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ゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~-01


「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよっ! 神聖で美しく、そして、強力な
 使い魔よっ! 私は心より求め、訴えるわ……我が導きに答えなさい!!!」
もう、何度繰り返されただろうか。
少女の言葉は何も魔術的現象を起こすことなく宙に消えていく。
いや、起きてはいたがそれは爆発という失敗作だ。
唇を噛み締め、鳶色の瞳に溢れんばかりの涙を湛え、少女は再び同じ口訣を唱える。
周りを囲むクラスメイトからの罵倒は更に大きく辛辣なものになる。
だが、それでも彼女は止めない。やめる事なんて出来ない。
唱え終える呪文、しかし、何も起きない。
爆発が地面を再び抉る。
悔しい、そんな想いで身がズタズタに裂かれそうになる。
だがもう一度……もう一度すれば自分にも使い魔が現われる。
微かな希望、それに一縷の望みをかけて。
「もう良いでしょうミス・ヴァリエール」
呪文を唱えようと振り上げた腕が遮られる。
肩に置かれる教師の手、振向けばそこにあるのは蔑むのではない哀しみの表情。
「君は良く頑張った。今日はもうこれで終わりにしよう。 きっと、明日ならば成功する
 はずです」
嫌だ、少女は強く首を振る。
決壊しそうになる感情をどうにか抑え、一言だけ紡ぐ。
「……お願いです、もう一度だけ」
何度言っただろうか、少なくとも一度や二度ではない。
だが、それでも諦めきれない。
「いい加減にしろゼロのルイズ、お前には無理だって!」
「30回だぞ! もういい加減にしてくれ!」
「さすがゼロの二つ名は伊達じゃないな! あははははははは!」
「っ……!」
侮蔑の言葉が少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの耳を
手痛く打つ。ゼロのルイズ、魔術を一切行使できず失敗しかしない彼女につけられた
不名誉な通り名は呼ばれる度に彼女の心に皹を入れる。
「お願いです! 授業はこれで最後で良いです! 私を残して終わっても構いません!
 だから続けさせてください!」
もうゼロと呼ばれたくない彼女の願いを教師であるコルベールは理解している。
だが、
「それは無理だミス・ヴァリエール。君の願いだけを聞き入れることはできない、それが
 たとえどんな事であろうとも」
非情だと思われるかもしれない、だが仕方のないことなのだ。
「―――だから、これで最後に」
それが彼に出来うる限りの譲歩。
「分かりました……」
失敗すれば終わり。ゼロのルイズは今まで以上の意味を持ってゼロになる。
嗚呼、だれか。こんなのは嫌だ、こんな惨めな思いは厭だ。
彼女の中にある全ての虚飾を剥ぎ取った中に残った本心が露になる。
誰でもいい、どんなものでも良い、どんな陳腐な結果でもいい。
ただ、助けて欲しい、認めて欲しい。
私は『ゼロ』じゃないと言って欲しい。
私は救われたい。

――誰か、助けて、と

そんな切実な祈りをこめて少女は『招喚』の口訣を唱えた。




「いくであるぞデモンベイン! 今日こそ、この! スーパーウェスト無敵ロボ28剛
 OG~ファーストキスから始まるような素敵で無敵な非日常への出会いを今貴方に
 (この番組にはここ最近巷に流れる、まっことしやかに流れる、やらせという事実は
 一切ございません、あしからず)~が貴様をこてんぱんに――!」
「喧しいわッ!」
「ぷぎゃ! ぽぎゃ! うわらば! あみば!!」
街中を震わせる怒声と共に今日もアーカムシティの空をドラム缶が舞う。鋼の巨人の膝で
リフティングされ、地面にキスしそうになるたび蹴り上げられて、そのたびに
ドラム缶から伸びたドリルやら何やらが塵になっていく。
かくも穏やかで平和な日常、そう、たとえ一週間に3回くらいの割合で破壊ロボが現われて
それをデモンベインがゴキブリを消毒殺菌するように破壊ロボを倒すために現われたとしても
これがアーカムシティのごく平凡なありきたりの、実に平和な日常。
これだけ毎週同じ光景が繰り広げられると市民のほうも慣れができており避難しながら
賭けを老若男女問わずに始める始末で、逞しく生きるアーカムシティの住人らしい、明日を
見つめる生き方の一例がそこにあった。
ああ、いと素晴らしきことかな、変わらぬ日常。
「――アトランティス・ストライィィィィク!」
リフティングされていたドラム缶が今度こそ、巨大ロボットの黄金に輝く右足によって
空の彼方へ吹き飛ばされた。
「お前が黄金の右足ならば我輩は銀色のドリルで……って出番はこれだけで
 あるかぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~!!??」
「ばいばいナイト様ぁ~~~~♪」
嗚呼哀れ、ギターの騒音をバックコーラスにお決まりの叫びをあげて我らのキチ……失礼、
粉砕・玉砕・大喝采な超天才ドクターウェストとロボット三原則を天元突破したロボっ娘は
お星様になる。
そして、
「「ふぅ……」」
本日の害虫駆除を終え、やや疲れた顔をした二つの影が共にデモンベインの中から現われる。
一人は短身痩躯の紅い外套を纏った少年、もう一人は全身を紅に染めた、非常に露出度の
高い着衣に身を包んだ紅一色の少女である。
彼等の名は『大十字九朔/紅朔』、かつて地球を守ったデモンベインと呼ばれる正義の
ロボットの後継者である。
「まったく……欧州のフランケンの怪物退治が終わってようやく帰ってきたと思ったら、
 またあの■■■■の殺菌駆除とはな」
「良いじゃないの騎士殿。こうやって市民の皆様に娯楽を提供するのも案外オツなものよ?」
「娯楽って、汝な……」
苦々しい顔をして空の彼方を見る少年をストレッチしながら少女がなだめる。
『お疲れ様ですデモンベイン。本日の業務は終了ですのでこちらへ戻ってきてください』
「……承知した」
「はいはーい」
デモンベインに設置された通信装置から伝わる執事の声に従いビルに偽装した
カタパルトへと二人は向かう。
『九朔、それに紅朔。先日の欧州での成果お美事でした』
「そうでもありませぬクイーン。我は己の仕事をやり終えたまで」
「そうよね。三銃士のおじいちゃん達も手伝ってくれたし」
覇道財閥の総帥である覇道瑠璃の声に答える二人。
何故か話題に破壊ロボは一切出てこないが理由はあえて言うまい。
『デ……デモンベイン、カタパルトへの固定確認しました!
 降下シークエンスを開始します、整備班は準備をお、おねひゃいしますっ!』
最近入ったばかりだというメイドの拙くも必死な声がコクピットに響く。
「クイーン、次の依頼はもう来ているのですか?」
『ええ。貴方達には今度は大日本帝国へ行ってもらいます。彼の国の皇帝から第参帝國から
 渡ったという九頭龍(クトゥルー)拝神教団の一派による儀式阻止を依頼されており――』
降下するカタパルト内でデモンベインのモニタに映し出される依頼、それを最近開発された
という紙媒体出力装置へと紅朔がかけようとした瞬間だった。
「――っ!?」
「な、なに!?」
カタパルトが大激震した。
停止するカタパルト、鳴り響くアラーム、敵襲かと身構えるが闇の気配はない。
そして、同時理解する。

デモンベインの周囲の空間が、否、――デモンベインが『歪んでいた』

『な、何が起きているの!?』
『司令! デモンベイン内部、時空間のゆがみの発生を確認!』
『字祷子反応、九朔側コクピットにて急激に増大!』
『事象崩壊レベル10《ドリームランド》! 何かがこちらへの顕現を開始してます!』
『なっ……!? く、九朔!』
瑠璃の呼ぶ声を遠くに聴きながら、コクピット内、九朔はそれを見ていた。
事象を突き破り、世界の式を書き換え論理を撃ち破って顕現しようとする凄まじい何かを
感じていた。邪神の謀か、そう思ったがあのおぞましい感覚はなく。
だがしかし、迸る紫電、コクピット内の魔術紋様が激しく点滅を繰り返す。
唸る突風、デモンベインの動力である銀鍵守護神機関を通じて送られる魔力が
『それ』の顕現をそれの在るべき姿からかけ離れた強壮たるものへと変じさせていた。
「騎士殿! ちょっと、大丈夫なの!?」
己の半身たる少女が下層コクピットから声をかけている。
だが、それに答える暇がない。
眼前の異常事象への相対がそれをさせない。
「何だ――これは?!」
翡翠の瞳が捉える魔力の流れはその存在の異常性を確かに認識していた。
かつて世界間を渡ったときに見た時空間航法、最早会うことのないであろうはずの
それと同等の魔術的な何かがここへ現われようとしているのだ。
「そんな……馬鹿な!」
搾り出すような叫び声を九朔は上げていた。脳内に疾走る外道の智識が今起きている
事象が何であるかを九朔に知らしめていた。
かつて分断された世界、千切れ千切れに為った世界のピースをかき集めた時の記憶。
父に救われ、母に救われ、復讐者に救われ、そして半身と共に取り戻した世界。
あのときに終わったはずの世界の桟橋、それが再び構築されていた。
「騎士ど―――」
半身の声、それが途切れ、何かが空間を断裂した音を聞いた。
「くっ!!」
その眩さに瞳を閉じる。
強烈な閃光、苛烈なまでに強烈な呪術の迸りがコクピットを覆う。
刻まれる魔術紋様が別の魔術文字へと変容し、それが発する魔術の意が
コクピットを別空間へと作り変える。
「これは!」
翡翠の瞳が開く。
そこに認識するのは別世界。
それは鏡。
球の形をした鏡。
「招喚――ッ!」
それは中心に大十字九朔を据えた招喚装置。
大十字九朔と言う存在を招喚するための儀式。
周囲を見渡す九朔、瞬間鏡が唸り、衝撃が九朔を襲う。
断絶する意識、彼の存在が異界領域にシフトする。
彼の存在は壱以下の零に等しい可能性に分解され飛翔する。
そして、彼の物語(セカイ)は新たな物語(セカイ)へ。


――二闘流の騎士が再びセカイを渡る


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