あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

とある魔術の使い魔と主-03


(えぇい! 勘弁してくれぇぇぇえええ)
当麻は毛布に包みこみ、心の中で絶叫する。

あの後、時間も時間だし寝ることになったのだが……
「それ、明日に洗濯してね」
と、キャミソールとパンティを当麻に投げ付けた。もちろんこのような体験をした事がない当麻は、盛大に吹き出し、ルイズの方へとガバッ! と向いた。
「いやいやいや、さすがにこれを洗濯はってちょ、うぉい!」
そこには大きなネグリジェを頭から被ろうとしているルイズ。そして当麻の下には下着……つまりルイズは裸であった。
抗議をつける為に向いた顔を、それ以上の早さで体ごと反らす。
一方のルイズは気にかける事もなく、被り終わると、
「あなたは使い魔なんだから、ここで養って貰うんでしょ?」
そうですね、と涙を浮かべながら当麻は呟く他なかった。
さて、問題はここではない。ちなみに、小さな寝息を立ててルイズがスヤスヤと眠っているのはわかるが、ある程度インデックスのおかげで慣れていた為、こちらも問題ではない。
問題はこの世界での魔法の存在意義だ。
じゃあ寝るわよと言って、ルイズがパチンと指を鳴らした瞬間、ランプの灯がフッと消えた。
当麻は、えぇい、夢であってくれーと思っていたが、時間が経つについて浮かび上がった疑問をルイズにぶつけた。
「あの……この建物も魔法で出来てます?」
「え? 『固定化』の魔法はかかっているはずよ」
「えーっとそれはどのような魔法で?」
「物質の酸化や腐敗を防ぐ呪文。まぁ『錬金』で石を切り出して加工してるからそれも入るかしら……で? いきなり何よ?」
「あーなんでもないですはい」
おそらく首を傾げてるであろうルイズをそっちのけで、先程の心情に至る。
すみません、この寮よ。あなた様の腐敗は防げないかもしれません。
崩れなかった事に感謝を覚えつつ、極力右手で物に触らないようにしようと心に誓った。
(これ手袋で防げたりできない……よなぁ……)

上条の閉じていた目が開かれたのは、次の日の朝であった。
元々学園都市のとある寮の一人暮らしをしていた身、成績は悪かったがこういった基本的な事はいたって真面目であった。
カーテンを通り越して朝特有の光が差し込んでくる。当麻はうーん、と肩を伸ばす簡単なストレッチを行う。
(あー、やっぱり夢じゃないんだよな)
当麻がいる部屋はいつもの部屋ではなく、昨日から住み込み始めた部屋。もちろんベットにはその主が呼吸と共に小さく体を動かし、眠っている。
これから当麻がやるべき事は元の世界に戻る方法を探す事、尚且つルイズの使い魔としての仕事をする事。
なにはともわれ、主を起こさなければ何も始まらない。当麻はルイズの毛布を勢いよく引っ張った。
「……へ? な、何!?」
「快適最適平和な朝です、お嬢様」
「あ、そう……って何人の部屋にいるのよ!」
いやいやここで記憶喪失なんて聞いた事ないですよ、と思った当麻は、やや大きめの声で応えた。
「上条当麻めであります。まさかお忘れという事はありませんでしょうな?」
「はえ? あ、使い魔ね。そっか召喚したのか」
ルイズは当麻と同じように軽く体を延ばし、大きなあくびをした。そして当麻に向かって手を差し出し、
「服」
と命じた。立場が立場なので逆らわず、椅子にかかっている制服を渡した。ルイズはそれをベットの上に置くと、まだ覚醒していないのかゆっくりとネグリジェを脱ぎ始めた。
瞬、と当麻はコンマ一秒で視線を背ける。自分でも顔が赤くなっていると感じる。
「下着も」
「だー下着もですか!? 一体どこにあっちゃったりしちゃうんですか!?」
「そこのクローゼット、一番下の引き出しにあるわ」

耐えるしかない、朝っぱらから肩をガクッと落とし、引き出しを開けた。
たくさん下着があるが、当麻は不幸なのか幸福なのかわからないが、見る事には一応慣れている。
とりあえず一番上のを掴む。後ろを見るわけにはいかないので、そのまま後ろに数歩歩き、手だけルイズへと差し出す。
下着を身につけたのか、再びルイズは当麻に命ずる。
「服」
「ベットの上だろ?」
「着せて」
ってあんたは何歳児ですかー!? と当麻は悲鳴をあげたが、ルイズは口をやや尖らせ
「貴族は下僕がいる時は自分から着ないの、わかる?」
「わかりませんそんな非常識!」
「あっそ、じゃあ罰として朝食抜きでいいかしら?」
「えぇい、せこいです、せこいぞ、せこいよ三段活用!」
と言っても朝食が抜かれる事実は変わらない。当麻は仕方なく服を手に取った。

ルイズと当麻は部屋を出ると、ちょうど三つある内の一つの扉が開いた。そこから、赤い髪の女の子が現れた。
当麻と同じぐらいの身長に、褐色の肌、そして真っ先に目がいくのは突き出た胸であろう。一番上と二番目のブラウスのボタンが外れている為、余計に強調される。
ほとんど、全てといっていい程ルイズと対照的であった女の子は、こちらの存在に気付くとニヤリと不適な笑みを浮かべた。
「おはよう、ルイズ」
ルイズは嫌そうな表情を浮かべながらも挨拶を返す。
「おはよう。キュルケ」
「あなたの使い魔ってもしかしてそれ?」
そうかキュルケって言うのかー、と一人場違いな事を考えてる当麻の事を指差した。
「えぇ」
「へぇ~、ホントに人間だなんて、凄いじゃない!」
アッハッハと笑い出すキュルケ。ルイズは腕を組んだまま黙っている。
「『サモン・サーヴァント』で平民を喚んじゃうなんて。あなたらしいわねゼロのルイズ」
ルイズのこめかみがピクッと動くのを当麻何気なく視界に入った。
「うるさいわね」
「誰かさんと違って一発で私は成功したけどね」
「へぇ」
「使い魔はやっぱりこういうのがいいわよねぇ~、フレイム!」
キュルケは、自慢するかのように自分の使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からゆったりと、真っ赤な巨大なトカゲが廊下へと覗き込む。むんとした熱気が当麻を襲う。
「うぉい! なんですかこれは!?」
見たこともない生物に、当麻は無意識に後ずさる。
「あら? もしかしてあなたこの火トカゲを見るのは初めて?」
「当たり前だろ! こんなゲームにしか出てこない獣が実際にいるなんて、製作会社の社員は何者なんですか!?」
うがーと頭を両手で抱え、現実から逃れようとする。
「だ、大丈夫なの?」
「心配しなくても大丈夫、癖みたいなものだから」
早くも当麻のテンションに慣れたルイズは、そのまま話を続ける。
「あんたのサラマンダーはわかったから、そろそろ行かしてくれるかしら? キュルケ」

「あら、じゃお先に失礼……とその前にあなたのお名前は?」
「ん……俺の事?」
現実へ再び連れ戻された当麻の問いに、キュルケはにっこりと笑いながら頷く。
「上条当麻です」
「カミジョウトウマ? 不思議な名前」
「まぁ発音が違うがいっか」
「そ、それじゃあお先に」
そういって勝者のようにポーズを取りキュルケは去っていった。それに続いてサラマンダーが可愛らしく動く。
キュルケが視界からいなくなると、ルイズは拳を強く握り締めた。
「あーもうむかつく! 自分がサラマンダーを召喚したからってわざわざ自慢しにきて! くやしー!」
「うーん召喚なんて別にいんじゃね?」
当麻の不用意な発言に、ルイズは怒りの矛先を向ける。
「よくないわよ、バカ! メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われてるのよ!? なんでわたしがあんたなのかよ!」
「そう怒鳴られてもしゃあーねーだろ。つか見方の問題だろ?」
「え?」
「そんなサラマンダーを従えてる人間が一番強いんだろ? その一番強い人間を召喚したお前は誇れるんじゃねーの?」
「はぁ……従えてるのはメイジ、そしてあんたは平民。例えるならオオカミと犬ほど違いがあるのよ」
「なんつー理論ですか……」
「わかったらさっさと行く」
二人は朝食の為、食堂へと向かった。

「不幸だー……」
「何言ってるの、本当なら入る事すら許されないのよ? 感謝して欲しいぐらいだわ」
当麻は期待していた。食堂に入るや否や、ズラリと並んだ食事を。
当麻は期待していた。唯一の楽しみが出来たー、とすぐにでも食べようと思った。
が、世の中は甘くない。この世界での当麻ランクは平民、よって床で、スープとパン切れが二つが彼の朝食であった。
もちろん現役高校生の上条当麻は、圧倒的に量が足りない。教室に着いた瞬間、机に体を預ける。が、彼に平穏な時間はない。
「ここはメイジの席よ。使い魔は座っちゃダメなの」
さすがの当麻もこれにはくる。首だけをゾンビのようにギギギギギとルイズの方に視線を向ける。
「使い魔にある程度の自由を与えるのも主としての才能であるとオモイマス」
再びギギギギギと顔を机にへと戻す。ルイズはため息を吐いたが、何も言わなかった。
こうして授業は始りの合図を迎えた。


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