというのに、未だに纏まらぬ意見をああでもないこうでもないと言い合っていた。
王宮にゲルマニア陥落の報が入ったのが数日前のこと。
当然ながら本来予定されていたアンリエッタ王女と皇帝アルブレヒト三世の婚約は自然消滅となった。
アンリエッタからすれば愛を誓ったウェールズ、結婚する覚悟を決めたアルブレヒト三世、どちらもをアルビオンに奪われる形となった訳である。
そして、ゲルマニア陥落の知らせと同時に入ったのは、ガリアに放った間諜からのガリア王国単独による大規模なトリステイン侵攻作戦の情報であった。

トリステイン参謀部の考えは、ガリア=アルビオンの連携は、最初の足並みを揃えた以外は満足なものではないというものである。
誇り高いガリア王国が、簒奪者レコン・キスタに積極的に協力するとは思えず、会戦後の両者は連携が崩れるという判断であった。
本来ならガリアの進軍に対して、ゲルマニア側からのアルビオンの同時攻撃作戦が最も効果的なのである。
しかし、ゲルマニア帝国を攻略したばかりのアルビオン側は兵力の損失は無視できるものではなく、加えてゲルマニア国内の統治情勢の不透明な状況である。
このような情勢のアルビオンから攻撃は考えにくく、トリステインからすればゲルマニア方面を無視してガリアに対して注力することが可能な現状が、両国の連携が不十分であることの証左であった。



国土を守るため、誇り高いトリステイン王族の勤めを果たすため、今アンリエッタは最前線に身を置いている。
当初、この決定にマザリーニ枢機卿を中心とする穏健派は猛反発したが、アンリエッタはこれを押し切るかたちで最前線への移動を決めた。
そうして移動したアンリエッタを追従する形でマザリーニ達も同行し、結果天幕の中では穏健派と現場の人間とが何度も同じ議論を繰り返しているのである。
「はぁ………」
アンリエッタのため息一つ、当然ながら貴族達はそんなことには気付かずに言い合いに執心している。
両者の衝突を纏める力は自分には無い、その無力さを痛感した一息であった。
(それも仕方ないわね…)
目線を上げると、設置されたテーブルを境として左右に分かれて喧々囂々と言い合いを続けている貴族達が見えた。
(どうしてここに来たのかも分かっていない王女だもの、彼らを纏められないのは道理ね)
そもそも、彼女は自分自身が本当に、王族の誇りや国民のために最前線に来たのかも分からないでいた。

同盟国ゲルマニアの陥落、軍事大国二国の連合軍、正に状況は絶望的である。
そんな時に、どうして最前線に出ようと思ったのだろうか。
思い当たることは一つ。
(私は……逃げたかったのかしら)
そう、自分はまるで逃げるようにしてここに来た。
ウェールズの死、婚約の自然消滅、故国の危機。そういった激しすぎる時間の波から逃げ出そうとしたのではないだろうか。
ここに来れば何もかもを忘れられると思って。
(そんな訳は無いのに。私は駄目ね、あの子に強くなると言ったのに)
アンリエッタが再び深いため息を吐く。

混沌とした議論が繰り返される中、天幕に急報を告げる伝令が到着する。
通された伝令が緊張の面持ちで告げるその内容は、天幕にいた者の想像を上回るものであった。
「報告いたします。モット伯爵から伝令です。
 トリステイン魔法学院付近に浮遊大陸アルビオン出現、首都を目指して進軍を開始。
 援軍を要請するとのことです」

静まり帰る幕僚達。
マザリーニ枢機卿達、政治家達も一斉に口を閉じた。

トリステイン魔法学院から、王都トリスタニアまでは馬で数時間。正に目と鼻の先である。
対して、トリステイン軍の大部分が現在、この南方戦線に集められている。
この南方配備でさえ強行軍の末に、奇跡的とも言える幕僚達の采配と兵達の士気の高さが組み合わさった結果である。
今からトリスタニアに引き返すには、急いだとしても数日は確実に要するだろう。
その猶予期間は、飛行戦力を多数保有するアルビオンが、王都を蹂躙するに十分な時間となるに違いない。

天幕の中を諦めの雰囲気が支配する。
そうして静止した時間が流れ、やがて誰かが呟いた、「トリステイン王国は、お終いだ」と。
雪崩をうった様に動揺は波紋となり、全体へ波及していく。
既にそれぞれの胸にわだかまっていた不安が後押し、瓦解が始まる。

「皆の者、落ち着きなさい!」
トリステイン王国の頭脳、それが致命的な崩壊を迎える直前、それを留めたのは誰もがお飾りだと思っていた一人の少女であった。

それまで発言の無かった王女が突然声を上げたことで、一同の注目はアンリエッタへと集まった。
それぞれの顔を一つ一つゆっくりと見渡す、大小の差はあれ、内なる不安が表情へと染み出していた。
何とかしなくてはならない、迷っていても弱いままでも、まずは今を切り抜けねばならない。
「ポワ・チエ将軍、今からトリスタニアへ撤退した場合、ガリアは背後を突いてきますね?」
「はい、間違いなく、好機と見て総攻撃を仕掛けてくるでしょう」
「では、前方に展開するガリア軍を攻撃した後、転進して王都を目指した場合はどうですか」
「そ、それは………おそらく、こちらの策を警戒して追撃の手は緩まるでしょう」
「ではこちらが取るべき手立ては一つです。
 全軍進撃、前方の敵を総力を以て攻撃、後に転進、王都を目指します」
「しかし、それでは兵士達の疲労が…」
「故国の危機です、多少の無理は聞いてもらいます」

堂々としたアンリエッタの物言い。
この発言により、崩壊しかかったトリステイン王国は首の皮一枚で瓦解を免れた。
これぞまさしく、本人の望む望まぬに関わらぬ、アンリエッタに備わった王才の発露であった。





「諸君、今すぐここを離れる準備をしたまえ。
 …この場所はもうすぐ戦場になる」

窓から覗くは夜の闇。
彼がその奥に何を見たかは分からない。
だがこの発言を聞いての、ルイズの対応は迅速であった。
「ここに敵が来るってこと?今すぐに?今から避難して間に合うの?」
「その通りだ。時間的猶予はあまり無い。トリスタニアへと転移させる門を学院正面の入り口に用意する、そこに集まれば私がきちんと送り出そう」
言葉少なに、お互いの時間を惜しむようにして必要な言葉だけの会話を行う。
「……ペルスランさん、タバサとタバサのお母様をお願いします」
そうしてルイズはペルスランにタバサ達を頼むと言い残すと、マントを翻して部屋の外へ飛び出していった。
口を開け唖然としているペルスランの肩を叩いてウルザが言う。
「先ほど言ったとおりだ。その二人を守りたいなら、正面門の前に急がせることだ」
そう言い残し、ウルザもまたさっさと部屋を出て行ってしまった。
部屋には余りに唐突な事態に戸惑うペルスラン、泣き続けるタバサ、そして彼女を抱くタバサの母だけが残された。
「………い、いけません。こういうときこそ私がしっかりしなくてはっ。お嬢様!奥様!」


部屋から飛び出したルイズは、自分のできる限りをした。
大声で敵の来襲を触れ回り、学院正面門の前に避難するように誘導して回った。
話を聞いてルイズの姿を見たものは一瞬いぶかしんだが、彼女の剣幕に尋常ならざる事態を察知した。
そうして話を伝えた人には誘導の手伝いを頼み、寮内、学院本塔と走り回るルイズ。
元々夏季休暇中、学内に残った生徒や教師はまばらであり、他には幾人かの平民の使用人が残されるばかり。
平時に比べれば彼らを避難させることは難しくは無かった。

「オールド・オスマン!」
ルイズがノックもなしに学院長室の戸を開く。
そこにはランプに火を灯し、椅子に座って書類整理をしていたオールド・オスマンの姿。
「なんじゃなんじゃ、一体どうしたのじゃミス・ヴァリエール。そんなに血相を変えて」
「早く逃げてください、もうすぐここに敵が押し寄せて来ます」
「ほ、それは大変じゃ。して、ミス・ヴァリエールはそれを誰から聞いたのかな?」
「私の使い魔、ミスタ・ウルザからです」
オスマンはペンでトントンと机を叩くとおもむろにパイプを手に取った。
「ふむ…どのくらいの規模かは言っていたのかの?」
「あ、いえ…そういうことは言っていませんでしたが…」
パイプに火を灯す、ランプの光に照らされて紫煙が踊る。
「君はそれを信じると?」
そう言われて、ルイズは一瞬たじろいだ。
確かに、ルイズはウルザの言ったことに何の疑問も抱かずに真実であると信じた。
それは何故?
「………ミス・ヴァリエール。質問を変えよう、君はミスタ・ウルザを信頼しているのかね?」
「え、あ、」
唐突な問いにルイズが言葉に詰る。
指先でパイプを器用にくるくると回し、問うオールド・オスマン。
淡い光に照らされた瞳は、これまで見たことが無いくらい鋭く細められていた。
「もう一度聞こう。ミス・ヴァリエール、君はミスタ・ウルザを信頼しているかね?」
白い長髪、年相応の皺の刻まれた顔、深い知性と洞察の色を宿した瞳でオスマンが問いかける。
何かを計るかのような、静かなる言葉。
「………はい、私は彼を信頼しています」
自分を試す二度目の問い、ルイズはこれに迷うことなくしっかりと答えた。

「よろしい、ならばなんら問題は無い。
 君は君が信じた人間の言葉を信じればいい。なぜならそれが信頼というものだからじゃ、もっと胸を張ることじゃよ。
 さて、わしもすぐに出ることにしようかの」
「……ありがとうございます、オールド・オスマン」
ルイズが深々と頭を下げる。
そう、ルイズは自分の使い魔を信頼している。
最初は怪しい老人としか思えなかった。
けれど、彼の背中を見ているうちにそれだけじゃないことが分かった。
今は、彼の横に並びたいと思っている自分がいる。
オスマンの言葉は、それを確認させるものであったのだ。



ルイズの努力の甲斐あって、トリステイン魔法学院の正面門前には多数の人が集まった。
それでもたかだか二十人程度、しかし、それがルイズの努力の証であることにはかわりなかった。
これには勿論タバサやその母、老執事も含まれている。
ウルザとコルベール、オスマンの姿が見えないが、彼らは彼らで何か準備をしているのだろう。
「皆!周りの人間でこの場にいない人間がいないかどうか確かめて頂戴」
学内に取り残された者がいないかを確認するためである。
言ったルイズも帰省せずに学院に残っていることを知っている人間が、きちんといるかどうかを確かめる。
ウルザ、コルベール、オスマンは姿を見せていないが、これは除外する。
タバサは…泣き止んで、いつもの無表情。
タバサの母は…おっとりとした雰囲気でおろおろとしている。
ペルスランは…婦人になにごとかを話しかけている。
顔見知りの平民の使用人は…きちんと集まっている。
ギーシュは…いなかった。

「――――――はあ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまうルイズである。
もう一度確認するが、やはりギーシュの姿はここには見当たらなかった。
加えるならモンモランシーの姿もまた確認できない。
ギーシュとモンモランシー、確実に学院に残っている二人。
この場にいないならどこにいるか?
決まっている、学院の寮の部屋である。


焦った表情のルイズが寮に向けて走り出した。
息が切れることも構わない、全力の疾走を開始する。
それを見たタバサが、握っていた母の手を離した。
「シャルロット?」
「…母さま、シャルロットは行かねばなりません」
「お嬢様…」
タバサは言いかけるペルスランを、杖を掲げて遮る。
「いいわ、シャルロット。あなたのお友達を助けてあげて。
 これまでずっと迷惑をかけてきたわたくしですもの、あなたを送り出すことくらいさせて頂戴」
こくりと頷くタバサ。
「ああ、私のシャルロット…」
婦人が膝立ちになりタバサを優しく抱きしめる。
「お願い、約束して頂戴。
 必ず、必ず戻ると…私の大事なシャルロット…」
抱きながら優しく頭を撫でる母の手。
また溢れ出しそうになる涙をぐっと堪える。
願ってやまなかった母の温もりが確かにここにある。
それを置き去りにしてまで、為さねばならないことがあるだろうか。
だが、それを思うタバサの心は決まっている。
「必ず、戻ります」
友を、ルイズを助けねばならない。
名残惜しい母の抱擁から離れ、タバサもまた、ルイズを追って寮へと走り出した。


無人となった学院、その中でルイズの足音と息遣いだけが響く。
ルイズはまず、学院本塔一階に位置する男子寮、その中にあるギーシュの部屋へと向かった。
ギーシュの部屋の前に立ってドアをノックする、返事なし。
ドアを開ける、幸い鍵は掛かっていなかった。
そして部屋の中にギーシュは………いなかった。
ルイズは頭の痛くなる予感を感じながら、次に女子寮へと向かった。


「ああ!モンモランシー!僕のモンモランシー!好きだ!僕は君が好きだ、大好きだ!」
「ギーシュ!私も…私もあなたが好きよ!」
「香水のモンモランシー!君の香りは…香りはっ!僕を惑わせるっ!」
「駄目よ!駄目よギーシュ!私たちまだ学生じゃないっ!いけないわこんなこと!」
「何が駄目なんだいモンモランシー!僕には分からないよ!僕ぁもう…僕ぁもう…っ!」
「ああん!いけないわ!こんなこと不潔よっ!結婚するまでは…結婚するまでは…っ!」
「我慢!僕ぁ一体何を我慢すれば良いんだい!?君を愛することを我慢するなんてっ!残酷すぎるよっ!」
「そんな、そんなに情熱的に言われたら…私、私…っ」
「モ、モンモランシーーーーーっ!!!」

その時であった。
ドアを蹴破って入ってきたルイズが勢いそのままに、ベットに座るモンモランシーに飛びかかろうとしていたギーシュの股間を蹴り上げたのは。

「の、ノオオオオオオオオオォォォォォォォォォ…」
両手で股間を押さえながら、床に倒れ伏せて悶絶するギーシュ。
荒い息で飛び込んできたルイズの目は、氷のように冷たく鋭い。
「はぁ、はぁ、人が必死に探してたってのに、あ、あ、ああんた達一体何しちゃってるのよ、こ、こ、この色ボケ男ってば」
「ちょ、ちょっと、ルイズ、落ち着いて?ね、話を、話を聞いて頂戴」
ルイズの目が向けられるやいなや、モンモランシーも慌てて正座する。
「これには深い事情があるの、ギーシュはちょっとやり過ぎちゃったけど、
 …ええと、その……あ、タバサ!良いところに来たわ!この子に何か言ってあげて!」
先ほどルイズが蹴り開けたドアからタバサがひょっこりと顔を出したのを見たモンモランシーが、藁にも縋る思いで声をかける。
これにタバサもこくんと頷き、ルイズに声をかける。
「…急がないと」
タバサのこの発言に、流石に事態を思い出したルイズがギーシュとモンモランシーに声をかける。
「急いで、早くここから逃げるわよ、もう皆集まってるんだから」
「?逃げるって、何で?」
この二人はいつから盛り上がっていたのだろうと、こめかみを押さえながらルイズが堪える。
「いいから!早く行くわよ!」
ルイズとタバサ、二人はギーシュとモンモランシーを連れ出して、寮の外へと再び足を向けるのであった。


さて、ルイズ達が女子寮のモンモランシーの部屋からギーシュ達を連れ出した時、マチルダ・オブ・サウスゴータこと、土くれのフーケは学院本塔宝物庫にいた。
「………」
そして、以前見た宝物庫の有様と大きく違う、具体的にはめぼしいものが持ち去られて閑散とした様子の宝物庫を見て途方にくれていた。
「泥棒の仕業…って訳じゃなさそうね」
フーケはタバサにシルフィードで学院に連れてこられた後、ルイズ達の目を掻い潜り、再びあの因縁のある宝物庫へと向かったのである。
正直、フーケは本来はこんなところまでついてくるつもりはなかったのだ。
タバサの気迫に押し切られる形でトリステイン魔法学院まで休憩なしで飛び続けたため、ガリア領内の次に降り立った場所がここであったというだけ。
そうして、行方を晦ます行きがけの駄賃とばかりに、以前押し入った宝物庫に向かったのだが、どういう訳か宝物庫にかけられていたロックの魔法は解除されており、鍵は申し訳程度にかけられた錠前一つとなっていた。
これを見たフーケは燃え上がった、時間も忘れて、警戒しつつも大胆に、かつ慎重な手つきで持って鍵を外した。
そうして再び侵入した宝物庫には………物が無かった。
「魔法が解除されてたから、こんな気はしてたけどね…はあ、無駄な時間だったわ」
こんな場所にいても仕方が無いので、フーケは宝物庫を後にする。
人気の無い魔法学院、その中をさらに隠れて移動しながら食堂へ移動、そこから外へ出た。
フーケがそうして夜の闇にまぎれて消えようとした時、丁度女子寮から出てきたルイズ達とばったりと鉢合わせした。

「「………あ」」
両者、思わぬ再会に言葉が詰る。
ルイズの横にいたタバサは、フーケの説明をルイズに説明していなかったことを思い出したが、もう遅い。
「あんたフーケじゃない!よくものこのことこんなところに…っ!」
だが、次を続けようとするルイズの言葉はここで遮られた。

破壊をもたらす、爆炎によって。

轟音と熱量を撒き散らしながら爆発が学院本塔を襲う。
空から飛来した何かが火炎の塊を吐き出し、それ学院のあちこちへと打ち込む。
直撃を受けた土の塔が学院の敷地内へ崩れていく。
この光景でまず我に返ったフーケが目の前の子供達に檄を浴びせる。
「なんだか分からないがいくよ!あんた達も死にたくなかったら呆けてるんじゃないよっ!」
声とともに走り始めるフーケ、ルイズ達はその背を追いかける。
目指すは魔法学院正面門前。



だが、正面門の前。
避難しようとする人たちが集まっているはずのそこに、人気は無かった。
その代わりに、彼らを出迎えたのは白い髭を蓄えた男、虚無の使い魔ウルザであった。
「彼らには攻撃が始まる前に一足先にトリスタニアへと飛んでもらった」
「それじゃ、私たちはどうやって王都へと向かうのよ」
「………ここにいる我々は、あのフネでこの場を脱出する」
ウルザが杖で指し示した先には、炎に照らされた、一隻のフネ。

そうそれは、かつてウルザがウェザーライトⅡと呼んだ、あのフネであった。


                        こうして、新世代のクルーを迎えたウェザーライトの新たなる冒険が始まる。


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