(ま、不味いわね…これじゃ賞金は難しいかしら…)
勝利を確信していたキュルケは、思わぬ友の出現によって困惑していた。
タバサがよく食べるという事実は少し知っている。
だが、まさか利家と互角に渡り合う程食べるとは彼女も思いもしなかったのである。
(いいえ、まだ分からないわ。タバサ、悪いけどあなたでも容赦しないわよ…!)
勝利を確信していたキュルケは、思わぬ友の出現によって困惑していた。
タバサがよく食べるという事実は少し知っている。
だが、まさか利家と互角に渡り合う程食べるとは彼女も思いもしなかったのである。
(いいえ、まだ分からないわ。タバサ、悪いけどあなたでも容赦しないわよ…!)
「ん?お前は確かタバサだったな?お前も出ていたのか?」
「……………」
利家もタバサに気づいたようだ。
しかし問いかけには答えず、一度頷いてまた黙々と食べ始めた。
「よく食べるなぁ!沢山食べるのは元気な証拠だ!腹一杯食べるんだぞぉ~」
「……………」
「裸がタバサ嬢に話し掛けている!何やらフレンドリィですが知り合いなのかぁ!?」
「……………」
利家もタバサに気づいたようだ。
しかし問いかけには答えず、一度頷いてまた黙々と食べ始めた。
「よく食べるなぁ!沢山食べるのは元気な証拠だ!腹一杯食べるんだぞぉ~」
「……………」
「裸がタバサ嬢に話し掛けている!何やらフレンドリィですが知り合いなのかぁ!?」
厨房にもその様子は伝わってきていた。
「マルトーさん、あれって…」
「ありゃあ学院の生徒じゃねぇか!」
殆どの人が失格となっているのにあの娘は残っている。
しかもそれだけじゃない。利家と並ぶ程に接戦しているではないか。
「どうします?もう動けるのは俺とマルトーさんぐらいしか…」
後には倒れてまともに立つ事も出来なくなった者しかいない。
そんな事を言っている間も2人は出される料理を平らげていっている。
「へっ、作り続けるに決まってるだろ!お前はサラダを頼む!」
残った1人にそう言うと、マルトーはコック帽を被り直した。
「皆ぶっ倒れるまで働いたんだ…まだ動ける俺が休んでいる場合じゃねぇ!」
そして包丁を握り、肉を捌き始めた。
「マルトーさん、あれって…」
「ありゃあ学院の生徒じゃねぇか!」
殆どの人が失格となっているのにあの娘は残っている。
しかもそれだけじゃない。利家と並ぶ程に接戦しているではないか。
「どうします?もう動けるのは俺とマルトーさんぐらいしか…」
後には倒れてまともに立つ事も出来なくなった者しかいない。
そんな事を言っている間も2人は出される料理を平らげていっている。
「へっ、作り続けるに決まってるだろ!お前はサラダを頼む!」
残った1人にそう言うと、マルトーはコック帽を被り直した。
「皆ぶっ倒れるまで働いたんだ…まだ動ける俺が休んでいる場合じゃねぇ!」
そして包丁を握り、肉を捌き始めた。
「飯ー!!」
「……………」
「うおおおぉぉぉ!腕が鳴るぜえぇぇぇっ!!!」
「……………」
「うおおおぉぉぉ!腕が鳴るぜえぇぇぇっ!!!」
残り15分…
「残り時間も後僅かになってきました。現在、裸の男が若干枚数を上回っている!ここからどんな展開となるのか!?」
いよいよ制限時間の1時間が迫ってきた。
ナイフとフォークを使うタバサに対し、利家は素手でどんどん掴んで食べている。
その結果2人の枚数には少しだが差が出てきていた。
(トシイエは…まだまだ余裕がありそうね…)
最初はタバサの登場に驚いていたキュルケも、落ち着いて冷静さを取り戻していた。
いよいよ制限時間の1時間が迫ってきた。
ナイフとフォークを使うタバサに対し、利家は素手でどんどん掴んで食べている。
その結果2人の枚数には少しだが差が出てきていた。
(トシイエは…まだまだ余裕がありそうね…)
最初はタバサの登場に驚いていたキュルケも、落ち着いて冷静さを取り戻していた。
だが残り時間もあと少しとなった頃、厨房で問題が2つ起こっていた。
「へ、へへ…厨房で死ねる…本望だぜぇ…」
「マルトーさんしっかり!まだ死んでませんって!!」
1つは料理長のマルトーが遂に倒れてしまった事。
「ど、どうしよう…もうはしばみ草も底をついちゃったし…」
もう1つはサラダの材料のはしばみ草がなくなってしまった事だ。
しかし、オロオロしている間もあっちでは大食いが続いている。
このままでは作り置きしていた料理が無くなるのも時間の問題だろう…
「…マルトーさんは倒れるまで作り続けたんだ…お、俺だってやってやる!」
幸い、肉の方はもう調理が済んでいる。後はサラダを盛り付ければいい。
「そういえば…」
どうしようか考えていると、別の野菜がまだあった事を見習いは思い出した。
「まぁ…はしばみ草よりは食べやすい筈だ。何とかなる!」
早速見習いはサラダ作りに取り掛かった。
「へ、へへ…厨房で死ねる…本望だぜぇ…」
「マルトーさんしっかり!まだ死んでませんって!!」
1つは料理長のマルトーが遂に倒れてしまった事。
「ど、どうしよう…もうはしばみ草も底をついちゃったし…」
もう1つはサラダの材料のはしばみ草がなくなってしまった事だ。
しかし、オロオロしている間もあっちでは大食いが続いている。
このままでは作り置きしていた料理が無くなるのも時間の問題だろう…
「…マルトーさんは倒れるまで作り続けたんだ…お、俺だってやってやる!」
幸い、肉の方はもう調理が済んでいる。後はサラダを盛り付ければいい。
「そういえば…」
どうしようか考えていると、別の野菜がまだあった事を見習いは思い出した。
「まぁ…はしばみ草よりは食べやすい筈だ。何とかなる!」
早速見習いはサラダ作りに取り掛かった。
この野菜が勝負の勝敗を決定付けるものになるとは、彼はこの時考えもしなかっであろう。
「飯ー!!」
「ここでまた食べきったああ!一体どこまで食べる気でしょうか!?」
残り時間5分、勝負はいよいよ決まろうとしていた。
と、新しい料理が運ばれてくる最中に、司会者にある伝言が伝えられる。
「えー、ここではしばみ草が無くなったのでサラダが別の食材を使用したものに変わります!今更ですが付け合せも食べないと皿はカウントされません」
(問題ないわ、はしばみ草より不味いものは出ないだろうし…)
余裕の表情を見せるキュルケ。そして新しい皿が利家の前にドン、と置かれた。
「トシイエ!ラストスパートよ!!」
「おう!いただきまー……」
「ここでまた食べきったああ!一体どこまで食べる気でしょうか!?」
残り時間5分、勝負はいよいよ決まろうとしていた。
と、新しい料理が運ばれてくる最中に、司会者にある伝言が伝えられる。
「えー、ここではしばみ草が無くなったのでサラダが別の食材を使用したものに変わります!今更ですが付け合せも食べないと皿はカウントされません」
(問題ないわ、はしばみ草より不味いものは出ないだろうし…)
余裕の表情を見せるキュルケ。そして新しい皿が利家の前にドン、と置かれた。
「トシイエ!ラストスパートよ!!」
「おう!いただきまー……」
「…え?ちょ、ちょっと何で…!?」
それは、どうした事か…勝利を確信していたキュルケは我が目を疑った。
それは、どうした事か…勝利を確信していたキュルケは我が目を疑った。
利家の手が止まったのだ。
「何だ!?一体何が起こったのか!裸の手が止まったぞ!?」
「う……あ…」
「トシイエどうしたの!?さっきまであんなに食べていたじゃない!」
「キュ、キュルケ殿…それがし…」
手を止めていた利家は困ったような顔をして、こう言った。
「う……あ…」
「トシイエどうしたの!?さっきまであんなに食べていたじゃない!」
「キュ、キュルケ殿…それがし…」
手を止めていた利家は困ったような顔をして、こう言った。
「それがし、人参は苦手だ…」
「何ですって!?!?」
「何てこったあぁぁい!!この男好き嫌いがあったとは!」
そう、はしばみ草の代わりに皿に盛られたサラダ…それは人参をスライスしたものだったのだ…
「何てこったあぁぁい!!この男好き嫌いがあったとは!」
そう、はしばみ草の代わりに皿に盛られたサラダ…それは人参をスライスしたものだったのだ…
実はこの前田利家、人参だけは大の苦手なのである。
『この俺の育てた野菜が欲しいとはなぁ…』
『それがし、白菜もきゅうりも大好き…あ、でも人参は嫌だな…』
『…何だと?俺が丹精込めて育てた人参が食えねぇってのか!!』
『それがし、白菜もきゅうりも大好き…あ、でも人参は嫌だな…』
『…何だと?俺が丹精込めて育てた人参が食えねぇってのか!!』
摺上原で伊達軍にいた野菜作りの名人から野菜を貰った(奪った)時に、それで怒りを買ったりもした。
「おぉっと、動きが止まっている隙にタバサ嬢が追いついてきた!残り時間は後2分!これは逆転なるかぁ!?」
「ヤ、ヤバ…トシイエ!早く食べて!」
「う、うぅぅ…人参は苦手…」
「ああもう!食べないと今日の晩御飯抜きにするわよ!」
渋る利家にキュルケは彼が最も恐れている罰を言い放った。
それだけは…御飯抜きだけは絶対に嫌だ…
震える手で人参を手に取り、恐る恐る口に運んだ。
「おぉっと、動きが止まっている隙にタバサ嬢が追いついてきた!残り時間は後2分!これは逆転なるかぁ!?」
「ヤ、ヤバ…トシイエ!早く食べて!」
「う、うぅぅ…人参は苦手…」
「ああもう!食べないと今日の晩御飯抜きにするわよ!」
渋る利家にキュルケは彼が最も恐れている罰を言い放った。
それだけは…御飯抜きだけは絶対に嫌だ…
震える手で人参を手に取り、恐る恐る口に運んだ。
ぱくっ
「食べたぁ!嫌いな人参を食べている!」
口に広がる味に耐えて利家は必死に咀嚼し、飲み込む
「しかし遅い!今までとは比べ物にならない程ペースが落ちている!すごく……ゆっくりです!」
司会者の言う通り、利家は人参を食べるだけで時間が掛かってしまっている
一方のタバサは人参など気にも止めず、ペースを崩さずに食べていた。
「残り時間後10秒!9!8!7!」
そして、無常にも残り時間が迫ってきていた。
「6!5!4!」
(あぁ…まさか最後の最後で逆転されるなんてね…)
「3!2!1!そこまでええぇぇぇぇぇーっ!!!!」
終了の鐘が鳴り、大食い大会は終わった。
口に広がる味に耐えて利家は必死に咀嚼し、飲み込む
「しかし遅い!今までとは比べ物にならない程ペースが落ちている!すごく……ゆっくりです!」
司会者の言う通り、利家は人参を食べるだけで時間が掛かってしまっている
一方のタバサは人参など気にも止めず、ペースを崩さずに食べていた。
「残り時間後10秒!9!8!7!」
そして、無常にも残り時間が迫ってきていた。
「6!5!4!」
(あぁ…まさか最後の最後で逆転されるなんてね…)
「3!2!1!そこまでええぇぇぇぇぇーっ!!!!」
終了の鐘が鳴り、大食い大会は終わった。
見習い「あ、あれ?ちょっと待ってあれって俺の所為!?」