あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

とある魔術の使い魔と主-40


「悪いシエスタ……誰かが犠牲にならないとダメなんだよ」
 当麻は一人、見捨てたシエスタに対して謝った。彼女がここにいたならば、おそらく拳一つは飛んできそうだ。
「さて、どーするかな」
 魔法薬であるならば、当麻の幻想殺しで打ち消せる。おそらくあれは、洗脳的な要素があるので、頭を触れば効果は消えるであろう。
 しかし、消したくない当麻もいる。
 健全なる男子高校生は、そういうのには疎い。ぶっちゃけ、女の子同士……のは少し興味がそそる。
(つか二人で何してんだろうなぁ……)
 少年は少しの間、現実から離れ、夢物語に没頭した。果たしてどこまでやったのだろうか?
 思えば思う程膨らむ好奇心。しかし、突如シエスタが涙目となって訴える姿が頭にはいる。
 シエスタもルイズも、本来求めてはいない姿なのだ。このままでは、やはりよくない。
 連絡をすると、自分が言ったのだからなんとかする必要性がある。それにあんな風にさせた人の反省の意も含めて裏技(幻想殺し)を使うのはよくない。
 実をいうと、もうちょい見てみたいと思う当麻がいたからなのだが、勝手に違う言い訳を作り、自分を納得させた。
 好奇心は最後の最後まで、当麻の中でしつこく粘るのであった。
(とりあえず、怪しいといえばあれだよな……)
 昨日ルイズの態度が一変したのは、ギーシュ達がいる部屋に入ってからだ。
 そして、さらに詳しい部分を言うならば、あのワイン。
 魔法薬といえばたいてい飲み物に入れる、というのは当麻の中での常識である。となると、ますます怪しくなっていくのが彼ら。
 当麻は真相を確かめるベく、ギーシュとその女の子を捜す事にした。
 時刻は昼間、まだ食堂にいるだろうと踏み、そこへと向かった。



 当麻の予測は当たり、ギーシュ達がちょうど食堂から出たところを彼は発見した。
 慌てて逃がすまいと思った手は、女の子の腕を握る。
 ぶっきらぼうに掴んだので、女の子はキャッと小さい悲鳴をあげた。
「おい! モンモランシーになにか用なのか!?」
 当麻の存在に気付いたギーシュは、女の子の身を案じて声を少し大きくする。
 当麻はそんなギーシュに、ああ、モンモランシーと言うのねと納得した様子で返事をした。
「何を言っているんだ君は! 早くモンモランシーの手を離すんだ!」
「わーったよ」
 目的を果たしたその手は、モンモランシーの腕から離れる。

 しかし、モンモランシーは顔を蒼白して黙り込んでいる。まるで、指名手配犯が警察に職務質問された時のような顔だ。
「で、だ。ルイズが昨日の一件で豹変しちまったんだが、なんかしらねえか?」
「ルイズが? 一体どうしたんだ?」
「まあ簡単に言えばシエスタのことを好きになっちまったんだ。ちょっとおかしいだろ?」
「あのメイドかい? 確かにそれはルイズではないような……」
 ふむ、とギーシュは考え込む。
「そうなんです、そうなんだよ。……モンモランシーだっけか? あんたはなにか知ってるか?」
 今までの会話に参加していないのに不思議に思い、当麻は声をかけてみた。モンモランシーは突然話を振られた為か、肩をびくっと震わせた。
「えっと……、その……」
「あんたの部屋に置いてあったワインを飲んでからおかしくなったんだが……」
「あれはぼくが持ってきたワインだ! 怪しいものはなんにも入ってないぞ!」
 モンモランシーに疑いをかけているのに気付いたのか、ギーシュが間に割って入る。当麻は、彼の言葉は真実であると確信を得た。
 しかし、確信を得たからといって、モンモランシーの疑いが晴れるという事はない。
「いやさ、ギーシュが持ってきたワインに細工することはできるだろ? 例えば魔法の薬とかで」
「何を言ってるんだい! モンモランシーがそんなことをするわけがなかろう!」
 なあ! と威勢よくモンモランシーに同意の言葉を求めた。
 しかし、モンモランシーは唇を噛み、居心地が悪いかのように冷や汗を、額から垂らしている。
「モ、モンモランシー……。まさか……?」
「わ、わたしは関係ないわ! あの子が勝手に飲んだのよ!」
 二人の視線に耐え切れず、モンモランシーは声を荒げた。
「だいったいあんたが悪いのよ!」
 そう言いギーシュを指差す。ただ差すだけでは物足りないのか、彼の頬をぐいぐいと押し付ける。
 一言でいうなら、それは逆ギレ。当麻は呆然と二人のやりとりを見つめた。
「あんたがいっつも浮気するからしょーがないでしょー!」
「何を言ってるんだいモンモランシー、僕はきみ以外の女性には目に入らないよ!」
「あら? 裸のお姫さまが飛んでいる」
「え? どこ! どこどこ! ……ハッ、これはまさか」
「昨日と同じっ! 何度言えばわかるのよぉぉおおお!」
 こめかみに血管を浮かばせて、ギーシュの首を力強く絞める。

 ぐ、死ぬ……と、ホントにあの世へ逝きそうになるので、当麻はそこでようやくモンモランシーを止めた。
「落ち着けって、つか話を戻さしてくれ」
 なによ! といいたげな表情でキッと睨みつける。なんだかこちらが悪いように感じてしまい、困ったように頭をかいた。
「いやまあ、ギーシュが悪いのはわかったから何をワインに入れたんだ?」
 ここまでくれば、並大抵の人間なら何を入れたかはわかるだろう。魔法漫画なら必ずといっていい程出てくるキーアイテム。
 モンモランシーはちらっとギーシュの方を見ると頬を赤く染める。どうやら彼の前で言うべきなのかどうか悩んでいる様子だ。
 そんな複雑な乙女心など全く理解していないギーシュと当麻は、ただただ見つめている。
 二人の視線に再び耐えきれず、モンモランシーは顔を少しだけ伏せて小さく答えた。
「……惚れ薬よ」
 やっぱり、と思う当麻をよそに、ギーシュは驚きの声で復唱した。
「惚れ薬ぃ!?」
「シッ、声が大きいわ!」
 慌ててギーシュの口を塞ぎ、周りをキョロキョロと見渡す。幸いな事に、誰もいない。
 ほっ、と安堵の息を吐き出すと手をギーシュの口から離した。
「一応禁則の品なんだから……」



 三人はモンモランシーの部屋へと場所を移した。
 事情を知ったギーシュは、惚れ薬まで使おうとしたモンモランシーに感激を覚えた。
「モンモランシー……、まさかきみがそんなにぼくのことを……」
 そう言い、両手を握る。
「ふんっ! べつにあなたじゃなくってもかまわないのよ? おつきあいなんて暇つぶしじゃない。ただ浮気されるのがイヤなだけ!」
 全国のカップルに敵対するような発言をして、ぷいっと視線を横に向ける。
 見事なまでのツン――もとい傲慢な態度をとるが、ギーシュは全く気にしない。
「ぼくが浮気なんかするわけないじゃないか! 永久の奉仕者なんだから!」
 こちらもまた浮気する男の典型的な言い訳をとりながら、モンモランシーを抱いた。さらにはキスをしようとする。
 ギーシュの勢いに負けたのか、モンモランシーもその気になり、目をつむる。

「あー、ギーシュ×モンモランシーエンドはまだ発生しなくていいから。つかさりげ二人の世界に入ろうとしてんじゃねえよ!」
 突っ込みながら、二人を現実へと連れ戻す為引き離す。
「やぼ天だなきみは!」
「こちらとらギーシュのモンモランシー好感度アップイベントに参加する気はねえよ! 反省の意をこめてなんとかしなさーい!」
 そう、モンモランシーは何にも感じていないのだ。悪いことをしたら謝る。それすらもやらない。
 もっとも、それが当麻のいた世界とは違うからと言われても微妙である。
「そのうち治るわよ」
「大体どれくらいだ?」
 そうねぇ、とモンモランシーは首を傾げる。
「個人差があるから、そうね一ヶ月後か、それとも一年後か……」
「長い! 俺何回魔術師と戦う羽目になるんですか!」
「というかきみはそんなシロモノを飲ませようとしたのか……」
 さすがのギーシュもこれには青くなってしまう。
「わ、わかったわよ……解除薬を調合するから待っててよ」
「始めからそう言っちゃって下さい」
「でも解除薬を作るにはとある高価な秘薬が必要なんだけど、惚れ薬を作るときに全部つかっちゃったの。買うにしてもお金ないし。さあどうしましょう」
「どうしましょうって……ギーシュは持ってないのか?」
「ああ、一銭もないね」
「な、なんでここでイベントクリアのハードルが上がるのですか……」
 当麻はガクッと肩を落とす。
「こればっかりかは仕方ないね。世の中にはお金に縁のない貴族と、お金と仲良しの貴族がいるのさ」
 それで僕たちはお金がない貴族なのさ、と付け加える。
 仕方ない、そう思うと当麻は、ポケットから金貨を取り出した。
 特に使い道がないためか、半分だけ保険用に手持ちとして運んでいたのである。なぜ自分が出さなければいけないのか……と不思議がりながらも、尋ねる。
「これで大丈夫か?」
 当麻の世界での値段に換算したら、彼の生活は百八十度回転してしまう額をばらまく。
「なんでこんなにお金を持っているんだ!?」
「すごい……。五百エキューはあるじゃないの」
 どうやら足りるようだな、と当麻は確認を求めると、モンモランシーはしぶしぶ頷いた。


 当麻は、シエスタに伝えようと彼女の部屋に赴いた。
「おーい、シエスタいるか~?」
 ドアのノブを回す。どうやら鍵はかかっていないようだ。
ギィ~、とゆっくり押す。当麻の視界に部屋の中が入り込んでくる。そこには、


 ルイズとシエスタがいた。

 さらに詳しく言うと、ルイズがシエスタを押し倒していた。
 シエスタの大きな胸が、ルイズの小さな胸にぶつかっている。しかし、そんな障害をもろともせずに、ルイズはシエスタとキスを交わしている。
 熱い吐息が二人の唇から漏れ続けている。第三者であるはずの当麻の顔が真っ赤に染まっていく。
(な、ななななななななななななななななななにが起きているんですかッ!?)
 そのあまりにも予想外の光景に、当麻は言葉を失う。
 さらに、追い討ちをかけるかのように、ルイズはスカートを脱いでいた。皮膚を隠す重要な部分がさらけ出ている。
 シエスタもまた、普段着である草色のシャツにブラウンのスカート姿であった。
 しかし、そのロングスカートは激しい動きがあったのかめくれあがっており、ぎりぎりの位置でなんとか耐えている(もっとも、シエスタはあれをはいていないのだが、当麻は知らない)。
 また、汗なのだろうか、二人のシャツも少し湿っていた。
 ともかく、

 これ以上詳しく文章で表現してはいけない態勢で二人はキスをしているのだ。

 と、そこでようやく二人が当麻の存在に気付く。
 シエスタの目が見開かれ、顔が赤くなっていく上に、涙が浮かんできた。
 おそらく、一番見てほしくない少年に見られてしまった恥ずかしさと悲しさが、どっと押し寄せて来たのだろう。
 一方のルイズはただ睨んでいる。この領域に入ってくるなと目が訴えていた。


 いるにいられない当麻は無言で廊下にでると立ち去った。
 ただドアを開けただけなのに罪悪感が完全に支配してしまっている。
 どうやらルイズはこちらを敵と見なしているようだ。迂闊に近づいてしまったら大方ボコボコにされてしまう。
 そんな中、当麻は右手をルイズの頭に触る事ができるだろうか?
 おそらくできる。しかし、傷つかない方法があるのならばそっちを選ぶ。
 当麻は、幻想殺しで打ち消す考えを完全に捨て、モンモランシーの解除薬に期待をかける。さらにいうと少し見たかったと思う好奇心は消え去っていた。

 本当にシエスタの為になんとかせねばと思う当麻であった。


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