あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

とある魔術の使い魔と主-11


当麻が巨大ゴーレムを文字通り粉砕していた頃、フーケは宝物庫の中で捜し物をしていた。
『破壊の本』、それが彼女の狙いであった。
幾多の宝物を触りもせず、ただひたすら目当てとなる本を捜した。と、一番奥に、どう考えても他の本より立派に置かれている本があった。
フーケはその下にかけられた鉄製のプレートを見つめた。
『破壊の本。持ち出し不可』と書かれている。フーケはここでようやく笑みを浮かべた。
フーケは、何の躊躇いもなくそれを手に取ると、急いでゴーレムの元へと行こうとしたのだが……
彼女にとって、予想外の事態に見舞われた。
ゴーレムが土へと還り、メイジ達が何やら喜んでいる。
(まさか……私のゴーレムが負けたの?)
いや、ありえないとフーケは考えを一瞬否定した。しかし、否定した所で今の状況は変わらない。
向こうもこちらの存在には気付いているはず。ならば向こうとの衝突は必須である。
子供でもわかる法則、故にフーケは『破壊の本』のページを開いた。
彼らを倒す為に――

シルフィードから降りて来たキュルケは、真っ先に当麻へと抱き着いた。
「トウマ! すごいわ! やっぱりダーリンね」
ちょ、お姉さん、その胸がわたくしに当たっていまして……と、いいたげな表情で喜んでいる当麻をルイズは、引き離す。
「何するのよ!」
「敵、まだいる」
ルイズの代わりにタバサが答えて、全員は穴が開いた宝物庫へと視線をやる。
と、その瞬間だった。
轟ッ! と風のうねりと共に、何か得体のしれない何かが迫り来たのを彼らは視界に捉えた。
「ッ! 避けろ!」
当麻は右手を突き出すよりも先に、ルイズを押し倒した。当麻の位置では、幻想殺しを発動する前にキュルケとタバサが先に当たってしまうからである。
「え? え?」と、状況がわからないルイズと違って、タバサとキュルケは判断が早かった。
当麻が叫ぶ前から動いていたのだ。実質三人は、同時に三方向へと距離を離れようと飛んだ。
が、それだけでは終わらない。
瞬ッ、とそれが当たり前のように三つの何かへと別れる。いや、もう何かというたとえはよくない。それは風の形で出来た槍であった。まるで自動追尾機能でも搭載しているかのように、勢いが止まる事なく襲い掛かってくる。

ドン!! と、当麻の右手が、向かい来る槍を打ち消す。今まで電撃の槍を再三に渡って打ち消したという慣れのおかげである。
が、それは一本だけ。
残りの二本は自分達が離れたが故、届かない。
再び彼女らは、ギリギリの地点から足に力を入れて、跳躍する。
ザシュ! と、ズドン! という音を、当麻は左右から聞こえた。
一つは肉が切り裂かれた水っぽい音――槍がキュルケの肩を掠めた。
もう一つはタバサが小さい体のおかげが、上手く当たらずに済んだ。
「キュルケ!」
ルイズが叫び、三人は駆け寄る。当麻とタバサは視線を宝物庫から背けない。一人は魔法を唱え、一人は拳を握る。
「はっ、ルイズに心配される程じゃないわよ!」
キュルケは自分のマントをビリッ、と破り、手際よくそれを巻いていく。
と、
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
突如歓喜に満ちた笑い声が場の空気を震わす。
フーケは本を開きながら、とんっ、と床を蹴り、地面に飛び降りる。
地面にぶつかる瞬間、『レビテーション』を唱え、勢いを殺し、羽毛のように着地する。
黒いローブを身に纏ったが、肝心の部分であろうフードだけは被っていない。
「ミス・ロンクビル!?」
その姿は誰もが知っていた。この学園の長、オールド・オスマンの秘書をしているミス・ロングビルであった。
その存在に驚く前に、タバサは呪文を発動した。巨大な竜巻が舞い上がり、フーケに直撃するその瞬間、
向こうが持つ本が光り、炎の竜巻が主を守る為に立ち塞がり相殺する。
「素晴らしいわね、数々の攻撃魔法に自動で敵の魔法を迎撃する魔法。おまけに呪文を唱える必要はないのよ」
ほら、と言わんばかりに本を差し出す。瞬間、再び光り、魔術が発動する。
今度は炎の矢。早さを極限なまでに特化しており、瞬き一つで当麻達ヘとたどり着く。
バシン! とそれを当麻は受け止めた。
誰一人傷を負わす事なく消え去る。
しかし、それは偶然の産物。なんとなく正面から来るであると踏み、発動する前から当麻は手を前に出しただけだった。
(クソッ、どんな術が来るかわからねえ!)
当麻は舌打ちをした。もし違う方向から襲い掛かる術式があったらそれだけで終わる。
その前に何か打つ手を考えなければならない。

「あら? 魔法を掻き消した……?」
が、幸いな事に、フーケが当麻の幻想殺しに疑問を持ち、ページを飛ばし続ける。
チャンスだ、と思った当麻はその間にも作戦会議を行う。
「とりあえず、だ。分散しちゃマズイ。固まってやり過ごすしかないな」
「ねぇ、ダーリンって一体何者なの……?」
キュルケの質問は尤もだった。
ゴーレムを一撃で倒し、全ての魔法を打ち消している。ただの平民なわけがないのである。
「右手」
タバサが当麻の右手を指す。数回の交戦を見ただけでよくわかったな、と当麻は素直に関心した。
「作戦会議かしら? でも、お姉さんは待ってあげない。その前にこれを喰らってみてはいかが?」
気付くと、本の前に二つの魔法陣が展開されていた。直径二メートル強の巨大なそれが重なっている。そこの接点から真っ黒な雷のような物が飛び散る。
そう、そこだけが何か別の空間、異次元へと繋がるような感覚を四人は覚える。
そんな亀裂が見えた。フーケへと近づく輩は永遠のさ迷いを与える絶対防壁であるかのように。
めき……、と亀裂の内側が膨らむ。何かの心音のように一定の感覚で膨らんでいく。
「あ……れ……?」
当麻は知っている。あれを見たのは初めてではない。恐らく記憶を失っている時間の中の体験なのだろう。
しかし、おかしい。その時の記憶は何もない。何もないはずなのに……

なぜかぼんやりとあの白い少女が浮かんだ。

その間にもどんどん亀裂が広がっていき、『何か』が近づいてくる。後ろは見れない。見てしまったら間違いなく死んでしまうと、感じる。
当麻は動けない。震えている、怖いぐらい震えている。恐らく後ろの三人も未知なる恐怖に震えているに違いない。

でも何故だろう、当麻はこの時、同じ体験をしたその時、喜んでいた気がする。
そう、あの白い少女を救えるのではないかと思って

同時、ベギリ――――と、亀裂が一気に広がり、開いた。
その穴から何かが覗き込んだと思えた瞬間、
ゴッ!! と。亀裂の奥から光の柱が襲い掛かって来た。


新着情報

取得中です。