あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのしもべ11


「マッハロッドでブロロロロ ブロロロロ ブロロロロ~ ♪
 ぶっとばすんだギュン ギュギュン ♪」
「なんだい、その歌は?」
自分の背中にしがみついて歌うルイズに思わず尋ねる。
「ちいねえちゃんが好きな歌なのよ。意味はよくわからないんだけどね。ちいねえちゃんは身体が弱いせいか、この歌の
自由に飛び回ってる感じが好きなんだって。ちいねえちゃんっていうのは私のすぐ上の姉で……」
楽しそうに、懐かしそうにちい姉ちゃんのことを語るルイズ。
よほど仲がよかったのだろう。言葉のリズムに弾みがある。
今日は皆が大好きな虚無の日、虚無の曜日。つまり元の世界で言う日曜日である。
見事な快晴、それでいて心地よい風が吹く思わず踊ってしまいたくなるような日。
バビル2世はルイズを後ろに乗せて、馬を走らせていた。目標は近くの町。
最初はルイズが馬を操るつもりであったが、ゴタゴタゆれてえらい目にあったので、
「こういうことは使い魔がするべきではないだろうか?」
とバビル2世が手綱を握ることを申し出て、ようやく様になった。
「ジェットボップは ブロロロロ ブロロロロ ブロロロロ~ ♪
 勇将の武器だ ギュン ギュギュン ♪」
相変わらずルイズは歌っている。2番なのだろうか、3番なのだろうか。
事の起こりは今朝、ルイズが突然
「用があるから出かけるわよ!」
と鼻息荒く宣告したことである。
「いったいなにをしにいくんだい?」
と聞く間もなく、馬に乗って一陣の風となっていた。
『いったい何の用なんだろうか?』
よほど心を読もうかと思ったがまたどやされるのではないかと思い、やめた。
いずれにしろ町に行けばわかることだ。
「そんなことより……」
上空を気にするバビル。
肉眼ではわかりにくいが、光の中を雲をかきわけ進むものが一つ。
「そんなことより、なに?」
「いや、なんでもないんだ。」


別にこちらをつける理由もない。おそらく偶然だろう。聞けば大きな町らしいので、そこにあの二人も用があるのだろう。
少し訝しげにしていたルイズであったがすぐに、
「みんなで呼ぼう バロムワン ♪
 必ず来るぞ バロムワン ♪
 超人 超人 僕らの バロムワン ♪」
歌いだす。昨日の今日だ。そっとしておいたほうがいいだろう。
馬が跳ぶ。
丘を越える。
町が見えた。

「思ったより早く着いたわね。」
馬から下りて上機嫌でルイズがいう。それでも2時間は馬に揺られていたことになる。
バビル2世なら全速力で20分ほどの距離だ。
馬丁に馬を預け、大通りに出る。
「ふむ。」
露店や家構えの商店が軒を連ねている。
行商人らしい大荷物の男や、近郊の農夫、荷物を運ぶ馬車、買い物客が忙しげにあちこちを行きかう。
「かなり活気があるみたいだな。」
「そりゃそうよ。トリステインでも結構な都市だもの。」
町の規模はおそらくアメリカはサクラメントぐらいだろうか。101と呼ばれていた時代、バビル2世が訪れた町のひとつだ。
「確か、あの四辻あるピエモンの秘薬屋の近くにあったような。」
キョロキョロしながら目的地を探すルイズ。
秘薬屋が普通に店を構えているのがすごい。
「あ、あった。」
いかにも秘薬屋らしい怪しげな店の横、剣と盾らしいマークを組み合わせた看板のかかっている店へ人ごみを掻き分けて
向かう。途中で秘薬屋にギーシュの二股相手の片方がいるのを見かけたが、ここは何も言わないでおこう。
「武器屋?」
「そうよ。一昨日の決闘を見て考えたんだけど、あれだけ闘えるってことはビッグ・ファイアは護衛が向いてるってことだと思ったの。
だから、強力な武器を買ってあげようって言うのよ。感謝しなさい。」
そして指をつきつけ、
「それだけのことだから!他に他意はないんだから!勘違いしないでね!」


顔を背けて宣告するルイズ。
ぶっちゃけて、他の女にとられそうになったため、人間の持つ独占欲が発露したのである。
そこで贈り物をして自分に気を引きとめておこうとしたのだろう。
わかりやすく言うと、第三者を介することによって恋愛感情の前駆体が発現したというか。うん、余計にわかりづらい。
いずれにしてもバビルもルイズもそれが恋愛に繋がるものだと気づいていない。
石段を登り羽戸を開けて中に入る。
声をかけると出て来たのはいかにも腹に一物ありそうな男。いかにも過ぎて商売がやりづらいんじゃなかろうか。
もっとも値踏みをしているのは向こうも同じようで、下手に出れば組し易しと見たのか、妙に慇懃な態度で接客し始める。
「店一番の業物で、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の傑作で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさあ」
かなり大きな剣を店の奥から持ち出してくる。作りは豪奢で刃は分厚く、いかにも切れそうですと主張している。
ふむふむと手にとって鑑定していると、ルイズがわき腹を肘でつついてくる。
「どうなのよ?」
「ん?」
「だから、心が読めるんでしょ。店主の考えを読みなさいよ。」
「ああ。」
別に読まなくてもわかる。明らかに一見の鴨を相手にぼったくる気満々だ。
鞘にしまい、剣を店主に返す。
「もうちょっと別の武器も見たいんだが、奥へ案内してくれないだろうか?」
「へへ、旦那、そりゃあ無理ってもんですよ。」
ずいっと顔を寄せ、ルイズに聞こえないようにしゃべりかける。
「奥にシュベー卿の傑作とやらが並んでいるようだが。おまけに造りかけのものもある。シュベー卿とは店主のことかな?」
目を見開く店主。顔から血の気が一瞬で引き、口をパクパクさせる。
「なに、誰にも言わないよ。ただ黙っている代わりといっちゃ何だが、見せてもらいたいものがあるんだ。」
「はい、はい。」と言って首をガクガク振る店主。
「ちょっと奥で武器を見せてもらってくるよ。ルイズは待っていてくれるかい?」
「使い魔の分際で主人を待たせる気?」不機嫌そうに答えるルイズ。
「でもまあ私は武器のことは良くわからないし、いいわよ、気に入ったのがあれば買ってあげるから。」
予算の範囲内でね!と口には出さなかったが強く念じるルイズであった。


奥へ入ったバビルは置いてあったリベットを何個か掴むバビル2世。
「何かなさる気で?」
「まあ、見ておけ。」
へえ、と訝しげな店主を後ろへ下がらせる。奥に磨きこまれた分厚い鉄製らしい鎧が飾ってあるのが見える。
リベットを指で弾く。
リベットは超高速で吹っ飛び、鉄の鎧にぶち当たって装甲を潰し、貫通する。
ビシッ ビシッ ビシッ
リベットをどんどん打ち込んでいく。鉄の鎧はへしゃげ、割れ、潰れて見る間に鉄くずと化す。
「ひぃー!?」
その光景に飛び上がる店主。へなへなと腰が砕けて尻餅をつく。
「鎧を壊して悪かったな。」
「いえ、いえ、いえいえいえ」
がたがたと震えながら祈るような格好で首を振る。こちらを舐めていた気分はどこかへ飛んでいってしまったようだ。
「まあ、禄でもない剣を売りつけようとしたむくいだと思って鎧のことは諦めてくれ。それで話なんだが…」
「な、なんでしょう?」
心から頭を下げてくる店主。その態度が滑稽すぎて噴出しそうになる。
「なに、三つあって、一つはこのリベットをいくつか譲ってくれないか、ということなんだ。」
学園の中に、誰か自分を監視している人間がいる、ことをバビル2世は気づいていた。
今は監視だけだが、可能性としては今後自分に対して攻撃を仕掛けてくる可能性もある。
そのときに超能力をできるだけ使わずに済む武器が必要だ、と考えていた。
奇しくもルイズが自分に武器を買ってやろう、と連れてきた。ならばこの機会を逃す手はない。
「は、はいかしこまりました。こんなものでよければどうぞどうぞ。」
じゃらっと籠一杯のリベットを差し出す店主。鎧の各部をつなぎとめるために使っているのだろう。
つまり鎧の注文があるに違いない。ということは、この店主、見かけと性格はあれだが、腕のいい職人である可能性が高い。
「二つ目は、今後このリベットが必要になったときにそなえて、ある程度の数を用意しておいて欲しいんだ。そのとき…」
リベットを握り、指と掌で粘土のように変形させていく。
その力に再び飛び上がらんばかりに驚く店主。
できたのは椎の実型の、ライフル弾のような形と大きさをした鉄塊。違うのはすでに線状痕が刻まれているということか。
「これと全く同じ大きさで、形にして欲しいんだ。きちんと代金は払う。」


ライフル弾状のものを受け取り、まじまじと見る店主。やはり職人なのだろう、今までの感じが嘘のように消えうせて、
真剣な面持ちで色々な角度からそれを見る。
「………できる、でしょう。これなら、できます。」
頷く店主。やはり思ったとおり腕のいい職人であるらしい。
「最後に。ぼくは一応使い魔だからね。主人の顔を立てなければならない。」
はあ、さようですね、さようでしたね、と忘れていた笑いを思い出したように笑う店主。
「しかし、旦那ほどの方を使い魔にするというのは、あのお嬢様はどのようなお方で?」
「ひょっとしたら、将来歴史に名を残すかもしれないよ。」
「では名前を覚えておかなければなりませんね」と店主が応える。だいぶ調子が戻ってきたようだ。
「それで適当な剣をみつくろってくれないか?リベットの代金はそれに入れておいてくれて構わないから。」
承知しました、と言って在庫の山を掻き分けだす。
やがて奥から古びたボロボロの剣を引き抜いてくる。
ふーっとほこりを吹き飛ばすと、下からそれなりの鞘が姿を現した。
「金貨60程度の代物ですが、旦那ほどの力があれば剣はあまり関係ないでしょう?リベットとあわせて80でいかがですか?」
心を読むが、どうやら値段については嘘をついていないようだ。
「いや、100で構わないよ。ついでに言うと、売るときははじめに多少高く言ってくれるかな?」
ははは、と笑って、かしこまりましたと応える店主。
「旦那は商売のコツってのを多少はわかってらっしゃるようだ。」
ルイズに見せると、ぼろさに最初は拒否感を示していたが、
「200のところをお客様のことですから特別に半額でお譲りいたします」
という店主の一言と、「まあ、ビッグ・ファイアだし、高いものを買ってあげて頭に乗っても困るからね。」という理由により、
予定通り100エキューで売買成立した。知らぬはルイズばかりなり、という落ちがついたが、それはいい。


「………。」
ルイズが気になったのは、店を出てからのバビル2世の様子であった。
馬に乗る段になっても武器屋の方向をじっと見ている。
「ルイズ、まだ時間に余裕はあるかい?」
「時間?そうね……」
自分の腕前なら3時間はかかるが、ビッグ・ファイアなら2時間足らずでついた。
単純に考えて1時間の余裕がある。
「まあ、30分ほどならいいわよ。何か用事?」
「ええ。」
チラッと武器屋から出た2つの人影を見て、
「ちょっとお腹の調子が思わしくないので。」
ルイズがああと納得する。
そういえば自分も。大きいほうはともかく、小さいほうは馬上で漏らしでもすればたまらない。
「わ、わかったわ。じゃあ30分待ってあげるわ。わたしもさっき途中で気になった商品があったし。」
「まったく、レディの前ではしたないわね」と言ってそそくさと消えていくルイズ。途中何度も振り返り、
「あくまで気になった商品があっただけよ!わかってるわね!」
と主張する。
「さて。」
ルイズが消えたのを見計らって、人影のいたほうを見る。
視界に青と赤の色の髪が飛び込んだ。


「あら?」
剣を手にしたキュルケがルイズが離れていくのを見て、
「おかしいわね。何かあったのかしら」
独り言を呟く、のではなくあくまで横にいる無口な少女、つまりタバサに話しかけているのである。
「……ご不浄」
ああ、とキュルケが納得したように手を打つ。
「ふふん、じゃあこの間にダーリンにこの剣をプレゼントしちゃおうかしら。」
先ほどのシュペー卿の傑作という触れ込みの剣だ。まあ、これは店主を攻められない。商売人とはそういうものだからだ。
「あんなヴァリエールが買ったようなボロボロの剣よりもアタシのほうを選ぶに決まってるわよねって、あら?」
気がつくと消えていたバビル2世に気づく。
「ねえ、タバサ。ダーリンはどこに行ったの?」
「………。」
ふるふると首を横に振る。
「知らない。ただ……」
「ただ?」
「私たちは気づかれていた。」
「え?」
意外な返事に目をぱちぱちさせる。これだけ人がいる中から、2人を見つけ出すことなど不可能ではないだろうか。
それをしたというのか。
「あ、でも心が読めるものね。アタシの熱い情熱を感じてもおかしくないわよね。」
「………。」
違うだろう、とタバサは感じていた。
あの感じは心を読んだとかそういうものではない。
この場にいる人間全ての動きが頭に入っており、その中から特異な行動をしている2人を選びぬいた。そんな感じであった。
「心が読めることと、きみたち2人を見つけたことは関係ない。」
声のしたほうに振り返る二人。
バビル2世がいつのまにか背後に立っていたのだ。
「あら、ダーリン。」
両腕を広げて抱きつくキュルケ。淡々とそれを見ているタバサ。
「奇遇ね。やっぱりこれって愛の力だと思わない?二人の間には運命の赤い糸があるのよ。」
「………違う。」



タバサが冷静に突っ込む。そして、
「………いつから…?」
いつから気づいていたのか、と問う。少なくとも自分の尾行は完璧だったはずだ。
この歳で「死ぬことを前提とした」任務に借り出され、酷使され、汚れ仕事を引き受けてきた。
だからこそ自信はあった。いくら優れていてもよもやほぼ同年代には気づかれないだろうという自信が。
だがひょっとすると、彼は、ビッグ・ファイアは、自分の想像以上の存在ではないかという疑念もあった。
そしてその疑念は的中した。
ならばあとはそのキャパシティを知ることだ。
まともに答えない可能性もある。だが、妙なことだがタバサはビッグ・ファイアが嘘をつかないだろうと信用していた。
信用、それはタバサにとっては縁遠いものであった。せいぜい、キュルケにたいして心を許している程度だ。
それをまだほとんど付き合いのない相手に抱いていることに、自分でも不思議だった。
「来る途中、竜に二人が乗っているところだ。」
「そんなところから!?」
キュルケが唖然とする。高度2リーグ以上の高空を飛んでいたのだ。そんなところにいる人間を識別できる人間がいるはずがない。
「……証拠は?」
当然タバサも疑問に思ったのだろう。
「タバサが前で、キュルケが後ろに乗っていた。」
平然とバビル2世が答える。
「それにタバサは一度使い魔に指示するために頭のほうへ移動した。」
「………正解」
「ダーリン……すっご~い!」
バビル2世をぎゅっと抱きしめる。困惑した表情でバビル2世は固まる。
「でも、不十分」
その通りだ。使い魔は竜なのだ。タバサが前に出るのは予想できることだ。同じく指示するために頭を寄せることも予想できる。
だからこそさらに確実な証拠が欲しかった。
「ふむ。」
キュルケを手で制し、離れさせるバビル2世。意外に素直にキュルケが従い、腕を離して離れる。
「なら、これは言うべきか迷ったんだが。」
ポリポリと指で頬をかくバビル2世。
「途中で3回ほど、キュルケの胸が当たって、うらやましげに後ろを見てなかったかい?」
「……正解」
ちょっと悲しい正答であった。


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