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使い魔のゼロ 第九話

第九話 踊る戦士

ゴーレムが倒れ、破壊の杖も取り戻した。
これで一段落が着いたと思うと、ルイズにはある疑問点が沸いてきていた。
「ねえ、ゼロ。どうして破壊の杖の使い方が分ったの?
それに、あのけ…「ご無事でしたか、皆さん」
と、その質問は木々の陰から現れたロングビルによって遮られた。
「ゴーレムが見えたので戻ってきたのですが、もう終わってしまっていたようですね。
すみません、お役に立てなくて。
でも、すごいですね、この威力。さすが破壊の杖といったところですか。
少し貸してもらえませんか?」
この言に、ルイズは何の疑問も持つことも無く破壊の杖を渡した。
受け取ったロングビルは、破壊の威力を確かめるように、ゴーレムの吹き飛んだ後へ歩いていったが、
一行から十分な距離をとると彼女は意外な行動に出た。
「はい、動かないで」
突然破壊の杖をルイズたちに向け狙いをつけて構えてきたのだ。
「ど、どういうことですか?」
状況も分らずルイズが声を上げる。キュルケも似たような顔をしていた。
逆にゼロとタバサは目を鋭くし、彼女を睨んでいた。
そして問いただす。
「これはあなたの罠?あなたがフーケだったの?」
「ええ、そういうこと。この破壊の杖、せっかく手に入れたはいいんだけどどうにも使い方が分らなくてねえ。
それで、学院のやつらなら知ってるんじゃないかと思ってあんたらを連れてきたって訳さ。
分んなかったならあんたらをつぶして何度でもな・ん・ど・で・も!
使い方を知ってるやつが来るまで繰り返すつもりだったんだけど一回目ですんでよかったわ。
正直に言うと学生だけで不安だったんだけどねえ。まあご苦労さん、もう用は無いわ。
じゃあ、この破壊の杖の威力自分達で体験してみなさい」
そういってロングビル、いや、フーケは先ほどルイズがそうしたように引き金に力をかける。
が、それを無視するように一人が歩きよってくる。
「ほーう、あんたから死にたいのかい、じゃあ望みどおりにしてやるよ!」
そういうとその男、ゼロに向けて引き金を引いた。
が、彼女の予想と反してカチンと言う引き金の引かれた音がむなしく響くだけだった。
「無駄だ、そいつは単発だ」
ゼロはそう言うとデルフリンガーを鞘から峰で引き抜きフーケを打った。
彼女は崩れ落ち、そのまま縛られ一行とともに学院へ送還となったのだった。
「あれ、俺の出番こんだけ?」


学院に戻りフーケを引き渡した後、ルイズたちは学院長室でオスマンへの報告を行っていた。
酒場で色香に迷った挙句、ほいほいとフーケを雇ったということを聞かされて殺意が芽生えたりもしたが、
それでもとりあえずルイズはなにも言わなかった。
だが、自分達が今回の功績でシュヴァリエの爵位を申請され、
既にその爵位を持っているタバサには精霊勲章の授与があると言われた時、
彼女は聞かずにはいられなかった。
ゼロには何も無いのか、と。
だが、それはゼロは貴族では無いと断られ、ゼロ自身も
「必要ない」
と切り捨ててしまい、もうルイズには何も言えなかった。
その後、今夜が舞踏会だということを伝えられると彼女達は退室しようとしたが、
ゼロはその様なそぶりを見せなかった。
「どうしたの?」
「先に行っていろ、俺はこの男に話がある」
そういってルイズの目を見つめた。
結局ルイズはゼロを残して戻ることになっていた。
主人を指しおいて秘密の話をするとはどういうことだとか、
色ボケ親父とはいえ仮にも学院長をこの男呼ばわりだとかいろいろ言いたい事はあったが
ゼロの真剣な、鋭い視線に気おされて引いてしまったのだ。
「何よ、あいつ、一人で話し進めて。聞きたい事だってあったのに」
ぶつぶついいながら部屋へ戻っていったのだった。


「それで、わしに話というのは?」
「破壊の杖のことだ。あれをどうやって手に入れた?あれはおれの世界の武器だ」
「破壊の杖のことを知っておるのか?それに君の世界というのは?」
「言葉のとおりだ、俺はこことは別の世界から召喚された。
それとあれは杖なんかじゃない、さっきも言ったがあれはロケットランチャーという武器だ」
それを聞くとオスマンは破壊の杖を手に入れた経緯を語り始めた。
過去、命の危険にさらされたときこれをもった男に命を助けられたらしい。
「彼は傷ついておりその後息を引き取ったが死の間際言っておったよ。
元の世界に返りたい、と。
じゃからおぬしも別の世界から来たということも信じられるわい。
ところでこちらからも聞きたいことがあるんじゃが良いかの?」
「ああ」
「おぬしは自分のことを人でなくレプリロイド、と言っているそうじゃがそれはいったいどういうことじゃ?
わしも長く生きておるがそのような名はとんと聞かん。
それも別の世界と言うことと関係しているのかね?」
ゼロにとってレプリロイドであると言うことを隠す必要性は感じなかった。
キュルケやシエスタのように深く追求してこないのならともかくこのように聞かれ隠す理由も無い。
ゆえに、それを聞くとゼロは見ろ、とばかりに胸を指して胸を開いた。
そこには以前ルイズが見たように金属の棒、板、管やほかの何かが詰まっていた。
「これがレプリロイドだ。レプリロイドとはいってみれば意思を持った人形、ゴーレムと言ったところか」
「……これは、魔法なのか?」
「いや、俺の世界には魔法と言うものは存在しない。これは科学と言う技術だ」
「科学、か。わしにはさっぱり分らんよ。世界は広いと言うが別の世界まであるというんじゃあ、のう。
じゃが、これだけははっきりさせておきたい。
おぬしは人ではなく、しかも人形と言う割には確固とした心を持っておる。
のう、おぬしは人間の味方か?」
こう、目を鋭くしてオスマンは聞いた。
たとえばこの世界ではエルフと言う種は人間と敵対している。吸血鬼も人間の敵だ。
なら、使い魔として契約しているとはいえ目の前のこのレプリロイドはどうなのか。
学院の長としてこのことを聞かずに入られなかった。
だが、ゼロはこの問いに対して即答した。
「ああ、俺は人間を守る」
「何故じゃ、おぬしは人ではないのじゃろう?そういえば以前の決闘でも穏便に済ましておったようじゃが」
「友との誓いだ、大切な友との」
「そうか、そういうのなら信じよう、これからも主人を助けてやってくれ」
「ああ。ところで俺からももう一つ聞いてもいいか?」
「なんじゃ?」
「このことだ」
そういってゼロは左手のルーンを差し出した。
「さっきお前が言った決闘のときこれが光っていつも以上に体が動いた。
それにロケットランチャー、お前達の言う破壊の杖だがあれを持ったときにも使い方などがはっきりと分った」
「? あれはおぬしの世界のものなんじゃろ?」
「ああ、確かに大体の使い方は分る。だが、あれは俺の世界では何百年も前の武器だ。
はっきりとわかるはずが無い」
「何百年も?そちらのほうは疑問に思わんのか?わしが助けられたのはせいせい数十年前のことじゃが」
「……それが魔法じゃないのか?」
「いや、時のかかわる魔法など聞いたことも無い。
じゃが、別の世界からの召喚と言うのも例の無いことじゃしのう。
まあよい、そのことについては分らんがそのルーンのことについては答えられる」
そうしてオスマンは語りだした。
そのルーンは伝説の使い魔、ガンダールヴの印であり、
そのルーンを持つものはあらゆる武器を理解し、使いこなしたという。


その晩、ゼロは学院の庭で武器を振るい、ガンダールヴの効果を確かめていた。
舞踏会があると言っていたがゼロにとって興味のあることではないし、
自分の持つと言う新たな力を確かめるほうが重要だったからだ。
とりあえず衛兵から借り受けた槍や(メイジに決闘で勝った平民と言うことで快く貸してもらえた)
デルフリンガーを使ったところ、あの決闘のときのように動きながら自在に振るうことができた。
ゼットセイバー以外の武器でも足が止まることは無かった。
だが、肝心のゼットセイバーを用いても何の変化も感じられなかった。
考えてみればゴーレム相手に戦ったときもそうだった。
だが、自分はもともとずっとゼットセイバーで戦ってきたのだ。
ゼットセイバーに関して言えば元から使いこなしていると言ってよく、ルーンの影響も無いのだろう。
そう、確認していると後ろから不機嫌そうな声が響いた。
「もう、こんなところにいたのね」
「ルイズか、何しに来た?」
「何しに来た、じゃないでしょ!ご主人様ほっといてこんなところでなに油売ってんのよ!」
そう、声を荒げたが、少し間を空けると逆におずおずと言ってきた。
「……その、貴族じゃないっていってもあんたは今回の立役者なんだから別に気にせず出席してよかったのよ」
フーケ捕縛の件で一人貴族で無いからと扱いが別だったことを気にしているのではないか、
ルイズはそう心配していた。
だが、
「そんなんじゃない、騒がしいのは苦手なだけだ。」
「そ、そうね。あんたはそういうやつだったわね」
「それで、お前は何故こんなところにいる。舞踏会に行ったんじゃないのか?」
「べ、別にいいでしょ、相手がいなかっただけよ。
……ねえ、あんたも一人でこんなところにいるのはさびしいでしょ、踊ってあげよっか?」
「いや、俺は別に…」
「いいから!ご主人様が誘ってんだから黙って付き合いなさい!」
はっきりいってゼロの踊りは下手だった。チェーンダンサーの異名を持つと言っても戦いの中での話だ。
だが、あれだけの身のこなしを持つのだ。ルイズにリードされるとそれらしい形になっていった。
その光景を見てデルフリンガーはなにか感心しておでれーたといっていた。
もちろん無視されたが。


そうして踊っている中、ルイズは昼に聞けなかったことを聞いてみることにした。
「ねえ、どうして破壊の杖のこと知ってたの?」
「あれはもともと俺の世界のものだ。オスマンに聞いたが、昔ほかにもこの世界に来たやつがいたらしい」
「そうだったの。それと、あの時使ってた光の剣って何?」
「ゼットセイバーのことか?」
「そう、それよ。あんなのあったらわざわざ別の剣なんて買わなくてもよかったじゃない。
ゴーレムもすぱすぱ切ってたし」
「こいつは切れすぎる。人に使うものじゃない」
「そういえばギーシュのときもつかってなかったわね。
ねえ、人を大事にしようとしてるみたいだけどどうして?」
「友との誓いだ」
「友達の?」
「ああ、俺の友は人間を信じ、守ろうとしていた。
俺は友を信じている。そしてあいつの信じた人間も、だ」
「いい友達なのね」
「ああ、最高の友だった」
「……だった?それって」
「ああ、あいつはもういない」
「ごめんなさい」
「いや、いい。お前が気にすることじゃない」
もちろんそんなわけにはいかなかった。
自分はゼロを呼び出した。
もういないとはいえこの人付き合いが悪そうな男が友と呼んだ人がいる世界から。
こいつは別にかまわないと言った。
でも、
やっぱり、
こいつは帰るべきじゃないのだろうか。
結局それを口にすることはできなかった。
ただ黙って二人は双つの月の下踊り続けた。

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