あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

男達の使い魔 第三話

ヴェストリの広場から声が聞こえる。
何か騒ぎが起きているようだ。
それを聞きつけた富樫と虎丸は、迷わず向かうことにした。



その日、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの寝覚めは最悪だった。
たくさんの、暑苦しい男達が自分に迫ってくる夢を見たのだから無理もない。
起きて夢であったことに安心して、一息つく。
すると、昨日のことを思い出してしまって、ある意味現実であることに頭を抱える。
彼らが、他の世界から来た、という台詞をルイズは疑ってはいない。
あれだけの人数が、まるで口裏を合わせたかのようにここは違うなどありえないからだ。
その境遇には憐憫を覚えなくはないし、弱者を助けるのも貴族の務めであると考えると、
気分も悪くはない。
しかし、本人達の悲壮感のなさと、あの汗臭さはどうにかならないものだろうか。
そこまで考えたところで、ルイズは自分が大きく汗をかいていることに気づいた。
窓を開けて外を眺めると、日が昇るのが見えた。

(気持ちのいい朝ね。)

そろそろこの学園にいるコックやメイドたちが働きだす時間だ。
この汗にまみれた洗濯物をシエスタにでも洗濯してもらおう。
そう考えたルイズは、外の井戸へと向かうことにした。


「おはよう。朝から精が出るわねシエスタ。」

案の定、いつもの場所でシエスタは選択をしていた。

「おはようございます、ミス・ヴァリエール。洗濯の依頼でしょうか?」

洗濯の手を止めて、後ろを振り向いたシエスタは、ルイズが衣服を持っているのを目に留めそう答えた。

「そうよ。忙しいところ悪いけど、お願いできるかしら。」

「はい。本日は天気も良いので、午前中には乾くかと思います。
 午後にお届けすればよろしいでしょうか。」

「ええ。それでお願いね。」

ルイズは気づいていないが、シエスタと会話をしている時のルイズは、たいへん柔らかい顔をしていた。
教室でのルイズしか見ていない者達が見たならば、その険のなさに驚き、そして見ほれるに違いない。
朝日に照らされた少女の顔は、まさにそれが一つの芸術のごとく美しかった。

話は一年ほど前に遡る。

教室で、錬金対象を爆発させ、後片付けをさせられたルイズは機嫌が悪かった。
そのために昼食の時間は遅れ、周りには誰もいない。
いるのは働いているメイドたちだけだ。
その時、少し離れたところから人の争うような声が聞こえる。
声から判断すると、男が女に無理を強いているようだ。

(弱い者を助けるのは貴族の義務よね。)

母に厳しく仕込まれた言葉を思い返す。
あの偉大なる母は、決して弱者に無理をさせるようなことはしなかったのだ。
自分の魔法があらゆるものを爆破する、ということに思いをはせていたルイズは、
明らかに悪いであろう男を爆破しようと理論武装した。
……本音はもちろん八つ当たりである。

(普段は疎ましいだけの能力だけど、こういう機会では使えるかもしれないわね。)

ちょっとした思い付きであるが、ルイズはそのことを頭にとどめた。


ようやく現場に近づいたルイズは、自分の想像とは少し違う状況に戸惑い、様子を見ることにした。
片方が貴族の使いとおぼしき人物であり、片方はメイドである。
ここまではルイズの予想通りだ。
予想と違ったのはその会話である。
メイドが、貴族であるルイズの目から見ても、凛とした態度で丁重に相手の話を断っていたのだ。
その立派な様子に、多少拍子抜けして、会話に集中することにした。

「一介のメイドごときが、モット伯のお誘いを断るというのか!!」

「確かに私は一介のメイドに過ぎませんし、お誘いを頂いて誠に光栄でございます。
 しかし、私はこの学園で働く身でありますので、上司を通して『正式に』お話をまわして
 頂きませんと、承服いたしかねます。」

(モット伯ね。確か、平民の女の子をたくさん囲っているという話だったわね。
 目をつけた女の子をさらいに来た、というところかしら。)

そうルイズはあたりをつけた。
それに、この学院で唯一人事権を握るオールドオスマンは、相当のやり手である。
簡単に、自分の下で働く人間を苦境に落とすことはないのだ。
この様子なら自分は必要ないだろう、そう考えた彼女は、その場から立ち去ろうとした。

「確か出身はタルブの村だったか。今年の税は厳しくなるだろうな。」

ただ脅迫するだけでは埒があかないと判断した男は、絡めてでいくことにしたようだ。
その言葉に、少女が絶句したのを確認したルイズは、もう少し様子を見ることにした。
少女は強く、それこそ血が出る位に手を握り締めている。
しかし、目には絶望は見られない。
ただ、黒い怒りだけが浮かんでいた。
それを見たルイズは反射的に動いていた。

「ちょっとそこのあなた!!私付のメイドを脅すなんてどういう了見よ!!」

もちろん詭弁である。
二人がこちらの方を向く。
シエスタの顔には、驚きが浮かんでいた。
男は思わず舌打ちをすると、一声脅すことにした。
面と向かってモット伯に逆らえる貴族は少数派なのだ。
ましてや、明らかに上となると片手で数えるほどしかいないのだ。
男の不運な点を上げるとするならば、ルイズがその少数派に属していたことだろう。

「これは、モット伯に対する挑戦と受け取ってもよろしいのでしょうか。お嬢さん」

「あら。ヴァリエール家はいついかなるときでも挑戦はお受けしていますわ。」

わざと言葉を丁寧にし、男の横に錬金をかける。
狙い通りに爆発したのを見たルイズは、男の様子を伺った。
男は驚愕し、おののいている様だ。
慌ててきびすを返すと、走りさっていった。
その様子に、カトレア姉さんの近くで見たリスが逃げていく姿を思いおこしたルイズは、くすくすと笑った。
あっけに取られていた少女も一緒になって笑い出した。
ひとしきり笑ったところで、ルイズはこの少女の名前を聞くことにした。
この芯の強い少女のことが気に入ったのである。
本当に自分付のメイドにしたいくらいには。

「ところで、あなた名前はなんと言うの?」

こうしてルイズとシエスタの交流が始まった。
普段教室でゼロと馬鹿にされているルイズにとっては、数少ない話し相手であったし
シエスタにとっては、まさしく恩人である。
二人が、身分の差を越えて仲良くなるのにさして時間はかからなかった。

そしてこの経験はルイズの視野を広げることになった。
まったく身分の違うシエスタの視線は、常に新鮮であり面白かった。
一方、意外にもシエスタには結構学があることにも驚いた。
読み書き計算ができる平民など本当に少数派であるのだ。
そのことを追求すると、シエスタの祖父の話が出てきた。
そのシエスタの祖父の話はまさしく痛快であった。
魔法が使えないにも関わらず、己の道の邪魔をするものは吹き飛ばす。
その祖父の薫陶を受けたシエスタが、芯の強い少女になるのは当然の結果であるとルイズは思った。
また、シエスタが本当に家族を愛していることを感じ、暖かい気持ちになった。



朝から数えて二つ目の鐘がなる。
そのことに気がついたルイズは、シエスタとの会話を打ち切り、オールドオスマンのところへと向かった。
シエスタの後にあの顔は見たくないが、そうも言ってはいられない。
なぜなら、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは彼らのご主人様なのだから。
これもシエスタと付き合っていて分かったことの一つである。
真の貴族とは、平民をしつけるだけでなく、平民がおのずと襟を正すような行動をする貴族のことを言うのだ。
そのためには、魔法使いとして優秀なだけではなく、己が立派な人物になる必要があるのだ。
そうと考えたルイズは、己を省み、行動を直し始めた。
今のところ目に見える効果は、シエスタに慕われていることと、時々食事の上にクックベリーパイが増えている
事だけではあるが。
そうと思い直したルイズは気合を入れなおして、学院長室のドアを開けた。

そこにはオスマンの他に一人しか男がいなかった。

「確か伊達と言ったかしら。他の者達はどうしたの?」

「他のやつらは、今住むところを作っている。」

そう短く答えた伊達は、少しルイズの評価を上げた。
こちらが名乗っていないにも関わらず、名前を覚えていたのだ。
それは、少なくとも、こちらのことに気をつかっている証でもあるのだ。

「お前のことはなんと呼べばいい?」

「人前ではルイズ様と呼んで。格好がつかないから。それ以外では任せるわ。」

その発言にも少し目をむく。
少女の表情や仕草などから判断すると、様付けのみになると思っていたのだ。
しかし彼女は、己が実力でもって、自分に様を付けさせるつもりのようだ。
その姿に伊達は好感を持った。

「さて、それでは本日以降のことについて話し合おうかの。」

流れを打ち切るように、オールドオスマンは本題を話し始めた。


今日一日は、住居作りのためルイズの使い魔をできない、そのことを確認したルイズは、
授業の鐘が鳴ったので教室に向かった。
正直、(一部を除いて)いかにも暑苦しい男、といった者達ばかりであったので、
ついて来ない事にむしろ清々していた。
まあ、使い魔がいないことで多少馬鹿にされるだろうが、今さらだ。
そう思うことにしたルイズは威勢よくドアを開けた。

いつものように錬金の術の失敗の後片付けをしていたルイズは、遅れて食堂に入った。
そこで、何か騒ぎが起こっているのを見止めたルイズは近寄ることした。

周りの人間が話しているのを聞くと、どうやら二股がばれたギーシュが、
その原因となったメイドに八つ当たりをしているようだ。

(情けない。)

心底そう思ったルイズは、乗り気ではないがギーシュを止めることにして、騒ぎの中心へと歩み寄った。

「なに八つ当たりしているのよ。情けないから止めなさい、ギーシュ。」

そう声をかけると、周りから注目が集まるのが分かった。
そうして初めて気がついた。
ギーシュに八つ当たりをされていたのはシエスタだったのだ。
それに良く見ると、とは言ってもルイズと料理長のマルトー位にしかわからないだろうが、
シエスタの謝り方はたいへん職務的だった。
どうやら、八つ当たりを受けるのも、この職場では仕事の一つらしい。
前に、

(他の子が受けるよりはいい、自分は気にならないし。おじい様の方が何倍も怖かったですし。)

と言っていたのを思い出した。
そんなシエスタの良さを再認識すると同時に、ギーシュに対する怒りがふつふつとこみ上げてきた。
いかに抑えているとはいえ、このルイズ、沸点は低いほうである。

「ゼロのルイズは黙っていてくれないかね。
 貴族が平民を庇うなんて、君は貴族としての意識もゼロなんだね。」

そのギーシュの台詞に、観客がどっと笑う。
その反応に気をよくしたギーシュはさらに続ける。

「まあ、そのメイドを攻めるのも確かに悪いかもね。
 そのように気を使えないように育てた親を攻めた方がよいかな。」

ルイズが怒りのあまり手袋を投げつける前に、乾いた音が響き渡った。
シエスタがナプキンを投げつけたのだ。
一瞬前との本人との落差に、ルイズ以外の全員が絶句する。
メイドが貴族に決闘を挑むなど、前代未聞過ぎて、誰も状況についていけないのだ。

「やめなさい、シエスタ。
 あなたのお祖父さんでもない限り、貴族に勝てるわけがないのよ。」

そう言いつつも、ルイズは強く杖を握り締めている。
シエスタが決闘を挑まなければ、まず間違いなくルイズがギーシュに決闘を挑んでいたはずだ。
本人とシエスタの名誉のために。
そのことに気がついたシエスタは、目には感謝を込め、しかし態度は凛として言った。

「お言葉ですが、ルイズ様。
 家族や友人を馬鹿にされて黙っていられるほど、私は女をやめたわけではありません。」

そう言って、彼女は、決闘場であるヴェストリの広場へと向かった。

慌てて追おうとしたルイズだが、人ごみに紛れてなかなか進まない。
そこへ、住居作りが一段落したことを報告しに来た飛燕を見つけた。
駄目もとで事情を話すと、ひとしきり飛燕は感心し、ルイズを抱えて飛び上がった。
鎖のようなものをたくみに使い、空を駆け抜けていく飛燕とルイズ。
その速度は、生徒達のレビテーションを遥かに凌駕する。
そのことに驚いたルイズではあるが、今はシエスタの方が先だ。
しかし、初動の遅れが響いたのが致命的であった。
今まさに決闘が始まろうとしていた。

そして……

「さあいらっしゃい、いらっしゃい。男塾名物殺シアムだよ!!」

「ただいまの賭け率は、ギーシュが9に、シエスタが1だよ!!」

と動いている松尾と田沢の姿に、思わずずっこけた。

「あなた達、なにやってんのよーーー!
 シエスタって、女のメイドなのよ!!
 こんなことしている暇があったらとっとと止めに入りなさいよ!!」

その台詞に松尾と田沢の動きが止まる。
この二人、決闘と聞いて、二人とも男であると思い込んでいたようだ。
女性に対する思いやりだけは人一倍ある二人だ。
慌ててとめようと人垣をかき分けていった。
ルイズと飛燕もそれに続く。
ようやく最前列にたどり着いた四人であった。
思わず止めようとする三人を飛燕が止める。

「彼女の目は戦士の目です。
 今止めるのは、彼女に対する侮辱になりますよ。」

どういう意味よ!と食って掛かったルイズだが、試合を見て驚いた。



「諸君、決闘だ!!」

ギーシュがそう宣言すると広場が盛り上がる。
中には、貴族に決闘を申し込んだ、勇気ある平民のメイドを応援する声もある。
そうしてギーシュが名乗りをあげて青銅のゴーレムを召喚した。
どうやら準備が整ったようだ。
ならば自分も名乗りをあげよう。

「大豪院流、大豪院シエスタ!」

その名乗りを聞いた瞬間、ルイズの使い魔たちの、正確には見物に来ていた男塾の一号生たちの動きが止まった。
その名前は彼らにはあまりにも縁が深すぎた。
そう、かつて男塾の帝王と呼ばれていた男、大豪院邪鬼のことである。
一見すると、シエスタと名乗った少女と邪鬼には共通するところはない。
しかし、良く見ると、その目にたたえた不屈の光は、まさしく大豪院邪鬼のそれであるのだ。


シエスタは、今は亡き祖父のことを思い出していた。
このハルケギニアの水が合わなかったのか、祖父である大豪院邪鬼の子供達に拳才のある者はいなかった。
その孫でも、かろうじてシエスタだけが、大豪院流を修めるのに必要な素質を持っていただけだ。
(もっとも、シエスタ自身は自分に才能があるなどとは思っていないが)
幼いながらにも、厳しかった祖父。拳において孤独であった祖父。
少なくともこのハルケギニアには、祖父の願いを満たしてくれる者はいなかった。
シエスタがこの祖父の訓練に耐え、まがりなりにも戦えるようになったのは、
この祖父の孤独を癒したかったからだ。
シエスタが技を一つ覚えるたびに、優しく頭をなでてくれたその感触は、今も色あせることはない。
祖父が亡くなったあとも修練を欠かさなかった。
それは、技を通して自分の中に祖父が生きているのを感じることができたからだ。

ルイズは驚いていた。
シエスタが何かやっているのは知っていたが、一体とはいえ、ギーシュのゴーレムと互角に戦うとは思ってもいなかった。
それは、ギーシュも同様のようだ。
思わぬ展開に焦ったギーシュは、形振り構わずに全てのゴーレムを投入した。


寡兵になってしまったシエスタはジリジリと押されていく。
一撃、また一撃とダメージが体に蓄積されていくのが分かる。
しかし、反撃する余裕はまったくない。
それほど、このゴーレムの連撃は激しさを増していたのだ!!
ほとんど実戦経験のないシエスタにとっては、捌ききれないのもむりのないことだろう。
一度後ろに飛んで距離をとる。
そうして大きく息を吸うと突撃を敢行した。

その速さにシエスタを見失い、一瞬パニック状態になったギーシュは思わず前にこけてしまった。
しかし、それが当たった。
その一瞬後、ギーシュの頭上をシエスタの飛び蹴りが抜けていったのだ。
思わぬ展開に驚くギーシュとシエスタ。
立ち直ったのはギーシュの方が早かったのだ。
ゴーレムの一撃が、ついに彼女に致命的な一撃を刻む。

(肋骨が折られた!)

思わず前のめりになってしまったところに、左から拳が飛んできた。
何とか左手で受けるも、ついに折れてしまった。
そこにもう一体のゴーレムのタックルをくらい、大きく後ろへと吹っ飛んだ。

ヴェストリの広場は静まり返っていた。
観客とて、可愛い女の子がボロボロになるのを見たくはないのだ。
しかし、ギーシュに自分から止めるような余裕はない。
先ほど自分をかすった蹴りの音を覚えているのだ。
凄まじい音だった、アレがもし当たっていたら、自分は生きてはいまい。
そう思えるほどの音だったのだ。
そう、ギーシュは一種の恐慌状態だったのだ。
それに……
ギーシュはちらりとシエスタの方を見やった。

シエスタは立っていた。
ボロボロになり、目に光はない。
それでも立っていたのだ。
その光景にルイズは泣きそうになるのをこらえる。
シエスタは、自分の名誉のためにも戦ったのだ。
ならば、ここで自分が引いてどうする。次は自分が仇を討つ番だ。
そう考えたルイズは一歩前に出ようとして、松尾に道をふさがれた。
松尾だけではない。
ルイズが呼んだ男塾一号生、その全員がそこに立っていたのだ。

「それでは、この不肖、松尾鯛雄、エールを切らせてもらいます。」

「フレー!フレー!シエスタ!
 フレー!フレー!大豪院!」

それはまさしく天を突くかのような豪声であった。
全員の息が完璧に合わさった、応援であった。
いつの間にかルイズも一緒になって声を出していた。

男塾名物大鐘援である。

その声にシエスタは意識を取り戻した。
これほどの思いを込めて自分を応援してくれている人が、いるのが不思議で仕方がない。
その中にはルイズの姿もあった。泣きながら声を震わせていた。
ふと、シエスタは祖父から聞かせてもらった話を思い出していた。

(そっかぁ。これが大鐘援かぁ。)

体の奥から力が沸いてくるのを感じる。
否!これ程の応援を受けて力を振り絞れないなら女がすたる!
そうして、シエスタは、いまだ成功したことのない技の体制に入った。
いかに力が沸いてくるとはいえ、既に体は限界を超えている。
ならば、あと一撃で決めるには、この技しかない。
成功している、していないは関係ない。

シエスタの脳裏には、最後にこの技で天に帰った祖父の、神々しい姿が思い浮かんでいた。

そのシエスタの様子に不吉なものを感じていたギーシュは、慌てて自分の前にゴーレムを全て固めた。
七人のゴーレムによる完全防御隊形だ!
たとえ、トライアングルクラスの一撃であろうとしのげる自身がある!
それに、
チラッとシエスタの様子を冷静に観察したギーシュは結論を下した。

(これをしのげば僕の勝ちだ!)

シエスタの時間がゆっくりと流れる。
その中で、シエスタは、己の中でうねる気を、生まれて初めて感じていた。
あとは、この気を、全身全霊を込めて放つだけ!!
シエスタは叫んだ!

「大豪院流奥義 真空殲風衝!!」


その風は全てを吹き飛ばす。
メイジたちは見た。
何も魔法を使えないはずの少女の一撃が、七人のゴーレムを打ち砕き、
そしてついにはギーシュの手の杖までも打ち砕いたのを。

「私の勝ちですね。」

「……ああ、僕の負けだ。」

そして歓声が上がった。


男達の使い魔 第3話 完

NGシーン

雷電「こ、この術はまさか!」

虎丸「知っているのか雷電!」

雷電「これぞまさしく、中国において古代より伝わる豪檸無!」

一般にゴーレムとは、土や鋼などで作られた戦闘用の人形のことをさす。
しかし、この起源が中国であることをしるものはほとんどいない。
周の時代、豪檸無(ごうれむ)将軍はある難題にぶち当たっていた。
一万人の人間にわずか100人の人間で立ち向かえ、と言われたのだ。
常識で考えてはとても無理であると判断した豪檸無将軍はある術方を使った。
土で人形を作り、そこに兵士達の名前を刻んだのだ。
すると不思議なことに、その人形達はまるで生きているかのように戦ったのだ。
なお、この豪檸無将軍は、生涯この秘術については口を閉ざしていたが、
このエピソード自体は有名となり、古代ギリシアやハルケギニアに伝わり、
ゴーレムとなったのは、実に興味深い話である。
民明書房刊「人形の歴史」(平賀才人著)



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