あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法留学生ゼロま!

「…………」
「…………」
「…………」

沈黙。それが今この場を支配していた。
否。何故か泣き声が聞こえている。目の前の少年のものである。

通常ならば
「平民を召喚した!」だの
「貴族の癖に魔法が使えない!」だの
「さすがはゼロのルイズ!」だの
様々な罵倒と嘲笑が聞こえてくる筈である。
むしろ今はこの沈黙を破ってくれるならそれも歓迎してしまうような心境である。

事の起こりは何時もの様にルイズが魔法を使い、何時もの様に失敗し、何時もの様に爆煙を生産し…

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!
 私は心より!求め!訴えるわ!!。我が導きに応えなさい!!」

彼は30と数回目の爆発と共に現れた。現れてしまったのである。

別に少年が珍しい訳ではない。
少々変わった服を着て、年相応の(可愛らしい)泣き顔で、
地面に倒れこんで父と姉を呼びながら大泣きしている少年がいるだけである。

…だが。根本的にして抜本的にして(中略)大問題があった。”杖”である。

いまさら確認するまでも無く貴族の象徴である杖。少年は身の丈2~3倍はあろうかと言う杖を所持しているのである。
その場の者は少年や杖より感じる魔力の強さに並々ならぬ物を覚えた。考えるまでも無く名のある貴族の子息なのであろう。

その場の者の心は一つである。曰く、「ゼロのルイズが貴族を召喚してしまった」である。

「み、ミスター・コルベール!」
ルイズが沈黙に耐えられず叫ぶと、生徒達をかき分け、はっとした様子で禿頭の男性が進み出る。
「な、何だね? ミス・ヴァリエール。」
「も、もう一度召喚させてください!」
コルベールは本気で困った顔をすると、ルイズを見ながら答えた。
「これは伝統です、伝統なんですが…。ミス・ヴァリエール、何分前例の無い事態です。取り急ぎ戻り学園長の指示を仰ぎましょう。」
その声を合図に皆とその使い魔が帰り支度を始める。
すごい勢いで指示を飛ばすコッパ…コルベールの頭から心なしか細い何かがハラハラと落ちている様である。
さもありなん、彼も物凄い心労の真っ只中にあった。
間違い無く大問題である。外交問題…下手を打つと戦争の火種にもなりかねない事態が発生…否、進行中である。
下手をすると何かしらの難癖をつけられて責任を取らされるかもしれない。彼も混乱の最中である。

ふと少年の方へ気をやれば、いつの間にやら青い髪の少女…タバサが身を屈め、視線の高さを同じくして少年にやさしく語りかけている。
少年もいまだぐずる様子を見せるが落ち着いてきた様で、タバサからの質問に断片ながら答えている様である。

曰く、お父さんは消えちゃった。
曰く、お父さんがこの杖をくれた。
曰く、お父さんは皆に尊敬される魔法使いで、千の呪文の男とよばれていた。
曰く、お姉ちゃんはどこなの?ここはどこなの?お家に帰りたい。

…ダウト。白黒でいえば65535階調でFが4つ並ぶ位なほどにアウトである。どう考えても貴族の子息である。
千の呪文の男とは聞いたことが無いが、尊敬される実力は有るらしいので相当な爵位を持つのであろう事は想像に難くない。
頭の中をぐるぐると悪い考えが浮かんで消える。混迷が深まってゆく。他の事が目に映らぬ程に。

一方。そんな彼女が苦悩しているのを余所に、他の生徒一同はすでに帰路の空にいた。
少年はタバサの呼び出した竜の背で、泣き疲れたのであろう、タバサの膝を枕に寝息を立てていた。
彼女の友人は後日、その時のタバサは今までに無いくらい饒舌であり、その表情はまるで慈母の様であった、と語る。


その後、ルイズはただ一人取り残されたのにも気づかず双月が天頂に輝くまで苦悩し続けるのであった。まる。


魔法留学生ゼロま! ゼロの魔法使いと千の使い魔? …続かない。

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