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『使い魔くん千年王国』 第十章 決闘(後編)

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松下はぽーんとワルキューレに蹴り飛ばされ、観衆の中へ落ちた。
「マツシタ! な、なんてことを」
うろたえたルイズが駆け寄ろうとするが、興奮した観衆が邪魔で近づけない。
「もう! どきなさいよッ!!」

(油断した……まだ術策はいくつか用意してあるが、
 ギーシュと六体もの武装したワルキューレを一人で一掃するにはやはり力不足だ。
 ぼくの作った『電気お守り』があれば、奴らの『霊波』を攪乱・遮断できるのだがな…。
 となれば、ギーシュの『杖』を狙うか…)
ダメージはたいしたことない。しかし作戦は練り直す必要がある。

ふと這いつくばっている地べたを見ると、ハツカネズミが上を向いて、
女子生徒のスカートの中を覗いている。
オールド・オスマンの使い魔『モートソグニル』だ。
そして松下の『右手』が、ネズミの尻尾を偶然押さえつけている。
ちなみにスカートの中は『黄色と黒のストライプ』だった。派手だ。

「な、なに見てるのよエロガキッ! ギーシュに叩きのめされちゃいなさい」
おお、彼女はさっきのモンモランシーではないか。
顔を赤くして松下を非情にも蹴り飛ばすが、
彼の手には『モートソグニル』と、モンモランシーが肩に乗せていた
黄色に黒い斑点の蛙…使い魔『ロビン』が握られていた。


「ちょ、ちょっと! 人の使い魔を盗むなんて、恥知らず!
 返しなさい! 返しなさいったら!」
ネズミと蛙を手にした松下が、ギーシュとワルキューレたちの前に降り立つ。
「おやおや、我が愛しのモンモランシーから使い魔を取り上げるとは。人質のつもりかい?
 彼女のためにも、すぐにきみを叩きのめさなくてはいけないじゃないか」
「ま、マツシタあ……」

だが松下は、ネズミと蛙に何事かを囁くと、魔力を込めた皿に各々を乗せた。
そしてネズミを学院の中へ、蛙を反対方向の草むらの中へと投げ入れる。
「きゃあ、ロビン! 帰っていらっしゃい、私のロビン!」
モンモランシーは蛙を追って、草むらの中へ駆け出した。
「…何のつもりだ? まあいい、きみを叩きのめす予定に変更はない。
 行け、ワルキューレ!」

ギーシュは護衛用に二体を残し、四体を松下の周りに配置させる。
手には槍や剣を装備しており、ガシャガシャと音を立てながら松下を取り囲むと、
一斉に武器を振り下ろした!
松下は無言で身を屈め、ワルキューレの股下から脱出する。
「くそっ、チョコマカと!」
しばらく鬼ごっこが続くうち、観衆の中から悲鳴が聞こえてきた。


「な、なんだよ突然叫んだりして…びっくりしたなあ」
「だ、だって!! あ、足元を見てよ!」
「え……うわあああ?!?」

『蛙』がいた。黄色に黒い斑点の小さな蛙が、向こうの草むらから、足元の地面を埋め尽くすほど無数に!


「「「うわあああああああああああああああああああ!!!」」」
「「「きゃあああああああああああああああああああ!!!」」」


《主はこう言われた。「わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせよ。
もしあなたが去らせることを拒むならば、わたしはあなたの領土全体に蛙の災いを引き起こす。
ナイル川に蛙が群がり、あなたの王宮を襲い、寝室に侵入し、寝台に上り、
更に家臣や民の家にまで侵入し、かまど、こね鉢にも入り込む。
蛙はあなたも民もすべての家臣をも襲うであろう」と》
 (旧約聖書『出エジプト記』より)


観衆は大パニックに陥った。モンモランシーは草むらの中で、蛙まみれになって気絶している。
もともと蛙が嫌いなルイズは、地面を埋め尽くす蛙を見た瞬間、失神した。
キュルケも驚愕して動けず、硬直して倒れ掛かってきた青い髪の少女を抱きとめるのが精一杯。
「な…なんなのよあの子は……なんなのよぉお…」

ギーシュは呆然としている!
ワルキューレたちはまごまごしている!
観客たちは逃げ出した!


「ま、まさか…はっ、そういえばあの子、蛙のほかに『ネズミ』も持っていた!
 ままままさか……」
キュルケの悪い予感どおり、学院の中からも悲鳴が聞こえた。
「ひいいいいいいっ」

窓ガラスやドアや木の壁を突き破って、『ハツカネズミ』の大群がこちらに向かってくる!!
「「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

『蛙』と『ネズミ』の大群は、障害物以外は何者をも害することなく、
松下の周囲に巨大な円陣をなして集結する。そして松下が『右手』を振るうと、
小人の軍勢のようにギーシュとワルキューレに襲い掛かった!!
「その総数、およそ7万はいた」と、当時その場にいた丸子・ルヌー氏は語った。
なお、彼は失禁していた。

「たすっ、たす、助けてくれええええええええええええええぷっ」
ギーシュは圧倒的戦力差に文字通り押しつぶされる。
薔薇の造花の『杖』はたちまちネズミどもに齧り尽くされ、口には蛙が入り込んで黄色い毒液を滴らせ、
せっかくくっついた左耳も右耳もろとも噛みちぎられそうだ。
「降参!! 降参ですっ!! マツシタさまっ!! 命だけは助けてくださあああああぐぇっげぼっ」
魔力の切れたワルキューレたちが土に還っていく。
ギーシュ、絶体絶命。絶対に絶命。

「しずまれっ!!」
松下の力強い声が広場に響き渡る。
すると、『蛙とネズミ』の大群は潮が引くようにギーシュから離れ、
蛙は草むらに、ネズミは学院の外へと去っていった。
『ロビン』は失神しているモンモランシーのもとへ戻り、
『モートソグニル』は慌ててオールド・オスマンのもとへ戻っていく。
全ては何事もなかったかのように、元に戻った…。

失神している多数の教師・生徒諸君を残して。

《『神の右手』ヴィンダールヴ。心優しき『神の笛』。
あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。》
 (『始祖ブリミルの使い魔たち』アリャマタ・ド・コリャマタ著 より)

(つづく)
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